就職先を海外で考えている方々へ。
今回は「海外で働くこと」を目指す方へ向けて、筆者が会計スペシャリストとしてのアメリカでの実体験をシェアいたします。
会計士としてアメリカで働くという目標達成への近道とそのオプションについて、メリット、デメリットを含め、あらゆる角度からお話していきます。
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アメリカで働くためにいちばん重要なものって?
海外で就職するとなると、まず始めに抱だかれる疑問は「アメリカで働くためにはどんな種類のビザが必要なの?」ではないでしょうか。
さかのぼることおよそ16年前、私は大学進学を機に、アメリカ東海岸に渡米しました。
当時は英語が話せないながらも、将来は海外でいろんな国の人と働いてみたい、という思い一心に、片道チケットを握り締めて飛行機に乗りました。
大学ではあらゆる科目を取り、最終的に経済学に落ち着きました。
4年間という月日はあっという間に過ぎ、卒業と同時にアメリカにある外資系会計事務所に就職しました。
外国人としてアメリカで就職活動するにあたり、一番大変だったのが就労ビザの取得でした。
日本人として日本で生活している中では、そもそも就労ビザやビザそのものの取得を考えたことがありませんでした。
しかし、外国人としてアメリカで合法に働く上で、必要不可欠な書類になります。
Optional Practical Training
一般的に、アメリカでは留学生が卒業後、現地で働く場合、まず1番最初に取得するものはOPTと呼ばれるものになります。
これは、Optional Practical Trainingの略で、「外国人留学生が大学で学んだことを生かしてアメリカで働くことをサポートするビザ」です。
私は大学時代、学生ビザ(F1ビザ)でアメリカに滞在しており、卒業生を機に、OPTを活用して就職しました。
参考記事:OPTとは?アメリカ留学からインターンシップ・就職を実現する方法
H-1Bビザ
OPT取得後は、アメリカ国内一年間の就労が可能となっています。そしてOPTの失効後、外国人としてアメリカで働くためには、一般的に就労ビザ(俗にH-1Bと呼ばれています)の取得が必要となります。
この就労ビザとは、雇用先の会社側がスポンサーとなり、従業員のためにビザの取得に係る一切の費用を負担します。
基本的には最長5年の有効期限があり、雇用先が変わるたびに変更手続きが求められます。
転職などで、就労ビザのスポンサー先を変更しても、通常は、最長5年の有効期限が延長される事はない点に注意が必要です。
またこの就労ビザは、どのような職種に対しても発行されるわけではなく、アメリカ移民局がさだめた専門分野に対してのみ発行されるものです。
例えば、医療、エンジニアなどを含み、それら業種は特殊技能職とも呼ばれています。
アメリカでの会計の仕事内容
会計の仕事といっても内容はいろいろあります。
私の仕事内容は、会計監査です。
なかなか聞き慣れない方もいらっしゃるかと思いますが、ひとことで言うなら、「会社の財務状況がきちんとルールに従って報告されているかを確認する業務」です。
対応しているクライアントは、現地にいる日系企業やアメリカの現地法人です。
実際の仕事では、1人で作業する事はほぼなく、5〜10人のチームメンバーで常に動いています。
使う言語はその時々のクライアントや仕事内容によって変わります。
しかし、アメリカで働いていることもあり、基本的にはどの場面でも英語を使うことが求められています。
会計職の年収は?ビザ面でも給与面でも優遇されている
会計のお仕事にも経理や税務、コンサルタントなど様々ありますが、その中でも監査は特に需要が多い分野になっています。
その理由の1つとして、監査は常にチームで働いているため、応募人数も多めな傾向にあり、毎年求人の応募をかけていることが挙げられます。
給与水準は、会計以外の職種と比べて比較的高い傾向にあります。
そもそも生活水準が高いアメリカでは、日本と比べてアメリカの新卒初任給は高めに設定されています。
かつ、一般的に就労ビザのスポンサーとなる企業の多くは、大企業であるため、給与水準も高い傾向にあります。
年収は新卒で550万円〜
参考程度にはなりますが、会計職の初任給は日本円に換算し、550万円〜が一般的といえます。
これはあくまで私が新卒だった当時の相場及び勤務エリアの生活基準に基づいたもので、アメリカの地域によってはこちらの金額が増減します。
とは言え、会計以外の職についた場合、初任給で、日本円に換算し450万円〜は市場では良い方であるといえます。
また、会計という専門職であることから、就労ビザのサポートなどに係る費用を会社が負担してくれていること、これら費用を会社が負担してくれていることへの数値化できない対価分も、外国人としてアメリカで働く上では見逃せないポイントであるといえます。
更に、会計職は専門性が高いことから、景気に左右されにくい職種と考えられる傾向にあり、2年目以降の報酬アップも期待できます。
実際に、2年目には15%程度、報酬アップした実績も周りでは珍しくありません。
雇用主にもよりますが、私の経験上、監査の仕事で賞与は支払われた実績はありませんでしたので、この点については自身で雇用主に確認することは望ましいでしょう。
会計の面白さ。モチベーションを感じる瞬間
この仕事をしてみての1番のやりがいは、大学時代に習った知識を最大限に生かせること。
経済学部を専攻していた中で、会計学の科目は必修となっており、そのレベルは基礎なものから応用的なものまでありました。
そして、どのレベルの内容もこの仕事で生かされていると常に感じています。
こうして学生時代に習ったことをすぐに社会で生かせる職場で働けていることは、留学をサポートしてくれた両親への親孝行の1つになったかなと感じています。
現に初任給をもらった時は、両親にアメリカ旅行をプレゼントできました。
また、会計と言う仕事は会社の財政や経営体質を数字の力を借りて理解でき、普段では見れないような会社の実態について知れる面白さがあります。
こういった知的好奇心を駆り立てられる、と言う一面もこの仕事のやりがいと感じています。
とはいえ、アメリカで働くのも楽なことばかりではない
一方で大変なことについては、働く時間への縛りとハードワークです。
監査仕事は、1年の間で、ある程度スケジュールや仕事のリズムが決まっています。
忙しい時期は、会社の決算のタイミングや締めの月などに直結しています。
こうして、期限があらかじめ決まっていることは、前もってスケジュールが組みやすい一方で、このスケジュールからはずれないように、つまり、納期に向けて仕事を進める事が求められます。
このため、必要に応じてハードワークが求められる時期もあります。
具体的には、深夜残業や必要に応じて徹夜しなければいけないような時期もあります。
企業によって細かい就業ルールはありますが、一般的に監査の仕事は残業手当がつかないことが多いです。
ですので、こうしたサービス残業をしながら、納期に合わせて仕事をする精神的な大変さや過酷さがあることも現実です。
会計スペシャリストで目指せ海外移住
こういったメリットやデメリットを理解した上で、会計監査の領域でアメリカへの移住をお考えの方に、ここで朗報です。
会計監査のスペシャリストとなってアメリカへの就職移住を目指すことは、十分に可能であると個人的に考えています。
現に私が達成した通り、会計の専門領域は、就労ビザ発行の条件に定められる特定技能職の1つとなっているからです。
また、どのような企業にも会計業務は存在すると言っても過言ではありません。
ですので、常に需要がある、そして高い専門性を持つ領域の業種となっているため、会計の分野でスペシャリストとして、アメリカ移住を目指すことは実現可能な目標だと言えます。
スペシャリストとして活躍するために最も重要と言われているもの
ずばり、米国公認会計士(USCPA)の資格です。
日本でも俗に会計士と呼ばれる資格がありますが、試験の内容や性質、受験資格などは異なります。
たとえば、日本の資格は大学在学中に取得する方もいるのに比べて、アメリカでは一般的に大学卒業後に取得する資格となっています。
米国公認会計士の資格を持っていることは、外国人としてアメリカでの就職に有利であると言われています。
就職に有利であるというのは、雇用主にとっても就労ビザの発行手続きをしてでも獲得したい人材となり得るということです。
会計スペシャリストとして海外移住を目指す近道
さて、会計職でアメリカ移住を目指す場合の近道についてシェアします。
- まずは大学で経済学または会計学を専攻すること。ここで言う大学とは、アメリカ国内もしくは日本国内でも構いません。または、入学時に日本国内の大学に在籍していても、卒業前は、アメリカの大学に編入することをおススメします。
- そして、卒業時点でアメリカの大学卒業認定書を獲得することで、OPTの取得の近道になります。
重要なのは、会計に関連する学部を卒業することです。そして、会計を専攻することで、特定技能職の認定を受けやすくなります。 - これによって最終的には、雇用主から就労ビザを申請してもらい、アメリカ移住の目標に到達します。
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