アメリカでは学校での環境はもちろんのこと日本に比べて教育の幅が広く、
- 公立・私学
- モンテッソーリ教育
- ホームスクーリング
などいろんな教育方法が一般的に受け入れられています。
アメリカの教育について、学年別に学校での教育環境や、教育の選択肢など、日本との違いをアメリカ在住者からご紹介します。
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学年別のアメリカの義務教育
アメリカでは高校までが義務教育となっていて、教育段階は3つ(小・中・高)に大きく分類されています。
Elementary School(小学校):
Kindergartenキンダーガーデン (5-6歳)
1st grade -5th grade(6歳ー11歳)
Middle School, Junior High School(中学校):
6th grade -8th grade (11歳―14歳)
High School(高校):
9th grade -12th grade (14歳ー18歳)
以上がごく一般的なアメリカの義務教育段階です。
学年レベルが上がるタイミングは個人の学力によって変わってくるため、年齢の割に学年レベルが上だったりするのもアメリカでは珍しい事ではありません。
1年の流れ
地域や、学校により多少のずれがありますが、
- 新学期は8月3週目~4週目にかけて
- 中間の秋10月(秋休み)
- 11月(サンクスギビング)
- 12月(クリスマスを兼ねての冬休み)
秋から冬にかけて月に3日~5日間の休み - 年明け1月の2週目あたりから2学期が始まる
- 5月中旬で1学年終了。
- 3か月間(5月中旬~8月中旬)の長い夏休みを終えて次の新学年スタート。
それでは、次は公立の小中高の様子を簡単にまとめてみました。
小学校の学校生活。自主性・自己肯定感・個性が育つアメリカの教育システム
日本と比べ、授業内容や雰囲気などはさまざまな違いがあり、アメリカならではです。
(アメリカの学校に子供の保護者の視点から見るプリスクール、小学校の様子です。)
- 親が遠足に同行したり、校内での行事の手伝いなどボランティアとして参加できる機会が多く、学校での子供の様子を見ることができる
- 毎日の送り迎えはほぼ親の役割。送り迎えの時間に学校での出来事を話たりするので、日本での生活と比べ子供との距離感が近い。
- クラスで誕生日パーティーを開催。子供の誕生日会の日には学校で昼食を一緒に取る事ができ、子供も大喜び。
- ハロウィンの日は先生・生徒揃って仮装し校庭をパレード。
- パジャマデイと言われる日は先生・生徒揃ってパジャマを着て学校での一日を過ごす。
- 年間を通して学校で行われるイベントがアメリカらしい。親近感・人間味のある教育の場という印象
- 週1回、図書館で過ごす授業では、iPadや、コンピューターとも触れ合う時間もありテクノロジーについて学べる
- 本を読んだら感想、ストーリ―を1人1人が発表する時間があり、人前で話す訓練をプリスクールの年齢から行われている。
- 1つのクラスに対し、生徒数は少数(15-20人)。さらにアシスタントの先生も1-2人各クラスにいるので、生徒1人1人により目が行き届く環境である。
アメリカでは日本と比べて断然に子供と接する機会が多く、学校の行事に頻繁に関われるので子供の様子が知ることができるのは親としてとても嬉しいはずです。
ハロウィン、パジャマデイ以外にも年間を通してイベント事盛りだくさんの小学校。
生徒も先生も一緒になって楽しめる行事がたくさんあり「学校」という教育の場なのに、親近感が湧いてきます。
ガチガチした感がなく、学校は楽しく勉強できる場所という印象です。
自主性がさらに主体となってくるアメリカの中学、高校
中学、高校と年齢があがるほど自主性がさらに主体となってきます。
本人の意思で選ぶ選択科目の内容も豊かで、アメリカでは先生のいる教室へ生徒が移動するのが普通。
どこの教室で授業をやるのか知っておかなくてはならないので、自然と自己管理能力もつきます。
自己表現を必然的に迫られる授業内容が増えてきくるので、表現力や思考力に磨きがかかる期間と言えます。
学校の様子
- 先生のいる教室へ移動し授業を受ける
- 中学高校でもハロウィン、セントパトリック、パジャマデイなど先生・生徒そろって楽しむイベント事盛りだくさん。高校ではプロムパーティが一代イベント
- 「いじめ」について、大きな問題として取り上げ、いじめた側を徹底的に調べ上げ対処。
- いじめた側へ厳しい罰を与えるなどの対応がかなり整っている。
- 担当カウンセラーが先生・生徒にもしっかりいるので、学校側に言いにくい事などを相談できる窓口がある
- 校長先生の権力が強く、学校へのクレーマー「モンスタペアレンツ」はあまりいない。
- 学校側は「この学校が気に入らなければ他へどうぞ」と強気。
- 16歳になると免許取得する生徒も増え、車で登校する生徒も多くいる
- 障害を持つ生徒に対しての準備が整っていて寛容的
授業の様子
- 必須科目(国語、数学、理科、社会)以外の選択科目が充実している。(高校に入ると必須科目に経済・政治も追加される)
- パワーポイントでのプレゼンテーションが何度も行われる
- エッセイ、レポート、小さなプロジェクトなどの宿題が多い
- 答えが 正しい、間違ってるという事よりも、「どう思うのか」の意見を重視
- 意見、考えを発言するのが重要なので、内容がどうであれ「意見」として受け入れられる。
- 学校側で決められた授業中のルールというよりは、授業を行う先生ルールを決めて授業を行う。先生によってはスナックを食べながらの授業がOKだったり、そうでなかったり。
- 飛び級制度があり、覚えの早い生徒は試験にパスすれば次の学年へと進める
日本の中学、高校と比べるプレゼンテーションや、グループワーク、ディスカッション、レポート・エッセイなどの自分の頭を使って考えたり、人前でそれを伝えるという授業内容が断然多いですよね。
歴史の授業については、こんなおもしろい話を聞きました
戦争や、事件など様々な出来事について、先生が教団で説明するのを聞いてるだけの受け身の授業ではなく、意見の話し合いが多いそうです。
- なんで起きてしまったと思うか
- 当時の人たちはどのような気持ちだったと思うか
をレポートで提出するのが宿題だったり、歴史のテストは自分の考えを言葉で表現するエッセイスタイル。
選択問題はほとんどありません。
ロールプレイング式の授業も多く取り入れられているようです。
生徒がいくつかのグループに分かれ資料を集め、それをロールプレイングで発表したり、先生が国のリーダ役、生徒が国民を演じ、過去に起こった歴史上の出来事を再現してみるのだそうです。
聞いてるだけの授業に比べたら断然こういう授業の方が面白そうですよね。
そうすることで生徒も深く興味を示して、様々な視点から出来事をとらえる力、疑問を見つける力、表現する力が身につくのだそうです。
先生によって授業のスタイルは様々なようですが、実際にこういう授業を受けてきたアメリカ人の友人は「すごくたのしくて歴史の授業は大好きだった」と話していました。
自分の中学高校時代を振り替えると、授業中はひたすらノートを書く、テストに向けてとりあえず暗記、自分の中に詰め込むだけ詰めこむようなインプットだけのほぼ受け身型授業で、それが当たりまえだと思っていました。
アメリカの学校では、学んだ事を発表したり、文章で書いたりとインプット・アウトプットのバランスがとても取れてる感じがします。
モンテッソーリ教育という選択肢
モンテッソーリ教育とは、イタリアの医学博士のひとり、マリア・モンテッソーリによって開発された教育方法です。
自分で選ぶ、責任感を持つ、他人への思いやりがある、自立した人間を育てることを目的とし、その整った教育環境や、教具がとてもユニークで注目を集めています。
日本でのモンテッソーリ教育は幼稚園、保育園に集中していて、そこから上の年齢を対象とする小学校~高校がとても少ないのに比べ、アメリカでは私立学校に限らず、普通の公立小学校、中学校、高校とモンテッソーリ教育を取り入れてる学校も数多くあるのです。
公立の学校の中に旧式のクラス、モンテッソーリのクラスと別れているので教室や授業の進め方などが大きく違います。
公立学校に在籍している扱いになるので、学費がからないうえに、モンテソーリ教育も受けられるという利点から人気のプログラムとなり応募者が後を絶ちません。
応募方法は学校によってことなるためモンテッソーリ教育を行っている学校にまずは聞いてみるのが一番良いでしょう。
モンテッソーリ教育(小学校レベル)では、大きく5つの教育分野
- 日常生活の練習
- 感覚
- 言語
- 算数
- 文化
があり「子供の家」を連想させるような場で、興味をそそる教具がそろっています。
その整った環境で、やりたいこと、興味のあることを自分で選びとことん学ぶことができます。
特徴
- 教科書なし
- ユニークな教具がそろっている(音感ベル、世界地図パズル、時計、絵と文字の書かれたカード、etc…)
- 子供が興味のあること、やりたい事、教具を選び「ワーク」として取り組む時間(2―3時間)
- 相対的な評価、成績表、テストはなし
- 子供の発達段階に合わせた環境に先生のサポート
- 3学年合同の縦割りクラス、少人数
- 日常生活の練習(洗濯の時間、キッチンでナイフを使い果物・野菜を切る練習など……)
年齢12-15歳のクラスになると
クラスで学ぶ事も長期間にわたるリサーチ、小プロジェクトを学期の最後にプレゼンテーションで発表します。
例えば、先生が生徒達に1つ共通のテーマを与えます。
そのテーマをもとに、ある生徒はそれを音楽という形で表現したり、小説を書いてみたり、美術作品(絵、工作、など)を作ってプロジェクトを完成させたり。
それぞれ生徒の個性が表れていて、実際にそのプレゼンテーションを見に行った友人がそれぞれの作品が素晴らしすぎて感動したと話してました。
年齢15-18歳の例
この年齢になると、立派な大人として扱われます。
社会貢献だったり、お金の管理を学びます。
実社会にでて社会貢献とはどんなことかを体感するために、「Apprenticeship(アプレンティッシップ)」制という見習いとして働きながら学校に行くことも教育の一環として取り入れています。
ホームスクーリング「家庭で教育」という選択
日本ではあまり聞きなれない教育方法なので多くの人が学校に行く事だけが教育だと思いがちです。
ですが、アメリカでは50州で合法化されているほどホームスクーリングは一般的に受け入れらているのです。
年々7-15%の割合で、学校教育からホームスクールに切り変える家庭が増え続けているのです。(中学高校に進学する年齢辺りに多いです。)
その理由は家庭によって様々ですが、学校が安全な場所、多感な子供が育つ最適の環境と言えず逆に有害だったりする、という考えからです。
例えば、子供達による銃・ドラッグの持ち込み、いじめ問題、教師による不祥事が多い事、銃乱射事件など頻繁に起こるわけではないにしろ、ホームスクーリングでは親の目の行き届いた環境で常に子供たちを見守る事ができます。
そういった安全性を1番の理由と考えてホームスクーリングを選ぶ人もいます。
ホームスクーリングにするその他の利点とは
- 子どもの個性や、興味、性格を尊重し、のびのびした環境で個人のペースにあった教育ができる
- 個人のペースに合わせて、時間や場所にこだわらず勉強ができる
- 相対的な評価を受ける学校とは違い、ホームスクーリングでは常に自分との比較
- 自分にフォーカスを置くことで、自己肯定感が自然と育つ
- 時には長期で家族旅行なんて言う時も学校のスケジュールを気にせず、家庭の行事を優先できる
- 苦手な科目にも、興味のある事にも好きなだけの時間をかけてとことん追究できる
- 同じホームスクーリングの子供達が集まってボランティア活動や、フィールドトリップに出かけたりする事で、社会性を学
- び、様々な年齢の質の高い友人関係を築く事ができる
- 様々な有害事から子供を守る事ができる
ホームスクーリングで教えたいと思ったら、先ずは各州にホームスクーリング支援センターのようなところに連絡してみるのが最初の一歩です。
学習の進め方、学習教材はどうすべきか、どういった届け出が必要かも教えてくれます。
学習教材はオンラインで購入も可能で、教え方のアドバイスなどもしっかりと学習教材に書かれています。
また、親が教えられない特殊な科目などは、ホームスクーリングの子供達が通う塾のような場があり、そこで他のホームスクーリングの子供たちと学ぶ事もできます。
筆者のアメリカの教育方法の印象
肩の力を抜いて楽しく学べるといった印象が強く教育の場もアメリカらしさが表れていますよね。
表現の自由があって、個性を受け入れられることで自己肯定感が自然と育ち、自分の意思で選ぶ事の大切さを学ぶ。
アメリカには確かに自信があり、自己肯定感を高く持っている人が多いのですが、幼いころからの教育の場を見てみると納得です。
そういう人間に育てるための教育は1つの教育方法だけに限らず、いろいろな選択肢があり、それを選ぶのも個人の自由。
アメリカはいい意味でも悪い意味でも「なんでも受け入れられる」という安心感を与えてくれるところが日本と大きく違う教育の場だなと感じます。
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