これからオランダへ移住や長期滞在を予定している方へ、オランダ王国のビザ7種類をまとめましたので、ご活用ください。
まず観光される方へ。有効な日本旅券を所持する方で査証免除協定が約定されている国籍者に関しては、180日間以内のうち3か月(約90日間)の滞在であればオランダでのビザは必要ありません。(注意点は、本ページ下部の「観光をする場合のビザ」に記載していますので、ご確認ください。)
これはシェンゲン協定加盟国内の滞在についても同様。
つまりオランダからシェンゲン協定加盟国内に再入国してもリセットされることはなく、過去180日間の滞在日数がすべてカウントされることになります。
シェンゲン協定加盟国内で移動する場合は入国スタンプを押されない場合が多いので、最初のシェンゲン領域で入国する際には滞在日数を明確にするため、必ずスタンプを押してもらうことをお勧めします。
この6カ月以内で90日間を終了してしまうと最初の入国日から6か月経たなければ再入国できません。
オランダの入国の際に必要なパスポートの残在期間はシェンゲン領域国からの出国予定日から3か月以上です。
オランダビザの申請方法:
オランダのビザの申請方法はオランダ大使館は一切関わっておらず、現地に到着してから入国後5日以内に、居住する町の市、区役所で住民登録台帳(GBA)に登録。
市役所での住民登録はオランダでの居留に必須条件です。
オランダ入国後8日以内に、オランダに7カ所有るIND(オランダ入国管理局)デスクのいずれかの場所で滞在許可を申請します。
日本国籍の場合は仮滞在証(MVV)は不要です。
それでは、オランダのビザをカテゴリー別に分け、その中の各種ビザについてご紹介します。
【オランダの関連記事はこちら】
↑オランダ滞在に役立つこちらの情報もご覧ください。過去のオランダの記事一覧はこちら
1.ファミリービザ(Familie)
こちらの記事「オランダに移住するカップル必見!永住権取得までのステップ」も参照ください。
①配偶者・(登録澄み、未婚)パートナービザEchtgenoot, geregistreerd of ongehuwd partner
婚姻のための必要書類は市によって異なるので事前に必ず確認してください。
特徴:
オランダ人の配偶者又はパートナー(共にある一定の条件を満たした)を持つ人のビザ(就労可能)
条件:
一般条件:
21歳以上で有効な旅券を有していること。公序に対する脅威がないこと
犯罪歴や、不法滞在歴、リスクとなる人物ではないことであることをサインすることで証明する(申請書と共に提出)
結核検査を受ける(日本国籍者は検査免除対象国となっている)
一般条件をクリアした上で満たす必要のある条件:
- 申請者が申請者のパートナーと結婚している、申請者のパートナーと登録パートナーシップを結んでいる、申請者のパートナーと長期に渡って排他的な関係である(その期間中、他にパートナーの様な人物が申請者のパートナー以外一切存在しない)
上記いずれかであること - 配偶者がオランダに住居があること(住所登録が配偶者と同じであること)
- 申請者が海外でオランダの市民統合試験に合格していること、または免除されている
- パートナーはオランダ国籍を所持している、または有効な滞在許可書を所持している
- パートナーが家族と居住している、経済的にも自立した長期居住者である、一時的ではない人道的理由から滞在を許可されている、有効な滞在許可書を所持し最低1年以上オランダに住んでいる
- パートナーの所持している有効な滞在許可書がauペア、文化交流、ワーキングホリデーの類いではないこと
- パートナーの収入は自立するために必要な額を満たしていること、それらの生活が持続可能である額であること
- パートナーは申請者のスポンサーであることを宣言できる
滞在可能日数:
5年間未満
申請に必要なもの:
- 婚姻証明書(配偶者関係にある場合)
- オランダ入国時残存有効期限6か月以上のパスポート(入国日スタンプが記載されたもの)
- 翻訳(蘭語、英語、仏語、独語のいずれか)された戸籍謄本(3か月以内発行)※アポスティーユ認証付
※アポスティーユとは、日本で作成された公文書に日本国外務省がつける確認証明のこと。(参照サイト:http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/todoke/shomei/)
以下は申請者の状況によって変わりますので、最下部サイトの申請書内を必ず確認して下さい。
- 上記の戸籍謄本で在オランダ日本大使館にて出生証明、未婚証明など申請
- 上記の戸籍謄本、身分事項に関する書類をデン・ハーグにある外務省に提出し、リーガリゼーション(外務省による認証)を取得
- オランダの移住場所証明
- 配偶者の収入証明書
申請料金は171ユーロです。
原文や詳細を確認されたい方は以下、オランダ入国管理局(IND)ホームページを参考にしてください。
就労ビザ(居住許可・Residen Permit)
オランダの就労ビザには日本企業からオランダの企業に派遣される際に必要になるビザが3つ。
その他にも個人事業主(起業家)をはじめとした様々な就労ビザがあります。
就労ビザの種類に関しての詳細はINDのホームページを参考にして下さい。
一部日本人の就労ビザに関する特権
2014年12月より、日本国籍所有者は労働許可は不用になりましたが、2017年1月1日以降に就労ビザ(滞在許可書)の申請を行なった日本人は労働許可が必要になりました。又、2017年1月1日以降に就労ビザの更新を行なった日本人も労働許可が必要になりました。
しかし、オランダでは一度取得した滞在許可書のステータスに労働市場へのフリーアクセス権がある場合、更新の際に例えビザの種類が変更されたとしても、労働市場へのフリーアクセス権は継続されると移民法で定められています。
それを理由として2017年1月1日以降に就労ビザの更新手続きをした日本人のステータスの変更はあってはならないとした裁判にて申立人が勝訴しました。
それが2019年3月のことでした。
現在の状況(2019年5月時点)
IND(オランダ移民局)も上記の内容を認めたことにより、2017年1月1日以降に就労ビザの更新をしても申請前まで持っていたオランダ労働市場へのフリーアクセス権は維持されるということになりました。
2019年3月の判決までの間にビザの更新をして、労働市場へのフリーアクセス権が失われた日本人はステータスの変更手続きをすれば通る(移民法上)ということです。
しかし、オランダではよくあることですが、移民局の内部でこの情報が共有されておらず、デスク単位、担当者単位で話が通らないことがあります。
実際に2019年4月の時点で電話での確認を移民局にしたところ、「その様なことがあることを知らない。」という返事がありました。
しかし、裁判での判決、移民法上で定められている点からも、権利として有るものですので、移民局に問い合わせて状況を確認した上で申請すると良いでしょう。
言語に不安がある方は、この裁判を起こしたADAM & WOLF 移民弁護士事務所さんへ問い合わせをしてみるのも一つの手です。有料になりますが、すでに失ったフリーアクセス権を再申請するお仕事なども行なっているとサイトに記載されていました。
いずれも、2016年12月末までの間に日蘭通商航海条約の日本人の特権を利用して就労ビザの申請をしていて、2017年1月1日以降に就労ビザの更新手続きをした人だけが対象です。
参考記事:【オランダ個人事業主ビザ】更新手続きの流れと注意点
2.オランダ企業で就労する場合(Working as an employee)
①普通労働者(Paid-employment worker – single permit)
どのカテゴリーにも属さない方で、最も一般的なビザ。個人、雇用主側のどちらでも申請が可能です。
労働許可と居住許可の両方が一つになったGVVA(シングルパーミット)という許可になります。
申請料金:
285ユーロ
参考:Employee
②海外企業による商品供給
自身が働く海外企業から提供された商品などを使用して、オランダ国内の企業で働く人のためのビザ。個人、雇用主側のどちらでも申請が可能です。
労働許可と居住許可の両方が一つになったGVVA(シングルパーミット)という許可になります。
申請料金:
285ユーロ
参考:Supply of goods by a foreign company
③知的労働者(Highly-skilled migrant)
日本国民として給与条件が4500€(30歳以上)・3299€(30歳未満)を満たし、オランダ企業に雇用されている場合は、雇用者が高技能知的労働許可証を申請することができる。
IND認定のスポンサー登録を行なっている企業が申請をするビザ。
申請料金:
285ユーロ
④企業内転勤(ICT)
欧州連合(EU)外の企業にて雇われていて、オランダ国内の支店に働くことが決まった人のためのビザです。
申請料金:
285ユーロ
参考:Intra Corporate Transferees (Directive 2014/66/EU)
⑤研究者
Directive(EU)2016/801に基づく研究者が対象。
オランダ国内の企業や研究機関から研究プロジェクトに招待された博士課程の学生や研究者などに適用されるビザです。
申請料金:
171ユーロ
参考:Researcher
⑥芸術・カルチャー
芸術やカルチャーに携わるスタッフがオランダ国内で働くためのビザ。個人、雇用主側のどちらでも申請が可能です。
申請料金:
285ユーロ
参考:Employee in art and culture
⑦マスコミ特派員
オランダ国外のマスコミ関連の企業が雇用している者としてオランダ国内で働く人のためのビザ。
居住許可書のみが必要。
申請料金:
285ユーロ
⑧アジア料理、ケータリング
中華料理、インド料理、インドネシア料理、日本料理、韓国料理、マレーシア料理、タイ料理、チベット料理、ベトナム料理の1つ以上を提供するレストランで料理人として働く人のためのビザです。
仕事のレベルが4から6(専門の料理人、スーシェフ/オールラウンド料理人またはシェフ)であることが条件となっています。
申請料金:
285ユーロ
参考:Employee in the Asian catering industry
条件:
EU/EEA諸国、スイス以外の国籍者である、マネージャー・スペシャリスト、研修員である、オランダ国内の同一企業グループへの転勤であることなど、各職種によって諸条件が必要とされています。
滞在可能日数:
それぞれの形態によって変わってきます。
申請に必要なもの:
それぞれの就業形態により、雇用主若しくはINDのホームページ内にて確認してください。
3. 自営業・フリーランスで働く場合(Working on a self-employed basis)
条件:
日本国籍を要している、過去に犯罪歴や不法滞在歴がないこと、配偶者も就労可能
申請に必要なもの:
- フリーランサーとしてオランダ商工会議所に登録
- 銀行口座に最低資本金、初期投資4500€(約55万)が預託されている
滞在可能日数:
最高2年間(延長可能)
※この4点で住居証明を取得することができます
- 日本国籍であること
- 犯罪歴や、不法滞在歴、リスクとなる人物ではないこと
- オランダに住所を所有すること
- オランダで事業の登録があること
申請料金:
1348ユーロ
自営業ビザについてはこちら「約70万円でオランダ起業ができる!準備と手続き方法」も参考にしてみてください。
高技能知的労働者(Highly skilled migrants)
特徴:
日本国民として給与条件が4189€(30歳以上)・3071€(30歳以下)を満たし、オランダ企業に雇用されている場合は、雇用者が高技能知的労働許可証を申請することができる。
条件:
企業側が高技能知的労働者(Highly Skilled Migrant )事業計画に登録していること
滞在可能日数:
最高5年間
申請に必要なもの:
雇用主に確認
研究者ビザ(Scientific researcher)
特徴:
オランダ国内の研究機関から研究プロジェクトに招待された博士課程の学生や研究者などに適用されるビザ
条件:
有効な旅券を有していること
生計を立てるのに十分な手段を有していること
公序に対する脅威がないこと
犯罪歴や、不法滞在歴、リスクとなる人物ではないこと
滞在可能日数:
最高5年間
申請に必要なもの:
研究機関に確認
4. 学生ビザ(Study)。高等教育、大学、職業専門学校、交換留学生
(Higher education and university/Secondary and vocational education/exchange) オランダ留学ガイド参照
条件:
- フルタイムでの就学
- 滞在中十分な留学費用があること
- 有効な旅券を有していること
- 犯罪歴や、不法滞在歴、リスクとなる人物ではないこと
申請に必要なもの:
- 英語に翻訳された戸籍謄本(3か月以内発行)アポスティーユ付
- 上記の戸籍謄本で在オランダ日本大使館にて出生証明、未婚証明など申請
- 上記の戸籍謄本、身分事項に関する書類をデン・ハーグにある外務省に提出し、リガリゼー ションを取得。
- パスポートのコピー(入国スタンプが記載された場所を含む)
- 写真2枚4.5cm×3.5㎝
- 残高証明書
- 大学の受け入れ証明書、在学証明、在留カードなど
- 語学力証明
申請料金:
171ユーロ
5. オーペアビザ(Au pair)
特徴:
18歳から30歳までの若者を対象にした移民大臣認定の制度。オランダのホストファミリーの家でのみ住み込みとして働きながら報酬を得ることができます。
週二日は必ず休日が得られる決まりがあるため、それらを利用しながら語学学校などにも通うことは可能です。※ホストファミリーとの契約内容による
居住許可書の取得が必要です。
条件:
18歳から30歳までの若者、労働時間週30時間可能
滞在許可日数:
最高1年
申請に必要なもの:
パスポートコピー(入国スタンプが記載された場所を含む)、その他の書類はオーペアエージェントに確認
申請料金:
285ユーロ
参考:Au pair
6. オランダ永住権
永住ビザ(Long term third country nationals/permanent residence)
特徴:
無期限滞在許可証
滞在可能日数:
5年毎に更新が必要
条件:
- オランダに5年以上滞在していること、有効な住居許可証を持っていること
- 生計を立てるのに十分な手段を有していること、公序に対する脅威がないこと
- オランダ語の読み書きが、レベルA2-level以上であること
※8歳以上から永住権の申請対象年をカウントできるため、13歳以上にならなければ永住権の申請はできません
申請に必要なもの:
- パスポートのコピー
- 収入証明
- 市民統合テスト証明など(書類は全て英語、オランダ語で記載、リーガリゼーションされたもの)
申請料金:
171ユーロ 18歳未満の子供57ユーロ
参考:Permanent residence after a 5-year stay in the Netherlands
7.その他のビザー外国人投資家(Foreign investor)
特徴:
オランダ国内の企業に最低金額として125万ユーロを投資できる場合、一時的に滞在許可書を申請することができます。
個人の職業のための不動産投資などは除外。
滞在可能日数:
1年間。更新可能
条件:
- パスポートのコピー(入国スタンプが記載された場所を含む)
- 公序に対する脅威がないこと
- 犯罪歴や、不法滞在歴、リスクとなる人物ではないこと
- オランダの銀行に€ 1,250,000入金できること
- その投資はオランダ経済に付加価値をあたえるものであること
- 資本元情報についてオランダの金融インテリジェンスユニットから情報を求めることを承認
申請に必要なもの:
- パスポートのコピー(入国スタンプが記載された場所を含む)
- オランダに投資する最低資本金€ 1,250,000の銀行声明
- 会計事務所からの声明
- 投資の目的を述べた署名済みの投資協定
申請料金:
2173ユーロ
参考:Investing in the Netherlands
観光をする場合のビザ
観光目的で入国する場合は往復の航空チケットが必要になります。
片道のチケットで入国する場合は事前にオランダ入国管理局(電話番号:+31 20 8893045)に、お問い合わせ下さい。(日本から電話する場合:電話会社の国際電話アクセスコード+010(国際電話識別番号)+31(国番号)+最初の0を取った番号)
※未成年(18歳未満)の渡航について
未成年が片親、あるいは祖父母と旅行する際には次の書類が必要になります。
- 同行しない親の英文同意書(署名、目的地、親の住所、電話番号を記載)
- 同行しない親のパスポートのコピー(パスポートを所持していない場合は戸籍謄本とその翻訳)
※オランダのスキポール空港では出国の際の出国審査窓口の並び口が違います。時間が掛かりますので時間に余裕を持って行かれることをお勧めします。自動化ゲートの利用はできません。
修学旅行などの団体旅行の場合は引率者が団体旅行を学校が認めているという内容の英文書類があれば、同意書は必要ありません。
滞在日数が90日を超える場合は必然的にビザが必要になります。
オランダのビザまとめ
オランダのビザに関しては、ここ数年日本でも話題に上った事などが影響して情報も多数見掛けるようになりました。
多くのビザ申請には翻訳されたアポスティーユ付の戸籍謄本が必要になることが多いので、一通用意しておくと便利です。
その後、在日オランダ大使館で、その他必要な書類を作成することができます。(オランダ到着後、書類を外務省でリーガリゼーションする)各自ビザの内容が違ってくるので、オランダの入国管理局(IND)で事前に必ず必要書類を確認することをお勧めします。
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