エコフレンドリーなフランスの環境問題への身近な取り組みの今

国際社会の共通目標であるSDGs(持続可能な17の開発目標)が採択された2015年から早8年…

エコロジー・サスティナブル・エシカルなどの言葉をよく耳にすることもあり、環境問題を意識する人がとても増えているように感じます。

意識の高いヨーロッパの国のなかでも、フランスは革新的な政策や法律をつぎつぎと実行しています。

そんな、行動するフランスの政府・国民が、日頃どのような取り組みをしているのでしょうか?

今回は特に、廃棄物・ゴミをださないアクションを6つご紹介。

かれらの地球を守るための数々の行動を知れば、これからの日本におけるサスティナブルな行動のヒントとなるはずです。

ファストフード店の使い捨て容器を禁止に

フランスでは、2023年1月1日からファストフード店(20席以上に限る)を含むレストラン店内での使い捨て容器の使用が禁止となりました。

マクドナルドやバーガーキング、ケンタッキーフライドチキンなど、フランス全土で人気の大手ファストフードチェーンでは、順次実施。

そして、世界でリユース容器の使用を始めたのはフランスのマクドナルドが初めてでした。

ファストフード最大手マクドナルドにて。

ハンバーガー以外は全て再利用可能な容器に。

ストローは従来の紙コップはプラスチックグラスに、フライドポテトの箱は赤いプラスチックの容器に、そのほかのお皿やソースの容器は陶器のものに変更されています。

たとえ環境にやさしい紙製の容器であっても、使い捨て製品ならば禁止。

でも、ハンバーガーを包む紙や、テイクアウトにすると、今までどおり使い捨ての容器を使用することは認められています。

もちろん課題もたくさんあります。

リユース容器を持って帰ってしまう人や、代替え容器のほとんどはプラスチック製なので耐久性や製造過程の環境について問題があります。

それでも、毎年およそ18万トンの使い捨て容器が捨てられていたことを考えると、大きな変化です。

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果物や野菜のプラスチック包装禁止

「環境保護=プラスチック製品を減らす」

そんなイメージや考えをもっている方は多いと思います。

フランスでは、積極的にプラスチック製品の削減について取り組んでいます。

2016年のレジで提供されるビニール袋の禁止に始まり、​​有料・無料にかかわらず50マイクロメートル以下の薄いビニール袋もすべて廃止されました。

日本での対策といえば、2020年にやっとレジ袋削減のために有料化されました。

ただ完全に廃止されたわけではなく、エコバッグを忘れたとしても、お金を払えばプラスチック製のレジ袋が消費されてしまいます。

フランスでは、この法律のおかげで年間約170億枚のプラスチック袋が削減されています。

ビニール袋の禁止につづいて、2020年にはプレート、カップ、綿棒の使い捨てプラスチック製品の使用が禁止。

翌年には、使い捨てカトラリーのフォークやナイフプラスチック製テイクアウト容器のフタ、発泡スチロール容器、プラスチックストローなどがすべて禁止されました。

さらに、2022年からは果物や野菜のプラスチック包装が禁止

これによって、毎年10億枚以上のプラスチック包装を削減することができると予測されているんです。

マルシェはもちろん、スーパーでの小売りは当たり前

海洋汚染を引き起こす原因としてプラスチック問題は対策が急がれており、レジ袋や包装などは個人でも消費をおさえることができる、小さなアクションのひとつです。

国全体で、積極的に取り組むフランスだとプラスチックフリー生活はむずかしくはないですね。

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衣服専用のコンテナー?

2020年、フランス政府は世界に先駆けて、衣料品店の売れ残った商品を廃棄や焼却することを禁止する法律を施行、それらはリサイクルや寄付することが義務づけられました。

そしてフランスでは、街中に衣服専用の回収ボックスを見かけます。

ここに入れることができるのは、洋服以外にも靴やバッグ、ベルト、リネン類など。

回収された後は状態別に選別され、必要としている人たちのために輸出・寄付されたり、回収ボックスの運営者のリサイクル品店などで低価格で販売されます。

中でも、状態の良くないものは掃除用のリネン類として再利用されるか、リサイクルされ新たな生地に変わるという仕組み。

ファッション先進国でもあるフランスでは、​​​​​​大手ブランドが率先してエシカルで持続可能性に配慮した服づくりを勧めており、さらにはフェアトレードを意識したファッション流通にも注目しています。

フードロスにSTOP!アプリが人気

2016年頃から浸透し、今では多くの人が利用している食品廃棄を減らすためのアプリについてご紹介します。

「捨てるには良すぎる」という意味でもあるToo Good To Goはフランスで一番人気

「Too Good To Go」、「Phenix」、「Geev anti-gaspi」などなど、現在では23種類ものフードロス対策アプリがフランス国内で利用できます。

提供しているお店はスーパーマーケットやパン屋、カフェ、チーズ屋など様々。

その日や前日に売れ残った食材、賞味期限が近い商品を、もともとのおよそ3分の1の価格で販売します。

筆者も何度か利用したことがあり、パン屋ではバゲットやパンオショコラ、デザートなどの詰め合わせが3ユーロ、オーガニック食料品では野菜のつめ合わせを10ユーロでいただきました。

2.99ユーロのパンの詰め合わせ。質は落ちてもまだまだ美味しくいただけました。

もちろんアプリの目的はフードロスを減らすためですが、今のアプリユーザーの半数以上は節約目的であるともいいます。

廃棄しなければいけないといっても、まだまだ食べれる美味しい食品がたくさん。

数には限りがあるので、人気のお店はすぐに売り切れになることもあります。

お店側にとってのメリットは、もちろん食品廃棄物・ゴミ問題への解決策の一つ、そしてお店の宣伝にもなります。

利益を出すというよりフードロスに貢献するという姿勢で参加しているお店はこれからももっと増えることでしょう。

助け合う、みんなの冷蔵庫

Les Frigos Solidairesという名の共同冷蔵庫

これもまた、フードロスを食い止めることはもちろん、貧困状況にある人たちを助けることもできる活動をご紹介します。

家や食品店、パン屋、レストランなどで使いきれなかった食料品を、必要とする人たちが自由に持ち帰れるように置かれた共同冷蔵庫が、フランス全土で徐々に拡大しています。

筆者のいる街では、フランス国内で初めて大学キャンパス内に設置され、多くの学生や留学生が恩恵をうけています。

パスタやサラダ(既製品)、牛乳、ヨーグルト、チョコレート、サンドウィッチなど、パッと見てなにが入っているかがわかる。

そして、誰かが食べ物を補充して、別の誰かが持ち帰る。そんなシンプルな仕組みです。

2023年現在、フランスでは年間一人当たり約30kgの食べものが家庭で捨てられ、そのうち約7kgも未開封であるといいます。

食品廃棄物を減らすための法律が2016年に施行されてから、さまざまなアクションが始まっています。

食品の廃棄のためにつかう化石燃料も減り、貧困・飢餓問題の解決にもむすびつく…

これは単なる無料の冷蔵庫ではないのです。

ゼロウェイストショップがスタンダードに

日本でも増えつつある、プラスチックフリーかつゼロウェイストなお店がフランスにはあちらこちらにあります。

これらのお店はサスティナブルで、できるだけオーガニックな製品で環境に配慮しながら、まったく無駄のない気持ちのよい暮らしを推進しています。

食品、キッチン用品、日用品、コスメ・サニタリーグッズなどが揃っているので、自分次第でプラスチックフリー生活はできるんです。

今回は筆者の行きつけのゼロウェイスト(フランス語ではゼロデシェ)なお店をご紹介いたします。

まず左側から、薄力粉に米粉、そば粉、とうもろこし粉などの粉類がひと通りそろっています。

すべて量り売りなので、必要な分を持参したビンや保存容器にいれて購入します。

右側は液体の調味料類。

オイルや酢はもちろんのこと、このお店ではオーガニックの醤油があるんです。

ちなみに、フランス人は甘い醤油(Sauce soja sucrée)を使うことが多いので、そちらも必須で置いてあります。

そして段上には、ラムやウォッカ、ジンなどのアルコール類も。

つづいて日用品においては、左側、ボディソープ、液体シャンプーとコンディショナーはもちろん、化粧水も置いてあります。

香りや効能でも選べるので、好きな量をいくつもストックすることもできますね。

そして、右側写真に見えるのが、食器用・洗濯・おそうじ洗剤です。

毎日使う、こういった日用品の詰め替え用もあるけれど、結局それもプラスチック製品であり、ゴミになる…

そんなモヤモヤもこういったお店があるおかげで解決されますね。

まだまだご紹介したいものがたくさんありますが、最後はこちら。

デオドラントバーム、石鹸、歯ブラシ(ブラシ部分の替えも)、固形歯磨き粉などの身体に触れるものも豊富にあります。

環境に良いだけではなく、これらの製品は材料もシンプルで無添加なものがほとんど。

これがきっかけで、手作りのコスメ類を作りはじめたという人も多いそうです。

環境のためには、思い切りが大事

ここまで、フランスの持続可能で環境に配慮したいくつかの取り組みをご紹介しました。

課題があるのでは?デメリットがあるのでは?

それは二の次、三の次でまず行動するというフランスの法律や日常における思い切ったアクションは、世界の中でもリードし注目されています。

もともと倹約家で古いものを長く大切に使う、シンプルさも好むそんな国民性だからこそ、こういった不必要なものをなくす行動や変化も自然と取り入れることができるのかもしれませんね。

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