海外に住むとなると心配なのは、怪我や病気、事故や盗難など不測の事態にどう対応するかではないでしょうか。
特にフィリピンの場合、熱帯特有の感染症や頻発する台風被害、治安の悪さに加えて、日本では想像できないようなトラブルもあります。
これからフィリピンでの長期滞在や永住をお考えで、何度も渡航経験があり、この国のリスクは知り尽くしているので大丈夫、と思っている人もいるかも知れません。実は、そういう方が一番危ないでしょう。
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基本マインド!リスクとフィリピン渡航歴は無関係
当然のことながら、デング熱に罹患するかどうか、交通事故に合うかどうかは、フィリピン渡航歴や滞在歴とは無関係です。
いくら今まで大丈夫だったとしても、それは単なる幸運です。
留学や仕事、退職後の第二の人生、フィリピン滞在の目的や期間は人それぞれでも、保険だけは入っておきたいところです。
今回は、フィリピンでの保険について解説したいと思います。
目的に応じた保険を選択しよう
短期滞在者向け(〜1年)
1年以内の短期滞在者は、フィリピンでは日本の健康保険が使えます。
まずは数ヶ月から1年まで程度の滞在を予定している方は日本の健康保険に入っているかどうかを確認してください。
たとえ海外に出ていても、住民票が残っていれば、医療費は日本にいる時と同様にカバーできます。
ただし、現地の病院窓口で直接適用を受けられるわけではなく、その場では全額自己負担で医療費を支払い、領収書を持ち帰って日本で申請して、保険分が返金という流れになります。
長期滞在向け
長期滞在者でも日本の保険に加入し続けることは可能です。
次年単位での滞在、あるいは永住される場合、引き続き日本の住民票はそのままで、健康保険に加入し続けることも可能です。
保険費用、税金、年金の支払いは必要でも、何かあった時の安心感はとても大きいです。
年に一度に帰国して人間ドックに入ったり、場合によっては保険を使って、日本で入院したり手術を受けたりする選択肢も残せます。
そうは言っても、これは経済的にかなりの負担になるのも間違いありません。
企業からの海外赴任者、年金生活者には可能でも、それ以外の人にはあまり現実的とは言えない。
そうなると、やはりフィリピンでの保険に入ることが必須となります。
短期滞在者向け:クレジットカードにも海外保険ついている
また、クレジットカードによっては手続きや追加費用なしの海外保険が、自動付帯しているものがあります。
これは1回の滞在期間が3ヶ月以内に限り有効。
ぜひフィリピンへの渡航前に、お手持ちのカードの契約内容を今一度読み直してください。
中期滞在者向け:留学するなら充実の留学保険に入ろう
最近充実しているのは、日本からの海外留学保険です。
短期滞在向けで費用が数千円程度から、3ヶ月〜1年以上の長期向けで10万〜20万円のものまで、幅広い品揃えがあります。
一番のメリットは、渡航前に手続きをしておけば、すべて日本語で済ませられることでしょう。
長期滞在者・永住者向け:現地の保険に加入しよう
公的医療保険フィルヘルス
実際に現地での医療保険加入を考えた場合、一番ポピュラーなのがフィルヘルス(PhilHealth)。
これは、フィリピン政府が運営する公的機関で、保険省の認定を受けた医療施設の約9割で適応されます。
民間の保険より安いのが魅力。
元来フィリピン国民向けのものですが、国内での就労が可能なビザを持っていれば、日本人でも加入することができます。
また、フィリピン国籍の配偶者や保護者がいる場合は、その扶養家族扱いも。これは日本の健康保険や、社会保険と同じです。
パッケージによって、適応される内容は変わりますが、例えば年間 2,400ペソ(約5,300円)支払えば、入院費用の40パーセントをカバーできます。
費用の安い医療施設の大部屋では、院内感染のリスクも否定できません。
それなりのレベルの個室となると、1泊1万円以上も珍しくないので、40パーセントでも補助されると大助かりです。
フィリピンでのライフスタイルに合わせた保険
40〜50代、あるいはそれ以上の年齢の方になると、フィルヘルスだけでは心許ないのが正直なところかもしれません。
特に高齢の方の場合は成人病に備えて、多少掛け金が高くても補償が手厚い、民間の保険を検討してみてもいいでしょう。
フィリピン国内資本のものを始め、
- 日本でも知られているアクサ(AXA)
- メット・ライフ(フィリピン法人名フィラム・ライフ Philam Life)
などの外資系の保険会社も多数あります。
掛け捨てではなく投資として活かせるものや、後遺症や死亡時の遺族補償など、ライフスタイルに合わせたパッケージが選べます。
保険契約は慎重にしよう
民間保険会社ならば、ネットで調べて連絡すれば、愛想の良い保険レディが飛んできて、いろいろ説明してくれます。
ただし契約書の内容は、サインする前に入念にチェックしましょう。
どのような病気・症状かによって、補償金額が少なかったり補償対象になっていないこともあります。
英語の書類しか用意されないので、言葉に不安がある人は、PDFなどのデータで送ってもらい、ネットの翻訳機能などで納得の行くまで調べることをおすすめします。
フィリピンの医療事情
一般的に、風邪や虫歯程度の治療費ならば、日本よりも安いケースが多いのがフィリピン。
日本では保険が効かず、高額になってしまう歯並びの矯正などは、フィリピンの方が安価になる場合もあります。
それだけならば保険は不要なのですが、いざ入院・手術となると日本で無保険での金額並みか、それよりも高額になることも。
永住のつもりでフィリピンの老人ホームに入居して、何の備えもなく大病を患い、帰国する費用すら使い果たしてしまったという実話があるほど。
急患でも治療拒否?
フィリピンの病院経営者は、ビジネスライクな人が多数派です。
重症の急患でも、支払い能力がないと判断されると、治療や入院を拒否されたりすることもあります。
生活費が安いフィリピン(最近は必ずしもそうではありませんが)に住むのだからと保険の費用をケチると、落とさなくてもいい命を落としかねませんので、どうかご注意ください。
フィリピンでは運転すべき?自動車保険はどうすればいい?
できれば運転は控えたいところ
現地で車を購入して自分で運転しようとなると、必要なのが自動車保険です。
でも本当は、あまりフィリピンでの運転はおすすめできません。
マナーが悪いどころか、信号無視や一方通行逆走など、およそ日本では通常考えられないような、乱暴な運転のドライバーが少なくありません。
また一般人が合法的に拳銃の所持をできることもあり、時折ドライバー同士のトラブルから、銃による殺傷事件も発生しています。
フィリピンのドライバーを雇うために必要なお金は?
フィリピンの比較的裕福な層では、ドライバーを雇うことも珍しくありません。車両混みで来てもらったり、自分の車を使ってドライバーだけを頼むやり方もあれば、家政婦さんのように、一人のドライバーを長期雇用することもできます。
料金は、大都市と地方で、またドライバーによってかなりの差がありますが、大体の目安として、マニラ首都圏だと1日拘束で車両混みならざっと1万円、ドライバーだけで5千円程度でしょう。
長期雇用となると、1か月で2万円ぐらいになります。
自分で運転する場合に強制の保険:TPL
フィリピンでは新車であれ中古車であれ、自家用車のオーナーになるとTPL(Third-Party Liability 日本の強制保険に相当)という保険に加入することが義務付けられています。
しかしそれだけでは十分とは言えないのは、医療保険と同様です。
車の購入時には、必ず任意保険にも入っておきましょう。
台風と火災に備える。台風と火災に備えた保険も欠かせない
そして最後に、自宅を建てたりコンドミニアム(マンション)を購入したりした場合の住宅保険。脅してばかりで申し訳ないのですが、フィリピンは地理的に台風被害を避けることができません。
2013年にフィリピン中部を襲ったスーパー台風ヨランダの被害も記憶に新しいでしょう。
マニラ首都圏の洪水は、もう恒例行事のようになっています。
また、配線工事の不備や手抜き、天井裏に侵入したネズミが原因での火災も多いフィリピン。クリスマスやお正月になると、爆竹や花火から、数千人が焼け出される大火になったりします。
自宅が火元にならなくても、貰い火が恐ろしいです。
そんなお国柄なので、フィリピンに住むならば、台風と火災に備えた保険も欠かせません。
自分の身は自分で守ろう。万全の備えを
フィリピンでの保険についてのお話、いかがでしたでしょうか?
いろいろ問題はあるとは言っても諸外国に比べて、日常生活をする上での安全度は高い日本。
そこから出てフィリピンでの生活を選ぶと、自分の身は自分で守るという感覚を強く持つことが必要になります。
各種の保険はその手段の一つでしかありません。
たとえ保険に入っていても、病気や怪我をしない日頃の注意が肝要。
バランスの良い食事をし、暴飲暴食を避け、適度な運動をする。
危険な場所や人には近づかない。特にフィリピンの場合は、規則に縛られることが少ない反面、何かあったら自己責任。それをよく理解した上で、フィリピンライフを楽しみましょう。
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