【現場で感じる】カナダでの子育て・特徴や良いところ。支援体制もあり

カナダでの子育て・特徴や良いところ。支援体制もあり

「三つ子の魂百まで」という言葉があるように、幼少期は特に、子どもたちの人格形成に非常に重要な期間。

そこには親の教育方針だけではなく、子育てをする環境や支援体制なども、大きく影響してきます。

では、カナダの子育て事情はどのようになっているのでしょうか。

今回は特に幼少期にスポットをあて、日本とは異なるカナダの子育て事情をまとめてみました。

幼少期におけるカナダの子育て・5つの違い(日本との比較)

カナダの幼少期の子育てには、日本とは異なる部分が多くあります。

もちろん、教育方針等は各家庭によって異なりますが、私が実際カナダに暮らしていて顕著に感じる違いについて、いくつかご紹介します。

1. 登下校は保護者同伴で

カナダを含む北米やヨーロッパの多くの国では、”子どもを一人にしない”という考え方が根底にあります。

実際、マニトバ州やニューブランズウィック州では、12歳以下の子どもを一人にすることを法律で禁じています。

そのため子どもがある一定の年齢になるまでは、親やベビーシッターが子どもを学校まで送り迎えするのが一般的です。

迎えに来られる人は学校に事前登録している人に限り、お迎えが送れてしまうと学校から連絡が入ります。日本でいう、幼稚園や保育園のお迎えシステムが、小学校以降も続くということです。

親の立場からすると、毎日の送迎が数年間続くのは負担…という考えもありますが、その背景には日本とは異なる治安問題が大きく関係していると言えるでしょう。

またカナダでは、ベビーシッターの利用が日本に比べて一般的であることも、このお迎えシステムを支えられる大きな要因の一つでもあります。

2. 小さなうちから自分で買い物

カナダの多くの学校には、給食制度がありません。

お弁当の持参が一般的ですが、ほとんど全ての学校には売店(カフェ)が併設されています。

日本では、必要性がないので学校にお金を持参させないケースが多いかと思います。ですがカナダの子供たちは低学年のうちから、自分のランチを売店で買う機会が多くあります。

3. おやつ持参で集中力アップ

日本では、学校でのおやつはNG!というのが一般的。

ですがカナダのほとんどの学校では、おやつが許容されています。(学校によっては、授業の合間におやつの時間を設けていることも)

これは、集中力がとぎれやすい子供たちに、おやつでリフレッシュしてもらうことが目的です。

ただし、食べ物アレルギーがある子も多くいるため、クラスに持ってきてはいけない食べ物は事前に通知されます。

4. 子どもは学習のために通学。掃除の時間はない

日本では、自分の教室を子どもたちが掃除をするのが当たり前ですよね。

雑巾がけや、ホウキの掃き方など、学べることも多くあります。

ですがカナダでは、あくまで「子供たちは学ぶのために通学している」という考え方。

学校の掃除は、清掃員や教員たちが行います。個人的には、学校で子供たちに掃除をする機会を与えない点は少し残念に感じます。

5. 休暇は休暇!体験や思い出づくりを重視

一般的に、カナダの学校の始業は9月。

その始業前には、2ヵ月以上の長い夏休みがあります。

日本では、夏休みに宿題はつきものですが、カナダでは宿題がほぼ出ません。その代わりに、読書をすすめられたり、サマーキャンプや旅行など、思い出づくりを重視します。

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教育の特徴

前述の日本とカナダの子育ての違いをもとに、次はカナダの子育て教育の特徴をまとめました。

のびのびとした教育方針

日本では、中学受験や高校受験はごく一般的ですし、私立幼稚園、私立小学校も多数あります。

もちろんカナダにも私立高はありますがその数は少なく、多くの子供たちは公立校に通っています。

受験戦争がないので塾も全くメジャーではなく、日本に比べるとのびのびとした教育方針です。

机に向かって問題集を解いたり、テストを受ける機会などは、日本の幼少期の子どもたちに比べると圧倒的に少ないと言えるでしょう。

そんなカナダですが、子どもたちへの読書の推奨には力を入れています。

下記は、経済協力開発機構(OECD)が2019年に発表した国際的な学習到達度調査「PISA2018」の結果です。

参照:https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf

参加国の中で日本は
「読解力」15位
「数学的リテラシー」6位
「科学的リテラシー」5位

一方のカナダは「数学・科学」は日本を下回るものの、「読解力」では6位を取得しています。

これには、幼少期から推奨される読書の習慣が、関係しているのではと私は考えています。

国際色豊かなクラス環境

カナダは移民国家であり、世界中から様々な人が集まっています。

そのため「カナダ人」と言っても、バックグラウンドは人それぞれ異なります。

クラスの中には、肌の色が違う生徒がいるのは当たり前。中には移住してきたばかりで、英語を話せない子がいることもあります。ですが子どもたちの世界には、そうした違いは関係ないもの。

そんな国際色豊かな環境の中で育つわけですから、差別への意識や、多様性への柔軟な考え方が培われるのだと思います。

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幼児期のスクール形態

日本では義務教育がはじまる前に、保育園または幼稚園に子どもを通わせるのが一般的です。

一方カナダでは、未就学児に対して以下のようなスクール形態があります。

・デイケア

カナダでは日本に比べ、出産後すぐに仕事復帰する女性が多い傾向にあります。

そのため両親が共働きの家庭も多く、デイケアの利用はかなり一般的です。

朝から夕方(または夜)まで、子どもを預けることができる、日本でいう託児所のような存在です。

デイケアは基本的に”子供たちを預ける場所”という認識で、一日の大半がフリープレイと呼ばれる自由時間にあてられます。

もちろんその所々に、エクササイズの時間や、アートの時間、お昼寝、ランチなどもありますが、基本的には子供たちを安全に遊ばせながら預かるというのが目的です。

・プリスクール

プリスクールは日本でいうところの保育園。

対象年齢は、デイケアもプレスクールも、おおむね4歳頃まで。(施設によっては、6歳まで通えるところもあります。)

幼稚園が始まる前の準備段階として、通わせるのが一般的です。

プリスクールは午前だけ、または午後だけなど、デイケアに比べ短時間滞在なのが特徴です。

施設によって方針は様々ですが、多くのプリスクールでは、「学習」カリキュラムが設けられています

もちろん年齢にあった内容にはなりますが、数字や、アルファベットの読み書きを学ぶところも。アクティビティを重視し、で社交性や協調性を培うことに力を入れる施設もあります。

そのため、各家庭の教育方針に合う施設選びが重要です。

・キンダーガーデン

キンダーガーデンとは、幼稚園のこと。カナダではおおよそ5歳の子どもたちが、小学校入学前に通います。

ただしほとんどの州では幼稚園は義務教育ではありませんので、必ずしも通う必要はありません。

またカナダでは、キンダーガーデンへ1年遅れて入園する「レッドシャーティング(Redshirting)」と呼ばれるシステムもあります。

子どもの成長レベルや、本人の意志にあわせて選択できるシステムがあるというのは、カナダの教育現場の素晴らしい点だと思います。

スクールの費用

カナダの義務教育は基本的に授業料無料ですが、それ以前のスクールには費用がかかります。

それぞれの施設により費用は異なりますし、週何日通うのかも大きな違いになります。

また3~5歳の子どもよりも、乳幼児は特に手厚いケアが必要なため高額です。

下記は、乳幼児のデイケア費用の一例です。

<1ヵ月にかかる利用費>

週2日通園:$400~500
週3日通園:$600~700
週5日通園:$1000ドル前後

平日すべてを通わせると、月々約85,000円ほど。決して安い金額とは言えません。過去にはある新聞社が、下記のような記事を掲載しています。

一般家庭における産休終了時からキンダーガーデンまでの4年間を、フルタイムで保育園に預けた場合の保育料が約50,000ドル(約450万円)。それに対し、州立大学で4年間文系学科で勉強した場合は、授業料と教科書代を併せても約31,000ドル(約270万円)程度である。

大学以上に、幼児期の教育費用が高額になるということです。これだけの費用を、カナダの人々はどのように捻出しているのか…気になるところですよね。

実はカナダには、こうした費用を援助する制度がいくつかあります。

カナダの子育て支援制度

・サブシティ(助成金)

まずは金銭面での支援制度から。カナダには所得に応じて、デイケア費用の補助を国から受けられる制度があります。

州や地域によって詳細は異なりますので、お住まいのエリアにて、補助金対象資格や申請方法を確認する必要があります。

オンタリオ州トロントでは、トロント公式サイトに以下のようなページがあります。

URL:Help with the Cost of Licensed Child Care

・ドロップインセンター・ドロップインプログラム

ドロップインセンターとは、児童館のような場所。

平日や休日に、子どもたちを遊ばせることが出来る施設です。無料プログラムが充実しており、絵本の読み聞かせや工作タイムなどもあります。

また図書館で、ドロップインプログラムを開催していることも多くあります。

Baby Time(乳児向け)、Toddler Time(幼児向け)など、対象年齢ごとに別れていることが多いので、近い月齢の子どもをもつ家庭との出会いの場にもなっています。

・子育てネットワーク

カナダでは、オンラインで育児仲間を見つけたり、悩みを共有したりすることも一般的です。

トロント在住の日本人向けで、子育て仲間などを見つけることができるサイトをいくつかご紹介します。

顔が見えない関係だからこそ話すことができる本音なども、あったりしますよね。

また子どもが小さなうちは家にこもりがちになったり、トロントは特に冬は外に出掛けずらいので、他人と会話をすることで精神的な負担を軽減する効果も期待できます。

まとめ。筆者がカナダの現場で良いと感じるところ

カナダと日本の子育てには、環境や方針など様々な観点で違いがあることがおわかりいただけましたでしょうか。

もちろん、国ごとにメリット、デメリットはあるかと思いますが、カナダも教育に力を入れている国の一つです。

個人的にとても良いなと感じているのは、カナダの教育現場では「子ども本人の意志」を重視するシーンが多いという点です。学校は、勉強をするだけのために行く場所ではありませんし、誰かのために行く場所でもありません。本人がどのように過ごしたいか、何を学びたいか、といった点が、カナダの子育ての背景には常に見えているように感じます。

子育て中は悩みが尽きないものですが、カナダでもたくさんの支援体制が整っています。

今回の記事が、少しでも不安解消のきっかけに繋がれば幸いです。

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