観光都市としても一二を争う花の都パリには、224万人の人々が暮らしています。
ファッションや芸術など華やかな姿がメディアに映し出されるパリですが、実は危険なエリアや地下鉄路線などが多く存在します。
在仏12年の在住者が、これまでの知識と経験を踏まえて、パリの治安情報を解説します。
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パリの犯罪の種類
被害の手口は?圧倒的に多いのはスリ。
被害手口としては、2016年の1月〜7月の累計で、
- スリ:106件
- 置引き:59件(置いてある他人の荷物を持ち逃げ)
- ひったくり:9件
- 車上狙い:7件
- 強盗:3件
地下鉄内でも路上でも、レストランでも、多種多様な手口で獲物を狙っています。
多いパターンとしては、服に何か汚れが付いていると言って気を引き、その間に仲間が盗り逃げてしまうというパターン。特に逃げやすい乗り物の出入り口付近ではこういった被害が出やすいようです。
移民系の少年少女のグループによるスリも多く、相手が子供だからと油断していると全く気がつかないうちに貴重品を抜き取られていたりします。
その他、ATMで現金をおろしている間に後ろから暗証番号を盗み見ておいて、カードと現金を奪うという犯行も多く見られます。
また空港からパリ市内へ向かう車を狙った犯罪も後を絶ちません。
渋滞で止まっている車の窓を叩き割り、バッグなど貴重品を奪い取ってバイクなどで逃走するパターン。走って車道から飛び出していかれると手も足も出ません。
どのくらいの日本人が被害にあっている??
では、実際にどのくらいの日本人が犯罪被害にあっているのでしょうか?
在フランス日本大使館領事部から発表されている件数とまとめると、
2016年1月:18件
2016年2月:30件
2016年3月:31件
2016年4月:23件
2016年5月:20件
2016年6月:31件
2016年7月:36件
という被害数になっており、2016年の累計では189件となっています。日本にいると考えられないかも数字かもしれません。
女性だけでなく、男性も被害にあいます。
7月までの累計では、男性102人、女性、87人となっており、男性のほうが多くなっています。
気をつけよう!パリの危険なエリア
パリの地区別治安情報の解説です。
大雑把に言って、パリ北部および東部には要注意です。
区で言うと
- 17区の東部
- 18区から20区
でしょうか。
まずは隣接するパリ市郊外の状況からご紹介します。
イルドフランスと呼ばれるパリ市を取り囲む多くの街々は、大きく3つの県に分けられます。
- 西部南部を含むオー=ド=セーヌ県、
- 東部を中心とするヴァル=ド=マルヌ県、
- 北部に当たるセーヌ=サン=ドニ県
です。
このセーヌ=サン=ドニ県はシャルルドゴール空港もあり日本から到着するには必ず通過するのですが、このエリアは大変危険です。
低所得者住宅が立ち並び、旧植民地からの移民、そして移民二世三世が多く暮らしています。
その経済的問題から十分に教育を受けられずしっかりした職にありつけず…という現実があり、強盗やドラッグなど多くの犯罪のの巣窟になっているという問題を抱えています。
その関係もあり、パリ市内でも北部東部、特に
- パンタン地区(19区)
- クリシー地区(17区)
- クリニャンクール付近(18区)
を訪れる際は十分な注意が必要です。
その他でも市の外れ、郊外との境目あたりは全般に治安が悪いところが多いので気をつけるべきでしょう。
メトロで言えば、4番・5番・7番と13番の北方面は要注意です。
夜間利用はあまりお勧めできません。
観光客狙いのスリが多いのはメトロ1番線です。
メトロ内でも「スリに注意」という喚起がされています。
メトロのフランクラン=ルーズベルト、ショセダンタン、コンコルド、なども被害例があがっています。
日本から、外務省を通じて、現地警察へも対策をするよう求めていますが、まだまだ実効までには至っていないようです。
メトロ1番線ホーム
ヴェルサイユ方面のRERのC線は、夜は利用者が少なく、レイプなどの被害も報告されています。
また、B線は空港利用客を狙った犯罪が頻発して危険ですので、注意が必要です。スリだけでなく、強盗被害もあるようです。
RERホーム
発生場所:
発生場所の情報として、発表されている数字は2016年の1月〜7月の累計で、
地下鉄車内・駅構内:38件
上記以外の電話・駅構内:10件
RERのB線:9件
オペラ座:24件
凱旋門・シャンゼリゼ界隈:7件
路上:23件
発生時間帯
朝6時〜23時まである程度発生しています。
詳しくは、在フランス日本大使館のページからご確認ください。
http://www.fr.emb-japan.go.jp/jp/anzen/
パリでの危険な行動
特に女性に言えることですが、夜間の一人歩きは危険を伴います。
人の多く集まるエリアではスリや酔っ払いに絡まれたり、トラブルに巻き込まれたりという怖さがあります。
5区・6区・7区や16区などはいわゆる高級住宅地ですが、夜遅くには人気のない住宅街。それはそれでし不審者がいた場合助けを求められず危険です。
男性ならば大丈夫と思われるかもしれませんが、小柄な日本人に比べて体格のいい人が多いわけですし、用心に越したことはないでしょう。
その他日本ではよく見られますが、メトロやバスなどの中で眠ってしまうのは大変危険。犯罪者は常にターゲットを探しています。
油断していると思われたら標的にされてしまいますよ。
先述のATM問題を助長するのは、路上での大金のひきおろし。特にアジア人は現金を沢山持っていると思われている節が根強くありますので、特別危険なエリアでなくとも路上に面したATM利用は避けたほうが賢明です。
経験談から学ぼう!
筆者自身も、未遂ではありますが10年ほど前スリ被害にあったことがあります。
19区自宅最寄りのメトロ7番線の北部の駅。朝10時頃でした。友人数人と乗車の際に、背中に唾がかかっていると声をかけられ、気を取られていてハッと気づくとバッグが7割がた開けられていました。
その時ちょうどドアが閉まり、彼らは逃げて行きました。
不幸中の幸いで、貴重品はバッグ奥底にあったので何も盗られはしませんでしたが、自分が狙われたこと、一歩間違えばクレジットカードや身分証など全て奪われていたのかと思うと、ショックが大変大きかったのを今でも覚えています。
その他、斜めがけのバッグは安全だと信じていた友人は、一人はショルダー紐を切られて奪われ、もう一人はバッグを離さなかったため十数メートル引きずられて怪我を負いました。
危険を回避するには
観光客も多いパリでは、何年暮らしていようと昨日到着した旅行者であろうと、同じ「カモ」扱いされてしまうのが残念なところ。
彼らからすると同じアジア人、狙いやすい対象のようです。
それでも狙われにくくするためには、まず堂々と振舞うこと。キョロキョロしたり不安そうにしたりせず、初めての場所でも慣れた風に振る舞うのです。
また周囲には常に気を配り、おしゃべりに夢中になったりスマホに見入ったりはしないこと。
そして必要がないなら危険なエリアに足を運ばないことです。
被害にあったときは、せめて、以下の言葉を大声で叫ぶことも大切でしょう。
「助けて!」という意味で、
Au secours ! / Aidez-moi ! (オー スクール エデ モワ)
もしもの時に対応方法をメモしよう
とはいえ、万全を期していても、被害にあってしまったときのための対応方法をまとめておきます。
速やかに警察に被害届を提出する。
最寄りの警察署へすぐに被害届けを行いましょう。
近くの警察署がわからない場合は、以下に警察署リストがありますので、プリントアウトして持参していく方法もよいでしょう。
http://www.fr.emb-japan.go.jp/jp/anzen/pdf/keisatsu.pdf
シーン別対応方法
クレジットカードが盗難にあった場合
クレジットカードが盗まれてしまった場合、すぐにクレジットカード会社へ連絡をして、利用停止を行いましょう。
以下カード会社の連絡先情報です。
VISA:08.00.919.552
(ビザ・グローバル・カスタマー・アシスタンス、24時間日本語対応)MASTER:08.00.901.387(24時間対応、日本語不可)
AMEX:+81.3.3220.6100(24時間日本語対応、コレクトコール可)
JCB:00.800.0009.0009(24時間日本語対応)
DINERS:+81.3.4330.0024(24時間日本語対応、コレクトコール可)
三井住友VISA/MASTER:00.800.1212.1212(24時間日本語対応)
DC:00.800.3770.1818(24時間日本語対応)
UC:00.800.8005.80055(24時間日本語対応)
シティバンク:+81.45.330.2890(24時間日本語対応、コレクトコール可)
クレジットカード会社によっては、緊急のキャッシングを受けることもできるようですので、詳しくは問い合わせましょう。
お金がなくなった場合
また、財布とは別に、お金を別の場所へ保管していくと、いざというときのためには良いでしょう。
もしも、まったくお金がない場合は、国際送金をすぐに行ってください。
パスポートを紛失した場合
パスポートの盗難にあってしまった場合は、在フランス日本国大使館にすぐに連絡しましょう。
パリの治安まとめ
美しい都のパリですが、華やかな姿には必ず裏の顔があるもの。
失業問題や抜け出せない貧困問題などの社会的背景がもたらすパリの犯罪事情は深刻です。
近年はさらにテロリストの標的になったことも記憶に新しいことでしょう。
どんなに気をつけていても避けられない事態だって起こり得るのですから、知識と情報をもとに自分の身は自分で守る、その意識を欠かさないことが海外生活の基本といえるでしょう。
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