九州ほどの面積の国土に1,700万人が暮らすオランダ。
ドイツ、フランス、イギリスに囲まれた小国オランダが移住地として注目されている理由とは?
オランダ移住を考えている方のために、オランダで暮らし、生活する8つのメリットをご紹介します。
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1.生活水準が高い
オランダは国土面積が日本の約9分の1、人口は約8分の1という小国ながら、一人当たりのGDPは53,106ドル(2018年)で経済成長率も2.0%を越える(2019年と2020年の成長率の見込みは平均値の1.5%とされています)という経済大国の一つです。
日本の1人当たりのGDPが39,305ドルですから、その差は歴然です。
農産物輸出額はアメリカに次ぐ世界2位(2016年)を誇り、農場や食品関連の企業はオランダ国内に5300社以上あります。
世界の名だたる企業(ユニリーバやハインツなど)が研究所などをオランダに置いており、世界規模の食品イノベーションに関連する研究機関への民間投資額はヨーロッパの中で第二位となっています。
1980年代より推進してきたワークシェアリングによってユーロ圏でも屈指の低失業率を維持していることでも知られています。
- 先進的な労働環境
(雇用側が労働違反をした場合には専門機関が調査をし、企業に厳しい罰則、雇用者には違反された内容の改善や賃金確保などの保証がある) - 充実した社会保障・福祉
(育児手当の支給、病院費用は一定額を超えると無料、高校までの費用は無料で大学費用も日本の公立大学並みなど)
など生活水準が高く、オランダは日本人にとって魅力的な移住先です。
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教育レベルも高く、世界トップ100大学(2015-2016年)にはオランダから8校がランクインしています。※日本は東京大学と京都大学の2校がランクイン。
日本の外務省の統計(2015年)によればオランダを拠点とする日本企業は400社を超え、在蘭邦人は8,000人に上ります。子どもは日本人学校や英語のインターナショナルスクールに通うことができますし、日本料理店や日本食材店、日本人向け美容室もあります。県人会や同窓会、育児サークルもあり、日本人同士の交流も活発です。
移民の多い都市部ではアジア料理レストランやアジア食材店も充実しています。
ドイツやベルギーのビール、フランスのチーズやスペインのサラミなどヨーロッパの食材も気軽に堪能できます。最近ではオーガニック食材も、日本と比べてリーズナブルかつ容易に手に入るようになりました。
2.日本人への優遇措置がある
1912年に締結された日蘭通商航海条約により、オランダでは日本人への優遇措置がありました。
しかし、2017年1月1日以降に滞在許可を申請した人には、その特権は無くなりました。
それでもこの特権が無くても、日本人は他国の人に比べて圧倒的に滞在許可が取りやすいため、日本人起業家には特権が与えられていると言えます。
例えば、日本国籍の個人事業主は投資額4,500ユーロ(約50万円)を調達できるのであれば、商工会議所に登録するだけで開業できます。
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「オランダの経済発展や雇用創出に貢献できるか」といった条件や、事業計画を厳密に審査するポイントシステムは適用されません。
※それでも会社登録をする際には、これから始めようとしている事業内容や計画書、予算表などをチェックされます。英語でのやり取りでも大丈夫ですが、事業に対して質問やアドバイスなどをされることもありますので心得ておきましょう。
現地企業に就職することなく、個人事業主として簡便に滞在許可を申請する特権が認められているのです。
オランダに合法的に5年以上継続して滞在すると、永住権申請の権利が得られます。
さらにEU永住権を取得すれば、EU加盟国民と同等な扱いの保障や、EU加盟国への移住の権利も得られます。
日本人特権を活かしたオランダでの起業は、ヨーロッパ永住への足がかりとなります。
個人事業主の滞在許可(起業ビザ)申請の流れは下記の通り
- 役所で住民登録、住民登録番号(BSN)の取得
- 商工会議所(KvK)に登録、会社登録証明書と付加価値税(VAT)登録番号を取得
- 現地銀行にビジネス用口座を開設、投資資金4,500ユーロを入金
- 公認会計士によるバランスシート作成
- オランダ入国管理局(IND)で滞在許可申請
ちなみに、ヨーロッパ移住希望者にとって朗報だった「2014年12月末より日本人は労働許可なしにオランダで就労可能」という特別条件は、2017年1月1日からIND(オランダ移民局)の意向で取り消されました。しかし2019年3月にこの内容は移民法に背く内容としてある法律事務所が裁判を起こしました。
その結果は勝訴。日蘭通商航海条約の日本人への特権は復活しました。
しかし、その特権が適用されるのは、特権が取り消された2017年1月1日より前にINDに申請書を受理され、IDカードを取得している日本人に限られます。
3.英語が通じる安心感
オランダの英語能力指数のランキングは世界2位。
オランダ人は世代を問わず英語が堪能です。役所や学校、レストランからスーパーマーケットまで、ほとんどの場所で英語が通じます。(ただし、役所や学校、スーパーマーケットなどの店内表示は全てオランダ語です。)環境に慣れるまでの間、入国管理局での手続きや、病院で症状を説明する際などに英語が使えるのは大きなメリットです。
オランダでは義務教育開始とともに英語を学び始め、徹底的な音読や速読、シャドウイングを繰り返して体で英語を覚えます。
文法よりもコミュニケーションが重視され、辞書や参考書を使う授業は中学生になってから。
アメリカやイギリスの幼児番組を見て育ち、4歳頃にバイリンガルになる子どももいます。
中学生からは、さらにフランス語やドイツ語、スペイン語など数ヶ国語を勉強し始めるため、大人になる頃には多言語を話すことができるようになる人がほとんどです。
オランダは都市部に移民が集中する傾向があるためそういった地域ではアラビックや英語が飛び交います。
毎日英語に触れられることもオランダの魅力の一つです。
オランダ語と併せて英会話を習得したい方、子供のバイリンガル教育に感心のある方には最適の環境です。
ただし一番に学習すべきはオランダ語。オランダ語習得は永住権や国籍申請の必須条件です。
永住権取得を考える場合には、市民化テスト(inburgeringsexamen)やオランダ語国家試験(NT2)に合格しなければなりません。
オランダ語はどのような言語?
西ゲルマン語群に属するオランダ語は、英語やドイツ語の兄弟言語です。
オランダ語を学習する際、英単語や英文法の知識がとても役立ちます。ドイツ語とは枠構造を持つ点まで共通しています。
単語や語順が似ている英・独・蘭
英 I drink coffee with milk.
独 Ich trinke Kaffee mit Milch.
蘭 Ik drink koffie met melk
枠構造も共通する独・蘭
英 I can see Hans.
独 Ich kann Hans sehen.
蘭 Ik kan Hans zien.
移住前からオランダ語学習を始めておくのもオススメです。
東京ではライデン大学事務所内、大阪ではフランダースセンターなどでオランダ語講座を受講することができます。
日本で暮らすネイティブの方のレッスンは、オランダの情報収集にも役立ちそうです。CD付きの教材やDuolingoなどの教育アプリを利用する方法もあります。
オランダ語の発音はローマ字読みとは違うので最初は聞き取りづらいかもしれませんが、何度も聞いているうちに慣れてくるはずです。「耳と口を使って体で覚える」「まずは会話してみる」というオランダ式が功を奏すかもしれません。
出典:EF EPIホームページ(http://www.ef.nl/epi/)
4.子どもが世界一幸せな国
ユニセフが発表した先進国における子どもの幸福度調査で、2007年と2013年、オランダは連続で一位を獲得しています。
関連記事:世界一幸福な子供を育むオランダの「イエナプラン教育」とは
学校では子どもの自律性が尊重され、のびのびとした教育が行われています。イエナプランやモンテッソーリ教育を実施する学校、国際教育制度に沿ったインターナショナルスクールなどが全国各地にあり、子ども一人一人の希望や資質に合わせた教育が行われています。
両親もパートタイムで働くことで、家族で過ごす時間を大切にしています。
オランダでは1980年代の大不況から経済を立て直すために、ワークシェアリングが推進されました。
1996年の労働時間差別は禁止法により、フルタイムとパートタイムの賃金・社会保障も平等になりました。 その結果、オランダの労働人口の50%を超える人たちがパートタイムで働いています。
両親と子どもがいつも一緒に夕食をとる、週の半分はお父さんが子どもの面倒を見る、そんな理想的なワークライフバランスが実現しています。世界一幸せな子どもたちには、オランダ社会と家族の愛情が注がれています。
一方で、オランダ人もこの働き方で実際には様々な問題を抱えてることも事実です。例えば、パートタイム制で働いたことによりキャリアから外れてしまうということも。男女平等の時代になった今でも、働き方の問題を抱えたり、キャリアを絶たれてしまうのは女性の方が多いことも事実です。
5.ヨーロッパの交差点
中世より国際貿易の中心として栄えてきたオランダは、ヨーロッパの要衝に位置しています。
ドイツから流れ入るライン川はオランダ南部で水運に利用され、河口にはロッテルダム港(ユーロポート)が築かれました。
ユーロポートは河川水運と海運の結束点として発展し、貨物取扱量は世界6位、アジアを除けば世界1位というヨーロッパ最大の港です。
アムステルダム・スキポール空港は世界有数のハブ空港です。
ヨーロッパ諸国をはじめ、世界91カ国260都市への直行便が就航しています(2005年)。パリやロンドン、ミラノやベネチアまでの飛行時間は2時間以内。
日帰り出張やショッピングも可能です。日本からの飛行時間は約12時間で、東京と大阪から直行便が就航しています。
ドイツやベルギーと直結する高速道路は無料のため料金所はなく、シェンゲン条約により国境審査もないので時間的ロスがありません。
※国境を越える場合は必ずパスポートは所持しておきましょう。トラブルが多いそうです。
ドイツのケルンやベルギーのブリュッセルまでは車で約3時半。
ホリデーシーズンにはイタリアやスペイン、さらにはトルコやモロッコまで、道中の宿泊や観光を楽しみながらドライブ旅行をする人もいます。
鉄道ではドイツのフランクフルトやフランスのパリなどと高速列車で直通しています。フランクフルトまでは高速列車ICEで約4時間、パリまでは高速列車タリスで約3時間半。国内の都市間鉄道も利便性が高く、4割引パスなどを活用して経済的に旅行を楽しめます。
チケットは国際線、国内線を問わずオランダ鉄道(NS)のホームページでオンライン購入が可能です。
海運・空運・陸運に恵まれたオランダは「ヨーロッパの交差点」と呼ばれ、多くの外国企業が進出しています。
多国籍チームで仕事をすることも稀はでありません。国際商業都市や移民の割合が高い大都市では、異文化を身近に感じることができます。ビジネスでもプライベートでも国際色豊かな生活ができるのがオランダの何よりの魅力です。
6. 明るくさっぱりとした性格のオランダ人
人種によって様々な性格がありますが、オランダ人の性格はとにかく明るい。
人々が外で過ごす夏などは、どこからともなく大きな笑い声が耳に入ってきます。
そして小さな事なら大概のことは「Geen probleem!」(問題ないわ!)と言ってのけてしまうことからもオランダ人の性格を知ることができると思います。
オランダ人と友達になりたければ、困っていることや質問などは正直に伝えることです。
きっと彼らは自分ができる範囲の精一杯で対応してくれます。
もちろん、これらの性格に該当しないオランダ人もいますが、筆者が今までに出会ったオランダ人はほぼ、この様なオランダ人ばかりです。移住してきて不安な気持ちであっても、その気持ちさえ受け止めて笑い声に変えてくれる力がオランダ人にはあります。
7.オランダ語を学べる環境
オランダではオランダ語を母国語としない移民に対して、様々なオランダ語レッスンの場を提供してくれています。
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もちろん、個人レベルでのオランダ語レッスンなども調べれば沢山あるのですが、ここで言うオランダ語レッスンは、自治体レベルで行なわれているものを指しています。
地域のコミュニティーセンターなどで開催されているレッスンでは、換算すると1レッスン2ユーロ程で受けられるものと、やる気と時間さえあればいくらでも格安でオランダ語を学ぶ環境が整えられています。
低価格である上に収入の額によっては更に補助が受けられるものもあります。
8. おいしい食べ物が充実している
オランダの食事は美味しくないなどという人も居ますが、全体的においしい食べ物が多いです。味付けもそこまで濃いものは少なく、日本人には食べやすい食事が多いです。
関連記事:これがオランダの食文化!家庭の料理〜外食事情まで伝えたいこと
逆に日本から入ってきている食事の方が濃いめの味付けのものが多いです。(ラーメン、たこ焼き、唐揚げなど)
また移民が多いことや、オランダの植民地であった国の人々の影響などもあり、食材も国際色豊かです。東南アジア料理の材料などはスーパーでも簡単に手に入ります。
日本食を作りたければ、中華食材系のスーパーなどで様々な食材が手に入ります。もちろん、日本の商品です。
オランダ移住がオススメな理由まとめ
ドイツ、フランス、イギリスなどの大国に囲まれた、ヨーロッパの要衝オランダ。
ヨーロッパ移住の穴場ともいえるオランダの魅力は、「8つのメリット」だけでは語り尽くせません。ぜひ現地で、自由な街の暮らしやすさやオランダ人の陽気さに触れてみてください。
【オランダの関連記事はこちら】
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