アメリカの脱プラスチックへの取り組みと対策。実例紹介

アメリカの脱プラスチックへの取り組みと対策

数年前からニュースにも多く取り上げられている、プラスチックの削減。

実はアメリカは近年、環境保護対策を徹底しています。

ここでは、その工夫を一部をお伝えします。

アメリカのプラスチック問題

アメリカは国土の広さと人口の影響からか、世界最大のプラスチック廃棄国。

その割合は、世界の約17%を占めていると言われています。

特に最近では、浜に打ち上げられた鯨の体内から、大量のビニール袋が出てきたと話題になりました。

これは、使用された袋が適した処理をされず、そのまま海に流れてしまったことが原因だそうです。

アメリカは日本に比べると、ゴミの不法投棄や、いわゆるポイ捨ての多い国です。

たかが少しのゴミですが、アメリカに住む3億人もの人がポイ捨てをすればどうなるかは火を見るより明らかです。

実際に米国産海洋プラごみのうちの約8割以上が、不法投棄とポイ捨てによるものというデータもあります。

〈アメリカの米国産海洋プラごみの内訳〉

150万トンの内訳:

  • ポイ捨て84万トン(約56%)
  • 不法投棄41万トン(約27%)
  • リサイクル13万トン(約9%)

参考記事:The U.S. Should Stop Blaming Other Countries for Plastic Pollution,GIZMODO

このことを聞き筆者も少しでもプラスチックの使用を抑えて、環境保護に尽力すべきだと強く考えたことを覚えています。

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アメリカのスーパーのレジ袋

アメリカではさまざまなプラスチック削減対策が取られていますが、まず最初はスーパーのレジ袋です。

これは日本でも有料化などの対策が取られていますよね。

実はこのレジ袋有料化は、アメリカでは日本より前に実施されていたんです。

また一部の州ではレジ袋自体使用禁止にするところもあります。

アメリカの買い物バッグ

やはりお金を払ってまでビニール袋を貰いたいという人が少ないのはどこでも共通らしく、エコバッグを持参する人が増えています。(現在はコロナの影響で、レジ袋無料化の動きのある州もあります)

筆者の住むコロラド州では、レジ袋を消費しないように、ご当地のバッグが配布されています。

ルームメイトと買い物に行くときは、これを持ち歩いています。

また、レジ袋の代わりにお金を払うとお店オリジナルのカバンや、紙袋に商品を入れてくれるお店もあり、ビニール袋の削減に色々な工夫がされているんです。

さらに、一部の学校ではゴミ箱に使用するものがビニール袋から紙に変わってきており、身近なところでも袋の使用率の削減が見られています。

私たちが最も使うプラスチックといっても過言ではないビニール袋ですが、少しずつ使用する量を減らすことが大切ですね。

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野菜や果物の陳列

日本ではプラスチックの網や袋に入れられていることの多い野菜ですが、アメリカでは少し違います。

アメリカでは広いエリアに野菜が置かれており、自分で必要な量をとって袋に入れるシステムです。

さらに、最近ではその袋もビニールから紙袋に変わりつつあります

必要に応じて必要な分の食材だけを購入する計り売りのシステムなので、食品ロスも少なくなっています。

アメリカのスーパーの野菜や果物の陳列

さらに、自分で食品を入れるための容器を持参した人は、会計の際に割引をしてくれるお店もあります。

実は最近、ニューヨークに”Precycle”というお店ができました。

このお店は、「梱包しない」というのをスローガンにしており、商品は全て持参した容器かお店の瓶を購入し、欲しいものを入れる計り売りになっています。

もちろん野菜をはじめとする全ての商品は、梱包されておらず、そのまま陳列されています。容器の瓶も再利用できるものなので、ゴミの増える心配もありません。

アメリカ、ニューヨークのprecycle

日本では過剰包装が問題視されることもしばしばありますよね。

ジュースひとつでも頼めば包装してくれるようなホスピタリティーです。ですが、このようなお店をきっかけに、本当に必要なサービスなのかを考えられるようになればと思います。

建物内のウォーターサーバー

日本のウォーターサーバーといえば、蛇口を捻って出る水を飲むスタイルのものが主流です。

もちろんこのタイプのウォーターサーバーもアメリカにもあるのですが、最近では少し違うタイプのものが主流になっています!

それがこちら↓

アメリカのウォーターサーバー

え、どうよって飲むの?と思うかもしれませんが、実はこれ、空になった水筒に水を入れるためのウォーターサーバーなんです。

写真の水筒のイラストの部分にボトルを置くと、上から水が出てくる仕組みになっているんです。

実際に私が調べてみたところ、各建物に1つはこのウォーターサーバーがあることが分かりました。

いつでも水筒に水を入れられるから、自販機でプラスチックのボトルを買わなくていいというアイデアですね。

考えてみれば学校内で自販機はあまり見たことがないです。

アメリカ人のルームメイトにこのことを聞いてみると、
「お金もかからないし、環境にもいいからステキなアイデアだよ」
「直接飲むタイプは、今はコロナもあるし使う人は少ないんじゃないかな」
とのこと。

また中学校や高校にも、このタイプのウォーターサーバーがあるそうです。

頻繁に水筒に水を入れれるので、大きな水筒を持ち歩く必要もなく楽ちんです。

校内のカフェテリア

筆者の通っている学校には、校内にたくさんのカフェテリアがあって、コーヒーやフラペチーノなどを買うことができます。

その中でも、私の行きつけのカフェは、カップを持参するとコーヒーが一杯無料でもらえるんです。

また、他のカフェでも、自前のカップを持っていくとディスカウントをしてくれるなど、プラスチックのカップを消費しないための取り組みがあるんです。

学校のカフェは利用する生徒が多いので、この対策は効果的だと思いました。

さらに、学校の環境保護対策で私がとても驚いたのが、オンラインでの私生活の点数化でした。

普段、自販機ではなく水筒を持ち歩いているかなど、環境保護のための質問が多くあり、現在の自分の行動を数値化してくれるのです。

校内での直接的なプラスチック削減のための活動も大切ですが、間接的にエコを思い起こさせてくれるシステムも素晴らしいと思いました。

その他のプラスチック対策

アメリカは環境対策を徹底していることが分かりましたね。

ですが、アメリカのスゴイところはプラスチック削減だけではないんです。それを少しだけ紹介しますね。

私がアメリカの大学で生活し始めて一番驚いたのが、フードパントリーの存在でした。

フードパントリーは、十分な食事を取るだけのお金のない生徒に向けて、無料で食料を提供するサービスなんです。

実はアメリカの大学生の5人に一人は飢餓状態だというデータがあるそうなんです。

そこで、フードパントリーでは、野菜やフルーツ、牛乳、卵、缶詰といった様々な食材を無料で提供しているんです。

学生であれば誰でも無料なので、私もクッキーなどのお菓子を定期的にもらっています。

しかも子供のいる学生向けに、オムツなども置いてあるんです。

もちろんこの時も、エコバッグの持参が必須なので、持ち帰るためのビニール袋は提供されていません。

さいごに

アメリカはプラスチックの廃棄量は世界で一番ですが、その分近年ではたくさんの対策が練られていることがわかっていただけたかと思います。

町のスーパーをはじめ、学校内でもバッグの持参や割引など、沢山の工夫がされています。また、オンラインでのテストは生徒に環境保護の考えを持たせるのにとても適しているのではないかと思います。

まだまだ改善の余地は多いですが、人口が多い分一人一人がこのような取り組みに協力的になれば、大きな効果があるのではないかと思っています。

そして、私たちもプラスチックの問題を他人事とせず、簡単なリサイクルからでも初めていくことが大切なのではないでしょうか。

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