アメリカへ住むとなると、よく耳にする「グリーンカード」。
直訳すると「緑のカード」ですが、具体的にはどんな役割を持つカードなのでしょうか?
これは、アメリカに永住する権利を持っている人に与えられるカードです。
グリーンカード、及び永住権を取得する方法はいくつかありますが、今回はK1ビザを取得し、渡米した後のグリーンカードの申請方法について詳しく説明します。
※ここで公開される情報は2018年8月時点の物です。変更されることも予想されるので、申請時にその都度「米国移民局」のホームページで最新の情報を確認するようにしてください。
米国移民局:United States Citizenship and Immigration Services(USCIS)
また、K1ビザの有効期限はアメリカに入国してから90日間のみです。
その間に結婚して、籍を入れてから「adjust status」といってビザのステータスをアメリカ市民の婚約者から配偶者に変更しなくてはいけません。
その変更手続きが終了してからもらえるのがグリーンカードとも呼ばれる永住権です。
ここでは、
- 永住権と市民権のちがい
- グリーンカード(一時的永住権)申請(書類や一緒に申請すると良いもの)
- 申請の流れ
- 面接
について、解説したいと思います。
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アメリカの市民権と永住権の違い
まず、K1ビザを使って渡米後、永住権を申請するにあたって理解しておく必要があるのが、
- 永住権
- 市民権
の違いです。
英語でも「永住権=Permanent residency」と「市民権=Citizenship」という風に呼び方も大きく違います。
永住権
K1ビザで入国し、籍を入れてからビザのステータスを婚約者から配偶者に変更した後に与えられるのが永住権です。
更に詳しく言えば、申請時に結婚してから2年以上たってない夫婦の場合、貰えるのは「Conditional residency」と呼ばれる「一時的永住権」で有効期限は2年間です。
K1ビザを使って入国し、結婚する夫婦には一般的に一時的永住権が発行されます。2年間アメリカに住み、次に申請するのが「Pernament residency」と呼ばれる「永住権」でこのビザの期限は10年間で、アメリカに住んでいる間何度でも更新することができます。
最近では、グリーンカードの取得だけが目的の結婚詐欺を防止するために、永住権を申請する際にK1ビザを使って結婚したアメリカ人との婚姻状態が続いており、離婚をしていない、というのが条件の一つになっています。
詳しくは米国移民局のホームページをご覧ください。
URL:Remove Conditions on Permanent Residency based on Marriage
市民権
「市民権を取る」というのを簡単に言い換えると「アメリカ国民になる」ということ。
市民権を得ればアメリカのパスポートを取ることもでき、選挙権も与えられます。
アメリカ人と結婚した外国籍の人が「Naturalization」と呼ばれるプロセスを経て、婚姻関係を基にアメリカの市民権を取るには、まず、一時的永住権を得た後に永住権を得てアメリカに最低でも3年間住む必要があります。
一時的永住権は2年間有効なので、合計して最低でも5年間アメリカに住み、K1ビザを一緒に申請した配偶者との婚姻関係が続いていなければ申請は出来ません。
また、日本では二重国籍が認められていないため、アメリカの市民権を取得すると、日本国籍は消滅してしまうのです。
アメリカ国籍を得て、アメリカ人として生活するのも決して悪くはありませんが、決断は慎重に下したいですね。
グリーンカード(一時的永住権)申請
では、K1ビザを取得してアメリカで結婚した場合。
どの様にビザのステータスをアメリカ市民の婚約者から配偶者に変更し、一時的永住権を申請すればいいのでしょうか。以下で詳しく解説します。
提出する書類
a) 嘆願書(Form I-485)
USCISのホームページ上でダウンロードできます。K1ビザを申請する際に記入した嘆願書、Form I-129Fと同じ情報を記入する箇所もあるので、参考にすると手間が省けます。I-485, Application to Register Permanent Residence or Adjust Status:
https://www.uscis.gov/i-485
b) パスポート用顔写真2枚
サイズは2インチx2インチ(2.5cmx2.5cm)背景は白のみ。
c) 政府関係から発行された身分証明書
日本のパスポート、アメリカで発行された運転免許証や軍関係のIDなど。
d) 戸籍謄本か戸籍抄本、原本と英語訳
e) パスポートページ
K1ビザのシールが貼られたページと入国スタンプが押されたページ
f) アメリカ出入国記録(Form I-94)
https://i94.cbp.dhs.gov/I94/#/homeで名前やパスポートの詳細を入力してダウンロードすることが出来ます。
g) 婚姻証明書
英語では「Marriage certificate」と呼ばれます。原本は一枚しかもらえないので、役所で正式なコピーをもらうか、自分で原本をコピーして提出しましょう。
h) Form 1-797
これはK1ビザの申請が許可された際に送られた「Notice of approval」の事です。
i) 扶養証明(Form I-864)
K1ビザを申請する際に提出する扶養証明書とは違う書類なのでご注意下さい。
この書類は、アメリカで生活保護を受ける可能性が無いことを証明する書類です。
K1ビザではアメリカでの就労が認められていないため、移民局から就労許可が下りるまで、アメリカ市民が外国人配偶者を経済的に支援することが出来ると証明する書類でもあります。
このフォームと一緒に、アメリカ人配偶者の最新のタックスリターンと給与明細も一緒に提出しましょう。
j)健康診断の結果
K1ビザを申請した時に受けた健康診断の結果と予防接種の記録のコピーを提出しましょう。
k)逮捕歴や犯罪歴がある人はそれに関する書類
日本語で書かれている場合は英語訳も一緒に提出しましょう。
l)申請料金
2018年8月時点で申請料金は 1140ドルと指紋採取の料金85ドルを合計して1225ドル。
変更されることもあるので、その都度確認して下さい。
一緒に申請すると良いもの
a)Form G-1145 E-notification of application acceptance
書類がUSCISにて受け取られた際や、許可が下りた時などにメールにて通知を受け取ることが出来ます。
フォームはUSCISのホームページにてダウンロードすることが出来ます。
URL:Application to Register Permanent Residence or Adjust Status
b) Form I- 765 Application for Employment Authorization
最近ではグリーンカードが発行されるまで最短でも9カ月はかかると言われています。
グリーンカードが無いと働くことも、アメリカ国外に旅行に出かけることもできません。
この Employment Authorization は、グリーンカードが発行されるまでの間、働いて収入を得るために必要な許可証です。
K1ビザで入国した場合、この許可証がないと働くことが出来ないので、グリーンカードと一緒に申請すると良いでしょう。
また、Form I-485と一緒に提出すると、申請料は無料です。
c) Form I-131 Application for Travel Document
上記にもあるように、グリーンカードがないとアメリカ国外へ出ることが出来ません。
でも、グリーンカードを実際に手に入れるまで長い時間かかるし、日本にも一時帰国したいですよね。
そんな時に申請すると良いのが、このTravel Documentです。
一時的永住権を申請し、発行を待っている間にアメリカ国外に出ることを許可する許可証です。
Employment Authorization と同じように、Form I-485と一緒に提出すると、申請料は無料です。
申請の流れ
1.United States Citizenship and Immigration Services (USCIS)
上記の書類の準備が整ったら、申請料金を添えてUSCISに郵便で提出します。
発送してから2週間以内に「書類を受け取りました」という知らせがメールと郵便にて送られてきます。
K1ビザの申請時と同じように、この知らせにはレシートナンバーが記載されているので、大切に保管しておきましょう。
2.Application Support Center
書類を提出してから1カ月程で、Biometrics Appointment といって、指紋採取に来てください、という知らせが届きます。
行くべきサポートセンターの住所と予約の日時が記載されているのでしっかりと確認しましょう。
住んでいる所から一番近いサポートセンターで指紋の採取が行われるように手配されているのでご安心ください。
当日は受付後、指紋を採取されて終了です。
また、当日の持ち物は以下の通りです。
- Biometrics Appointment の知らせの手紙
- パスポート
- 結婚証明書(Marriage certificate)
※特にパスポートに記載されている名前と結婚後の名前が違っている場合は忘れないように持っていきましょう。 - アメリカの運転免許証(持っていれば)
- 軍関係のID(関係あれば)
グリーンカードの面接
指紋を採取された後、嘆願書はサービスセンターに送られて、犯罪歴などバックグラウンドの調査が行われます。
色々な調査が終わり、申請書類の処理が終わると、次は面接に来てくださいという知らせが届きます。
面接は住所から一番近くの移民局のオフィスで行われ、アメリカ市民と外国籍の配偶者、2人で出席しなければいけません。
1.当日の持ち物
- 政府関係から発行されたID(パスポート、アメリカの運転免許証など)
- 面接のお知らせの手紙
- 戸籍抄本か謄本とその英訳、Birth Certificate(アメリカ人のみ)
- 結婚証明書(Marriage certificate)
- 2人の間に子供が生まれた場合、その子のBirth Certificate
- Employment AuthorizationとTravel Document
- 嘆願書 I-485と一緒に提出した健康診断の結果と予防接種の記録のコピー
- 婚姻関係が本物だと証明する書類
(2人の名前が記載されているアパートの賃貸借契約書、携帯の契約書、共同の銀行 の口座、写真、など)
2.質問の内容
K1ビザ申請の時と同じように、2人の婚姻関係が本物で、永住権だけが目的の結婚詐欺ではない、という事を判断するための面接です。
愛し合っているからこそ、こんなに苦労して結婚して、一緒に生活を築き始めた2人なら、問題なくクリアすることが出来るでしょう。
しっかりと書類を準備して、自信をもって臨めば大丈夫です!では、実際に面接の際に聞かれる質問の一部を紹介します。
- どこでどのように出会ったか。
- どの様にして結婚することが決まったか。プロポーズの詳細など。
- 今、一緒に住んでいる住所。
- いつ結婚したか。
- 共同の口座がある銀行の名前は何か。
- お互いの給料はどの様にして管理されているか。
- 新婚旅行には行ったか。
面接の終了時にグリーンカードの発行が許可されたか、却下されたか、結果をその場で知ることが出来ます。
面接についてはこちらの記事「K1ビザからグリーンカードへ。面接前の準備と当日の流れ」も参考にしてください。
K1ビザからグリーンカード取得へのまとめ
K1ビザを取るのにも一苦労だったのに、渡米してからもこんなに手続きをすることがあるなんで、本当に大変ですよね。
しかし、一時的永住権を申請してから、移民局からの就労許可が下りたり、面接にたどり着くまで、しばらくかかります。
その間の時間を上手に利用して、新しい国での生活の基盤をゆっくりと築くといいでしょう。
こんなに苦労して渡米したのだから、ミニバケーションとして楽しむのもありですね。
これから国際結婚に向けて準備を進める、というカップルの皆さんの参考になれたら嬉しいです。
皆さんがスムーズにグリーンカードを取得できることを願っています。
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