車社会のアメリカでは一部の地域を除いて、車を所有している人がほとんどです。車がなくては仕事にも行けないし、買い物にも行けません。
渡米後の生活準備でも、まずは家探しと車の購入という方が多いでしょう。
アメリカにおける車の利用方法は
- 新車購入
- 中古車購入
- リース
- カーシェア
など複数の方法があります。
ここでは、アメリカ生活で新車を購入して維持し、帰国時に売却する流れを紹介します。
アメリカで新車を購入。4つのステップと留意点
1.ディーラー選び
新車はメーカーの正規代理店のみで購入することができます。一般の販売店でも新車販売の広告を出していることもありますが、それは仲介となり手数料が発生します。
値段はどのディーラーで買っても大きな違いはないでしょう。
注文生産の日本と違い、在庫販売方式のアメリカでは店に置いてある在庫の中から選び、即日販売が可能です。
つまり、色やオプションなどが自由に選べる訳ではないので、事前に希望の車種、色、機能が揃った車を保有しているディーラーを調べます。
新車や中古の情報が掲載されている
Kelley Blue Book:http://www.kbb.com/
などをから探すことができます。
また、日系ディーラーや日本人スタッフが働いている店舗であれば、日本人の対応に慣れていて要望や意図を汲み取ってくれやすいです。
2.ディーラーに予約
希望の車を保有しているディーラーを見つけたら予約をして見に行きます。
店頭に飛び入りで行っても対応してもらえますが、あらかじめ希望を伝えておいた方がスムーズです。
じっくり選びたい、という人は何店舗も回りますが、手間と早く車を手に入れなければならないことを考えると実際には3店舗程度を比較するのが丁度いいでしょう。
3.車の確認、試乗
店舗に到着すると広い駐車場にずらりと車が並んでいます。希望の車を見せてもらい、乗り心地や機能を確認します。
パスポートと国際免許証を提示すれば運転可能なので必ず試乗しましょう。
新車とはいえ、車によって癖があったり不具合が見つかったりします。
4. 値段交渉・契約
アメリカでは値段交渉が当たり前で、交渉のプロセスを楽しんでいるようですが、慣れてないと大変です。
値引きは1割程度が最大だと言われています。
値引きができないならオプションを付けてもらうなど、相手から少しでも有利な条件を引き出します。
交渉方法は日本で購入する時とさほど変わりません。上司にかけあったり、他のディーラーの車も検討している、など。営業担当のペースに乗せられないことが重要です。
一人で行くよりは在米期間が長い同僚やアメリカ人の知り合いに同行してもらう方が良いです。
支払いは現金一括払いが一般的です。
といってもお金を直接持っていく訳ではなく、小切手を使います。
渡米直後はクレジットヒストリーが無いため、通常ディーラーでローンを組んだり、リースで車を買うことはできません。もし組めたとしてもかなりの高金利となってしまいます。
自動車保険の加入
車の購入と同時に自動車保険に加入します。加入しないと車両登録ができません。
州によって加入できる保険の補償内容は様々です。
日本の自賠責のように加入が義務付けられているのが損害賠償責任保険(Liability)です。
これは対人、対物事故が起き、損害賠償責任が生じた時に支払われます。
州によってそれぞれ必要最低補償額が定められており、上限額は自分で設定できます。
しかし、これだけでは自分側の医療費や車の修理費用は補償されないので、
- 搭乗者傷害保険 (Medical)
- 車両保険 (Collision & Comprehensive)
なども追加で加入する必要があります。
そして保険に加入していない相手との事故にも対応できるように、無保険者保険(Uninsured Motorist)も付けておきましょう。
日本のように、本来義務付けられている損害賠償責任保険への加入が厳しく確認する制度がないので、保険に加入してない人も多いです。
保険料は年齢、性別、居住区域、車種、事故歴などを総合的に判断して算出されます。
日本と同様、若い人の保険料は高く設定されており、25歳以下だと割増になる会社が多いです。更新時には最新の情報に基づいて新たな保険料の見直しがされます。
アメリカで有名な自動車保険は
- State Farm
- GEICO
- Allstate
- USAA
- American Family
などが挙げられます。
Travelersのように日本の保険会社や航空会社と提携している会社であれば、日本語で対応可能だったり、日本での運転歴を考
慮してくれたりします。
リスクを回避し、十分な補償が受けられるよう、ご自身に最適な保険を選びましょう。
登録とナンバープレートの発行
車を購入したら、以下の手続きが必要になります。
新車を購入する場合はディーラーがこれらの手続きを代行してくれます。
- 州で定められた検査を受ける(日本の車検のようなもの)
- 自動車の登録をして証明書を発行する
所有権証明書(Certificate of Title)
車両登録証明書(Registration) - ナンバープレートを発行する
所有権はディーラーから購入者に移行し、車両登録には自動車税も含まれています。
もちろん、個人売買の際は自分で手続きができます。
「Application for (州の名前) title」で検索すれば各州のDMVに掲載されている書式や方法が見つかります。
また、ナンバープレートはデザインや好きな文字を組み合わせてオリジナルプレートを作ることができます。
各州のDMVのウェブサイトから申し込みできます。
選べる柄の種類は実に豊富で、「License plates, special, personalized」などのキーワードで探すと面白いデザインが出てくるので参考にしてみて下さい。
※DMVとは:Department of Motor Vehiclesの略で、運転免許や車の税金などを取り扱い、日本で言う運転免許センターのようなもの。
毎年の自動車税の支払い。支払い時期は所有者によって異なる
Vehicle Registration Feeとして毎年税金を納めます。
アメリカの場合、納税時期は車を購入して登録した月が締め切りとなり、所有者によって異なります。
日本のように排気量や経過年数によって金額が増えることはありません。
支払通知が届けられるので、オンラインでカード決済、小切手を郵送、取り扱い窓口に直接出向く、のいずれかの方法で納めます。
支払いが完了すると証明としてステッカーが送られてくるので、フロントガラスに貼ります。
また、一部の州では資産税として保有することに税金がかけられます。
金額は車の価値の1%未満程度に抑えられており、資産価値の減少に伴って年々減額されていきます。
アメリカでの車検。費用は安く、点検周期は州による
アメリカには日本のように統一された車検制度はありません。
州によって法律が様々で、
- 毎年車検(State Inspection)を受けなければいけない州
- 2年に一度スモッグテストと呼ばれる排ガス点検をしなければいけない州
- 何も規制がない州
などあります。
費用は若干バラつきがありますが、数十ドル程度なので日本と比較するととても安いです。
これには税金や保険は含まれず、単に車の状態を調べるのみだからです。
車検ができる場所はディーラー、オイルショップ、修理工場など車の整備をしているところなら可能です。
「Vehicle Inspection Location or Station」というようなキーワードで検索すれば自宅周辺で車検ができる場所を探すことができます。州政府の公式サイトで検索できるところもあります。
合格すればステッカーの発行手続きをして車のフロントガラスに貼ります。
うっかり車検の期限を過ぎてしまった場合・・
速やかに点検してもらいましょう。
私は一度期限ギリギリで気付いて車検に行ったのですが、ちょうどクリスマス直前で手一杯とのことでした。一番早い予約でも何日か期日を過ぎてしまいます。
他の場所も同じような状況で困っていたら、スタッフがアドバイスをくれました。
もしも警察官に車検のことを指摘されたら、「期限前に車検を受けようとしたが受け入れ側の都合で予約が取れなかった。」と言えばいいということです。
要は期限内に車検を受けようと行動したと示すことが重要なようです。
渡してもらった予約控えには受付日も記載されていたので、いざとなったら控えを見せようと考えていました。
各自でのメンテナンスの重要性
車検の点検項目が厳しく定められていないものの、その分車両整備は各々の責任に委ねられていると言えます。
アメリカで車を所有するならばメンテナンスをしっかりしておくことはとても重要です。
理由は4つあります。
まず、アメリカでは一部の都市を除いて移動手段として車が必需品です。
不具合が出て、修理に時間がかかる場合、不便な状況に陥ってしまいます。生活に車が欠かせないため修理期間中はレンタカー費用もかかるでしょう。
次に、アメリカでは長時間ドライブの外出や旅行は一般的です。
都市間を運転する時は周りに何もない道が日本の比でないくらいずっと続きます。
そんな場所でトラブルが起きてしまうと、命に係わる場合もあります。
また、古くなったタイヤで走り続けて、高速道路を走行中に破裂した…なんて話は日常茶飯事です。道路上に裂けたタイヤの破片が落ちているのをよく見かけます。
3つ目は事故に遭ったときのリスクとトラブル回避のためです。
訴訟大国なので、もしも整備不良の車を運転していてトラブルが起き、裁判になったら莫大な賠償金を支払う可能性もあります。そうなってしまった場合、定期的にメンテナンスを受ける方が結果的には安くつくと言えます。
最後は、きちんとメンテナンスしておけば車を売却する時に有利だからです。定期的にメンテナンスされて良い状態の車は評価も高く、交渉のときにより高い金額を提示することができます。
メンテナンスの頻度、方法
メンテナンスの頻度は車の使い方によって様々です。
走行距離に応じてエンジンオイル、フィルター、バッテリー液、タイヤの空気圧などのチェックや補充を行っていくのがいいでしょう。
エンジンオイルは3000マイルか3ヶ月毎に交換をするのが一般的です。
長距離通勤をしたり、よくロードトリップに出かける人だと頻繁に必要になります。
簡単な点検や補充であれば自分ですることも可能です。
ホームセンター発祥の地であるアメリカでは、オイルや部品の交換などであれば自宅で行ってしまうという人も少なくありません。タイヤの空気圧はガソリンスタンドに併設してある機械を使って$1程度で空気を供給できます。
しっかりとメンテナンスをする人がいる一方で、自己責任の下に車を維持するのをいいことに、放ったらかしの人もいます。
テールランプが複数故障していたり、今にも外れそうなドアを紐とガムテープで固定したりと、酷い状態で動いている車もあるのが現実です。
このような例は極端ではありますが、何事も自己責任の国では、自己防衛のために定期的に車をメンテナンスするべきです。
メンテナンスを取り扱っている場所
ディーラーやオイルショップ、整備工場、タイヤ販売店で取り扱っています。
また店舗によってはSears や Walmart でも可能です。大手だと以下の店が探しやすいと思います。
Jiffy Lube:https://www.jiffylube.com/
Fire Stone:https://www.firestonecompleteautocare.com/
Goodyear:https://www.goodyear.com/en-US/tires/tire-shop
ディーラーや懇意にしている店があれば定期点検のお知らせや割引情報などが届くので上手く活用しましょう。
もしも車が壊れたら??修理の方法
修理が必要になった場合、どこに依頼するか迷うでしょう。
腕が良くてコストも抑えられるのが一番ですが、信頼できるところを探すのも一苦労です。
修理する時のポイントは
- 複数から見積もりを取って比較する
- 腕の良いメカニックエンジニアを探す
- 修理内容によって使い分ける
の3つです。
1. 複数から見積もりを取って比較する
複数の店に見積もりを依頼するのは手間がかかりますが、相手が提示する金額が相場と比べて相応なのか知るために必要です。
見積もり内容を比較して、何にお金がかかっているか知っておきましょう。そして依頼する前に金額交渉をするなら、他社の具体的な見積もり金額があると作戦を立てやすいです。
2. 腕の良いメカニックエンジニアを探す
同じエンジニアでも腕の良し悪しは千差万別です。せっかく修理してもらっても、完全に直ってなかったり、すぐに不具合を起こすようでは意味がありません。
実際に使ってみなければわからないことなので、事前に知り合いから情報を仕入れたり、利用した人のレビューを読んで判断しましょう。
3. 修理の内容によって使い分ける
簡単な修理であれば小さな整備工場やオイルショップでも可能です。
車のボディが凹んでしまったor破損した、ガラスが割れたなど、板金や塗装が必要な場合は主にボディショップが担当します。
修理の難易度が高い場合はディーラーに持って行ったほうが確実です。
一般的にディーラーは金額が高いですが、その分しっかり直してくれます。高い理由は作業員の費用が他に比べて割高で、純正部品を使うからです。不備やトラブルがあってもきちんとクレームを出せば対応してもらえます。
ディーラーにしか直せない故障もあるので、修理したい箇所や内容によって使い分けるのがいいと言えます。
AAAに認定された修理工場なら、比較的安心できます。
もしも修理ミスがあった場合、同じ箇所は無料で修理してくれます。利用する際にAAAのメンバー登録は必要ありません。
AAA Approved Auto Repair Shop :https://www.aaa.com/autorepair/
お住まいの地域に日本人経営または日本語ができるスタッフのいる店があれば、そこを利用するのもひとつの方法。
在住日本人からの情報も得られるでしょうし、日本語でコミュニケーションを取れるのはメリットが大きいです。
ただし、オーナーが日本人でも従業員は現地の人ということが多いので、日本語が通じるという部分だけで安心せずに、仕事の精度もきちんと見極めましょう。そしてその店で対応できないこともあるので要注意です。
個人的な経験では、交通事故が原因で日本人経営の修理屋に依頼したけれど、完全には直っておらず、後日ディーラーで同じところを直してもらったという苦い出来事がありました。
また、新しいモデルだったので部品が修理屋になかったり、コンピューターで情報をインストールできず、途中でディーラーに持っていって掛け持ち修理もしていました。
結局、当初の見積もりの倍以上の金額を支払ったことになります。
このケースはまさに難易度が高い部類に入るので、少々金額が高くても最初からディーラーに依頼するべきだったと反省しました。
リコールの対象になったら?
購入した車がリコールの対象になった場合、ディーラーから通知が届きます。
中古車や個人間売買で購入してもDMVが情報を管理して所有者を把握しているようです。
通知が届いたら、近くのディーラーに問い合わせて予約をします。
混み具合によってはすぐに予約が取れなかったり、部品を取り寄せるのに数日から数週間かかることもあります。特にホリデーシーズン前は混むので要注意です。
点検は通常、数時間~1日で終わりますが、レンタカーが必要な場合はディーラーと交渉します。何度かリコールを経験しましたが、1日分なら費用をディーラーからメーカーに請求してくれ、無料で利用できました。
もしも、通知が届いた時にすでにその車のオーナーでない場合や近々車を売る場合はDMVにその旨を連絡しましょう。
アメリカのチャイルドシート事情
家族帯同で子供がいる場合は、チャイルドシート(アメリカではCar Seatと呼ぶ)も用意しましょう。
州ごとに法律と対象年齢が違うので、居住地域の法律を確認し、適切なチャイルドシートを入手します。
日本で使用していたチャイルドシートをアメリカでも継続して使うのはおすすめできません。
双方の国の規格が違うので、日本製のチャイルドシートを使っていて事故に遭った場合、保険の補償適応外にされたり、自分にも過失があったとみなされて不利になる可能性があるからです。
車の売却方法は2種類
車の売却方法には2種類あります。
- 中古車買い取りの取り扱い業者
- 個人に引き取ってもらう方法
です。
アメリカでは中古車の需要が多いので、車種や状態によっては日本よりも高く買い取ってくれることが多いです。
一般的に事故歴や修理歴があると車の価値が下がり、買い取り金額も相場より安くなります。
これらの記録はVIN(Vehicle Identification Number)ナンバーに登録されており、Kelly Blue BookやCARFAX(http://www.carfax.com/)などのウェブサイトを使って誰でも調べることができます。
売る時の車の価値を知っておくためにも、事前に調べておくと良いです。
・中古取り扱い業者
大手中古車販売業者のCarMAX(https://www.carmax.com/)や中古車も販売しているディーラーなどに持ち込んで査定してもらいます。
手続きの容易さから、日本語の通じるGulliver(https://www.gulliverusa.net/)も人気があります。
一度査定に持って行くと中古販売のマーケットにその値段が記録されます。
1週間以内に売らなければ、その査定金額一旦白紙になり、次回に売りたい時に査定額が下がってしまうので注意しましょう。
・個人売買
事故歴や傷がある場合や、少しでも高く売りたい場合は個人売買の方が交渉しやすいです。
主に以下の4つの方法が挙げられます。
- 知り合いに譲る、または紹介してもらう
- コミュニティや店の掲示板にチラシを貼って募集する
- 車に「For Sale」の表示をして連絡先を記載する
- Ebay、craigslist、pennysaverなどのウェブサイトに掲載する
個人間の交渉なので互いが納得するまでに時間がかかる場合もありますが、知り合いや紹介で商談を進めるならすんなり決まることも。
交渉相手から車の写真を依頼されたり、状態について質問を受けたら真摯に対応しましょう。
交渉中には必ず試乗を依頼されるので、注意が必要です。たまにそのまま乗って行ってトンズラする悪質なケースも耳にします。
そして支払いは一括払いが基本です。支払いと持ち主の登録変更のタイミングも重要なので譲渡手続をする際には慎重に行って下さい。
おわりに
快適なアメリカ生活を送るためにも車は重要な役割を持っています。
賢く購入して安全に利用できるようにこのコラムがお役に立てれば幸いです。
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