ご家族でカナダへの転居する場合、心配なのはお子さんの学校選びではないでしょうか。
カナダでも日本と同じように、パブリックスクール(公立学校)、プライベートスクール(私立学校)があります。
ここでは、授業料が無料のパブリックスクール(カナダ・オンタリオ州の場合)について、学校選びの方法から転入までに必要な手続き、実際の学校生活についてご紹介いたします。
学校選びは慎重に:学校を決めてから家を探す
パブリックスクールの場合は、日本と同じ様に、家の住所によって学校が決まる、キャッチメント(学区)があります。
パブリックスクールは、学校によってかなり差があります。まず、学校を選んでから、その学校のキャッチメント内に住む家を探すという順番が、学校選びを失敗しない方法です。
学校の情報から子供にあった学校を見つける
パブリックスクールは、1学年1クラスしかない小さい学校から、1学年4クラス以上ある大きい学校まで様々です。
また、幼稚園から小学校6年生までしかない学校や、幼稚園から中学8年生まである学校など、対象の学年もそれぞれの学校で異なります。
6年生までしかない学校の場合、7年生から別の学校に転校しなければなりません。
さらに、成績優秀者のみが入れるギフティッドクラスが、ある学校とない学校があります。
ギフティッドクラスでは、優秀な才能を伸ばす授業が行われます。
3年生と6年生の終わりに、ギフティッドクラスに入れるかどうかの試験があり、合格すると、ギフティッドクラスに入れます。
もし、通っている学校にギフティッドクラスがなければ、一番近くのギフティッドクラスがある学校へ転校することになります。
各学校の情報は、スクールボード(日本の教育委員会にあたる組織)によって、学校の規模、学校の全体の成績、ギフティッドクラスの有無、人種の割合などが公開されているので、公開情報を確認して、自分の子供にあった学校を良く吟味する必要があります。
パブリックスクール(オンタリオ州)のスクールボードは4種類。
オンタリオ州のパブリックスクールには、4種類のスクールボードがあります。
1.イングリッシュ・スクールボード
日本から転居した場合は、特別の理由がない限り、このイングリッシュ・スクールボードの学校を選ぶことになります。
2. フレンチ・スクールボード
全授業の他、日常会話も完全にフランス語で行われます。
両親共にフランス語で生活する家の子が多く通っています。
両親のどちらかがフランス語で先生とコミュニケーションがとれ、子供の宿題を見ることができる場合は、このフレンチ・スクールボードの学校を選ぶことができます。
3.イングリッシュ・カソリック・スクールボード
カソリックの洗礼を受けた子だけが入れる学校で授業は英語が主です。
4. フレンチ・カソリック・スクールボード
カソリックの洗礼を受けた子だけが入れる学校で、授業はフランス語が主です。
授業の言語からクラスを選ぶ:「イングリッシュクラス」と「フレンチ・イマ―ジョンクラス」
日本から転居した場合、イングリッシュ・スクールボードの学校を選ぶ場合が多いので、イングリッシュ・スクールボードの学校について説明致します。
イングリッシュ・スクールボードの学校には、英語で授業を受ける「イングリッシュクラス」とフランス語で授業を受ける「フレンチ・イマ―ジョンクラス」があります。
1.イングリッシュクラス
英語で授業を受ける「イングリッシュクラス」は、カナダへ移民したばかりの子、自宅では別言語を話す子など、英語が話せない子が比較的多くいるクラスです。
日常会話から授業まで英語で行われますが、毎日1時間だけフランス語の授業があります。
2.フレンチ・イマ―ジョンクラス
フランス語で授業を受ける「フレンチ・イマ―ジョンクラス」は、家庭での言語が英語の子、両親のいずれかがフランス語を話す家庭の子が多いです。
英語が日常会話の家庭では「フレンチ・イマ―ジョンクラス」に入れて、低学年からフランス語を学ばせ、バイリンガルに育てます。
小学校の頃はほぼ全ての授業がフランス語で行われますが、中学生になると科目により内容の理解度を優先して、英語で授業が行われる場合があります。
選択の幅は広い:「オルタナティブスクール」と「ホームスクール」
日本の学校に比べると、カナダは学習方法の選択肢が多いです。
親の考え方や子供の個性に合わせて、様々な学習方法を選ぶことができます。
1.オルタナティブスクール
個性を重視し、芸術的才能に特化した子や、数学や科学に特化した子など、得意分野を伸ばしたい子が多く通います。
個人別に学習カリキュラムを自由に組むことができる点が魅力的だと言われています。
2.ホームスクール
学校に行かず、自宅で学習をします。
学校になじめない不登校の子をイメージしがちですが、各家庭の事情や親の考え方で、ホームスクールを選ぶ子も少なくありません。
親の出張に伴い一年の大半を国内外を移動するなどの理由で、自宅から学校に登校できない子や、親があえて自分で教えることが良いと考えている場合など、ホームスクールを選ぶ理由は様々です。
ホームスクールを選ぶ場合は、親が学習のサポートができるかなど、厳しいチェックがあります。
また、定期的に学習カウンセラーが学習の進み具合を確認します。
スクールボードでの面接と筆記試験:転入する学校と学年が決まる
学校の情報を確認して学校を決めたら、学校の周りの治安や校庭の広さなど、実際に行ってみないと分からない情報があるので、実際に見学に行ってみると良いでしょう。
学校を決め、住む家を決め、住所が定まったら、スクールボードに連絡をし、面接と試験の日時を予約します。
スクールボードの事務所に行くと、住所を確認したのち、通う学校名を告げられます。
次に、転入する学年を決めるために面接と簡単な試験が行われます。
面接は、子供が英語ができない場合は親が答えてかまいません。
筆記試験は子供が受けますが、何も書けなくても転入できますので安心して受けてください。
尚、幼稚園児の場合は筆記試験はありません。
転入する学年は、親や本人の希望を聞いてくれます。
なにより、本人の学力にあった授業が受けられることを望み、1学年下のクラスに入ることを希望する場合も多いです。
特に希望がなければ、年齢に応じた学年に転入することになります。
多少英語の遅れがあったとしても、学校側は移民の子供の扱いに慣れているので、全く心配はいりません。
学校に通うために必要な予防接種
カナダではその年齢に応じて必要な予防接種が決められており、全て接種していないと学校に通うことができません。
日本の予防接種より多くの予防接種が必要となります。入学に必要な予防接種を確認し、足りない場合はクリニックで接種しましょう。
クリニックでは、予防接種カードを発行してもらえるので、大事に保管してください。
学年毎に追加接種や新たに接種しないといけないものがありますので、学校から通知がきたら、その都度、予防接種カードをクリニックに持参し、必要な予防接種を受けます。
また、結核予防のため、ツベルクリン反応検査も行われます。
日本でBCG接種している場合、反応が陽性になってしまう場合があります。
その場合は、クリニックで胸のレントゲン写真をとり、医師に結核でない証明を書いてもらい、学校に提出します。
学校のサポート体制
1.複合クラス
ほとんどの学校が、1クラスに1年生と2年生が一緒に学ぶ複合クラスを設けています。
勉強の遅れがある2年生は、1年生の授業を聞くことで、復習をしながら2年生の学習を理解していくことができます。
また1年生は、2年生の学習を耳にしながら、1年生の学習を行うので、2年生になった時に学習の理解が早くなる利点があります。
2.英語を理解しない子のサポート
英語以外の言葉しか理解できないまま学校に来る子も多く、その場合、学校側は同じ言語を話せる子を隣の席に座らせて、サポートさせます。
学校内に同じ言語を話す子がいない場合は、慣れるまでの間は、その言語が話せるボランティアさんの手配をしてくれます。
3.障害のある子に対するサポート
耳の聞こえない子のために、手話の先生が常駐して、学習をサポートしています。
各行事や発表会で学校に行くと、必ず、前には手話の先生がいて、手話通訳をしています。
子供たちも自然に手話を覚え、毎朝校内に流れる国歌は、手話で歌うことができるようになります。
また、車いすの子や病院から数時間だけ学校にくる子など、様々な障害のある子も共に学べるように、ボランティアが一緒にクラスに入って、学習のサポートを行います。
4.高学年が低学年をサポートする
高学年になると、低学年のクラスに行き、本の読み聞かせをしたり、学習のサポートをしたりする習慣があります。
同じ学年の子とのつながりだけでなく、年齢の上の子が下の子の面倒をみることで、縦のつながりも築くことができます。
自分より小さくて弱いものに優しく接することなど、ボランティア精神を自然に学習することができます。
5.運動場の使用のルールと配慮
幼稚園生から8年生までいる学校では、同じ休憩時間(リセス)に運動場で遊ぶ場合、事故が起きないように、利用できる敷地を学年ごとに分けています。
大きな体の子が、小さな体の子にぶつかってしまうことを避けるためです。
また、学校では冬、雪を丸めて投げる行為は禁止されています。
多様な人種、多文化が混在する学校では、極力いじめにつながる行為が起きないように、細心の注意を払っています。
転入に向けての準備
1.サインが必要な書類
いよいよ、学校が決まったら、まず、学校のオフィスに挨拶に行きます。
そこでは、持ち物一覧、学校スケジュール、アレルギーの有無や病気についての確認書、学校の規則、ケガや保険についての確認書、緊急連絡先の届け出書、学校内で撮影した写真の権利関係の確認書、等々の書類をもらいます。
それぞれの書類を読み、サインをして提出します。
2.文房具
持ち物一覧にかかれた文具等は、町の文具店で全て用意できます。
商品名で書いてあって、辞書でひいても分からないものは、文具店の人に聞くと出してくれるので、心配ありません。
3.上履き
オンタリオ州は冬になると雪の日が続き、ブーツを履いて登校するので、上履きを準備するように言われます。
教室の前の廊下で外履きを脱ぎ、教室内で上履きに履きかえます。
日本のように指定の靴はないので、履きやすい運動靴を一つ持たせれば大丈夫です。
4.お弁当とスナック
給食はないので、お弁当を持たせます。
また、スナックも持たせてくださいと言われます。
8時から学校が始まり、2時間後、10時にはスナックタイムになります。
スナックは、クラッカー、クッキー、マフィン、スティック野菜、バナナ、ゼリーなど簡単に食べられるものを持たせます。
スナックタイムには、血糖値が下がりすぎないようにするためとか、集中力を持続させるためとか、いくつか理由があるようです。
家庭の事情でお弁当やスナックを持ってこれない子は、オフィスでお菓子やパンをもらうことができます。
また、学校によって曜日や内容が異なりますが、うちの学校の場合は、週1回水曜日に「ピザ・ディ」があり、一人2ドルでランチにピザを注文することができます。
ピザ一切れが2ドルは高いのですが、これはドネーション(寄付)を目的としておこなわれます。
その収益は貧困世帯のフィールドトリップ(遠足)代や、朝食や昼食の無料配布などの資金にあてられます。
5.アレルギーの子が多い
ピーナッツや果物など様々なアレルギーを持つ子が多いので、学校側は最大限の配慮と対応を行っています。
書類の質問項目に、「エピペンを持っているか?」なども書かれており、実際に、エピペン(アレルギーでアナフィラキシー発作が起きた際に病院搬送するまでの時間、悪化を防ぐ補助治療薬)を持っている子がクラスに何人もいます。
よって、ナッツ類は校内に持ち込み禁止となっています。
お弁当やスナックはNut Free(ナッツフリー)を確認して持たせるようにしましょう。
スクールバスの申込と注意
学校のオフィスに挨拶に行くと、スクールバスの申込案内があります。
案内に従って、オンラインで氏名、住所、学年などの情報を入力すると、スクールバスの申込が完了します。
スクールバスの運営会社から、バスの番号と乗り場の連絡がメールできて、登録が完了です。
登録が完了すると、スクールバスに乗車して学校に行くことができます。
カナダでは一般的に12歳頃までは一人で外を歩かせません。
よって、必ずバス停までは親が送り迎えをします。
特に幼稚園~低学年までの子は、親がバス停に迎えが来ていない場合は、バス停でおろさずに学校まで連れて帰ってしまいます。
間に合わなかった親は学校まで迎えに行くことになります。
ちなみに、学校に事前に登録した人にしか、学校側は子供を引き渡すことはしません。
シングルや再婚家庭など、家庭環境が複雑な子が多いので、トラブルを未然に防ぐための配慮です。
体育・運動
1.体育の授業は体操服はなし
日本のように体操服に着替えることはせず、そのままの服装で体育の授業を受けます。
また、タイムを図ったり、競争したりするようなことはほとんどしません。
2.校外学習:1度だけの体験
学校は、校外学習として水泳やスケートなどを、コミュニティーセンター(公民館)にあるプールやスケートリンクで1度だけ体験をさせます。
校外学習には、1クラスに数名の親がボランティアで同行します。
この体験学習で興味をもち、続けて習いたい子は、コミュニティーセンターで開催されている有料のレッスンを受けることができます。
学校は、こういうスポーツがありますと紹介し、きっかけをつくるのみです。
そのあと、そのスポーツをやりたいかどうかは個々の判断で、有料で習うことになります。
毎月イベントがある学校生活
学校では、〇〇ディと称して、毎月なにかしらのイベントがあります。
学校によって多少違いがありますが、例えば、インターナショナルディは、自分の国に関係する衣装を身に着けてくる日です。
日本人は、はっぴや浴衣を着て行くことが多いです。
変わったところでは、パジャマディという日があります。
パジャマのまま学校に行く日です。もちろん、先生もパジャマを着て授業を行います。
他には、クレイジーハットディ(おかしな帽子をかぶっていく日)やグリーン&ピンクディ(緑かピンクの物を着ていく日)もあります。
様々なイベントを行うことで、子供たちがより学校生活を楽しめるように工夫がされています。
フィールドトリップ(遠足)
年に2~3回、スクールバスに乗って、動物園や博物館などに行きます。
1クラスに数名の親がボランティアで同行します。
体験型の施設が多いので、子供たちにとっては、新しい発見と実際に体験ができる一日となります。
子供たちは、顔にペイントしたり、腕にシールをはったり、食べたことのないものを食べたりと、とにかく楽しい一日だったのが良く分かるほど、キラキラ目を輝かせてスクールバスを降りて来ます。
放課後の活動:コミュニティーセンター
学校から帰ってきてから、何をするかというと、子供たちはコミュニティーセンターを良く利用します。
水泳、スケート、体操、ダンス、また、絵画、音楽など多様なレッスンが有料で行われています。
午前中は大人向けのレッスンが多く、午後からは子供向けのレッスンが多く開催されています。
夏休みにはサマーキャンプの開催もあり、様々なイベントも開催されます。
図書館も併設している所もあるので、調べものや宿題をやることもできます。
開催しているレッスンやイベントの情報は、オンラインで検索するか、直接コミュニティーセンターに行き、スケジュールが掲載された冊子(無料)で確認して、申込をしましょう。
放課後のクラブ活動:私設クラブ
野球、サッカー、ホッケー、バトミントン、バスケットボール、フィギアスケート、バレエ、柔道、合気道などの様々な私設クラブがあります。
学校が終わってから、各クラブに所属して活動している子も沢山います。
長い夏休みの過ごし方:サマーキャンプのすすめ
学校は、9月に始まり、12月にクリスマス休暇があり、3月にマーチブレイク(春休み)があり、6月には1学年が終わります。7月、8月の2か月は、長い夏休みとなります。
この夏休みをどう過ごすか、親たちは毎年とても悩みます。
夏休みや春休みなど1週間以上学校がお休みとなる期間は、コミュニティーセンターで、スポーツキャンプやマジックキャンプ、ダンスキャンプやアートキャンプなど、いろんなキャンプが開催されます。
申込は1週間単位で、有料です。
朝8時から夕方4時までのものや、午前中のみ、午後のみなど開催時間はバラバラです。
キャンプでは、中心者の先生とともに、大学生や高校生のお兄さんお姉さんがボランティアで面倒を見てくれます。
とにかく、カナダ人の大学生、高校生のお兄さんお姉さんは、明るくて、面倒見が良く、盛り上げ上手なので、子供たちは飽きることなく、あっという間の1週間を過ごします。
たくさんの種類のキャンプがあるので、子供の興味に合わせて、上手にサマーキャンプを利用すると、長い夏休みも楽しく乗り切れることでしょう。
あなたはあなたのままで、そのままで素晴らしい
カナダのパブリックスクールは無料なので、教育の質が悪いのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、きちんと下調べをして、良い学校を選べば、十分質の良い教育を受けることができます。
世界各国から子供たちを受け入れている経験から、サポート体制も充実しています。
多様な価値観を学びながらそれぞれの文化を尊重して育つので、、パブリックスクールはおすすめです。
個人の文化や価値観を大事にしているカナダの教育は、なにより自由で無理せずに自然体でいられて、とても居心地が良いです。
「あなたはあなたのままで、そのままで素晴らしい」これは、子供が幼稚園を卒業するときにクラスの先生からもらった言葉です。
もし、日本の教育に少しばかり息苦しさを感じたら、カナダで自由にのびのび子育てしてみるのも良いかもしれません。
世界中の日本人が参加する「せかいじゅうサロン」
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