シンガポールは、アジアにおいて英語を公用語としている、数少ない国のうちの一つです。
国を構成している主な民族は、中国系・マレー系およびインド系となる為、母国語としてはそれぞれの言語(中国語・マレー語・タミル語)を掲げており、それぞれの母国語の保持にも力を入れています。
しかし、教育はすべて英語で行われ、公用機関では英語・中国語・マレー語およびタミル語での案内となり、道路標識などはすべて英語となっています。
これは、異なる言語を母語とする国民の意思疎通をスムーズにする為と言う意図がありました。
しかし、英語といっても、ビジネスや公式の場で話される英語と、生活の場で話される「英語」は異なり、生活の場で多くの国民に話されているのがシンガポール英語、「シングリッシュ」と呼ばれるものです。
これは、英語がそれぞれの母語の影響を多く受け、英語と中国語・マレー語とタミル語が混入したものとなります。
次から、現地に到着してからすぐ使えるよう、シングリッシュの特徴6点をご紹介します!
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1)文末のla, ma, meが入るシングリッシュ
シンガポール人と話していて、文末に必ずみんな付けているのが、Lah(ラー) や Lor(ロー)や Meh(メー)と言う一言です。
これは、中国語を由来としていると言われ、会話を強調したい時に限らず、ほぼ全ての会話の文末に使われます。
知っておくと、いざローカルの方との会話時に戸惑うことなくスムーズに会話が進みます。
下記、例文をご紹介しましょう。
・シングリッシュの例文1
‘Do you think we need to increase our budget this year?’
-今年は予算を上げた方がいいと思いますか?
‘No need lah. Let’s keep the same as last year.’
-必要ないですね。去年と同じ額にしましょう。
・シングリッシュの例文2
‘I think deadline is tomorrow to submit report.’
-レポート提出の期限って、明日だと思うよ。
‘No loh. It’s by this Friday.’
-違うよ、今週の金曜日だよ。
・シングリッシュの例文3
‘You not supposed to work today meh?
-あれ、今日仕事じゃないの?
‘No lah, its day off for me.’
-違うよ、今日は休みなんだよ。
2)どんな時でもCAN!だけでOKのシングリッシュ
シングリッシュでは、よく動詞や助詞が省略されることがあり、英語のCANだけで会話が成立することが多々あります。
下記の例文をご参照下さい。
・CANを使ったシングリッシュの例文1
‘Can give me discount or not?’
-値下げしてくれませんか?
‘Can.’
-いいですよ。
・CANを使ったシングリッシュの例文2
‘Eh, you can come today at 2pm instead of 3pm or not?’
-今日3時の約束でしたが、代わりに2時に来てもらえる?‘
‘Can lah. Will come at 2pm.’
-問題ありません。2時に伺います。
・CANを使ったシングリッシュの例文3
‘Can?’
-出来る?
‘Can!’
-出来ます!
この最後の‘Can?’’Can!’という会話は、直訳すると「出来る?」「出来ます!」という会話になりますが、例えば重そうな荷物があった時、本来であれば ‘Can you carry by yourself?’と聞くところを、ほとんどの場合’Can?’で済ませます。
この場合、’Can!’と回答する側も後の文章を省略すればいいわけです。
慣れるまでは、本当に混乱しますが、慣れてしまえば短い会話で済むので、英語が苦手な方でもコミュニケーションが楽に出来るようになりますね。
落ち込んでいる時などに、元気な声で’Can Lah!’(要約:君なら出来るよ!)と言われると、何だか人一倍元気になるような気がしてきます。
3)会話中頻繁に使われる中国語・マレー語
先述した通り、シングリッシュは中国語やマレー語など、ローカルが使う母語の影響を大きく受けており、英語とこういった母語が混入しているフレーズが幾つかあります。下記に礼をご紹介します。
・母語の影響を受けたシングリッシュの例文1
‘Did you makan already?’
-ご飯食べましたか?
Makanはマレー語で、食べることを意味します。
この場合、’Yes makan already.’(はい、もう食べました。)と回答すればいいですね。
・母語の影響を受けたシングリッシュの例文2
‘Ta bao or eat here?’
-お持ち帰りですか、それともここで食べますか?
Ta Baoは、中国語で持ち帰る(食事)という意味になります。
特に、ホッカーセンターやフードコートなど中国系のお店で聞かれる事があるでしょう。
・母語の影響を受けたシングリッシュの例文3
‘What time should I meet you tomorrow?
-明日は何時にお会いできますか?
‘Agak-agak 10am tomorrow?’
-大体朝の10時ごろでいかがですか?
Agak-agakとは、マレー語で大体、推測でという意味です。
これは、業者との日時の約束を取る時、また市場での買い物などで重さを伝えたい時など、色々な場面で使われる事がありますので、知っておくといいでしょう。
4)知って楽しい!シングリッシュ独特の言い回し
すでにシングリッシュが、大分アメリカやイギリスの英語と異なる部分が多い事がお分かりになったと思います。
ここで、シングリッシュ独特の言い回しを幾つかご紹介します。
意味が分かると楽しく使えますので、これを使いこなせるようになれば、シングリッシュをマスターしたと言えるでしょう!
・シングリッシュ独特の言い回し例文1
‘He is blur like sotong.’
-彼って本当にぼーっとしてるよね。
Sotongはマレー語で、イカという意味です。
イカがぼーっとしているからか分かりませんが、イカのようにぼーっとしている、という意味になります。
・シングリッシュ独特の言い回し例文2
‘You must try, it’s so shiok!’
-すごい美味しいから、食べてみて!
Shiokとは何かが素晴らしい時に、それを表現する言葉ですが、特に食べ物を食べて美味しい時によく使われます。
・シングリッシュ独特の言い回し例文3
‘Don’t so kiasu can or not, there are enough seats for everyone so please wait in line.’
-席は十分にありますので、割り込みなどせず列になってお待ちください。
Kiasuとは、シンガポール人を表すのによく使われる言葉です。
心配性で、負けず嫌いの性格を表しています。
例文では、割り込みなどせずと要約しましたが、要は先を争わず、という意味ですね。
・シングリッシュ独特の言い回し例文3
‘They are having sale at the mall.’
-あそこのモールでセールやってるよ。
‘Is it?’
-本当?
このIs it?というのは、その前の会話や質問に対して相槌をする時に頻繁に使われるフレーズです。
その前の会話が、例えば過去形でも、未来の話しでも、何でも構わず「本当に?」「へーそうなんだ。」と言った意味合いで、使われる、非常に便利な言い回しです。
5)省略するけど意味は通じる?
シングリッシュは、英語の文法としては間違っている表現が多く、慣れるまで意味を理解するのに苦労する方も多くいらっしゃいます。
中国語に過去形がない為か、過去の出来事でも現在形で表現される中華系の方が多くいます。
下記に、幾つか例文をあげてみます。
・省略されるシングリッシュの例文1
‘I go to Marina Bay Sands yesterday.’
-昨日マリーナベイサンズに行った。
本来であれば、I went toと過去形になるところを、そのまま現在形でgoとしています。
これは、本当によく使われるので、会話を最後まで聞いていつ起こった事なのか、判断しましょう。
・省略されるシングリッシュの例文2
‘You want which one?’
-あなた、どれがいいの?
こちらは、本来であれば ‘Which one do you want to have?’となるべきですね。
・省略されるシングリッシュの例文3
‘He go already.’
-彼はもう帰りましたよ。
これも、goが過去形になるべきなのとどこに行ったのか、本来であれば付け加えるべきですね。
シングリッシュまとめ
アメリカやイギリスの英語を勉強してきた方が、初めてシンガポールに来てシングリッシュを聞いた時、英語とは思えなかったとほとんどの方が言います。
確かに、マレー語や中国語の混ざった、文法もめちゃくちゃで独特な言い回しのあるシングリッシュ、理解するまでにしばらく時間がかかる事と思います。
シングリッシュは、シンガポール人の間で話される、いわばスラング、方言とも言える言葉ですので、シンガポール人もビジネスの場でシンガポール人以外の人とやり取りをする場合には、シングリッシュは使いません。
とは言っても、シンガポールで生活している以上、やはり避けては通れないシングリッシュ、現地の人とやり取りする際にシングリッシュを使うと、やり取りもスムーズにいくこともありますので、シングリッシュを知っておいて損はないでしょう。
色々な場面で使ってみて、楽しいシンガポールライフを送られる事を願います!
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