海外に長期で滞在する上で、まず知っておきたいのが現地の保険制度についてではないでしょうか。
イギリスの影響を受け、日本とは全く異なる医療制度を実施しているニュージーランドですが、ここでは現地でどういった保険に入るべきなのかをご紹介していきます。
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ニュージーランドの保険制度。個人で加入するシステム
ニュージーランドでは国が施行する保険制度はありません。
ですので、保険は個人で、各会社に加入をする必要があります。
現地では、GP、専門医に診てもらった費用は100%自己負担になります。
この費用は、現地滞在年数に変わらず、現地ニュージーランド人、長期滞在者、旅行者ともに同じ金額の支払いを求められます。
そのため、保険に加入していないというニュージーランド人も多いです。
ただし、医療制度については、入院が必要な症状を発症した場合のみ、国がその費用を全額負担してくれるACC(*下記参照)という制度があります。
*ACCについて
ACCは、ニュージーランドで給与や国からの財源を基にした基金を使った社会保険制度です。
事前の申請や登録は必要なく、仕事中の事故や怪我から交通事故やスポーツの怪我なども含み、治療費だけでなく生活補償など幅広く人身被害を保障します。
ニュージーランド国民だけでなく滞在中の外国人に対しても、対象となる傷害の治療費については原因を問わず(もちろん自損事故も)適用されます。
つまり、市民権・永住権保持者だけでなく、観光客やワーキングホリデーも対象になりますが、状況に応じて補償の範囲や額に差があるので注意が必要です。
ニュージーランド保険加入前に知っておきたい現地医療制度
保険加入について紹介をしていく前に、まずは、現地医療制度についてご紹介していきます。
※より詳しい情報はこちら「ニュージーランドの医療制度を詳しく解説。知って安心8つのこと」をご覧ください。
ニュージーランドの医療制度は、日本とは全く異なります。
日本ではまず、その分野の専門医、例えば胃の調子が悪ければ内科、皮膚については皮膚科に行ったりと、自身での判断や診療所からの紹介状などで、すぐにその分野の専門医による受診が可能です。
一方で、ニュージーランドでは、まずは、近くのGP(General Practice)にて診察を受けます。
GPとは、ホームドクターのことで、専門医ではなく、風邪から骨折まで全般的な症状を見てくれる診療所になります。
ここで何度か診察を受け、GPの医師がより専門的な診察が必要と判断し紹介状を出してから、初めて専門医(皮膚科、内科など)に見てもらうことができます。
つまり、専門医はGPからの紹介状がなければ見てもらうことができないので、まずは、色々な症状を見てくれる診察所に行く必要があるのです。
GPの費用や薬の代金
GPの費用は100%負担になり、診察費で日本円で約1万円~2万円。
処方箋代は薬の数にもよりますが、約1万円~3万円ほどになります。
紹介状のある専門医で診察を受けた場合も、同様の金額がかかります。
GPは定まった金額の規定がないので、場所によっては約3万円の支払いをしなければならない場合もあります。
ニュージーランドで保険加入は必要なのか?
前述したとおり、病院への入院以外では費用が100%負担となるので、いずれかの海外旅行保険には加入をしておいた方が良いです。
GP、または専門医の診察をして医師の診断書と処方箋、その他必要書類を提出すれば、自己負担分の金額が一部払い戻されます。
だいたいの保険会社では3割の自己負担率になります。
さらに、加入をしておいた方が良い理由として、ニュージーランドでは救急車の搬送には費用がかかる点です。
この費用は約50~100万円ほどになります。
これも、負担費用を領収書とともに申請をすれば払い戻しされます。
さらには、日本の保険会社の場合、保険会社に連絡をすればこの費用を支払わずにすむ場合もあります。
ニュージーランド滞在が長期になりそうであればあるほど、思わぬアクシデントによりGPへの受診が必要となるケースも多くなるので、保険は加入をしておいた方が良いでしょう。
日本の保険会社と現地保険会社の違いーメリット・デメリット
保険加入を考えた際、日本の保険会社と現地保険会社のどちらに加入すべきなのか、迷いますよね。
ここでは、それぞれの保険会社のメリットとデメリットをご紹介していきます。
日本の保険会社
メリット
- 困った時に日本語で対応してくれる24時間対応可能なコールセンターがある
- 病状が保険の適用となるか、金額の申請方法など日本語で問い合わせができる
- 申請書を日本語で記入し提出できる
- 保険の内容によっては医療通訳を頼んだりできる
- 現地対応可能なスタッフがいる
- キャッシュレスサービス(診察費用の支払いを診療所でしなくても良い)が受けられる
※キャッシュレスサービスについては、加入する保険会社により適応となるGPが異なります
デメリット
- 日本出発、日本帰国でないと加入できない
- 保険費用が高額(20~100万円)
- 書類の審査を日本でするので時間がかかり、払い戻しに2ヵ月ほど期間を要する場合もある
- 払い戻しは日本の銀行口座のみ
ニュージーランド現地保険会社
メリット
- 料金が安い(1年間で約5~8万円)
- 費用の払い戻しが早い(最低でも1ヵ月ほど)
デメリット
- 質問や対応はすべて英語
- 約款や保険内容など書類が英語
- 提出書類はすべて英語での記入
- 加入内容によっては軽い症状だと費用の負担が受けられないケースもある
日本の保険会社だと、料金が高い分、現地で受けられるサービスも多いので、英語力に自信がない、または、現地の医療システムなど知識がないといった場合でも安心したサービスを受けることができます。
ニュージーランドの保険会社の場合は、加入や保険の補償項目の説明、申請内容もすべて英語での対応が必要になってきます。
また、医療通訳を付けるサービスなどもないので、加入者自身でGPに行き、病名を聞き、診断書や処方箋も取得をする必要があります。
- 安心して日本語で充実したサービスを受けたい場合 → 日本の保険会社
- 英語に自信があり、病名なども問題なく聞き取れる場合 → 現地保険会社
に加入と、用途に合わせて加入する会社を決めるのも良いでしょう。
保険会社による「保障内容」の違い
日本の保険会社とニュージーランドの保険会社では、補償内容にも違いがあります。
ここでは、その違いについてご紹介していきます。
比較は
- 日本:ジェイアイ保険<
- 現地:Southern Cross Travel Insurance
になります。
その他の保険会社加入の場合補償内容に相違がある場合があるので、注意してください。
共通補償内容
※補償内容だけで記載すると、下記の様になります。
- 傷害死亡
- 傷害後遺障害
- 疾病死亡
- 治療・救援費用
- 個人賠償責任
- 生活用動産
- 航空機寄託手荷物遅延費用
- 航空機遅延費用
つまり、
- 何か病気やケガでGPで治療を受けた
- 現地で死亡した際の遺体の空輸費用
- 宿泊先や滞在先の不慮の事故で賠償責任が生じた場合
- 旅行に持って来ていた携行品(パソコンやデジカメなど)が盗まれた
- 航空機が遅延した
などの場合は、どちらの保険会社でも補償の適応となります。
相違点
共通補償内容も多い中、日本と現地の保険会社で相違点について、ここでご紹介します。
日本の保険会社でしか保証されない内容としては、
- 医療通訳費用
- GPで診察をした負担費用
になります。
医師の診断書と処方箋を提出すれば、診察を受けた費用の一部は払い戻しが受けられます。
これは、現地保険会社では、補償の対象とならず、また、GPで診察をした負担費用も診断書と処方箋があっても、その病状によっては適応外と判断される場合もあります。
逆に、日本の保険会社に含まれない補償内容としては、
- 現地での歯科治療費
- 現金の盗難
- レンタカー保険
になります。
ニュージーランド現地の保険会社では、緊急を要する歯科治療を受けた場合、その費用は補償範囲内となっています。
この歯科治療費ですが、現地は約10~20万円ほどかかります。
携行品盗難に関して、きちんと証明できる証拠(Bank Statement:取引履歴)を提出すれば、現金の盗難まで補償が付いてくるのは、現地保険の魅力の一つにもなります。
そして、レンタカーを借り入れした場合、傷や盗難にあった場合も現地保険で補償されます。
これからニュージーランドにワーキングホリデーで行く場合の保険加入アドバイス
英語圏の国へ行くのが初めて、もしくは病状や自分の症状について英語で詳しく説明できる自身がないといった場合は、必ず日本の海外旅行保険に加入をしておきましょう!
加入する時の注意点としては、その保険がどこまで補償されるのかを必ず確認して下さい。
安い保険でも、治療費用は必ず含まれているので問題はないのですが、重要なのは「個人賠償責任」と「生活用動産」です。
「個人賠償責任」とは、ホームステイやシェアハウス先の椅子を壊した、BBQセットを壊した、寝具を汚してしまったなどで、弁償をして欲しいとホストファミリー、またはオーナーに言われた際に役に立つ補償です。
新しく購入したものは対象になりませんが、壊してしまった元々の家具や調理器具など一部の金額を補償してくれます。
「生活用動産」とは、滞在先においてある自身の所有物・身の回り品、もしくは通勤・買物・旅行で使用した自身の身の回り品が偶然の事故により、盗難や破損をした場合に適用される補償内容です。
ニュージーランドは世界的にみても治安が良い国ですが、置き引きは日常的に発生しています。
少し目を離したすきに盗難されてしまったというのは、良く聞くケースです。
そして、空き巣被害も多いのが現状です。
気が付かない間に、賃料が安い郊外の治安が悪いと言われているところに住み、シェアハウスに空き巣被害に入られたり、車の窓ガラスを割られて中に置いてあったパソコンを取られたという事例がありました。
初めて行く国なので、どの地域が治安が良いかは分かりづらいですし、空き巣に入らてしまい、置いてあったものをすべて盗られ、保険も利用できないというのは、本当に辛いかと思います。
いざという時に利用できるよう、この2つの補償が含まれていることを必ず確認し、保険に加入して下さい。
ニュージーランド移住者向け保険加入はどうすればいい?
長期でニュージーランドに滞在している場合は、ほとんどの人がニュージーランドで勤務している人かと思います。
その場合、既に会社、もしくは雇用者側で保険に加入している可能性があるので、一度確認してみて下さい。
その際に、加入している保険内容が
- ベースなのか
- プレミアムなのか
を一緒に確認する必要があります。
ベースの補償内容の場合、補償となる病状が制限され、診察内容によっては払い戻しされない場合もあります。
プレミアムは1年間、約1万円でアップグレードができ、敏感肌であったり、風邪を引きやすいなど、GPに行く回数が多くなりそうだと予想される場合は、プレミアムでの加入をおすすめします。
会社側で何も保険に加入していない場合、保険の加入は自由になります。
足を骨折した、病院に入院してしまった場合は、ACCが治療費も含め補償をしてくれます。症状によっては、1週間程の生活費や滞在先のクリーニング費も支払いをしてくれる場合もあります。
GPでの治療も差があり、薬局で相談をして薬を処方してもらった方が良いケースもありますが、保険は念のために加入しておくことをおすすめします。
ニュージーランド現地保険制度、入るべき保険会社についてまとめ
長期滞在で加入する保険は、どういったサービスや補償内容を受けたいのか、滞在プランにあわせて保険会社を選ぶ必要があります。
出発日からどちらかに決めなければいけないという決まりはなく、始めは様子見で日本の保険会社に加入し、そこから現地保険会社に切り替えるという方法もできます。
どちらも加入してみて、自分のプランにあった保険へ加入しましょう。
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