オーストラリアは働くお母さんに協力的な国です。
出産しても現在の職を辞めずに続けるお母さんが多いのは日本も同じだとは思いますが、オーストラリアとどのように違うのでしょうか。
ここでは、オーストラリアの保育制度や保育方法の日本との違いなどをご紹介しましょう。
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オーストラリアの働くお母さん
オーストラリアでは会社や働く場所によって変わってきますが、育児休暇が6か月もらえることがほとんどです。
体調がすぐれない人は早目に数か月前からとる人もいますし、予定1週間前からとる人もいますし、さまざまです。(ちなみにオーストラリアは帝王切開が多いようで、〇日に産みますと決めるため、スケジュール管理がしやすいそうです。)
各家庭の事情によりけりですが、そのまま仕事を辞めるお母さんもいます。
反対に仕事に復帰するというお母さんもいます。
「では誰が子供をみるのか?」となると、オーストラリアでも日本と同じで、自分の家族、特に母親にお願いしたり、保育園に預けたり、ベビーシッターという方法もあります。
オーストラリアでは自分の母親もまだ働いているということが多いので、ほとんどの場合が保育園という選択になります。
保育園の数はたくさんありますが、それでも産んですぐに「ここ」と思う保育園や人気のある保育園のウェイティングリストに名前を載せる親御さんもいるほどです。
もちろん、専業主婦の家庭でも子供に社会性を身につけてもらいたいと保育園に週1、2日通わせる親御さんもいます。
オーストラリアの保育園選びの基準は?
これは働く親御さんに共通する悩みの1つですね。
筆者も保育園で働いているので、何度か耳にしましたし、聞かれたこともあります。
ここではその基準をいくつか紹介します。
自分のニーズに合っているかどうか
日本も同じだと思いますが、オーストラリアにもいろんな保育園があります。
他の保育園との差別化が理由の1つだとは思いますが、たとえば、保育園の大きい子の部屋になると、
- フランス語やイタリア語、日本語などの外国語を教える
- 保育園にカフェが隣接される
- 給食にフランス料理を出すところがある
など、聞いたことがあります。
実際、そこまでは行き過ぎだとは思いますが、給食やおやつを出すところ、お弁当がいるところ、バスで送り迎えしてくれるところ、自分で送り迎えしなくてはいけないところ、などなど。
忙しくてお弁当作る時間がない!という親御さんは給食を出してくれる保育園が助かりますよね。
余談:オーストラリアのお弁当はシンプル
この国のお弁当は日本ほど手が込んでいません。
中身にジャムのみ、またはベジマイトと呼ばれるペーストのみなどを挟んだサンドイッチとフルーツや野菜スティック、チーズスティックなどシンプルなお弁当なので、お父さんが用意してくれることもあります。
いい保育士がいるかどうか
これは筆者だけでなく、他の保育士も同じ意見だと思うのですが、「いい保育園」かどうかは、「いい保育士がいるかどうか」で決まると思います。
なので、「〇〇がいい保育園だと聞いた」とそこへ自分の子供を入れても、そこの「いい保育士」が辞めてしまうと、とたんにあまりいい保育園でなくなってしまうことがあります。
また、注意すべきは
「フレンドリーに話しかけてくる保育士」=「いい保育士」
とは限りません。
残念ながら親御さんにだけ、もしくは親御さんの前でだけフレンドリーで、親御さんがいなくなったら全然態度が違う保育士も存在します。
筆者の体験談
ある子供が泣いていたので筆者が抱っこしてあやしていたら、「その子供のお母さんが迎えに来たのが見えたから、私に抱っこさせて。私グループリーダーだから親にいい印象を持たせないと」と言ってきた保育士がいました。
ちなみにその保育士、先ほどまでその子に泣くなと怒っていました。
その保育士はその泣いていた子供を抱っこして、お母さんに「〇〇ちゃん、ちょっと泣いてるの。」と話しかけていました。
お母さんからしたら、この保育士は自分の泣いている子供をずっとあやしてくれた=「いい保育士」と勘違いしてしまいますよね。
こういったことは見ただけではなかなかわかりづらいものです。
いい経営者・園長がいるかどうか
いい保育士がいるかどうか、だけでは決まりません。
いい経営者もしくは園長(ダイレクター)がいるかどうかでも左右されます。
たとえば、筆者が以前働いたことのある保育園は家族経営の保育園でした。
経営人は高級車に乗る反面、保育園のおもちゃは壊れ、本はビリビリに敗れ、クレヨンは小さくなったもの、工作用の材料は親御さんからの寄付、絵の具も2、3種類しか色がないような状態でした。
保育士の給料も良くなかったので、入れ替わりが激しい保育園でした。
こういうのはよく観察すると気づくこともあるので、判断しやすいかと思います。
オーストラリアの保育園の部屋分け
保育園によりますが、早くて生後6週間から預かる保育園もあります。
大抵の保育園は4~5部屋に分かれていて、赤ちゃんの部屋、1、2歳児の部屋…となるわけですが、年齢があがっていくにつれ「〇歳からこの部屋」という区切りがあいまいになっていきます。
早生まれ、遅生まれ、発達の早い子、遅い子などみんな違うので、普段の子供の様子から「この子はもう上の部屋に行っても大丈夫じゃないかな?」とグループリーダーとダイレクターと親御さんで相談して1つ上の部屋へ持ち上がっていきます。
オーストラリアの新年度は1月なので、1月に上の年齢の部屋にみんなで一緒に上がる場合もあります。
オーストラリアの保育園の一日
保育園によりますが、朝は6時や6時半に開き、夕方6時や6時半に閉園する保育園がほとんどです。
最近はもう少し長く開いている保育園もあるようですが、12時間ほどの開園というところが主流です。
オーストラリアの保育園の一日は大体こんな感じです。
- 保育園到着から9時、10時ごろまで外で遊ぶ。(冬の早朝なら暖かくなるまで室内)
- モーニングティー(朝のおやつ)
- 室内で遊ぶ。
- ランチ
- お昼寝
4、5歳児部屋になると、眠りはせずともベッドで横になります。
保育園によっては静かな遊び-パズルや本を読むことなどもできます。
- アフタヌーンティー(午後のおやつ)
- 室内/室外で遊ぶ
州によって違いますが、筆者のいるクイーンズランド州では朝10時から午後3時の間はあまり外に出ないように推奨されています。
あまりにも暑い日は室内で過ごし、やや涼しくなってから室外に移動することもあります。
保育・教育方法
遊ぶと書きましたが、遊びを通して学ぶようになっています。
たとえば、1、2歳児ではボールや粘土などで遊びを通して握力をつけたり、いろんな食材を触ったり、実際食べたりして、感触の違いを経験します。
粘土もプレイドウと言って、口に入れても大丈夫なように小麦粉から手作りする保育園が多いです。
もっと年齢が高くなると、
- 粘土ももちろんのこと
- ブロックやパズルを使って考える力
- 友達とコミュニケーションをとり、協力する方法
を学びます。
パズルがはまらないなど問題が起こったら、それをどうやって解決するか、何か違う方法がないかを考る力を身につけます。
大きい子の部屋ではゲストに来てもらうようなこともあります。
筆者が過去体験したのは、警察が来て、身の回りの危険についてのお話とパトカーを見せてもらったり、ケガで足を片方失ってしまった保護者に来てもらい、障害のある方に対してどんな風に接してほしいか、の話を聞いたりしました。
また、Show and tell/ショウ アンド テルと呼ばれる時間もあり、子供たちが同じ部屋の友達に教えてあげたいことや物を持参してみんなの前で発表し、それに対しての他の子供たちからの質問に答えたりする時間です。
大人で言うプレゼンテーションですね。
オーストラリアではみんなで同じことをするのではなく、
「このテーブルはパズル」
「このテーブルはレゴ」
「あっちのテーブルはお絵かき」
など、いつも4、5種類の選択を与えて、子供に何がしたいかを選ばせます。
朝、出席を確認するときも「今日は何がしたい?」と聞き、子供がしたいことを取り入れたりもします。
保育園で動物を飼っているところもあります。多いのは鶏、モルモットあたりでしょうか。
- まず人間とは違う生き物がいるということを知る
- 人間が世話をしないといけないことを学ぶ
- 担当制にして、自分に責任があることを知る
- 触った感触や、尊重する(脅かすと逃げたり噛まれたり引っかいてくることもあるので身をもって学ぶ)
など、動物を通して学ぶこともたくさんあります。
キンディー(幼稚園)の部屋に上がると、幼稚園用のプログラム(Kindergarten Program)が始まります。
このプログラムがあると保育園に通っていても幼稚園と同じ教育を受けることができます。
ただし、政府公認のものでないところもあるので、保育園に政府公認の幼稚園用プログラムがあるか確認しましょう。
アボリジニの文化を取り入れる
200年ほど前にヨーロッパの人々がこの大陸にやってきて開拓するまでは、オーストラリアはアボリジニと呼ばれている人々の土地でした。
元々の土地の持ち主であるアボリジニの文化を尊重しようという意味で、教育にもアボリジニ文化を取り入れています。
アボリジニのアートの1つにドット絵があるのですが、その絵が描かれたパズルであったり、絵本であったり、アボリジニの楽器であったり、保育園内の飾りをアボリジニアートで飾る園もあります。
以前筆者が働いていた保育園には1か月に1度、アボリジニのおじいさんがやってきて、アボリジニの絵本を読んでくれました。
移民の国、オーストラリアの保育園はマルチカルチャー
日本と大きく違う点はやはりいろんな人種が住んでいる、マルチカルチャーということにあるのではないでしょうか。
保育園もまたしかり。
いろんな国からやってきた両親を持つ子供がいます。
筆者が以前働いていた保育園はオーストラリア人、フランス人、中国人、インド人、アフリカ人、スウェーデン人など、いろいろな国の人がいました。
そこはお弁当持参の保育園だったので、お弁当もさまざまでした。
アジア系は米の確立が多かったですし、インド人はカレーなのか、香料の匂いがするランチでした。
アフリカ人の男の子はご飯に茶殻を炒めたようなものがのっているランチで、見ているだけでも面白かったですよ。
友人が働いていた保育園の保育士は、移民の割合が多く、オーストラリア人保育士のほうが少ない保育園でした。
全員が全員ではないですが、その保育園に子供を預ける親御さんは「色んな文化、色んな国の人の中で育てたい」と考え、あえて移民の多い保育園を選んだ人もいるようです。
マルチカルチャーの教育も保育園で行われます。
保育園やグループリーダーによっても違いますが、たとえば、いろんな国の民族族衣装の写真を教室にはったり、本やパズルであったり、他の国の食べ物を作ったり、マルチカルチャーの日は子供だけでなく、保育士も色んな国の服を着て1日すごすこともあります。
オーストラリアの保育園費用はどのくらい?
気になる費用のお話をしましょう。
正直、安くはありません。
住むエリアや、保育園にもよりますし、その保育園のサービス(ランチやおやつ、オムツも園が用意するのか等)にもよってきます。
筆者の過去働いてきた保育園をみてみると、クイーンズランド州のブリスベン郊外ですが、1歳児までで100ドル/1日を超えます。
それ以上の年齢になると100ドル前後でしょうか。赤ちゃん・トドラーの部屋は保育士1人が見る子供の人数も少ない上、多くの手がかかるので、他の年齢の部屋に比べ値段が高目です。
なので、親御さんの収入によっては「収入が保育園に払うお金とあまり変わらないので、保育園に通わせる意味がない」という話も耳にします。
オーストラリア政府が保育園に子供を通わせる親御さんを金銭的にサポートするシステムもありますが、親御さんの収入が一定額を超えるとサポートはもらえません。
またビザによってサポートしてもらえるビザとサポートしてもらえないビザがあるので、確認したほうがいいでしょう。
参考:Australian Government Department of Human Services
オーストラリア保育事情まとめ
少しはオーストラリアと日本の保育園、保育の違いがわかっていただけましたでしょうか。
これから、オーストラリアで子育てをする方はぜひ参考にしてみてください。
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