オランダでの生活を始めようと考えている人にとって「支払い」は登録・手続きや生活に必要な道具を手に入れるため、家賃の支払いなど様々な場面で切り離すことができないものです。
支払いをスムーズに行なうにはオランダで現地銀行口座を開設することが現実的です。
ここでは現地在住の筆者がおすすめするオランダの銀行についてお話ししたいと思います。
なぜ現地銀行口座が必要なのか?6つの理由
オランダでの生活を長期に渡って行なう予定がある人にとって現地銀行口座の開設が必要になるのには以下のような理由があります。
①日本の銀行口座経由での支払いには障害が多すぎる
日本の銀行口座を経由した支払いには様々なデメリットがあります。
一番代表的なデメリットとしては日本の銀行口座を経由した振り込みでは日本の銀行での手数料と現地銀行での手数料と、手数料が驚くような金額になることです。また、送金されるまでの時間もかかります。
②日本で作成したクレジットカードを使えない場所もある
日本で作成したクレジットカードはオランダのお店などでは使用できないこともあります。
筆者はインターネット販売でクレジットカードを利用しようとした際に使えなかったこと、スーパーマーケットで使用できなかった経験があります。
③オランダではデビットカードでの支払いが常識
オランダではPINカードと呼ばれる、銀行が発行しているデビットカードで売買が行なわれる社会になっています。
中学生くらいの子供でも、自分のPINカードを所有していて、スーパーでの買い物、マクドナルドでの雑談会などでは出番も多いものです。
また、オランダの交通機関(バス、電車、トラム、地下鉄)でも2019年から現金での乗車はできないことになりました。チケットはPINカードか有効なクレジットカードでの支払いのみとなりました。
スーパーマーケットなどではPINカードでの支払いしか受け付けないレジの列などもありますので、PINカードを持っていない場合はうっかり並ばない様に気を付けましょう。
④大きな額の現金(ユーロ)では支払いを断られる
オランダの社会では現金(ユーロ)で買い物をすることはできますが、一般的ではありません。
そういう理由からお店側もあまり現金を持ち合わせていないことが多いです。
そのため、小さな金額の物を50ユーロや100ユーロなどで支払おうとすると、断られる確率がとても高いです。(偽札防止もある)
最初にオランダ入りする時の日本人が多く所持している200ユーロ札などは論外です。
その金額に達する様な買い物がある時などは、200ユーロ札を使って細かくすることは可能ですが、ほとんど使えないと思っていたほうがよいでしょう。
現金を所持する際には50ユーロ札を一番大きな額としてあとは10ユーロ、20ユーロ札で持っている方が困ることは少なくなります。
⑤食事会などの割り勘も現地銀行間同士でのやり取り
オランダの銀行ではアプリ経由、銀行のインターネットサイトで個人の口座を管理するシステムになっています。
そのアプリやサイトはかなり優秀で、個人情報を前もって登録してあるため支払いはスムーズに行なうことが可能です。セキュリティも万全です。
食事会などで1人の人がまとめて支払い、後で割り勘にする際などには、その場でその人の口座へ自分の銀行アプリやサイトからお金を送金するのが一般的。同じ銀行間ですと、すぐに着金するのも魅力的です。
この背景には税金のことも大きく関わっています。
現金のやり取りでは経緯が分からなくなることもあるため、会社などの場合には色々と困ることが出てきます。銀行口座を経由することでそこがクリアになるというメリットがあります。
⑥起業ビザ取得者は現地銀行口座開設は必須
起業ビザ(個人事業主ビザ)を取得する場合は最初に会社を設立しなければならないため、オランダの銀行で口座を開設する必要があります。
更にその口座はビジネス口座という種類のものでなければならない規則になっています。
そこの口座から仕事に関わる全てのお金のやり取りを行なうことで税金支払いやビザ更新の際にとても大切な証拠となることもあるのです。
関連記事:
オランダ・3つの主要銀行
オランダの三大銀行というのは
- ABN・AMRO
- ING (ING銀行)
- Rabobank(ラボバンク)
になります。
①ABN・AMRO
ABN・AMRO銀行は歴史も古く、インターナショナルに比較的対応された銀行と言えます。銀行のホームページは英語表記に切り替えることができて、駐在員やオランダに居住しない人向けの特別対応もあります。
また15カ国語に対応して接客ができる(一般窓口では不可で主要都市に窓口あり)などのサービスも謳っています。
企業カラーはアップルグリーンです。少しお堅い銀行というイメージがあります。
筆者はオランダに来て初めて作った口座がABN・AMRO銀行でしたが、店舗訪問の際のアポイントメントが無いと、口座開設の相談であっても受け付けてくれないので要注意です。
(予約も日本の様に今日予約して明日というものではなく、一週間後くらいで早い方ということが多いです)[a]
また、インターネットなどで買い物をしてPINカードで支払いをする場面になった時に、ABN・AMRO銀行のPINカードを所持している場合、銀行が支給するPINコードマシンを利用して暗証番号を入力しなければならないので、少し手間がかかります。
また、外出先などの場合にはそのPINコードマシンを持ち歩かなければならないため、荷物になります。
②ING (ING銀行)
INGはオランダで活躍する全ての人々を支援できるようにという視点から、運営している銀行です。
社会活動も豊富ですのでホームページを閲覧するとオランダ社会のことが少し見えてくるように作られていて面白いです。英語表記への切り替えもできます。
企業カラーはオランダの象徴でもあるオレンジで、ライオンのマークが目印です。
日本への進出経験もある企業ですので、目にされた事がある方も居るかもしれません。
INGは口座開設の際のアポイントメントは必要ありませんので、直接最寄りのING窓口へ行き、行員の方に相談することができます。
2019年までにINGモバイルバンキングアプリを使って自分の銀行口座を管理するように顧客を誘導しているだけあり、そのアプリも使いやすくオランダ社会にマッチした銀行と言えると思います。
URL:ING公式ホームページ
③Rabobank(ラボバンク)
ラボバンクはオランダ人に人気のある銀行です。
それはラボバンクのホームページを見れば一目瞭然ですが、オランダ語にしか対応していない点です。
企業カラーはダークブルーとオレンジです。
しかしホームページ自体はとても見やすく、ING銀行と同じくオランダ社会の現状が少し見えてくるような作りになっているため、オランダ語が理解できる方やチャレンジしてみたい方は是非、見てみて下さい。
ラボバンクもABN・AMRO銀行と同じく、インターネットでのPINカード利用時にはPINコードマシンが必要になります。
URL:Rabobank公式ホームページ
筆者がおすすめするオランダの銀行とその理由
筆者がおすすめするオランダの銀行はING銀行です。
オランダに長期滞在を決めて入国したばかりという状況を考えた場合、できる限り省けることは省きたいですし、オランダ語や英語に慣れていない状況であったり、何よりオランダの社会の仕組みが分かっていない状況ではできる限り分かりやすい方が良いです。
その様な視点から考えた場合、ING銀行は的確な銀行と言えます。
筆者もING銀行の利用者の一人です。
オランダの主要バンクでもご紹介した様に、ING銀行は予約が不要です。
オランダ社会は全てにおいて予約が求められる事が多いので、その中で予約不要という点はメリットが大きいのです。
それから、最初は物珍しさで街に買い物に出向く機会も多くなるでしょうが、生活し始めるとやはり便利なインターネットでの買い物などを利用する機会が増えてきます。
そんな時にPINコードマシンをいちいち出してPINコードを入力してという動作はとても面倒です。
ING銀行の利用者はモバイルバンキングアプリに銀行情報を登録してあるため、インターネットのサイトでの支払い画面でPINカードでの支払いを選択し銀行を選択すると、自動的にアプリの支払い画面に飛ぶようにできています。
手間が無く、本当に便利です。
そしてINGの「My ING」と呼ばれる個人の口座管理サイトも使いやすく、見やすいです。
条件設定や個人情報の設定なども自分で選択ができるようになっています。
学生カード(AMRO銀行もあり)もあり、学生には貯金の内のいくらまでは使えるお金、いくらまでは貯金するお金といったように、口座管理ページ内で予算管理ができるシステムもとても良いと個人的に感じています。
※ここでいう学生とは18歳未満の子供のことを指します。(オランダの成人は18歳から)
口座開設方法(ING銀行の場合)
基本的にIDカードを取得できれば、それとパスポートをING銀行へ持って行けば口座は開設することができます。
しかしIDカードを取得できていない場合は
- オランダに居住していることを証明できるもの
- オランダで働いていることを証明できるもの
- オランダで勉強していることを証明できるもの
- オランダで家を所有していることを証明できるもの
のいずれかを提出できれば銀行口座の開設ができます。
居住証明書はbevolkingsregister (BRP→Basis registratie personen)という書類で、居住している自治体の役所のホームページから申請することができます。
働いている証明は雇用証明書を勤め先で発行してもらう必要があります。
オランダの学校で勉強している場合には教育機関に相談してみると良いです。
オランダで家を所有している場合には土地の登記所に連絡して、所有権情報を発行してもらう必要があります。(サイト→www.kadaster.nl)
留学生の口座開設に関しては銀行期間によってかなり差があるので注意が必要
BSN→ Berger service nummer(住民登録ナンバーBRPに登録されることで得られる番 号)が無くても口座開設してくれる銀行(支店)もあることも。
しかし基本的にはBSNが必要です。
解決策の一つとしては在籍している学校の学生課に相談して口座開設を行なう策があります。紹介状や在籍証明書などを発行してもらうことで対応してもらえる様です。
口座開設の際に必要な電話番号(モバイル可)も基本BSNが無ければ開設できないのですが、こちらは後から銀行に知らせるという形でも大丈夫です。
例え口座が作れたとしても帰国する際には口座をきちんと解約しなければトラブルに繋がることも多いそうなので注意が必要です。(口座維持費の問題など)
口座を開設する際の注意点
日本では聞き慣れない口座維持費
オランダでは、IDカードを所持していれば口座開設は簡単に行なうことができますが、口座を維持するための手数料がかかります。
銀行によって様々な条件の下、その手数料が緩和されるというものがありますが、日本のように無料にはなりません。
しかし、オランダの銀行の口座を持っていると、オランダの銀行間の送金や買い物でPINカード(クレジットカード)を利用することなどは常に無料でできる点や、SEPAの国に無料でユーロを送金できる事、現金引き出しの無料、口座ページのフレキシブルさなどを考慮すると、この口座維持費は安いものだと思います。
ING銀行ではこの口座維持費の緩和の条件に次のようなものがあります。
現金の引き出し回数がが少ない人、若しくは無い人の維持費には登録することで割引が行なわれるが、もしその登録者が現金を引き出す場合には手数料が発生するというものです。
登録していて状況が変わり、現金を引き出すことが多くなれば、管理サイト上でいつでも変更することができます。
やりとりは英語で通じる?
INGのサイトの口座開設の流れの中での助言として、「口座開設時のやり取りは基本的にオランダ語で行なわれるため、あなたがもしオランダ語を話せないのであれば、話せる誰かと一緒に来店されることが望ましい。」とあります。
しかし筆者の経験上、窓口の方は英語で対応して下さるので、その辺は強く意識する必要はないと思います。
ただ、助言としてあるので、もしかしたら英語が話せない行員の方もいらっしゃるかもしれないということは忘れずにいましょう。
アクティベーションコードって何?
これはING銀行に限られたわけではなく、オランダの様々な登録関係の際に用意されるコードですが、ING銀行の開設時のアクティベーションコードというのは、口座開設の申し出を銀行にすると、オランダの登録住所にいくつかの必要書類が届きます。
それが全て届いた時点で再度銀行に行きます。
その際に渡される書類の中にアクティベーションコードが入っています。
これはモバイルバンキングを最初に使用する際に必要となるコードです。
アクティベーションコードとは必要な動作を可能にするための解除コードの様なものです。ですから必ず無くさないようにして下さい。
※オランダの銀行書類は全てバラバラに届きます。ご丁寧に一つ一つ封筒に入って届きますが、これはセキュリティーの問題からです。
日本からオランダ、オランダから日本への送金についてと注意点
日本の銀行口座が存在する場合にそこからオランダの銀行に送金したり、またオランダの自分の口座から日本の所定の銀行口座への送金(振り込み)などが発生することも時にありますが、基本、現住所が日本に無い場合は日本の銀行口座は維持できないことになっています。
2019年辺りから、日本の銀行の取り締まりも更に厳しくなってきています。
(マネーロンダリングの懸念から)しかしオランダに短期で滞在している方や法定内で口座維持をされている方にとってはそれらのやり取りの際にどうしても問題となるのが送金手数料です。
筆者もオランダに来た当初日本の銀行口座からお金を移す際に、驚くような手数料を徴収されました。
そこから色々と調べて知ったのがトランスフォーワイズという送金方法でした。
トランスフォーワイズはその名の通り賢い仕組みで世界中で送金ができます。
簡単に言えばお金のマッチングサイトです。
ここを通して送金することで、銀行間で行なっていた手数料が嘘のように軽減されるのでお勧めです。特に頻繁に送金を行う方にとっては便利な方法と言えるでしょう。
手数料が断然安くなる場合も。最新の海外送金方法
最近ではTransferWiseという新しいシステムを用いた送金方法もあります。オランダと日本はこちらのシステムに対応していますので、ぜひチェックしてみましょう。
注意点としては居住地の銀行口座が必要になることと、事前登録が必要であることです。
登録は簡単で、必要書類なども日本であればマイナンバーがあれば簡単に終わります。
ですから世界のどこかに移住する予定がある方は、事前にその事も頭に入れておくと良いでしょう。
おわりに
オランダ社会で生活をするには現地の銀行口座が有るだけで物事が早く前に進みます。
最近オランダの主要バンクではApple payでの支払いに対応もしてきています。そうすることで今度はPINカードが不要になります。
オランダ社会はこの様にどんどんとキャッシュレス社会の先を行こうとしています。
世界中の日本人が参加する「せかいじゅうサロン」
世界へ広がる海外移住コミュニティ
世界中の日本人同士が繋がり、情報提供したり、チャレンジしたり、互助できるコミュニティ「せかいじゅうサロン」
参加無料。気軽に繋がってください。(2022年6月時点:参加者3600名超えました)
“【特別公開】世界で自由にひとりIT起業”
WEBマーケティングスキルは「世界どこでも働けるワークスタイル」を可能に。
1年で海外居住資金も作れるWEBスキル講座を無料配布中↓