妊娠・出産は非常に喜ばしい、女性にとっては同時に不安でいっぱいな人生の一大イベントですよね。
ましてや海外でとなるとより一層不安は増します。
今回はドイツで妊娠した、または出産を控えている方のために、出産までの一連の流れを一挙公開したいと思います。
妊娠確定するまで
妊娠検査薬
妊娠したかな?と思ったらまずは検査薬で検査してみましょう。
妊娠検査薬は薬局(Apotheke)や、dm, Rossmann, Müllerなどのドラッグストアでも簡単に買うことができます。
婦人科(Frauenarzt)を受診~母子手帳発行まで
検査薬で陽性反応が確認出来たら、かかりつけの婦人科に連絡しを受診予約をとります。
かかりつけがまだない場合は、近くの婦人科や、口コミなどで婦人科を探して妊娠の可能性がある旨を伝えましょう。
受診日が6,7週目など週数が早いと心拍確認がまだできず、母子手帳はお預けになります。
その際は再度予約を取り、9~12週目の心拍確認でようやく母子手帳がもらえます。
ドイツでは母子手帳は心拍確認後の診察後に病院で発行してもらえます。
ここでようやく妊娠確定と言ってもらえるのです。
ちなみにドイツでは検診と分娩は分業制。
基本的には、出産ギリギリの検診までこの最初に受診した婦人科にお世話になり、分娩の時のみ産院にお世話になります。
合併症や大きな疾患が見つかった時などはもちろんその限りではありません。
助産師(Hebamme)さがし
妊娠が確定したらまずしないといけないのが助産師さがし。
ドイツでは妊娠・出産にかかせないのがHebamme(ヘバメ)と呼ばれる助産師です。
日本でも出産において助産師が大きな役割を担いますが、ドイツではさらにすごいシステムがあります。
ドイツのヘバメさんは主に
- 産院に務めるヘバメ
- 出産後自宅に来てくれる訪問ヘバメ
の2つのパターンがあるのですが、探さないといけないのはこの2番目の訪問ヘバメさん。
一体何をしてくれるのかというと
- 退院後(ドイツは平均3日で退院)~生後10日まで毎日訪問
- 生後11日~生後12週まで計16回の訪問
- 生後12週以降~1歳まで計8回の訪問
この訪問の時に赤ちゃんだけでなく、お母さんの体調をチェックしたり、不安を聞いて解決策を教えてくれたりします。
成長や体調の変化で病院への受診をすべきか助言してくれたり、時期によっては離乳食の計画などの相談にも乗ってくれる、特に初産のお母さんたちに取っては心強い味方なのです。
産後の身体的にも精神的にも不安定な時期にお世話になるので、相性のいいヘバメさんをみつけるために何度も面接をする方もいます。
しかし現在ヘバメは減少傾向なのに対し、ここ数年のドイツはベビーラッシュ。
需要と供給が釣り合わず、街によってはなかなか合うヘバメさんが見つからないことも。
そうならないためにも妊娠初期からヘバメを探すというのが最近のセオリーのようです。
妊婦検診(Schwangerschaftsvorsorge)
母子手帳が無事に発行されたら以後は赤赤のペースで検診を受けます。
基本的には尿検査、体重・血圧測定、血液検査、問診があります。
早くて25,6週目、大体30週目前後からCTG(ノンストレステスト)も加わります。
超音波検査
そのうち超音波検査は8~11週、18~21週、28~31週に各1回ずつ、計3回が基本。
毎回またはそれ以外で超音波検査を希望する場合は別途料金がかかります。
病院によっては3D、4D超音波検査などもありプランや値段も変わってくるので、希望する方は各病院で問い合わせてみてください。
血糖値検査
24週~28週の間に血糖値検査が行われ、検査にひっかかると再検査となります。
ここで妊娠糖尿病と診断された場合は糖尿病内科に受診することになります。
婦人科の先生によると、1度目の検査でひっかかっても、2度目の検査で正常値がでることの方が多いとのことなので、あまりストレスに思わない方がいいでしょう。
予防接種
安定期に入り問診で聞かれるのが予防接種について。
子供の頃に受けたきり、受けなおしていないものは接種をすすめられます。
主に風疹や百日咳、季節によってはインフルエンザの予防接種が推奨されています。
予防接種は出産の1か月前までに終えているのが理想なので、かかりつけの先生と相談して時期をきめていきます。
また最近ではコロナの予防接種も推奨されており、婦人科で接種できるところも多いです。
その他の検査
オプションとして受けられる検査もいくつかあります。
・NIPT(新型出生前診断)は生まれる前に胎児の先天性疾患を判定する検査で、ヨーロッパではかなりメジャーな検査です。
費用は自己負担で病院にもよりますが大体200~400€程度。病院によっては専門医を紹介され別途予約が必要なこともあります。
・B型溶血性連鎖球菌(GBS)検査は必須ではありませんが、出産時の感染症リスクをへらすために推奨される検査です。
こちらも自費ですが、大体15€程度。妊婦検診時に一緒にできるので別途予約なども必要なく、比較的気軽にできる検査です。
生む場所を選ぶ
ドイツで出産する場合、選択肢は主に、産婦人科のある病院・産院・自宅出産の3つ。
病院・産院で出産希望の場合、多くの病院ではだいたい妊娠後期の30週目以降から申し込みを受け付けていますが、実はドイツの病院は妊婦の受け入れをよっぽどのことがない限り拒否することはないそうです。
申し込みをしていなくても、陣痛がきてから産婦人科のある病院の分娩室に直接いけば対処してくれることがほとんどなのだそうです。
ですが、現在はヘバメ(助産師)不足で人手が足りずに断ることも増えてきているとか。
また、一生に一度の出産は納得のいくものにしたいですよね。
なので申し込みができる状況であればしてしまうのをおすすめします。
事前に予約しておくといざというときの手続きも簡単に終わるので安心です。
病院によっては定期的に説明・見学会を開いているところもありますし、申し込み後に事前検診を受け付けてバースプランの相談ができるところもありますので、気になった病院・産院があればホームページをチェックしたり、問い合わせをしてみたりしましょう。
ちなみにドイツは父親の立ち合い推奨の病院がほとんど。
コロナ禍でも制限はありましたが、立ち合いができなかったという話はほとんど聞きませんでした。
出産準備コース・両親学級
主に産院・ヘバメさんが開催しています。
対象は妊娠中期以降の妊婦さんやそのパートナーになり、大体が4~6回。定員に達すると締め切られるので早めの申し込みが必須です。
というのもヘバメ不足とベビーラッシュの影響でこちらもすぐに満員になることが多く、希望のコースに申し込めないということも多々あります。
コロナ禍以降はオンラインコースも増えているので、合うコースがなかったり、体調や感染症が心配な場合はオンラインコースは非常に重宝されています。
ドイツの準備コース・両親学級では赤ちゃんのお世話を習うというより、分娩までの心構えや、母親の体調変化のメカニズム、赤ちゃんの成長過程を伝えることに重きをおいています。
というのも授乳・おむつ替えは入院中から、その他のお世話の仕方は退院後に訪問ヘバメさんにマンツーマンで教えてもらえることがほとんどなので、実践というより座学で必要な情報や、心構えを伝えることが多くなっています。
出産までにかかる費用
ドイツで出産するのにじゃあ一体いくらかかるのでしょうか。
実は基本的な検診・訪問ヘバメ・出産のための入院費はすべて保険適用なのです。
なんと無痛分娩も保険適用というありがたい制度。
赤ちゃんのために揃えるものも多いので、この保険適用は非常にありがたいですよね。
出産までにしておくその他の手続き
名前を決めておく
ドイツの出生届は生後1週間以内。出産してから決めることも可能ですが、多くの病院・産院では役所の戸籍科の職員が出張してきており、退院時に病院で出生届を出すのが一般的。
なので名前をゆっくり考える時間もなく、病院側も名前が決まっていること前提で、出産直後に名前は?と聞いてきて、出生カードに名前を書きます。
もちろん出産して実際顔を見てから決めることはできますが、候補を絞っておくことをおすすめします。
出生届の準備
出生届の書類自体は病院でもらえることが多いですが、自治体によってその他の提出物が変わってきます。
基本的には両親の出生証明書、日本人の場合は戸籍謄本が必要になってくるので、日本から取り寄せておきましょう。
デュッセルドルフでは大使館から発行される婚姻証明書(Heiratsurkunde)で充分といわれていますが、外国人の少ない街や、自治体によっては戸籍謄本に外務省からのアポスティーユを添付したうえで、認証翻訳が必要になってくることがありますので、届け予定の役所に直接問い合わせることをおすすめします。
産休(Mutterschutz)・育休(Elternzeit)の申請
産休も育休も7週間前までの申請が必要です。
産休は基本的には出産予定日の6週間前から出産8週間後までになっていますが、その前からとることも可能です。
産休中は給料全額支給。内訳は法的保険に入っていれば保険会社から1日13€、残りは雇っている企業・団体から支払われます。
婦人科で出産予定日が書かれた証明書をもらい、保険会社と雇い主の両方に提出します。
企業によってはさらに別の書類が必要なこともあるので、早めに申請しておきましょう。
育休申請には役所から発行してもらう出生証明書が必要になります。
出生証明書は出生届を提出後5~10日で取得できるので、取得次第育休申請することをおすすめします。
こちらは雇い主に提出するだけで大丈夫です。
子供手当・両親手当の申請書に記入しておく
出産後は体調・精神の不安定に加え、赤ちゃんのお世話でいっぱいいっぱいになりますよね。
なので時間のある産休中や、出産前に各種手当の記入をしておくことをおすすめします。
子供手当(Kindergeld)はドイツで暮らす子供であれば国籍問わず誰でも申請できます。
もちろんすべてドイツ語で書かれていますが、わりと基本的な情報を書くのみなので、比較的簡単に記入することができます。
申請には出生届受理後に送られてくる、子供の税金番号が必要になるので、それだけ出産後に付け加えましょう。
両親手当(Elterngeld)は働いていて育休をとる両親だけでなく、専業主婦も取得可能で夫婦合わせて14か月取得可能です。
子供手当の書類と比べて複雑な書類になっており、それぞれの家庭の事情で記入する項目が異なってくるので、最終的にドイツ人にチェックしてもらうことをおすすめします。
働いている方の場合、絶対に必要な書類は雇い主からの育休許可証・子供の出生前10か月分の給与明細・子供の出生証明書。
フリーランスになるとさらに納税書類などが必要になってくるので、ぜひ気力と体力のある出産前に記入できるところは記入しておくことをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?
ドイツの妊娠から出産準備までの流れがつかめたかと思います。
困ったことがあったら、ヘバメさんや婦人科のスタッフの方も親切に対応してくれるので安心して相談してくださいね。
もうすぐ子供が生まれる方も、これから子供を希望される方も、皆さんがドイツで安心してマタニティライフをおくれますように。
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