アメリカのLGBTQ+政策。その歴史と最近の情勢

アメリカのLGBTQ+政策

最近になってよく聞かれるようになった言葉の1つに、「LGBTQ+」があります。

レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシャル(B)、トランスジェンダー(T)、クエスチョニング(Q)とその他すべての性的少数者を包括的に呼ぶ名称として定着している言葉です。

近年、SNSや同性婚に関する裁判のニュースなどを通して、日本でこの言葉を聞くことが多くなりました。

しかし、海外、特に欧米では日本よりもずっと早くから、同性婚の合法化や差別の禁止など、LGBTQ+の権利を保護する運動が始まっていました。

この記事では、現在私が暮らすアメリカのLGBTQ+政策やその歴史、そして最近になって少し台頭してきた保守派を中心とする勢力などについてまとめました。

アメリカのLGBTQ+の人々がどのように保護されているのか、また、最近の情勢はどうなっているのかなど、お伝えできればと思います。

アメリカのLGBTQ+政策の歴史

今でこそ同性婚が合法化され、差別も軽減されてきたアメリカですが、歴史の中で常にLGBTQ+にとって暮らしやすい国であった訳ではありません。

1962年にイリノイ州がその法を変えるまで、アメリカのすべての州で同性愛行為は法律で禁止されていました。

同性愛行為自体が合法となった後でも、社会のLGBTQ+コミュニティに対する目は厳しく、1970年代までは、同性愛は精神疾患であるとされていました。

しかし、1969年6月に、ニューヨークのゲイバーである「ストーンウォール・イン」に警察が踏み込んだことで暴動が起きました。

同性愛者の権利を支持する人達が抗議を続けたこの事件はストーンウォール事件と呼ばれ、この事件が起こった6月には、毎年世界各地で、LGBTQ+の権利と戦いをたたえるプライドパレードが開かれます。

1978年には、カリフォルニア州サンフランシスコで、ゲイであることを公表して市議会議員に立候補したハーヴェイ・ミルク氏が当選し、アメリカ初のオープンゲイの公職者が誕生しました。

しかし、数ヶ月後に同じ市議会議員のダン・ホワイト氏に、当時の市長と共に暗殺されました。

ホワイト氏は、ホモフォビア(同性愛嫌悪)に基づいて2人殺害したにもかかわらず、7年の禁固刑という軽い罰しか受けず、サンフランシスコ中で暴動が起きました。

2004年にマサチューセッツ州が同性婚を認めたことを皮切りに、アメリカの37の州と首都のワシントン・D・Cで同性婚が合法化されました。

2015年には、最高裁判所がすべての州のすべての人に同性婚をする権利を保障する判決を下しました。

しかし現在でも、ゲイバーやゲイナイトクラブ、プライドパレードを狙った銃乱射事件やSNSでのヘイトスピーチなど、ホモフォビアに基づいた事件や嫌がらせが日常的に発生しています。

LGBTQ+の人々が安心して、心置きなく幸せに暮らすことのできる社会の実現はまだまだ遠そうですが、権利活動家やその支持者達が、性的指向や性自認による差別をなくすために戦い続けています。

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現在のアメリカのLGBTQ+政策

アメリカでは現在、LGBTQ+の人々はどのような法に権利を守られているのでしょうか。

分野別に見ていきましょう。

家族

すべての州法で同性婚が合法化され、2022年には連邦法として結婚尊重法が成立したことにより、同性婚が正式に権利として保障されています。

ちなみに、結婚尊重法は、同性婚と同じくこれまで連邦法で保障されていなかった、異人種間の結婚も保障しています。

すべての州で、同性カップルが養子を迎えることが認められています。

軍隊

LGBTQ+の人々は、自分の性的指向や性自認を公にして軍に入隊することができます。

軍人が自分の性的指向や性自認を公にしてはいけないという意味合いを持つ、「Don’t ask, Don’t tell」が常識だった時代もあったことを考えると、大きな進歩です。

トランスジェンダーの人は、自分の性自認に合わせて、軍に入隊することができます。

これはオバマ政権で初めて認められ、トランプ政権が覆し、バイデン政権が再び認めた権利です。

このように、アメリカでは大統領が替わるごとに法が変わることがあります。

キャリア

アメリカの公民権法は、雇用主に対して、性差別による解雇などの職務上の性差別を禁止しています。

この性差別に、性的指向や性自認に基づく差別も含まれています。

トランプ政権はこの2つを性差別の対象から外しました。

しかし、最高裁判所は、LGBTQ+であることを理由に解雇された事案について違法だとの判決を下したので、性的指向や性自認による職場での差別は違法という解釈が一般的になりました。

学校

2017年に、カリフォルニア州はLGBTQ+に関する内容を中学校までの歴史の教科書に含めることを決定しました。

アメリカではオールジェンダートイレという、性自認にかかわらず利用できるトイレが増えています。

しかし、近年の保守派の台頭や、2023年に入って急激に増加した反トランスジェンダーの法律により、自分の性自認のトイレを使えない生徒も増えています。

オールジェンダートイレにはこのような看板があることが多いです。

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保守派の台頭とLGBTQ+

1つ前の項目でも触れましたが、トランプ政権以来、キリスト教系の保守派を中心とした勢力が台頭し、LGBTQ+,特にトランスジェンダーへの差別になり得る法律が増えています。

アメリカ自体、歴史的に見てもキリスト教の文化が根強い場所です。

過激なキリスト教徒からの差別から法的にLGBTQ+を保護するために法整備が進んだという背景を考えると、その反動として自然なことのように思えます。

実際、2023年が始まってから、2023年5月までの間に、40以上の州で、400以上の反トランスジェンダー的な法律案が立案されたり成立したりしました。

目立った反LGBTQ+的な法律には、次のような物があります。

トランスジェンダーの子どもに、性転換治療を受けさせることを認めた親から、親権を剥奪することを認める。(フロリダ州)

ワシントン州では、逆に性転換治療をトランスジェンダーの子どもに受けさせない親が親権を剥奪されます。

トランスジェンダー差別を禁止する法律を無効化する。

また、トランスジェンダーは生まれたときの生物学的な性別に従ったトイレや更衣室を使用すること。(ノースカロライナ州)

成人でない者が見る可能性のある場所でのドラァグパフォーマンスを禁止する(テネシー州、他)

ドラァグパフォーマンスとは、異性装(男性の女装など)をしてパフォーマンスをすることで、LGBTQ+カルチャーで大きな役割を担っています。

パフォーマンスには、踊ったり、歌に合わせて口パクしたりするものが多いです。

服の露出度やダンスの振り付けを見ても成人向けの場合が多いですが、この法律では、性的でないパフォーマンス(子ども達に図書館で読み聞かせをするなど)も禁止されます。

また、LGBTQ+活動家からは、パフォーマンスなどをしなくても、異性装をしているだけでドラァグだと判断され、罰せられるのではないかと懸念の声が上がっています。

ドラァグクイーン

  • LGBTQ+や有色人種のキャラクターが登場したり、LGBTQ+や有色人種に対する差別について取り扱ったりする本を禁止する。(全土で進行中)
  • 小学校で、LGBTQ+についての議論を禁止する。(フロリダ州)

このように、LGBTQ+、特にトランスジェンダーに対する迫害的な法律が2023年に入ってから急激に増加し、LGBTQ+コミュニティやその支持者達からは批判の声が上がっています。

一方で、LGBTQ+コミュニティの中にも、「LGBTQ+コミュニティのやり過ぎだ。いい加減にするべき。」という意見を持つ人もいます。

トランプ政権以降大きくなった国内の分断が顕著に表れており、多くの人が不安を感じています。

さいごに

日本よりもLGBTQ+の人たちに対する認識は広まっているアメリカでは、同性婚などの現在日本で議論されている問題は法律で解決しています。

しかし、日本にはあまりない宗教をベースとしたヘイトスピーチやヘイトクライムが起こっていたり、今までのLGBTQ+保護の流れを覆すような動きがあったりします。

日本もアメリカも、LGBTQ+を含めた皆が暮らしやすい世の中になることを願うばかりです。

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