今回は、ニュージーランドで7つの職種を体験した経験者から、ニュージーランドの就業事情や働いた体験談をご紹介いたします。
ワーキングホリデーでニュージーランドへ
大学時代「一度は外国で暮らしてみたい」と思い、働きながら外国で暮らせる“ワーキングホリデー”という制度を知りました。
当時オーストラリア、ニュージーランド、カナダの3カ国でワーキングホリデー制度を利用することができ、平和で安全なところがいいという理由でニュージーランドを選びました。
初海外旅行先のNZでは一か月間英会話学校で英語に慣れる訓練をしながら、卒業後はどこで何をしようか情報を集めました。
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6つの就労体験
1.ケリケリでフルーツピッキング
ニュージーランドの北島、北端にあるケリケリという町に「仕事を紹介してくれる宿がある」と某旅行本に書いてありました。
「卒業する時期は秋だしちょうどいい」とその宿に予約を入れ、移動するためのバスを予約しました。
宿では仕事の斡旋から送迎などのサービスがあり車がなくても問題なく生活できました。
ケリケリでの最初の仕事はキウイフルーツピッキングでした。
収穫時期の農場に行き、前掛けみたいなエプロンをかけてその中に枝からもいだキウイを入れていき、一杯になったらコンテナ容器に移す作業を繰り返しました。
キウイフルーツの時期が終わると次は柿農場で収穫した柿をコンテナ容器に詰めていきました。
容器に一杯になったら次のコンテナ容器に詰めていく作業を繰り返していました。収穫する速さでお給料が決まるシステムでしたので必死に柿を採っていました。
2.ケリケリでハニーパッキング
同じバックパッカー宿の紹介でハニービーファーム(蜂蜜農場)に行き、蜂蜜の入ったドラム缶から販売サイズの容器に蜂蜜を入れるという手作業をしました。
ドラム缶についた蛇口のようなものを捻り容器をセット、いっぱいになったら次の容器をセットする、を繰り返しました。
最終日には大きな容器に入った蜂蜜をもらえる役得がありました。
3.ハウエラでの農場で家事をする
そろそろ冬場に近づき、ケリケリでの仕事がなくなってきたので南のハウエラに移動することに決めました。
ファームステイ先で家政婦をするという条件で二カ月の滞在予定でした。
久々に個室が与えられたのが嬉しかったです。
繰り返窓からはタラナキ山が見えました。
家事、掃除、たまに農場に出て豚の餌やり。
しかし出版社勤務の奥様が「不妊治療したいから」という理由で急に次の滞在先を探す事になりました。結局私はこの農場に十日しか滞在できませんでした。
4.イングルウッドの農場でファームステイ
ハウエラの近くでWWOOF(※1)に登録している農家は4軒ほどしかなく、電話をかけても断られる事がほとんどでした。
しかしなんとか滞在させてもらえることになった農場では、NZ生活で最高に楽しい生活を送れました。
農場ではご主人が羊と肉牛を育てており、奥さんは優しく料理上手で、お二人は今まで何人もファームステイを受入れてきた様子でした。
お昼と夜ごはん、お風呂は母屋で過ごし、寝るのは徒歩1分の所にある私専用のコテージです。
本物の暖炉があり感激しました。
仕事は主に農場のお手伝いで、ご主人と一緒に農場に出て柵を移動させたり、カートから牧草を撒いたりしていました。
いつもは作業している近くで遊んでいる牧羊犬が、颯爽と働く姿には感激しました。
「一人で夜を過ごすのはさみしいだろう」と奥さんが子猫と子犬をコテージに連れてきてくれました。
5.温泉町ロトルアのホテルでハウスメイド
日本に居るときからNZの情報をメールでもらっていたAさんに会いにロトルアに行きました。
同じ住むなら知り合いのいる町がいいなと思いロトルアで職探しをはじめました。
ホテルで人を募集しているというクチコミを聞き、面接を受けに行くと用意さた履歴書が置いてあり「語学」欄がありました。
母国語の日本語、初級英語、挨拶程度のドイツ語と書いたら不採用でした。
また別のクチコミでシェラトンホテルのハウスメイドを募集していると聞きつけ応募したらその場で採用されました。
ワーキングホリデービザでは1か所に最長三カ月の就労が認められています。
あまりにも居心地がいいので「もう一か月働きたい」と採用担当者に伝えたら「法律で決まっているからできません」と断られました。法令はきちんと守られていました。
面白いのが清掃後の客室をチェックするスーパーバイザーが1人なことです。
同じ人が客室をチェックするシステムなので、掃除の方法やアメニティの置き方などが決まっていました。
ですので「人によって指導の仕方が違って混乱する」ということがありませんでした。
またハウスメイドや清掃係がミーティングに出席して「どうすれば業務が改善するのか」というテーマで自由に発言していたのが新鮮でした。
日本ではあまりない習慣と企業の風通しの良さだと思います。
6.バックパッカー宿でエクスチェンジ
クライストチャーチの女性専用のバックパッカーで6時間働いたら宿泊費無料というエクスチェンジをしました。
お部屋と廊下、キッチンのお掃除、ベッドメイク、サービスの紅茶のティーパック、パウダーミルク、ココアを瓶に補充して仕事は終わりです。
あとは自由に過ごしていました。
お喋りしたり、料理をしたり、ビデオを観て過ごしたり。(※当時はビデオが主流でした)
イギリス人女性が知り合いの山にテント住まい薪で熱した鉄のアイロンを使い、老人ホームでマッサージしてお金を稼ぎ、時々自分の娘の家に遊びに行ったりするという話を聞いて「そんな生き方もあるんだ!」と目から鱗が落ちるほど衝撃を受けました。
ニュージーランドの仕事探しや現地就業事情を紹介
クチコミは仕事探しに大活躍
NZには温かで親切な人が多く、人と人との繋がりでコミュニティが成り立っていることを実感しました。
日本の田舎のように人間関係が親密でいて、なおかつ個人の生き方も尊重されています。
仕事を探しているような時には人からのクチコミによる情報がなによりも役に立ちました。
友達に人を紹介してもらった時に「仕事を探している」といえば「○○で採用あるみたいよ」「△△会社で募集があるみたいよ」などお喋りしながら情報収集できました。
「なにごとも経験してみよう」というチャレンジ精神を持ちながらお話を聞くのがいいと思います。
ニュージーランドのティータイム習慣
NZではイギリスの伝統で、10時と3時になれば紅茶とビスケットで休憩をとりました。
農場で働いている時に「ティータイム」の時間になるとみんなでひとやすみ。
疲れた体を温かい紅茶と甘いビスケットが癒してくれました。
また仕事仲間と英語ながらもなぜか会話が弾んで他愛無いジョークで笑ってリフレッシュできました。
ニュージーランドの所得税事情
NZでは給与が発生する仕事の場合、報酬総支払額から所得税を差引いた金額が銀行口座に振り込まれました。
支払い元の会社名と明細がプリントされた紙が手渡され、税金還付の手続きに利用しました。
日本に帰国する前にニュージーランドで支払った所得税の払い戻しを受けるためウェリントンの税務署で税金還付用紙に記入しました。
WWOOFってなに?
ワーキングホリデー中に利用したのがWWOOFという冊子です。
「4~6時間ほど働く代わりに宿泊費と食費が無料」というエクスチェンジのシステムを採用している農場などの住所や電話番号が記載されています。
旅のお金を節約したい時、憧れのファームステイで牛や羊に混じって働きたい時、家事が得意だから家政婦がしたい時など、次の移動先や働き口を見つけるのに便利です。
当時の私は電話を使って英語で交渉をしました。
たどたどしくても下手でもいいからまずは真剣に「仕事を探していること」を伝えます。
受入れてくれそうなら「移動手段(バス、電車、車)」「到着できる日時」「待ち合わせ場所」など決めていきます。
最初は下手でも、何回も何回も同じようなやり取りを繰り返せばコツがわかってきて上手く仕事探しができるようになりました。
受け入れ先でも完璧な英語力はそれほど期待していないようです。
うまくいかなくても頭を切り替えて次にトライ。
今ならインターネットでの申し込みもできるようです。
わからないことは周りの人にどんどん聞いていました。教えるのは楽しいものですから遠慮は無用です。私も相談されたら自分の知識や体験を交えて話をしていました。
さいごに
私の経験が、これからニュージーランドで働いてみたいみなさんの参考になればこれほど嬉しいことはありません。
日本では体験できないようなファームステイやお仕事に出会えることをお祈りしています。
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