近年、話題のブルーカード。
実はブルーカードと聞くとアメリカのグリーンカードと同義語だと思われる方が少なく無いのですが、実際は全くの別ものなので注意が必要です。
ネーミングはグリーンカードから来ているようですが、一度取得したらビザの更新などをしなくて良いいわゆる永住権…ということではありません。
では、一体誰がどのような条件でブルーカードを取得できるのでしょうか?
このカードは、2012年から施行されたまだ歴史の浅いビザで、EUに住んでいても名前は聞いたことがあるけれど、取得に関して内容や条件がよく分からないと言う方が少なくありません。
実は、ドイツの大使館からの情報(オフィシャルホームページ)を確認してもその条件はあまりはっきりと提示されておらず、何度読んでもよく分からないという理由でビザ取得時にブルーカードを選択肢に入れない(入れることができない)という方もいたようです。
ここでは、EUブルーカードの申請条件や取得方法を紹介していきたいと思います。
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EUブルーカードの基本情報
ドイツの大使館によると「高資格外国人労働者指令実施のための法律が施行されたことにより、在留許可制度やビザなどの手続きを緩和するため」に発行されたものだそうです。
つまり、専門的な知識(資格)を持つ人に対してビザ取得を少しだけ簡単にしましょう、ということです。
また「EUブルーカード」の名の通り、ドイツ国内だけでなくEU全体で仕事をしたり居住したりすることができるビザでもあります。
ドイツ大使館で該当の記事はこちら:EU諸国で働くための「ブルーカード」
どんな条件を満たせばブルーカードを取得できる?
EUブルーカードの条件である高資格とは具体的にどのような資格のことなのでしょうか。
科学者、数学者、エンジニア、医師などいわゆる技術者と呼ばれる方々で、会社や大学などに所属している(する)ことが条件です。
つまり、フリーランスや自営業の方がEUブルーカードを申請することはできないとのこと。
すでに資格を所持して就職先が決まっている人はもちろん、学生が卒業後に求職する期間にもこのブルーカードを適用することができます。
また、EU圏外に国籍を持つ方のみが申請することができます。
もともとEU圏内の国籍所持者はビザなしで居住することや働くことが認められているからです。
また、EUブルーカードドイツのHP(BlueCard-EU.de)では、大学で学位を取得していない人がこのEUブルーカードビザを取得できる可能性は無い、と明記しています。
残念ながら日本の高校を卒業し、専門学校で学んだ方や大学を中退して学位を取得していない方は、専門的な知識を持っていてもこのビザにアプライする権利がないようです。
日本は学歴社会ではなくなって来ていますが、ドイツで良い職、良い条件で仕事をするにはやはりまだまだ学歴、学位が問われることが多いように感じます。
取得の最低条件とは
高資格所持者でも、誰でもEUブルーカードを取得できるわけではありません。
基本的には最低年収が44,800ユーロ以上と設定されており、それ以下では認められません。
しかし、特に技術者が不足している部門・職種においては年収が34,944ユーロ以上であることとされています。
現在日本に住んでいて、これからドイツへ移住を考えている高資格所持者は日本から申請することができます。
しかし、渡航後に申請することも可能ですので、現地に来てから企業や弁護士に相談しているのも良いかもしれません。
また、このビザを取得するのにドイツ語力は問われません。
例えば普通の飲食店で働いて就労ビザを取得する際、全くドイツ語ができない人で「次回の更新時にドイツ語レベルをB1以上取得してくること。更新でドイツ語のインタビュー(面接)に答えられなかったら更新できません!」と厳しく言われたという方がいました。
そのことと比較して考えると、EUブルーカードは技術を重視するビザため語学に関する条件はあまり厳しく制定されていないと考えられます。
最近では毎年ビザの条件も変わっていますので、取得を考えている方はそのタイミングで渡航先都市のオフィシャルHPなどで確認をしましょう。
同じドイツであっても、都市ごとに決められている条件が異なる場合もあります
※ここで提示ている最低年収などの金額は、ドイツ大使館の記事で確認しております。金額は記事作成時と変更になっている場合がありますのでご注意ください
参照:ドイツで学び、働く
ブルーカードから無期限ビザへの切り替えも可能かどうか?
上記で「EUブルーカード所持者はドイツ語力は問われない」と書きましたが、実はドイツ語レベルがB1以上ある方は2年半で期限なしのビザに切り替えすることができます。
期限なしのビザとは、通常ビザには期限が記入されていますがその期限がなく、一度取得すればずっとビザのことを気にせずにドイツに住むことができるビザのことです(これを永住権と呼ぶ方もいますが、その国にとって私たち日本人は「外国人」である以上、法律が変われば「永住」する権利は将来的になくなる可能性もゼロではありませんので、ここでは無期限ビザと表記します)
通常、他の種類のビザで期限なしのビザに切り替える場合は5年以上年金保険を支払っていることが最低条件になっています。
つまり、最低5年以上ドイツに住んでいる必要があるのです。
そして窓口でドイツ語での口頭インタビューがあり、それにドイツ語で答えられなければドイツ語のレベルが規定に達していないということを理由に期限付きビザしかもらえません。
しかし、このEUブルーカードの所持者でドイツ語レベルがB1以上あれば2年半でそれが取得できてしまうのです。
無期限ビザ取得を目指している方、長期的に EU圏内で仕事をしたいと考えている方にはとても条件の良いビザかもしれません。
ではEUブルーカード所持者で、ドイツ語力がB1に達していない人は期限なしビザに切り替えすることはできないのでしょうか?
実はこちらもEUブルーカードを取得して3年経てば申請する権利が発生します。
いずれにしても、高資格を持っているということは「EU(またはドイツ)にとってとてもメリットのある人材である」と認められているということです。
EUブルーカードの期限
EUブルーカード所持者が最短2年半で無期限ビザに変更できることはお分かりいただけたと思います。
しかし、無期限ビザや他のビザに更新しなかった場合、EUブルーカードはなんと4年間で失効してしまいます。
最長、4年までしか所持できないカードであるということです。
ということは、その間に無期限ビザに変更する必要があります。
4年経ってから無期限ビザに切り替え手続きをすることは可能でしょうが、もし転職などをきっかけにEUブルーカードを手放さなければならなくなった場合、無期限ビザに切り替えるチャンスは遠のいてしまうかもしれません。
また、EUブルーカードを所持していても高資格を活かさない、いわゆる一般職への転職をした場合もEUブルーカードを所持することはできなくなります。
EUブルーカード所持者の家族ビザはどうなるの?
ブルーカードを使って家族で移住したい、という方もいらっしゃるかもしれません。
例えば、一家の旦那さんが高資格所持者でEUブルーカードを取得できた場合、奥さんやお子さんも配偶者ビザや家族ビザを取得して一緒に渡航することが可能です。
配偶者ビザを使って奥さんが現地で仕事をすることも可能ですし、逆に奥さんがEUブルーカードを取得して旦那さんが配偶者ビザを利用して一般職に就くことも可能ですので、海外単身赴任をしなくても一家で移住することができます。
配偶者ビザでの就労に関してはビザの取得時に外国人局で尋ねるなどして必ずご確認ください。
EUブルーカードはEU圏の居住の選択肢を広げてくれる
EUブルーカードを取得できそうに感じたでしょうか?
条件は
- 大学を卒業して学位を取得している方
- 高度技術資格所持者(医者、エンジニア、数学者、研究職…など)であれば取得できる可能性がある
- フリーランスや自営業者は取得できない
など条件は様々ですが、もしEUブルーカードを取得できればEU圏内で自由に仕事ができますし、短期間で期限なしビザを取得できる可能性があります。
長期的にEU圏内で仕事がしたい方、自分の資格を世界的な視野で生かして働きたいと考えている方にはとても良い条件のビザになっています。
気になる方は是非ご自身の条件にあうかどうかチェックしてみてくださいね。
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