オーストラリアでは保育士は人手不足と言われる職の内の一つです。
ということは、他の業種に比べて比較的仕事に就きやすいとも言えます。
オーストラリアで保育士として働いている筆者がこの国の保育士の資格や働き方を紹介します。
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日本語で保育士、オーストラリアでは何というの?
辞書で調べてみると
childcare/チャイルドケア
とありました。
ただ、実際の生活の中で”I’m childcare”という人はあまり聞きません。
- I work in childcare
- I’m a childcare worker
などです。
また保育園の場合、グループリーダーとアシスタントの2種類があり、これはDiploma/ディプロマを持っているか、Certificate/サティフィケイトを持っているかで違います。
さらに
- 保育園で働いているのか
- ベビーシッターとして働いているのか
- ショッピングセンターなどの託児所で働いているのか
等によっても変わってきます。
なので「保育士」と一言で表す言葉はないようですね。
ただし、ここ数年(early childhood)educator/(アーリー チャイルドフッド)エデュケイターと言われ始めました。
まだ世間に浸透した言い方ではないし、筆者自身もちょっと気恥ずかしくて”I’m an educator”なんて言えませんけどね。
Diplomaを取るかCertificateを取るか
グループリーダーやアシスタント、DiplomaやCertificateという言葉。
資格取得の話の前にこれが何かわかっていないとややこしいので、こちらを先に説明しましょう。
筆者は保育園で働いているので保育園を例に挙げます。
大雑把に分けるとこんな感じです。
グループリーダー
- Diploma of Early Childhood Education and Careの資格もしくは勉強中であることが必要
- 担当する部屋のリーダー
- 国や州の規定内で子供たちに何をどう教えるか考え、決める。(プログラミングと言います。)
- 担当部屋の責任者
アシスタント
- Certificate 3 in Early Childhood Education and Careの資格もしくは勉強中であることが必要
- リーダーのサポート
内部的な話をすると、グループリーダーはアシスタントと比べてペーパーワークが多い、アシスタントに比べ保護者との関係が近いので子供と関係のない愚痴など聞くこともある、アシスタントより時給が数ドルしか違わない…などでしょうか。
まずアシスタントの資格を取って、様子をみてからディプロマを勉強するかどうか決める人もいます。
保育園によってはディプロマの資格を取るのに金銭的にサポートしてくれるところもあります。
どちらになるかは人によりけりです。
オーストラリアでどうやって保育士の資格をとるの?
日本で保育士/幼稚園の先生をしていた場合(居住者用)
日本で保育士や幼稚園の先生の資格を持っている方が、また一から勉強しなおすのは嫌ですよね。
この国では職種に限らず、必要書類を政府に提出すると、あなたが取得した科目や資格などがオーストラリアではディプロマやサティフィケイトなど、何にあたるかを承認してくれます。
なので、一からではなく、足りない数科目/教科取得するだけですむわけです。
多くの資格保持者が日本と同位の資格を得るために数科目/教科を勉強しなくてはいけないことが発生すると思いますが、これはオーストラリアと日本では勉強する内容が違うので仕方がありません。
注意したいこと:
この国で何か書類を提出する場合、特に指示がない限り原本は決して渡さないでください。戻ってきません。
原本とコピーをJP(Justice of the Peaceの略)/ジェイピーと呼ばれる人たちに持って行き、サインをしてもらうと「本物のコピーですよ、偽造していませんよ」という証明となり原本と同じとみなされます。
JPはお住まいの近くのショッピングセンターが一番手軽なので、確認してみてください。
各州により問い合わせ先や方法が異なりますので、下のサイトをご参考ください。
日本を出発する前に必要書類を用意しておくと、あとで楽ですよね。
参考:Australian Government – Qualifications Recognition
オーストラリアで一から保育士の資格をとる場合
政府認定の保育士資格が取れる教育機関を通して修了する必要があります。
オンラインや毎日学校に通う方法がありますし、安く短期で資格取得できる学校や、長時間かけ細かいことまで教えてくれる学校など色々ありますし、ディプロマかサティフィケイトかでも期間も値段も違います。
ご自分の生活スタイルや予算、どちらを取得したいかなども考えて選びましょう。
Nationally Recognised Trainingと書かれた赤と緑の逆三角形のシンボルがあるコースなら安心です。
筆者がおすすめするのは、「TAFE」というオーストラリア政府の専門学校です。オンラインと学校に通う方法が選べます。
かなり前ですが、筆者はクイーンズランド州のTAFEに週5日通って、6か月でした。
おすすめの点は政府の専門学校なので、安心、安全、雇用先からの信頼がある、ということです。
実際、雇用先で「TAFEなら大丈夫ね」という会話、態度に出くわしたことがあります。
友人は違う学校で、短期集中で1~2か月で資格を取りました。「それ学校で習ったはず」ということが彼女は習っておらず、仕事を通して知ったそうです。
資格には違いないのですが、我々移民はオーストラリアの保育士事情を知らない訳ですから、そういう意味でもきっちり教えてくれるTAFEをお勧めします。
日本との働き方の違いとは
大きく分けると、パーマネントとカジュアルの2つに分かれます。
パーマネント:
日本でいう正社員のようなもので、フルタイムとパートタイムの2種類あります。毎日もしくは働く日が決まっており、有給や病欠などの福利厚生があります。
パーマネントの利点は、定期的な収入があります。自分がいつ何時から働くかわかっていますが、時間の自由は限られおり、有給内でホリデーを取らなくてはいけません。
カジュアル:
福利厚生がない代わりに時給が高く、人手が足りない場合のみ働きます。
例えば、誰かがお休みや研修でいないときなどに呼ばれます。なので毎日仕事があるわけではありません。朝「今日働けるかしら?」と電話が来ても、断ることもできます。
カジュアルの利点は、自分の好きな時に働けることです。時間を気にせず長期で休みを取ることもできます。ただし収入は不安定です。
この国ではパーマネントでもカジュアルでも年金は雇用先から支払われます。
カジュアルやあまり保育園での仕事経験がない場合、1つの部屋にずっといるわけではなく、誰かのランチや休憩のカバーをするフロートと呼ばれる仕事が多いと思います。
なので1日中、あっちの部屋、こっちの部屋と移動するわけですが、仕事も覚えることができ、各部屋の子供やスタッフのことも覚えることができ、一石二鳥ですね。
オーストラリアでの保育士の仕事の見つけ方。6つを紹介
保育士の資格があると、保育園、幼稚園(アシスタントとして)託児所、学童保育など、またはベビーシッターとして働けます。
保育士の教育課程を修了しないと働けないわけではありません。
オーストラリア人の中には、学校に申し込みをし、保育園などに「今勉強中です」と言って仕事を得る人もいます。
保育園によりけりですが、そういう方法でも人を雇うことはできます。ただし、「見習い」扱いなので、お給料はやや少なめです。
さて、いよいよ仕事探しのお話ですが、いくつか方法があります。保育園を例に出していますが、他でも同じように使えます。
1. 教育実習で行った先にそのままお世話になる。
筆者が在学中にも何人かこの方法で就職しました。
教育実習での働きが認められ、なおかつポジションに空きがあった場合、もしくはとりあえずカジュアルとして在籍し、ポジションが空くまで待つ。
2. ボランティアで保育園などで働き、そのままお世話になる。
クラスに1人いました。1と同じです。
3. 近所の保育園などに人を雇っていないか聞く。
大抵の場合、「空きはないけど、カジュアルでいいなら履歴書送って」と言われます。
4. 近所の保育園などにカジュアルでいいからと履歴書を送る/持参する。
3、4が一番多いパターンです。
まずカジュアルとして働き具合を見てもらい、園長(ダイレクター)に認められ、なおかつ空きが出た場合、パーマネントにならないか声をかけられます。
5. 求人広告に出ているところに応募する。
これはなかなか難しい。何故ならオーストラリアは経験を重視するからです。経験がないと面接にこぎつけることは難しいです。
6. 派遣に登録する
経験がないと、最初の内は仕事の連絡は少ないと思います。またどこに派遣されるかわからないので車は必須です。
実際働くとなると保育士の資格以外に アナフィラキシーや喘息も含むファーストエイドやCPR(心肺蘇生法)も必要です。
その他にも、例えばクイーンズランド州ではブルーカードと呼ばれる「過去に子供に対する犯罪がないこと」を証明するカードも要求されます。
州や雇用先によっては「犯罪歴がない」と証明するポリスチェックの提出も求められるので、雇用先に詳しく聞きましょう。
そのほかに、新保育士には予防接種の確認もされるので、日本を出る前に水ぼうそうや麻疹など自分がいつ、何の予防接種/発症したかも確認しておくと後で楽ですよ。
現実を知っておこう。保育士のう〜ん・・なところ、良いところ
せっかく安くもないお金をかけて資格を取っても、働いてみて「自分向きの仕事ではないな」と辞めてしまうのも残念ですし、お金ももったいないですよね。
「思っていたのと違う」と去って行く新保育士も少なくありません。
オーストラリアの保育士のいいところ、そうでない点も見て、参考にしてみてください。
う〜ん・・なところ
• 腰を悪くする人もいる
予防は可能ですが、かがむことも多いですし、忙しいとついつい変な恰好で子供を抱っこしてしまったり、いけないことですが両手に一人ずつ子供を抱えざるを得ない状況になる時もあります。
西洋人の子供はアジア人の子供に比べて大きいので、その分体重もあります。
アジア人の子供を抱っこして、わかっているのに「軽っ」と驚くことがありますよ。
• 小さい子供のクラスは下の世話が多い
他の保育士との交代制ですが、1日中10人前後のオムツを変えます。また、トイレ練習をしている子は頻繁に着替えの手伝いをすることがあります。
• クリーニング(掃除、後片付け)が多い。
おやつやランチの後片付け、部屋掃除、お漏らしした後の処理、トイレ掃除などなど。エンドレスです。
• 親とのコミュニケーション
良いか悪いかは人によりけりだと思いますが、「子供と遊ぶ仕事」と思ってくる人はこれと掃除が原因で「思っていたのと違った」と去って行く人もいます。
• 子供から風邪をもらう
冬のあいだ誰かが必ず風邪をひいているので、特に小さい子供の部屋では冬中風邪をひきっぱなしという保育士もいます。
• 話す英語が子供英語になってしまうことがある
大人同士で話すときもついつい”chocky bikkies”(チョコレートビスケット)”hoursy”(馬)などと口から出てくることがあります。
• ちょっとしたことが命にかかわることもある
アレルギーの子がアレルギー対象物を触ったり口にしたりしないよう目を光らせていなくてはいけません。子供同士で悪気なくランチやおやつの交換をしたりしちゃうんですね。
• 給料が安い
とは言っても、「日本に比べたら多いよね」という日本人は結構います。
良いところ
あなたが仕事始めに部屋へはいると、満面の笑みを浮かべた子供があなたの名前を呼びながら駆け寄ってきます。
これで嫌なこと全て帳消しです!
オーストラリアで保育士をしてみよう
保育士の資格や保育園での様子など、少しお分かりいただけたでしょうか。
これからオーストラリアで保育士の仕事に挑戦してみたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
みなさんのお力になれれば幸いです。
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