人生で一番高い買い物は?と聞くと、おそらく多数の方が「不動産」と答えるのではないでしょうか。
その高価な買い物を日本ではなく、外国であるオーストラリアで購入するとなると、日本にいるとき以上に不安がつきまとうものです。
今回はメルボルン滞在歴16年で不動産売買を3回経験した筆者から日本との違いをお伝えします。
不動産購入を考えているけど不安がある方、ぜひ、最後まで読んでみてください。
※なお、ここでご紹介する購入プロセスはオーストラリア永住者の購入方法です。
外国人が不動産を購入する場合は法律で規制がありますので、こちらをご確認ください。
外国人がオーストラリアで不動産を購入する際の規則:
https://www.ato.gov.au/general/foreign-investment-in-australia/residential-investment/
不動産は買い替えが前提
日本では一般的に「家は一生もの」という考え方です。
実際私も初めて海外で生活するまでは、ずっと同じ家で育ち、建て替えなどをしたものの家族に転勤ということもなく、両親は今も同じ家に住んでいます。
しかし、オーストラリアでは自分のライフステージに合わせて買い替えをするのが前提です。
例えば、結婚したてのときはベッドルームが1~2つの、アパートや都心の小さい物件を購入します。
子どもが増えたり就学年齢になったりする頃に、ベッドルームが3~5つの物件に買い替えるのです。
その際地域は郊外や、公立で評判のいい学校がある地域、広い庭があるところを選んだりします。
そして子どもが巣立ったら、ダウンサイジングといって今度は大きな庭やプールなどのメンテナンスが少ない、小さな物件に買い替えるという具合です。
不動産は投資
前述の買い替えが前提なのは、メルボルンやシドニーの都心部の不動産価格が伸びているという面もあります。
REIVというビクトリア州の不動産業界団体によると、メルボルンの不動産は過去40年上がり続けており、このコロナ禍でも価格は下がっていないというリポートもあるのです。
メルボルンの都市部の家賃はとても高いので、「高い家賃を払うなら小さなベッドルーム1つのマンションをローン返済した方が安い」といって購入した20代の知り合いも、何人もいます。
20代や30代で不動産を購入した人は、おおむね投資か、あるいは次にもっと大きい物件を買うために買ったという人が大多数です。
参照:REIV
物件の探し方
一般的にオーストラリアでは個人が全て物件を探し、後ほど述べるオークションに参加するなどし、さらに各種手続きをするのが購入までの流れです。
ここでは、代理人を利用する場合と、個人で購入する場合の物件の探し方をご紹介します。
代理人を利用する場合:Buyer’s Agent/Advocate
時間のない人や、オークションを含めオーストラリアのシステムに慣れない人は Buyers Agent/Advocateという代理人を通して購入することができます。
この代理人は日本でいうところの不動産仲介人に近いものです。
以下の事がらを全て、代理人を通して行うことができます。
- ローンの仲介
- 不動産を探すところから売り手との交渉
- 法律的手続きのサポート など
手数料はサービスの内容にもよりますが、購入物件の金額の3%にのぼることも。
さらにプラス消費税となるので、事前にサービスの内容と手数料を確認しておく必要があります。
Buyers Agent/Advocate:https://www.choice.com.au/money/property/buying/articles/property-buyers-agents
個人で購入する場合:不動産検索サイト
次に個人で購入する場合をご紹介しましょう。
一般的にまずインターネットのサイトで物件を探します。
代表的な検索サイトは以下の2つで、両サイトともに、条件と金額を入れて検索をするシステムです。
Realestate.com.au:https://www.realestate.com.au/buy
Domain.com.au:https://www.domain.com.au/
気に入った物件の内見日程や担当不動産屋の詳細が載っており、ここから不動産屋に質問したり関係書類を請求したりすることもできます。
リスティングを見ていて、まず日本人がわからないだろうと思うのはPrivate SaleとAuctionという、2つの販売方法です。
こちらについては次で説明します。
Private SaleとAuction
Private Saleは通常日本で行われるような、不動産屋を通しての個々で交渉するスタイルです。
Auction (以下オークション) は競売のことですが、日本での銀行による競売とは意味合いが異なります。
オーストラリアでは、一般住宅物件はオークションによる販売の場合が多いです。
上記の検索サイトにはオークションの開催日が掲載されているので、参加したい場合にはまず、その物件を担当する不動産屋の担当者に連絡をし、参加登録をしましょう。
オークションは開催日当日に、当該物件の1室または物件の前の公道を使って行われます。
現在はコロナ禍のため、Zoomでオンラインオークションが行われたりといった状況です。
オークション契約への道
オーストラリアでもっとも一般的なオークションという購入方法、実はけっこうクセモノです。
競売人の口上から始まり、市場の競りのような特殊なリズミカルな口調で進みます。
近所の人たちが物見遊山で集まってくることも多いので、初めてのときは雰囲気に飲みこまれがちです。
オークションはギャンブル?
オークション中は参加者の緊張感も伝わり、まるでブラックジャックをプレイしている気分です。
参加者は単に参加して手を上げるのではなく、それぞれ戦略的にビッドをすることが多く、実に緊張します。
例えば、表情を読み取られないようにサングラスをしていたり、口元を隠したり、あるいは大勢の中で一番後ろや端っこにいて他人から見られないようにしたり。
自信がない人はオークションに慣れている人にビッドをお願いするなど、といった具合です。
同時に、競売人も金額を釣り上げるために雰囲気をあおります。
こうすることで値段が予想以上にハネ上がる可能性があり、売り主にとってはチャンスなのです。
雰囲気を味わいたい方は以下のYouTubeをご参考に。
また、オークションのハウツーも検索するとたくさんでてきます。
YouTube 参考:https://www.youtube.com/watch?v=1u8tWS0G7Bw
オークションのハウツー 参考:https://www.realestate.com.au/advice/bid-auction/
ウルトラC
オークションでは最終的に資金に余裕がある人が勝つので、一般にはよく「物件の推定価格より3割増しくらいの金額を、最終落札金額と見るのがいい」とも言われています。
逆に言えば、自分の予算より少し下の物件を探すということです。
資金に余裕がある場合は、ウルトラCでオークション期日よりも前に契約成立できることもあります。
期日前に売り主が納得する金額を提示して交渉するという手段です。
交渉がうまくいけばオークションをせずに契約ができることもあります。
忘れてはいけないお金の話
ここでは予算を立てるときに考えておきたいお金の話を取りあげます。
10%の頭金とStamp Duty(印紙税)
予算を組むときに忘れてはいけないのは、オークションで落としたときにその場で支払う購入価格の10%の頭金と、不動産を購入するときにかかる各種税金です。
この税金は州や購入額などの条件によって変わります。
基本的には「この物件には税金がかかりません」と表記している物件、あるいは初めての不動産購入者以外は、ある程度の金額がさらにかかりますのでご注意を。
「白熱するオークションの雰囲気にのまれて税金分までオークションにつぎ込んでしまい、最終的に落とせたものの予算をオーバーして慌ててお金をかき集めた」なんていう話もあります。
ローンの話
あたりまえのことですが、現金で購入しない場合には住宅ローンを組みます。
オーストラリアには、いわゆる銀行と名のつくところ以外にも、住宅融資をする正規の機関が多数あるのです。
ローンを仲介するMortgage broker(モーゲージブローカー)や、利子の比較サイトなどを見て借入先を見つけ、借り入れができることと上限の金額を確定します。
政府の住宅ローンガイドもありますので、ぜひ参考にしてみてください。
ここでのポイントは、ローンは日本と異なり、物件を探す前に確約を取っておくこと。
不動産の検索サイトを見るとわかりますが、掲載日からオークションまでの期間が4~6週間というのが一般的。
ですので、気に入った物件を見つけてからローンを組むと事務手続きに時間がかかり、オークションに間に合わないということもあるのです。
また、オークションで無事落とせて購入価格の10%の頭金まで入れたのに審査が通らず購入ができなかった場合、違約金ということで頭金を全額取られてしまいます。
利子の比較サイト:https://www.canstar.com.au/home-loans/
政府の住宅ローンガイド:https://moneysmart.gov.au/home-loans/choosing-a-home-loan
オーストラリアでの不動産購入のまとめ
「オークションに負け続けて1年経ってしまった」「なかなか自分の条件に合った物件に巡り合わなくて1年半経った」という話はよく聞きます。
オーストラリア人もオークションかPrivate Saleかで迷うのです。
Private Saleのみの検索もできるので、それを中心に物件を探すことやBuyer’s agentを利用するのも手だと思います。
オーストラリア人でさえも苦労する不動産購入。
日本とは不動産に対する考え方や、売買の仕方が違うということを念頭において、長期戦になることを前提に購入の準備をすることをおすすめします。
オーストラリアの文化やライフスタイルを知るためにも内見は楽しい経験です。
ぜひ、購入のプロセスを楽しんでください。
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