イギリスに滞在中、もしけがや病気をしたらあなたはどうしますか。
そうなった時に知っておいてほしいイギリスの医療・病院事情をご紹介します。
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あなたはどうする?イギリスで病気やケガをした時
そもそもイギリスにはどんな病院があるでしょうか。
大きく分けると3種類あります。
- 一つ目はイギリスの公的医療機関であるNHS
- 二つ目は現地のプライベートホスピタル
- そして三つ目は日系のプライベートホスピタル
です。
今回は特にNHSと日系のプライベートホスピタルに関して比較をします。
治療費が全部無料!イギリスの公的医療機関NHS
そもそもNHSって何?
NHS(National Health Service)は、イギリス国民とイギリスで生活する外国人のためのイギリス政府が運営する公的な医療機関です。
特筆すべき点として、人々の収入にかかわらず基本的に無料で治療を受けることができます。
ただし例外があり、
- 眼下健診
- 歯科検診
- 処方箋料
は別途費用が掛かります。
参照:About the National Health Service (NHS)
誰がNHSで診察してもらえる?
NHSで医療行為を受けることができるのは、
- イギリス国籍を持っている人
- ビザを伴う長期滞在をしている人
- イギリスの永住権
を持っている人たちで、旅行で滞在している人たちはこのサービスを無料で受けることはできません。
さらに、日本人を含めた欧州経済領域(EEA)外出身者は、ビザを発行する際にヘルスケアサーチャージと言って一定の保険料をあらかじめ支払っている必要があります。
2018年現在は、学生ビザとYMSビザの場合は1年あたり150ポンド、その他のビザは1年あたり200ポンドかかります
参照:https://www.gov.uk/healthcare-immigration-application/how-much-pay
NHSのかかり方
NHSでの医療行為を受けるためには、まず自分の最寄りの地域のGP(General Practice )に登録する必要があります。
GPとは、公立の診療所のことで、日本と違って自分の好きなところに行くのではなく基本的には一度決めた場所に通うことになります。
GPに登録して数週間すると、NHS番号を郵便で受け取ることができます。
これで、GPに直接行くか専用のウェブサイト上でアポイントメントを取ることができます。
ウェブサイトでは10分刻みで日時と担当医を選ぶことができるので、好きな時間帯の予定を取って当日を待ちます。
診察の日は約束の時間の数分前に現地に行き、待合室に行きます。
順番が来たら待合室の電光掲示板に名前が表示されるので、指定された部屋に行って診察を受けます。案件によってはドクターもしくはナースが対応することがあります。
イギリスの緊急医療室A&E
体調が急変したり事故に遭って大けがをして一刻を争ったりするときは、GPではなく各NHSの総合病院に併設されているA&E (Accident and Emergency)を利用することができます。
ここは、24時間体制の緊急治療室で緊急性の高い症状の患者が訪れる場所で、予約なしで行くのが普通です。
しかし、常に何人もの患者が待合室に集まるので症状が深刻な人が優先的に診てもらえます。
比較的症状が軽い患者さんは2時間以上待つこともしばしばあります。
イギリスにいながら日本人に診てもらえるロンドンの日系病院
意外にある!ロンドンの日系病院
イギリス全土で生活する日本人は2016年10月の時点で64,969人と言われており、ロンドン市内だけでも3万人を超します。
ヨーロッパの中でもロンドンは日本人コミュニティーが大きい地域なのです。
ですから日系のプライベート病院にも需要があるためか中心部だけでいくつか病院があります。
例えば、
などです。
日系病院にかかるメリットはなんといっても言葉の壁を気にしないでいいところです。
職員全員とは限りませんが、各病院に日本人の看護師、受付、または医師がいるのでロンドンにいながら日本語で対応してもらえます。
診察も対日本人仕様なので、薬や治療法は日本人になじみのあるものを極力使ってもらえることも嬉しいメリットです(ただし、薬はイギリスで認可されたもののみが処方されます)。
ロンドンの日系病院の費用、かかり方
ここまで至れり尽くせりなら日系病院一択!と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで日系病院へのかかり方と費用を解説します。
極論を言えば、何も用意せず身一つで来院することは可能です。
ただし、ロンドンの日系病院は全てプライベートなので自費診療になります。
もしも海外旅行保険等に加入してから渡英した際は、原則事前に保険会社に病院にかかる旨を連絡し、保険証書とパスポートを持っていく必要があります。
この場合、医療費は保険でカバーされるのでキャッシュレスで診察を受けることができます。
患者がイギリスで就労している場合、会社が治療費を負担してくれる場合もあります。
各会社に専用のフォームがあるのでそれを持っていって病院で書いてもらうようお願いしましょう。
もう一つ大切なのが、特に海外旅行保険で対象外とされることの多い歯科治療について、日本で健康保険・国民健康保険等に加入している場合、還付金申請が可能な場合があります。
これもまた、会社によってフォーマットが異なりますので確認の上その旨を病院側に伝えましょう
さらに病院によっては、初診料 / 再診料、週末割増料金、処方箋料、薬剤料、検査料・判定料、手技料、処置料、保険処理代行手数料、専門医紹介料、日本の病院への紹介料、診断書作成料などNHSでは請求されない料金が別途かかる場合もあります。
帰国の際に日系病院から日本でかかる病院に診察内容等を引き継ぐときに料金が発生することがあるので、必要に応じて利用しましょう。
かしこく使い分けよう、イギリスの2種類の病院
結局、NHSと日系のプライベートホスピタル、どちらにかかるのが良いのでしょうか。
どちらの施設にもいいところと悪いところがあるので、比較しながら考えてみましょう。
費用面
これに関してはNHSがダントツで安いです。
前述の通り、歯科治療や眼下健診、処方箋以外は保険適用外という概念がないので、日本では自費診療が一般的な不妊治療や妊婦健診さえも無料でしてもらえます(治療の際には医師の判断が必ずともないます)。
一方で日系のプライベートホスピタルは全ての診療行為に対して自己負担しなければならず、1回の診察につき最低数十ポンド、高いと数百ポンドかかってしまうこともあります。
なぜかというと、プライベートホスピタルは自由診療なので病院によって同じ治療でも値段が異なったり高額な治療費が請求されたりする可能性があるからです。
学生ビザなどフルタイムで就労ができない状態の渡英だと、海外傷害保険に加入していない限りは毎回の出費は経済的に大きな負担になるかもしれません。
設備面
プライベートホスピタルは、たたずまいや待合室からして新しく、清潔感があってきれいです。
治療や診察に使われる機材や設備も最新のものを導入していることが多く、質の高い治療を受けることができます。
一方NHSは、公立の病院・診療所なので年季を感じるたたずまいの場所が多いです。
検査等に使われる道具もそもそも電子機器ではないアナログなもの(例えば血圧測定器など)が今も使われています。
さらに、GPには専門の科がないので設備面で最低限の診察しかできず、その場で厳密な診断ができない場合があります。
その場合は専門医に紹介状を書いてもらうことになりますが、このステップに進むまでに時間がかかりますし希望の病院が紹介してもらえる保証はありません。
待遇面
日系プライベートホスピタルでは、ほぼ日本と同じ待遇が期待できるでしょう。
日本語で受付や医師とやり取りをする際など、イギリスにいることを忘れてしまいます。
また、待ち時間も比較的短くて済むので待合室での拘束時間は短く、診察時間はじっくり取ってもらえます。
一方でNHSは予約を取らないで行くと最低1時間は待たされることが多いです。
日本人職員はほぼいないので対応は100パーセント英語で、イギリス流のフランクなものになります。
そして、病院によって在籍している看護師や医師の実力にばらつきがあり、対応が安定しないのもデメリットです。
さらに、日本基準ではなくあくまでイギリス基準の診察を受けることになるので日本人医師と異なる見解で治療を受ける可能性もあります。
イギリスの医療・病院事情まとめ
NHSと日系のプライベートホスピタルはそれぞれ長所と短所がはっきり分かれています。
いずれも併用するのも正解ですし、どちらかのみを利用するのもまた正解なのです。
自分の状況と英語の実力、何よりどこまでの質のサービスを受けたいかで納得のいく選択をするのがいいと思います。
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