お子様連れでの海外居住に際し、言語教育は重要な関心ごとの一つではないでしょうか。
国際色豊かな現地の学校へいれて、バイリンガルやトリリンガルにすることを目標とするご家庭も多いことでしょう。
お子様によっては、何の苦もなくトリリンガルを実現している子も存在します。
しかし一方では、現地の文化や言語へ馴染むのに時間のかかる子も少なくないでしょう。
実際、普段はお調子者でとてもおしゃべりなのに、幼稚園では一言も発せずに過ごしているお子様を持つ方から、うちの子は性格的に日系に入れてあげればよかった・・など。
重要なのは、ご自身のお子様の性格や興味などを探り、それに合わせて教育を選択していくことではありますが、海外への移住にあたり、お子様の母国語を強化した上でバイリンガルも目指したいと考える方も多いでしょう。
ここでは、日本語教育が一番重要となる幼児期に焦点をあてて、海外居住者(シンガポール)から、選択肢をいくつか紹介させていただきます。
まずは教育制度からご説明いたします。
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教育制度(シンガポールの場合)
大きく分けてローカル校とインターナショナル校があり、日系の学校もいわゆるインターナショナル校の区分になります。
狭き門ではありますが、外国人でもローカル校は条件を満たしていれば入学資格が得られます。
ローカル校の場合は
- 幼稚園
- 小学校
- 中学校
- ジュニアカレッジ(あるいは専門)
- 大学(あるいは専門か就職)
と進んでいきますが、インターナショナル校の場合は、学年区分が母体のある国に準ずるパターンが多いです。
日系の学校も例にならい、日本の教育制度に準じた学年区分を採用しています。
それぞれの言語教育の違い
言語教育に関しましては、ローカル校へ行くと英語が第一言語となり、第二言語として中国語かマレー語が必修となります。
インターナショナル校も、英語圏の学校の場合は基本的に英語を共通語としていますが、第二言語の選択に関しては中国語というのが多いようです。
ただし、ローカル校もインターナショナル校も、所定の手続きで申請をすれば、第二言語で違う言語を選択できたりと柔軟な対応をしてくれるとのことです。
詳細は各学校に問い合わせる必要がありますが、小学校以降は日本語補習校などの学習塾とうまく併用していけば、英語と日本語をきちんと両立して学ばせるということは可能です。
ただし、幼稚園や保育園(チャイルドケア)の場合はほとんど園の方針に沿って生活して学ぶので、基本的には一緒に英語や中国語、あるいは指定の言語を否応なしに選択していかなくてはなりません。
インターナショナル幼稚園
特にローカル校の場合は英語と中国語が必修になり、基本的にはその他の選択肢はありません。
インターナショナル系列の幼稚園も、先の通り英語と中国語を学ぶパターンが大半を占めています。
そんな中、英語と母国語を学べる学校もいくつかあり、日系インターナショナル幼稚園、あるいは日本人の多い園においては、英語と日本語の選択ができるところが増えてきています。
ですので、どの程度日本語に重点を置きたいかによって学校を選んでいくと方向性も見えやすくなります。
日本語の時間があるインターナショナル園を紹介
・アーツキッズ
保育言語は英語ですが、第二言語を中国語、日本語、韓国語から選択可能なので、英語と日本語のみの学習を実現できます。
・イーズ幼稚園
保育言語は英語でありながら、日本語話者の読み聞かせなどの時間もあり、日本人教育に力をいれています。
日本語の補佐があるので無理なく英語に触れる機会を得られます。
・キングストンハウス
トリリンガル教育に力をいれており、英語、日本語、中国語全てに重点をおいています。
これら以外にも、日本語の時間があったり、半々の割合で日本語をいれている幼稚園や保育施設が島内点在しておりますので、お住まいの地域によってその都度調べてみるのが良いでしょう。
日本語重視の日系インターナショナル校
・キッズルーキンダーガーテン
日本人と外国人の複数担任制なので日本語に触れる機会も多い。
無理なく外国語にも触れられる。
・日本人幼稚園
日本と同様の環境で育てたい方にオススメです。
母国語強化を徹底したい方には嬉しい幼稚園です。
・いろは幼稚園
日本人と外国人の複数担任制ですが、日本語教育に重点をおいています。
このはな幼稚園
日本語を第一言語、英語を第二言語ととらえながらのバイリンガル教育をすすめています。
ひまわり幼稚園(アーツキッズのグループ園)
日本と同様の環境で育てられる貴重な幼稚園。日本文化と日本語を自然と身に付けることができます。
※日本語に重点を置いているところは上記が有名です。
幼い頃はホームスクーリングという選択
シンガポールでは英語と日本語のバイリンガル、あるいは日本語教育を第一とした環境の選択肢が思ったより豊富なのでご安心いただけたのではないでしょうか。
あとは、ご自宅のエリアや園の雰囲気で選んでいけばよいでしょう。
ただし、定員によってはすぐに入園できない場合もあるので、興味のあるところは登録(登録料やデポジットあり)を早めに行うことをおすすめします。
それでも、インターナショナル校扱いなので、保育料は日本と比べるとやはり高額です。
それに、通わせたい園が遠すぎて、スクールバスも心配だしやはり不安という方には、あえて幼い頃はホームスクーリング(自宅保育)という選択肢もあります。
それでもせっかくの海外滞在を楽しみたいという方には、ママ友の集まりへ参加することをおすすめします。
・プルチーノ
プレママから未就学児まで幅広い年令を対象にした親子の交流グループ。
・シンガポールおでかけグループ
一人歩きができる1歳くらいから就学前の子が集まりおでかけして遊ぶグループ
。毎週頻繁に集まりもあり、出られるときだけ参加すればよいので気軽に加われます。
・シンガポールお役立ち掲示板/シンガポール掲示板
お得情報やお友達募集などが掲載されているインターネット上の掲示板です。
まずは情報収集をしたり、自分のペースでお友達を増やしたい方におすすめ。
ママ友が増えてくるといろんな方のお話を聴く機会も増え、子供への外国語教育に焦りもでてくるでしょう。
また、年齢が上がってくると、同年代の子供たちが就学しはじめ、子供によっては遊びの内容に物足りなさを感じる子もいるでしょう。
母国語力を幼い頃に強化しておくのは将来的な外国語教育にも利点となりますが、やはり異文化に触れたり、幼い頃から外国語を耳に入れておくのは良いことだとされていますので、ある程度の年齢になったら外国語に触れる機会をつくるのも、外国語への耐性をつけるのに効果的かもしれません。
ローカルや外国人のママ友をつくるのも一つの手ではありますが、共働きが多いシンガポールでは、親子参加の集まりや習い事にもメイドさんが連れてきたりするくらいなので、意外と難しさを感じます。
マレー系やインド系の方でホームスクールをしている方をよく見かけますが、自分から働きかけていかないとお友達になるのはなかなか困難です。
meetupいうアプリを活用すると近所のママ友のコミュニティーがいくつか出てくるので、抵抗のない方は参加を検討するのも良いでしょう。
しかし、外国語が苦手な方や新しいコミュニティーに一から加わるのが不安という方には少しハードルが高いかもしれません。
習い事はどうすればいい?
日本語話者の先生が行なっているところであれば、日本語での受講が可能な習い事も当地にはいくつかあります。
音楽、スポーツ、語学などの分野からお子様の興味に応じて選ぶことができるので、週に何回かいくつかの習い事をしてみるのも有意義な時間となるでしょう。
年齢が3歳くらいになってくると、ドロップオフも可能なお教室が増えてくるので、少しずつ親と離れる練習をすることもできます。
しかし、日本語話者の先生が習わせたい分野にいるとも限りません。
なので、英語での習い事を選ぶ状況がやはりでてくるでしょう。
それでも、週何回か数時間でも英語に触れる時間は外国ならではの貴重な体験です。
母国語を徹底したいと言う方もいらっしゃるかもしれませんが、外国語から完全に切り離すのではなく、母国語を強化した上で外国語に触れる機会を与えることも時には必要です。
多くは土日レッスン/個人レッスンもある
ちなみに、多くのグループレッスンによる習い事は、半日保育の子供向けに平日の午後、あるいは全日保育の子も参加できるように、土日にレッスンがある場合がほとんどです。
週末は家族との時間も大切にしたいでしょうし、希望の時間が合わないときや、グループでのレッスンにこだわりのない方は、個人レッスンという選択肢もあります。
この場合は、先生との都合によって柔軟にスケジュールが組めるので、無理のない時間帯のレッスンが実現できます。
いずれにしても、各お教室や先生に直接お問い合わせをしたり、通りすがりに訪れてパンフレットをもらって情報を集めることから始めてみましょう。
週末イベントやスクールホリデーキャンプを活用
子供が幼いうちはどんなことに興味があるかもわかりませんし、毎週習い事のために移動するのも疲れてしまうという方には、週末のイベントやスクールホリデーキャンプなどの特別プログラムを活用することをおすすめします。
こちらは基本的には英語のプログラムが多いのですが、外国ならではの体験をさせてあげることができます。
イベントを知る方法
週末のイベントに関しては、インターネットで調べたり、ママ友から教えてもらったりして情報を得ていく必要がありますが、スクールホリデーイベントやホリデーキャンプは、学校やお教室のホームページや直接のお問い合わせなどですぐに知ることができます。
シンガポールのスクールホリデー期間は、多少の変動があるものの、大抵の場合は
- 3月に1週間程度
- 5-6月にかけて1ヶ月ほど
- 9月に1週間
- 11月から12月にかけて1番長い1ヶ月以上
の休み期間があります。
幼稚園も一学期ごとに1-2週間の休みをはさんでいたりするので、ホリデープログラムは年齢に合わせて臨機応変に選択できます。
内容は理系重視のものから語学重視、芸術重視のものもあり、お子様の興味によって選ぶことが可能です。
特に、日常言語を日本語としている方は、こうしたホリデー期間中に留学のような気分で英語のプログラムに参加させてあげることにより、お子様を定期的に外国語へ触れさせてあげることができるのでおすすめです。
母国語を徹底強化させてからのトライもあり
子供が多言語に触れて異文化を習得することは多くの親の願いでもあります。
異文化や他言語に消極的なお子様には、親がどんどん現地の方々と触れ合う機会を作り、外国語を話しながら楽しんでる姿を見せることが、子供に興味を持ってもらうのには一番効果的な方法です。
しかし、子供によっては異国でいきなり外国語の文化の輪に入れられることをとてもストレスに感じる子がいるのも事実です。
その場合はやはり母国語を徹底強化して言語に対して自信をつけてあげることが重要です。
その上で外国語に興味を持たせたり触れる時間を与えてあげることで、無理なく異文化や外国語を身につけて行くことができるのです。
遠回りのようにも見えますが、母国語を強化することが、実はバイリンガル/トリリンガルへの1番の近道なのです。
もちろんお子様によっては、はじめから外国語へ興味をもち、なんの苦もなく習得する子もいます。
一番大事なのは子供の性格を見極め、負担の少ないペースや形態で教育の方向性を決定し、選んでいくということが重要になるのです。
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