長期間、異国の地で暮らしていると日本食が恋しくなりますよね。
フランスは美食の国とも称されていますが、やはり日本人の口に合わないものもあります。
そこで、和食に使える食材と簡単な調理方法をご紹介したいと思います。
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野菜編:見た目は同じだが日本と同じように使えないもの
なす(aubergine)
とても大きいことを除けば、見た目は日本のなすと変わりません。
ですが食感が全く異なります。
日本のなすは加熱すると皮も実もやわらかくなりますが、フランスのなすは皮がとても硬いのです。
中身についても、日本のなすと比べるとスカスカしており、日本食には不向きです。
フランスではオーブンでじっくり加熱し、ピュレにしたりします。
キャベツ(chou)
フランスのキャベツは内側に葉がぎっしり詰まっていて、包丁で半分に切るのも一苦労です。
包丁の刃が折れると危ないので、いつも一枚ずつはぎ取って使っています。
また食感についてもポトフやロールキャベツといった煮込み料理には向いていますが、生でサラダにするには硬すぎて向いていません。
野菜編:見た目は異なるが、日本と同じように使えるもの
かぼちゃ(Potiron、citrouille)
秋になるといろんなかぼちゃが店頭に並び、大きさや色も様々で目にも楽しい野菜です。
中でも日本食を作るのに適しているのが、Potimarronという、濃いオレンジ色で丸いかぼちゃです。
日本で流通しているかぼちゃとほぼ同じ品種(くりかぼちゃ)なので、どのような料理でも相性が良いです。
きゅうり(concombre)
とても大きく、トゲがないので、きゅうりというよりはズッキーニに似た形をしています。
ですが、味は日本のきゅうりとそれほど変わりません。
中心に種がずらっと並んでいて、水っぽいので、ポテトサラダに入れたり、お寿司に使う場合は、真ん中をくり抜けば問題ありません。
少し歯ごたえがないのが物足りないところです。
ほうれんそう(ēpinards)
日本のほうれんそうは束で、根本付きで売られていることが多いですが、フランスでは一枚ずつ葉物野菜のコーナーに売られています。
葉自体が平積みになっているので、千切れたり傷んだものが混ざっていたりして、あまりきれいでないことが多いです。
葉も丸いので、日本のサラダ用ほうれんそうに近い形をしています。
アクが強いので、アク抜きは必須ですが、味自体にほぼ違いはありません。
肉編
牛・豚・鶏のほぼすべての部位を、スーパーや肉屋で手に入れることができます。
中でも、手に入りにくいものや、特徴的なものについて記していきます。
薄切り肉
薄切り肉(バラ肉など)を使用する料理が日本食には多いのですが、薄切り肉はほぼ店頭に並びません。
パリなど、大きな街のアジアショップに行けば手に入れることができますが、普通のスーパーにはまずありません。
そこで、ブロック肉を薄切り肉にする方法をご紹介します。
- まず、豚肉や牛肉のバラ肉(あばら骨の近くの肉)のブロック肉を購入します。
- そのままではあばら骨がついていて、スライスできないので、骨をそぎ落とします。
- 骨を落としたら、サランラップでくるみ、冷凍します。
- 冷凍庫から取り出し、半解凍の状態にします。
カチコチに凍っていると包丁が入らないので、表面が薄く溶けているような状態がベストです。 - 半解凍の状態にできたら、切る分だけサランラップをはがし、よく切れる包丁でスライスしていきます。
(豚の場合、皮が残っている場合があります。皮を落としておくと、切りやすいですし、食べた時の食感も気になりません)
押さえている手がとても冷たいですので、サランラップの上からであれば、軍手をして押さえても良いでしょう。包丁の扱いにはくれぐれも気を付けてくださいね。
とはいえ、薄切り肉を自作するのは骨の折れる作業です。
日本人が良く利用する肉屋さんでは、ハムを作るときに使うスライサーで薄切り肉を作ってくれることもありますので、交渉してみても良いでしょう。
牛すじ
フランス人が食べないのは骨だけと言われるほど、多くの部位を料理に使いますが、唯一見かけない部位がすじ肉です。
アキレス腱あたりの肉をすじ肉と呼び、日本ではどて煮やおでんなどに使われるのですが、その代用となるのがjarretと呼ばれるすね肉の部位です。
とても大きいのですが、じっくり煮込むととろとろとしておいしいです。
骨の真ん中に骨髄がありますが、骨髄も一緒に煮込んでいます。
鶏のひき肉
つくねなどを作る時に鶏のひき肉を使うことが多いのですが、スーパーでは鶏のひき肉は見かけません。
運が良ければアジアショップの冷凍コーナーにあるかもしれません。
鴨肉
フランスでは秋になるとジビエ(ジビエ=狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉)が店頭にたくさん並びます。
中でも鴨肉は人気の肉で、年中スーパーで見かけます。
我が家では、鴨肉をそばつゆで軽く火を通した鴨そばをよくいただきます。
フランクフルト
日本ではパリっとした皮のウインナーが人気ですが、フランスでパリっと皮のウインナーを見つけるのがとても難しいのです。
ハーブが入っているようなウインナーもおいしいのですが、パリっと皮のウインナーはどうも主流ではないようです。
パリっと感が恋しくなったら、フランクフルトと表示のあるものを購入してみてください。
スナックという表示のウインナーは、ほぼパリっとしないウインナーのようです。
魚編
魚については
- イワシ
- サバ
- サーモン
などは日本のものとほぼ変わりません。
ヒラメは舌平目という種類でとても大きいですが、煮つけにするとおいしいです。
サーモンは年中脂がのっていてとても美味しいです。
フランス生活が長くなるとお寿司が食べたくなりますが、寿司ショップに行っても食べられるのはマグロ、サーモンくらいです。
さらに、寿司ショップの魚は生臭いことが多いので、我が家ではスモークサーモンを酢飯に乗せて食べて寿司もどきを味わっています。
アジアショップ(アジア食品コーナー)でしか手に入らないもの
近年の日本食ブームのためか、アジアショップやアジア食品コーナーには日本の食材がたくさん並んでいます。
肉・魚・野菜といった、いわゆる食材は、フランスで代用できるものが多いですが、調味料の類(米酢、しょうゆ、みそ、料理酒など)は専門コーナーにしかありません。
また、海苔や豆腐なんかもアジアショップで手に入ります。
お米もアジアショップで売られていますが、やはり値が張りますので、チャーハンやピラフ、リゾットを作るときはタイ米やジャスミン米を使っています。
普通のスーパーでも、riz asieやriz japonといったお米を置いているところもあります。
代用品
どうしても日本のものが食べたい!だけどフランスでは手に入らない!ということも多々あります。
そこで、フランスで売っているもので、日本のものに代用できるものを何点かご紹介します。
中華麺 〜パスタと重曹で!〜
アジアショップに行けばたくさんの中華麺が揃っていますが、もっと安くで仕入れたい、そんな時に使えるのがパスタと重曹(bicarbonate de sodium)。
パスタは比較的安価で手に入ります。
重曹も掃除に使えますので、手に入れておくと重宝しますよ。
作り方:
- お湯を沸騰させ、お湯1リットルに対し、重曹大さじ1を入れる
※この時勢いよく泡が立ちます - 表示通りにパスタを茹でる
- ぬめりと重曹の匂いを取るため、流水で麺をすすぐ
カッペリーニなどで作り、軽く油で揚げると、皿うどんのようにもできますよ。
万能ねぎ
フランスではポロネギという西洋ネギをよく見かけます。
白ネギと同じように使えますが、万能ねぎのような細いネギは見当たりません。
万能ねぎの代用になるのが、ハーブコーナーにあるcibouletteです。
生でも乾燥でも売っていますが、風味は日本の万能ねぎそのものです。
ぜひお試しください。
こんにゃく 〜しらたきがダイエットコーナーに!〜
おでんや煮物、鍋物に欠かせないこんにゃくですが、近年の健康食ブームで、日本のしらたきがフランスでも注目されています。
そのしらたきが並んでいるのが、ダイエットコーナーや健康食品のコーナー。
アジアショップで買うよりも少し安く手に入ります。
餅 〜白玉粉を使おう〜
お正月や和菓子など、日本人にとって欠かせない餅ですが、アジアショップですら、よほど大きなところでないと餅を売っていません。
となると、自作するしかないのですが、そんな時に使えるのが白玉粉。
Farine de riz gluantという表記のあるものが白玉粉です。
作り方:
- 耐熱皿に白玉粉100g、水60ccを入れ、よく混ぜる
- ラップをせず、700Wの電子レンジで40秒加熱
- ヘラで底からすくうようにして全体を混ぜる
- 再び電子レンジで20秒加熱すれば完成
加熱が足りないようであれば様子を見ながら加熱してください。
白玉粉は餅以外にも、求肥にして大福を作ることもできます。
まとめ
海外で生活していると、言語や文化・習慣の違いなどで知らず知らずのうちにストレスを感じているものです。
フランスの食事もとてもおいしいのですが、やはり自宅で食べ慣れた味が出てくるとホッとしますね。
最初のうちは戸惑うことも多いかもしれませんが、しっかりごはんを食べて健やかな毎日を送りましょう。
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