ホワイトホースという街を知っていますか?
カナダで日本人観光客や留学生が一番多く訪れる街はバンクーバーだそうです。
実際、筆者もまずバンクーバーに降り立ち、カナダ生活を始めました。
バンクーバーに住むことを目標に永住権取得に乗り出した私が、最終的にホワイトホースに留まる決意をしたいくつかの理由をまとめてみました。
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ホワイトホース基本情報
ホワイトホースの生活を語る前に、
- どこにあるの?
- どんな所?
などの基本的な街の情報を簡単に紹介したいと思います。
ホワイトホース市とは
ホワイトホース市はユーコン準州の州都であり、唯一の都市です。人口は、22,000人程度。
ゴールドラッシュ時代に栄えた町として有名で、その名は金を運ぶ際に使われたユーコン川の荒々しい白波が、白い馬のように見えたことから来ているそうです。
気候
ユーコンはカナダの北に位置するとても乾燥している亜寒帯気候です。
冬は寒さが厳しく、日照時間が短いのが特徴です。また、夏はカラッとさわやかで白夜です。(日が完全に沈まない)
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | |
---|---|---|---|---|
平均最高気温 | -11 | -7.7 | -0.7 | 6.6 |
過去最高気温 | 10 | 11.7 | 16.8 | 21.8 |
平均最低気温 | -19.2 | -17.6 | -11.9 | -4.6 |
過去最低気温 | -56.1 | -51.1 | -42.2 | -30.6 |
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | |
---|---|---|---|---|
平均最高気温 | 13.5 | 19.1 | 20.6 | 18.5 |
過去最高気温 | 34.1 | 34.4 | 33.2 | 31.6 |
平均最低気温 | 1 | 5.6 | 8 | 6.7 |
過去最低気温 | -12.9 | -6.1 | -2.2 | -8.3 |
9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
---|---|---|---|---|
平均最高気温 | 12.1 | 4.2 | -6 | -8.5 |
過去最高気温 | 26.7 | 19.3 | 13.3 | 10.6 |
平均最低気温 | 2.1 | -3.2 | -12.9 | -16.5 |
過去最低気温 | -19.4 | -31.1 | -47.2 | -48.3 |
(*℃表示)
ホワイトホースのお得な3つの制度
ホワイトホースに住んでいると受けられるお得な制度をいくつか紹介します。
1. 消費税が安い
ユーコンではPSTと呼ばれる税金が無料
カナダは、GST(Goods and Services Tax)とPST(Provincial Sales Taxes) と 呼ばれる税金制度があります(HSTについてはここでは省略します。)
日本の消費税とよく似ていて、物を購入する際に課税されますが、パンや牛乳など一部課税対象外となるものがあります。
その多くは、「裕福な人もそうでない人も生きるために必要なもの」と考えられるものです。
GSTとは、国が設定した税率で、全国一律5%です。
そして、そこにそれぞれの州が設定した税率(PST)を加えたものが、実際に商品を購入した際に加算されるのです。
例えば、バンクーバーは
GST 5% + PST 7% = 12% の課税
マニトバは
GST 5% + PST 8% = 13% の課税
ユーコン準州では、このPTSが$0という事なので
GST 5% + PST 0% = 5% の課税
となります。BCやマニトバと比べてみると一目瞭然ですが、消費税がとにかく安いです。
2. 北国に住んでいることでもらえるお小遣い
永住権取得後ユーコンに6か月以上住むと、一日11$のNorthern living allowance (Northern residents deductions)がもらえます。
直訳すると「北国に住んでいる人へのお小遣い」といった感じでしょうか。
カナダ国内でカテゴリー別に分けられていて、それぞれ金額も違うのですが、ユーコンはZONE Aに属していて、最高額が支給されます。
住んでいるだけでお金がもらえるなんて、響きがいいですよね。
それぞれの住む環境によってはさらに金額を上乗せして要求することも可能なようです。
詳しくはこちらをご覧ください。
3. 永住権取得後の手厚いサポート
ユーコンでは永住権取得後に受けられる生活に役立ついろいろなサポートがたくさんあります。その中の2つを紹介します。
- 英会話クラス (レベル別の無料の英語クラスを受講することが出来ます)
- READY TO WORK プログラム (カナダで働くための基礎知識や常識、履歴書の書き方などが学べるほか、一般では有料の食品衛生やファーストエイドの資格を無料で取ることが出来ます)
4. 学生がもらえるお小遣い
ユーコンに2年以上滞在し、ユーコンカレッジのコースを取る場合、申請すれば週に$105のお小遣いがもらえます。
筆者は3.に挙げたような永住権取得後の無料プログラムをユーコンカレッジで受けていましたが、これがまさかの対象内。学費も払っていないのに、ちゃっかりお小遣いを毎週もらっていました。
申請可能な最低受講時間等の詳細はこちらです。
参考記事:Wikipedia (2018年8月9日)「Whitehorse, Yukon」
ホワイトホースでの人間関係
まず最初に思い浮かぶことが人間関係です。
多くの心理学者が「90%のストレスは対人関係によって生み出される」と言っていることからもわかるように、よい人間関係があるということは、幸せを実感する第一条件と言っても過言ではないと感じます。
カナダは移民国家なので、基本的に海外からやってきた人に対して寛容なのが特徴です。
街の人たち
「基本的にみんな優しい」というのが全体的なイメージです。
もちろん、人それぞれで悪い人がいないわけではありませんが、ここでの生活は「昔の日本のご近所付き合い」を思い起こさせます。
地元で育った人達や移り住んできた人たちに共通して言えることは、皆、ホワイトホースが大好きということです。
たとえば、いかにも旅行中の格好でカフェに行くと、コーヒーを待っている間にも「どこから来たの?」と気さくに話しかけてきます。
ホワイトホースに興味があることを示せば、いろいろと情報をくれる人もいるでしょう。筆者もそのうちの一人ですが、ホワイトホースが大好きなので、多くの人に良さを知ってもらいたいのです。
職場の人たち
これは職種にもよるので一概にこうとは言えませんが、仕事中などのエピソードは、私の職場を例にお伝えします。
1. 就職活動
カナダでは、就職活動で履歴書を提出する際にレフェランスを要求されることが多いです。
レフェランスとは、前の職場の雇い主からの手紙で、どんな人でどんな働きぶりかが書かれた手紙のことです。
ことわざで「立つ鳥跡を濁さず」というものがありますが、これが本当に重要になります。ホワイトホースは街が小さい分、他の都市よりもこの部分が大切になります。
また、前職場からの手紙以外にもコネ(と言っても重役と知り合い!などの特別なものは必要なく、一般社員の友達や知り合いがいるなどでオーケー)が大きく影響します。
そういった事実が作用しているのかはわかりませんが、町の中での人との関係をよくしておきたいという考えを持つ人が多いです。
実際、マネージャーが「〇〇さんってお友達なの?どんな子?」と聞いてくることがよくあります。
これは律儀な日本人にはとても有利なのです。
ホワイトホースでも「さすが日本人だね」などとよく耳にしますが、日本人というだけで「働き者」「遅刻しない」「正直」など良いイメージが既にあるので、たとえ知り合いがいなくても好条件で面接へ望むことが出来ます。
2. 休暇
いざ働き始めると気付くのが「休みが自由に取れる」という事です。
日本で仕事をしたことがある人は、休みをお願いしに行くのに躊躇したり、上司の顔色を窺ったり、はたまた同僚から白い目で見られたりと簡単ではない経験が少なからずあるのではないでしょうか?
この町ではそういったストレスがありません。労働者は「休みを取る権利がある」というのが前提なので、休みを申し出ることに躊躇する必要がありません。
もちろん、常識的範囲内で、時期やタイミングによっては取れないことや「もう少し待って」と言われることもありますが、大体はその理由もはっきりしていて分かりやすいです。
3. 仕事のミス
筆者も経験がありますが、日本で働く場合は「完璧にやって当たり前。足りないことがあると怒られる」といったイメージがあります。
要は持ち点からの減点方式なのです。
それが、加点方式だったらどうでしょう? 上司は最低限「してくれないと困る」というある程度のリスト(基礎点)を持っていますが、良い仕事をした時には必ず「ありがとう」「よくやってくれているね」など言葉にして伝えてくれます(加点)。
給料に直接反映してくれることも多々あります。
ミスした時は、やってしまったことをぐちぐち言う代わりに「どうやってそれをカバーするか」に重きを置きます。
もちろん人や会社にもよりますが、大きな町よりも優秀な人材確保が難しい分、従業員を大切にという考えを持った人が多いのです。同じ仕事でもがぜんやる気が出ると思いませんか?
日々の生活のクオリティー
時間が有効に使える
ホワイトホースで暮らし始めて気づいたことが「趣味が増えた」という事です。
周りの人たちを見ても、いろいろな趣味を持って楽しんでいる人が大勢います。その理由の一つは町の利便性と規模に関係がありそうです。
ホワイトホースのダウンタウンは小さく(車で一周しても10分あれば十分)、ほぼ全ての公共機関がその範囲内にあります。
例えば、「運転免許の更新に保険証の発行、車の保険申し込みもしないといけない!」なんて面倒くさそうな手続きが満載な日でも、全ての機関がコンパクトにまとまっているので、一時間もあれば全て出来てしまいます。
通勤時間が短いのもその理由の一つです。殆どの人の通勤時間は10分以内で渋滞もありません。
もうお分かりかと思いますが、仕事後(レギュラーワークタイムの場合)5時10分には家に帰れるので、そこから趣味の時間に費やせるのです。
ですから、すべての人類に与えられた同じ24時間の持ち時間を無駄なくさまざまなことに使えるのです。
現に筆者も休みの日ではなく、仕事が終わってから、バイオリンレッスン、フランス語のクラス、テニスサークルに参加しています。
休みの日には遠出をしたりキャンプに行く人が多く、市内から人がいなくなります。
遊び=出費ではない
東京やバンクーバーに住んでいた時、何か楽しいことをしようとすると何かしらお金がかかった記憶があります。
例えば、日本にいたときには、話題のスウィーツが出たと聞いてはお店に出向き、ファッション雑誌を見てはショッピングに出かけていました。
ホワイトホースにはあまりチョイスがありません。はじめはそれはこの街の欠点だと考えていましたが、そのおかげで得られるものがあることに気づき始めました。
例えば食べ物ですが、食べたい日本料理などのレストランが少ないため、何でも一から手作りすることが多いです。
一見ネガティブなイメージがありますが、その結果料理の腕が上がったり、お友達とレシピを交換したりといろいろな楽しみもでてきます。
また、デザートなども手作りすることによって改めて「食べ物にはこんなに砂糖が入っているのか」などに気づかされ、健康的な食生活へと改善させるきっかけを作ってくれました。
ファッションでは、流行などを気にせず自分の好きなものを何年でも着られるというところが気に入りました。
確かにかわいい服などはあまり売っていないので、オンラインショッピングや大都市に遊びに行ったときに購入する人も多いですが、一度買った服は何年でも着ることが出来るし、服装で他人を判断するような空気がないのがこの街の特徴です。
それでも「かわいいな」と思う服や靴を身に着けていたりすると「私あなたの靴好き」とか「素敵な髪型ね」とか全く知らない人に声をかけられた経験が筆者にも何度かあります。
アウトドア体験が気軽にでき、高級ホテルなどを取って遠出することを思うと、お金もかからないというところも魅力です。
キャンプが可能な場所は、町の近郊から何日も車で移動しなければいけないところまで、至る所にあります。朝起きてから「今日キャンプに行かない?」とか、仕事が終わってから「今からキャンプいこうか?」という事もよくある事です。
筆者は毎週末釣り竿とテントを車に積んでキャンプに出掛けます。ただ外で寝るだけ、なんてこともよくあります。
これなくしてユーコンは語れない!大自然とアクティビティー
ホワイトホースは、ユーコン川をはじめ、さまざまなナショナルパーク、湖、山々に囲まれています。
人口も少ないので「どこかに行っても人が多くて疲れる。」といった悩みがありません。
スポーツ
様々なスポーツが季節によって気軽に楽しめます。
冬はスキーや犬ぞりが人気です。特にクロスカントリースキーは、歩いていける距離にあるトレイルでいつでも楽しめます。もちろん無料です。
夏はハイキングやキャンプを楽しんだり、自然の動物(バイソン、エルク、カリブー、ムース、ハリネズミ、オオカミ、熊 その他いろいろ)に出会えたりします。8月、9月はサーモン釣りやベリーピッキングが盛んで、特にベリーピッキングはバンクーバーなど大都市とは違い、山の中で取り放題です。
みんなそれぞれお気に入りや秘密のスポットを持っていたり、それを見つけるべく探索するのも楽しみの一つです。
その他、サッカー、テニス等のサークルやクラスなどもたくさんあります。
イベント
寒くて長い冬はさまざまなフェスティバルが催されます。
世界最長の犬ぞりレース「ユーコンクエスト」、雪像制作の大会やメープルタフィー(雪の上で冷やして作るメープルシロップのキャンディー)の屋台なども出る「ランデブー」等大きなイベントをはじめ、多くのミュージックフェスティバルが催され、町中で有名なアーティストの演奏を聴くことも出来ます。
また、ニューイヤーのイベントでは花火が打ち上げられます。日本の物とは数もクオリティーも劣りますが、並んだり場所取りをしたりする必要もなく、間近で見ることが出来ます。
夏では、カヌーイスト憧れの川であるユーコン川でのカヌーのレースが有名です。
オーロラと寒さ
オーロラは最近日本でも有名になってきたようで、日本からの観光客も増えています。
オーロラが強く出ているときは、街明かりのある場所からでも十分見ることが出来ます。
筆者の家のベッドルームの窓は北側を向いているので、寝る前にオーロラチェックをしてから寝るのが日課です。
また、日中はダイヤモンドダストやサンピラー現象など、寒い地域ならではの光景を目にすることが出来ます。
寒さを生かした遊びは子供たちにも人気です。-30度以下になるとシャボン玉が凍ったり、熱湯が空中で真っ白に凍ったり、バナナでくぎも打てます(笑)。
日本人の友人がラーメンの食品サンプル(そう、お箸が空中に浮いているあれです)をリアルに作っていたのを気温が下がるたびに思い出します。
アートの町
ホワイトホースはカナダの中でも、とても芸術に力を入れている街の一つです。
バイオリン等の子供グループをはじめ、オーケストラなど多くの音楽関係者に活動の場があるのもそれを支える一つでしょう。
夏になると、町の広場で地元のミュージシャンが演奏やパフォーマンスをする光景が見られます。毎日お昼の時間帯にあるので、会社の昼休みにサンドイッチを食べている会社員や子供たちなどさまざまな人が行き交います。
自分が何かやりたいと思えば、自由に登録でき、独自のパフォーマンスを披露することもできます。
また、芸術を支える指導者育成にも力を入れているので、学費支援のプログラムも充実しています。
可能性を試すことが出来る町
筆者が何より魅力を感じるのは、この町がまだまだ発展途上であるという点です。
少しのアイデアと意欲次第で、いろいろなことにチャレンジできます。
新しいことを始めるというのは簡単なことではありませんが、そこで(ここまで書いてきたように)人々のつながりや、ローカルビジネスをサポートしようという市民の考えが一歩踏み出す勇気をくれます。
街が小さいせいなのか、寒さが厳しい土地のせいなのか、理由は分かりませんが、街の人がローカルにこだわっているのをさまざまな場面でみることが出来ます。
そんな街だからこそ、この町から何かを発信したいという意向を手助けしたいという空気があるのかもしれませんね。
私が居続ける理由。そしてユーコンという街
ここでは語り切れなかったことがまだまだたくさんありますが、これまであげた点は、私が「ホワイトホースに住むのも悪くないな」と思い始め、バンクーバー行きを取りやめ「ホワイトホース大好き」となるまでの過程で触れたり感じたりしたことの一部です。
カナダの居住先に何を求めるかは人それぞれだし、上記のような生活に魅力がないと思う人も大勢いることでしょう。
ただ、知らなければ選ぶこともできません。
自分に合った生活スタイルの模索に、この情報が少しでも役に立ったならうれしい限りです。
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