カナダで生活するうえで必要な保険にはどのような種類があるか、ご存じですか?
カナダに移住した場合、自分が生まれ育った国ではないのですから、当然さまざまな不安が脳裏をかすめることでしょう。
もし病気になったら、あるいは家が火事になったら・・・。
ここでは、カナダのバンクーバーで約20年、大手保険代理店で保険ブローカーとして働いた経験者が、ブリティッシュ・コロンビア州(BC州)で取り扱う保険全般を解説します。
まずは、医療制度のしくみを理解し、そのほかにどんな保険が自分に必要であるかを検討するのが大切です。
これから紹介する内容は、どのような保険があればカナダで生活できるかがイメージできるように、わかりやすく説明します。
いったい、保険とは何だろう・・・
「保険」とは、将来、日常生活で起こりうるさまざまな危険から、財産あるいは生命を守るための防衛策と言える制度です。
そして、保険契約者たちが支払う保険料は、万が一の事故や災害時に使われます。
極端な表現をすると、一人の契約者の事故や災害を多くの契約者たちが助けると言ったところでしょうか。
カナダの医療制度(健康保険)とその仕組みとは?
基本的な医療
カナダの医療は公的健康保険制度を採用しており、主な医療については患者の自己負担が一切なく、全てを税財源で公的に負担しています。
また、全ての国民は州の健康保険を取得できますが、新移民の場合の新規取得までの約3ヶ月間、また短期滞在に人たち(留学生、ワーキングホリデーワー含む)は公的健康保険を取得できない州もあります。
その場合の医療費は全額個人負担になります。
基本的な医療以外の保険
主な医療は税財源で公的に負担されているものの、歯科診療・処方薬剤・リハビリ治療などは、基本的に全額個人負担となります。
一般的に医療費は高額なため、それらをカバーする保険を検討することが大切です。
また、各州により公的健康保険以外の保険の種類・内容は違うので、よく確認することが必要です。
個人事業主あるいは企業に勤務していない場合
- 保険代理店で必要な保険のみを購入するか、あるいは公的に負担されないさまざまな保険が含まれているパッケージ保険を購入
- 保険料は全額個人負担
企業に勤務している場合
- 保険パッケージを企業(雇用主)に確認
(ほとんどの企業は”ベネフィット”と呼ばれるパッケージを社員に提供しています。一般的に”ベネフィット”には公的に負担されないさまざまな保険が含まれています。主なパッケージには生命保険や介護費用なども含まれ、扶養者も加入することができます。) - 保険料は企業と個人(社員)で半分ずつ負担
特定疾病保険
ガン、心臓発作、脳卒中などの指定された病気にかかった場合、闘病生活を経済面から支える保険です。
主な内容:
- 疾病・傷害で働けなくなった時の所得を保障(疾病には身体的なものだけでなく、精神的なものも含まれます。)
- 診断後、契約時に決めた保険金が一括で支払われます。追加保障の疾病として複数の疾病・障害は含まれますので、実際に含まれる内容を契約前に確認することが大切です。
医療機関を利用する場合
一般的に医療機関を利用する場合は、まずファミリードクターと呼ばれる主治医を予約・受診しなければいけません。
ファミリードクターを持たない人たちは、誰でもアクセスできるウォークイン・クリニックで受診を受けます。
ウォークイン・クリニックでは毎回異なったドクターの受診を受けることが多々あります。
医療制度の問題点
専門医についてはドクターからの紹介状が必要になります。
医師数の少ない専門医を受診する際は、予約が数か月後先になることも少なくありません。
また、CTやMRIなどの検査機器の数が少なく、検査の待ち時間も何か月先になることもあります。
このように、専門医へのアクセスが悪く、検査等の待ち時間も大変長いことが、カナダの医療制度の問題点です。
個人住宅火災保険は?
日本と同じようにカナダの人たちは一軒家やコンドミニアムを買ったり、あるいはアパートなどを借りて住んでいます。
コンドミニアムとは、日本の分譲マンションと同じ意味をもつ住宅の呼び名です。
住宅火災保険は、現在はパッケージになっており、1年ごとに更新し、保険内容は若干保険会社により異なります。
住宅火災保険の種類
- 一戸建て(Homeowners)保険
- コンドミニアム 保険
- テナント(賃貸)保険
含まれる主な保険内容
- 住宅家屋の損害費用(一戸建て(Homeowners)保険のみ)
- 家財の損害損害費用
- 災害時の仮住居費用(一部生活費用も含む)
- 第三者に対する損害賠償費用
- 第三者に対する医療費用および器物破損費用
住宅火災保険の注意点
家財に関しては支払い対象額の制限があったり、対象外のケースもありますので、家財のリストなどを作成しておくとよいでしょう。
制限があったり、対象外の例として、貴金属、宝石、毛皮、ラップトップコンピューター、骨とう品などがあげられます。
また、それらを個別に保険かけることもできます。
家屋の状況や使用目的などが変わる場合は、保険代理店に必ず連絡しましょう。(自宅で事業を始める、改築、増築、住宅の一部を賃貸するなど)
さまざまなディスカウントが適用になることがあります。(アラームシステムの導入など)
自動車保険は?
カナダの自動車保険は各州によって全く異なります。
BC州では、自動車を運転する際は保険に加入することが義務付けられています。
自動車保険はICBC (Insurance Corporation of British Columbia) と呼ばれる州政府の保険会社により運営されています。
Autoplanという看板のある保険代理店で、自動車保険全般の手続きができます。
近年はオンラインで保険の更新ができるようになりました。
保険の適用地域はカナダ、アメリカで、ハワイも含まれます。
ベーシックプランとは
ベーシックプランに含まれているもの:
- Third Party Liability (第三者賠償責任保険):事故の際の対物・対人に対して最大20万カナダドルをカバー
- Enhanced Accident Benefits : 事故での治療費、事故により働けなくなった場合の所得、また死亡時のなどのさまざまなコストなどをカバー
- Basic Vehicle Damage Coverage:事故の際の過失が25%以下の場合、車の修理費用を最大20万カナダドルをカバー
- Underinsured Motorist Protection:事故を起こしたドライバーが保険に未加入、または加入している保険限度額が低く事故での損害をカバーできない場合、1人につき最大1ミリオンカナダドルまでをカバー
- Inverse Liability Coverage:自分に過失がない場合、BC州外のカナダ、あるいはアメリカの相手に対して賠償請求が法律で認められない州で事故を起こされた際の車両修理代をカバー
オプショナルプランとは
ベーシックプランに加え、オプショナルプランも購入することができます。
オプショナル保険はICBC以外の保険会社からも購入できるので、保険料を比べてみるのもよいでしょう。
車両保険の主なオプショナルプラン:
- Collision:自損事故における車両の損害をカバー
- Comprehensive:Collisionでカバーされない車両の損害をカバー (火災、盗難、車上荒らし、落雷、暴風、暴動、動物にぶつかったなど)
対人・対物の主なオプショナルプラン:
- Extended Third Party Legal Liability(第三者賠償責任保険):ベーシックプランでカバーされる20万カナダドルを最大5ミリオンカナダドルまで引き上げてカバー
- Excess Under Insured Motorist Protection:ベーシックプランでカバーされる1ミリオンカナダドルを2ミリオンカナダドルまで引き上げてカバー
- Loss of Use:事故の際の代車費用をカバー
その他の保険とは?
カナダではファイナンシャルプランナーや資格を持ったアドバイザーが生命保険を取り扱っています。
このような保険を扱うアドバイザーが常駐する銀行も多くなっています。
生命保険
生命保険には、ある特定期間を対象にした定期型保険と一生を保障する終身保険などがあります。
保険金は非課税で受取人に支払われます。
定期型保険:満期返戻金がない分、保険料は安く設定されていますが、保険期間は10年、20年で保険料が期間ごとに上昇します。
しかし、年齢、職種あるいは健康状態により、保険料の割引があります。
終身保険:保険料は変わらず、支払い期間が一生ではなく、限られたものもあります。
その場合でも、保証は一生続きます。
- ユニバーサル保険:運用実績に応じて保険金額や解約返戻金が変動(変額)します。景気の変動によってその投資の運用成績も変わりますが、加入時に設定された基本死亡保険金は保証されています。
- パーティシペイティング保険:保険契約者は保険料の支払いを通して保険会社の出資プールの資産所有者になります。この資産は保険会社が債券や不動産投資などに運用し、契約者は安定した配当を受けることもあります。
ビジネス保険
会社の資産や火災や盗難から守る保険と、第三者に対する損害賠償責任保険が基本となります。
オプションとして、火災などによりビジネスが中断した場合に収入を補償する保険などがあります。
ビジネス保険は、それぞれの業種・職種により、必要な保険内容が変わってきます。
また、他の保険と比べ、保険会社がより詳しい情報を必要とするため、見積もりが出るまでに時間がかかることがあります。
さいごに
一口に保険と言っても、国が違えば保険制度のしくみや内容も違うことがお分かりいただけたでしょうか?
カナダでは州によって保険の種類や内容が違うことも多いので、疑問点があれば保険代理店に確認することが大切です。
保険は「もしも」の時に必要不可欠なものです。
保険内容を正しく理解し、「もしも」に備えましょう。
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