同じアジア圏でも、特に韓国は日本と地理的に近く、生活習慣がとても似ています。
そのため、国際結婚だけでなく、韓国への海外赴任をきっかけに家族みんなで移住するケースもあるようです。
子どもを連れて移住するとなると、やはり気になるのは教育環境です。
そこで今回は、韓国の保育園事情と、事前に知っておきたい日韓の違いをまとめました。
韓国の保育園事情
まず、韓国には国公立や私立の保育園の他に、法人や団体が運営する保育園や職場内の保育園などがあります。
園児数が10人以下のところから100人以上のところまで、実にさまざまです。
ここでは、その中でも韓国で特に人気の国公立保育園と、日本ではあまり見かけない家庭保育園についてご紹介します。
それぞれのメリットとデメリットをチェックしていきましょう。
一番人気の国公立保育園
国公立保育園の最も大きなメリットは、安定的だという点です。
国が運営する保育園だけあって、園長先生も欠格事由のない人材として厳正に選ばれています。
また、国の予算で先生たちの給与が支払われているので、年度途中で先生が交代したり退職したりすることがあまりありません。
また、民間の保育園に比べて多様な教材や教具が整っており、施設設備もきちんと管理されています。
さらに、さまざまな教育プログラムも実施されています。
このような理由から国公立保育園への入園希望者が非常に多く、競争が激しいという点がデメリットだといえます。
地域によって異なりますが、子どもが生まれたら出生届と同時に保育園の待機を申し込む人も少なくありません。
国公立保育園の場合、入園までかなり待たなければならないということを覚悟しておきましょう。
韓国特有の家庭保育園
韓国では、一棟ではなく複数の棟が集まったマンション群が建設されることが多く、住戸数が一定数以上であれば保育園の設置が義務付けられています。
そのマンションの一室に設けられているのが家庭保育園です。
マンションの住民はエレベーターひとつで移動ができ、天気が悪い日や荷物が多いときでも登園がとても便利です。
また、家庭保育園は他の保育園より小さい規模で運営されています。
そのため、子ども一人ひとりに目が届きやすく、月齢が低くてもきちんとケアしてもらえることがメリットといえます。
保護者としては、先生との距離が近くコミュニケーションも取りやすいため、とても安心感があります。
0歳児クラスから国公立保育園に入園することはほぼ不可能なため、国公立保育園の待機期間中に家庭保育園へ通わせる保護者が多いようです。
その一方で、デメリットとしては、教育的な部分はやや弱いといえるでしょう。
家庭保育園は、教育よりも保育に重きを置いている施設です。
規模が小さく、教育プログラムや行事を実施するには限界があります。
比較的月齢の低い子どもたちが、日常生活で必要な知識や習慣を身につけるための場というイメージです。
日本と韓国の保育園の違い
それでは、ここから本題に入りましょう。
日本と韓国は生活習慣がとても似ていますが、保育園に関しては大きな違いが見られます。
これには、韓国ならではの背景もあるようです。一つひとつ解説していきましょう。
園庭がない
日本で保育園探しをするとき、多くの保護者が希望するのが「広い園庭」。
子どもにはしっかりと外遊びをして自然に触れ、のびのびと育ってほしいと考える人が多いからです。
しかし韓国の保育園では、ほとんど園庭がありません。
もちろんブランコやすべり台などの遊具もありません。
その理由は、外遊びより教育が重要だと考えられているからです。
早い子どもなら、1~2歳ごろから英会話教室に通ったり、通信教育を始めたりします。
教育熱が激しい韓国では、早期教育に力を入れたいと考える保護者が多いのです。
そのため、園庭の有無はあまり重要ではありません。
また、特にソウルやその近郊では、冬になると氷点下15度まで気温が下がります。
PM2.5をはじめとした大気汚染も年々深刻になり、屋外活動を禁止する警報が発令される日も少なくありません。
このような環境上の理由も挙げられます。
園外へ遊びに行く現場学習や遠足などを除き、子どもたちは一日のほとんどを室内で過ごします。
建物の造りとICチップによる登園チェック
園庭があまりない韓国では、学校のような造りではなく、一戸建てやビルの建物全体が保育園になっています。
玄関を入ると下駄箱が並び、建物内に一度入ると外との接点はありません。
複数の教室に分かれていて、階段で上下の階を移動します。
日本のようにテラスや水遊び場がないため、安全上は子どもの管理がしやすいといえるでしょう。
また、IT先進国の韓国では、保育園専用のリュックサックにICチップが内蔵されています。
子どもが正門や玄関を通れば、自動的に認識し、登園したことをアプリで保護者へ知らせます。
特別活動の授業が人気
日本の保育園では、先生がピアノを弾いたり、みんなで絵の具を使ったりする時間が多くあります。
もちろん韓国でも触感あそびやバランスあそびなどが取り入れられています。
でもそれ以上に、外部から特別講師を招いて行われる特別活動の授業がとても人気です。
例えば、テコンドーや美術、リトミック、英会話など多岐にわたります。
教材出版社が提供するモバイル機器を使った知育授業などもあり、子どもの興味関心や特性に合わせて選ぶことができます。
これらは自由参加で、まるで保育園の中で習い事をしているようなイメージです。
給食にキムチが出る
韓国料理に欠かせないものといえば、キムチ。
実は保育園の給食にも毎日キムチが出ます。
もちろん大人が食べる赤くて辛いものではなく、子どもが食べやすい水キムチやペク(白)キムチがメインです。
韓国の子どもたちは、小さい頃からキムチに慣れ親しんでいるのです。
食べることがとても重要だと考えられている韓国では、種類も量もしっかりした給食が特徴的です。
登降園の送迎バスが運行している
日本の保育園では保護者が送り迎えをしているケースがほとんどですが、韓国では送迎バスが運行しているところが多くあります。
韓国は車社会ですが、移住して間もないうちは自分で車を運転して送り迎えするのは容易ではありません。
そんなときでも保育園の送迎バスを利用できれば、毎日とても助かります。
降園時間が早い
日本の保育園では、午前7時30分~午後6時30分、さらに延長保育1時間というところが多いでしょう。
一方韓国では、通常保育が午前9時~午後4時、延長を希望すれば午後4時~午後7時30分までです。
ただし、家庭の事情や保護者の希望によって、午前7時30分~預けられる場合もあります。
日本以上に共働きの多い韓国では、祖父や祖母が両親に代わって孫の子育てに積極的に関わっています。
そのため、そんなに長時間保育園にいさせるよりも、祖父や祖母が午後2時~3時ごろに迎えに行き、自宅で孫の世話をしながらおやつや夕食の準備をするケースがとても多いです。
場合によっては、祖母の兄弟やさらに遠い親戚まで子育てに加わります。
「家」のつながりが強い韓国では、みんな総出で子どもを育てるものだという認識が一般的なのです。
日本の子育てとは大きく違う点だといえるでしょう。
韓国の時間制保育制度とは?
韓国で保育園を探す場合、まずは見学に行ってみましょう。
事前に連絡をすれば、園長先生による入園相談や保育園の内部を見学させてもらえます。
また、生後6ヵ月~36ヵ月の乳幼児を対象とした時間制保育という制度があります。
この制度を導入している保育園であれば、いつでも1時間から子どもを預けることができます(毎月最大80時間まで)。
居住地以外の保育園も利用することができ、オンラインで簡単に申請できます。
費用は国からの補助があるため、1時間1,000ウォンです。
ただし、専用のカードを作らなければなりません。
時間制保育は専用の教室で実施され、定員は3人程度の少人数です。
通常クラスではないため、教育プログラムを受けたり、給食を食べさせたりすることはできません。
でも、保育園の様子を見たり、先生たちと話したりする良い機会です。
ならし保育の一つの方法として利用してみることをおすすめします。
正式な入園申請はオンラインで
韓国で正式に子どもを保育園へ通わせる場合、申請はすべてオンラインとなります。
専用サイトにアクセスし、希望の保育園を選択します。
定員超過の場合は、待機申請ができます。
日本で保育園の入園申請をする場合は、保護者の就労状況によって点数化され、勤務日数や勤務時間などが非常に重要になります。
韓国でも同じように待機が多ければ優先順位が付けられますが、必ずしも保護者が仕事をしていなくても構いません。
専業主婦で子どもを保育園に預けている人も多くいます。
もし韓国人と国際結婚している場合、多文化家庭という理由で優先順位が高くなります。
子どもを兄弟で同じ保育園に通わせたい場合などは、希望する保育園の園長先生に気軽に相談してみましょう。
韓国では、個々の事情に合わせて融通を利かせてくれる場合も多々あります。
まとめ
日本とはいろいろな違いが見られる韓国の保育園事情。
まずはしっかり下調べをして、複数の保育園をリサーチしてみましょう。
最も大切なのは、子どもができるだけストレスなくスムーズに保育園での生活に慣れることです。
これらの違いをしっかり理解しておけば、韓国での保育園探しにきっと役立つはずです。
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