※この記事はせかいじゅうサロンの「海外在住者ピックアップ」企画で、紹介された内容です。
せかいじゅうサロンのみなさんこんにちは。フランス、パリ在住5年目の松本です。
日本で働いていた僕は縁があってフランスへ移住することになりました。現在は独立して、フリーのエンジニアをしています。これまで大変なことばかりでしたが、得たものも沢山ありました。
僕がフランスに移住したきっかけと、どんな生活をしているかをご紹介させて頂きます。
海外生活やフランスに興味のある人の参考になればと思います。
2015年: きっかけはブログから
2015年、僕が当時働いていた会社で大きなプロジェクトを任され、その内容を会社のブログに書いたのが全てのきっかけです。
僕はITスタートアップ企業のエンジニアとして働いていて、ブログを書くのは日常的に行っていたのですが、そのブログの反響は大きく、それがきっかけとなりエンジニアの勉強会を主催したりする流れにもなりました。
そのブログを見て僕にコンタクトしてきた人たちの一人が、僕の前職の社長です。
社長としては、僕にブログで説明していたシステムの詳細を聞きたいということでした。そしてそこで、彼が日本のファッションの海外輸出をしていることを知ります。
当時の僕の会社はファッションメディアのアプリ開発をしていたのですが、個人的に「日本のファッションがこのまま日本市場だけ見ていると未来はないな」と感じていて、海外市場への進出は必須だと考えていました。
そこで、それをまさに体現している人と出会ったというわけです。
最初はそのシステム開発の相談を受けていましたが、僕は当時から海外移住したかったこと、そして海外市場をターゲットにしたビジネスがしたかったことから、その意向を彼に伝えました。そうすると、彼としても技術的な部分を任せられる人が欲しいということで、僕はその会社に転職しCTO(最高技術責任者)に就任しました。
彼がフランスに住んでいたことと、他のエンジニアも海外在住であったことから、僕もフランスに移住して一緒に仕事をすることになりました。それが2016年初頭のことです。
2016年: フランス・パリ移住
当時はフランス語能力ゼロ、英語ですらカタコトで話せる程度だったので、色々と苦労しました。
学生で留学するとクラスもあるので、友人を作るのも自然とできる部分はありますが、社会人として海外にでた場合はほぼ不可能です。
なので、MeetUpというアプリを使って、ひたすら交流会に参加して友達を作りました。語学交流イベント、日本文化好きの集まるイベント、カラオケ会などさまざまなイベントに参加して、なんとか交流していました。
言葉の壁はお酒の勢いと、カタコトの英語と、知ってるフランス語でなんとか乗り越えてましたが、そのイベントから仲良くなれる人はほとんどいませんでした。。。
なぜか?
結局そういうイベントはその場限りの付き合いになってしまうということでした。合コンしても、その場は盛り上がったけれど、その先につながらないなんとことがほとんどですよね?
共通の趣味、仕事、何かしらの共通点がないと、関係を継続するのは難しいです。
特に僕は、会社の取締役にもなっていたので、仕事は普通の人よりも忙しかったと思います。イベントはあくまで仕事の合間を縫って参加していたので、なかなか継続的に同じ人たちと交流するのが難しかったです。
そんな中でも唯一、僕が友達を作れたのがJam Sessionでした。学生時代にボーカルをやっていたので、Open MicのJam Sessionに参加して、その場で会った人たちと演奏を始めました。
フランス語話せなくても、ギターのリフとノリで会話してましたw
あんまり言葉も話せない僕にとって、音楽が国境を超えることを実感した場所です。今でも、ここで出会った仲間とは定期的に会います。
言葉よりも、それ以外のところで共有できるものがあることが大事ですね
2016 〜 2019年: スタートアップのCTOとして
当たり前ですが仕事は大変でした。
海外のメンバーがほとんどだったので、会話は全て英語。その当時から全員リモートワークなので、その状態でのプロジェクトマネジメント。新しい技術のキャッチアップ、異文化のメンバーとの意思疎通。
大変なことが99%、残り1%だけの異文化交流の楽しさや、新しいことへの挑戦へのワクワク感を感じながら、全力疾走してました。
2016 ~ 2019年の約4年間勤めましたが、たくさんのハードシングスを乗り越えたので、とても精神的に強くなったと思います。
この辺の詳細はまたいつか別の機会にご紹介できればと思います。
2019年に会社は大型の資金調達を決め、シンガポール法人となりました。一通りそこで区切りがついたこと、そして僕も30歳になる歳だったので、後任に仕事を引きつぎ独立することになりました。
2020年〜: 独立とコロナショック
2020年から、一人で事業を始めることになりました。幸い、それまで培ってきたスキルと縁と、幸運もありなんとか食っていけるようにはなりました。
フランスに住み続けるか?日本に帰るのか?あるいは別の国か?
考えているまもなく、皆さんもご存知コロナショックでフランスは完全ロックダウン状態となりました。
当然、ビジネス的には向かい風。日本に帰るどころか家も出れない状況になりました。
ちなみに2021年5月現在まで、日本には帰れていません。。
あーこれは何かの縁かなと思い、フランスに居続けながらなんとか事業を続ける方法を探しました。
クライアントから仕事を受けたり、情報発信したり、自己投資したり、色々なチャレンジをしています。
あと少しで10年ビザの申請もできそうなので、もうしばらくはこちらにいようかなと思っています。
フランスにとっても激動の数年間
僕にとっても大きく人生が変わっていった数年間でしたが、フランスにとってもとても変化の多い数年間だったと思います。
2015年11月、パリ同時多発テロで多くの命が奪われたフランスでは、僕が入国した時は駅や街中の至る所で、機関銃を持った警察が歩いていました。
2016年の7月には、建国記念日にニースでの無差別テロが発生し、全く緊張の糸が切れない様子が続きました。
今日に至るまで、このテロの問題は未解決です。
2017年にはマクロン大統領が就任。39歳の若さで大統領に就任した彼には、多くの試練が降りかかり、2018年末からフランスでは大規模なデモが起きるようになりました。
普段からデモやストライキを信じられないくらい行うのがフランス人。しかし、それが異常な頻度で起きてきたのがこの数年です。
そして、2020年からのコロナショック。
フランス人は日本人と比べて時間にゆとりのある生活をしているように見えます。それも事実ですが、深刻な失業率や格差などの問題を抱えているのも事実です。
それが年々浮き彫りになっているように感じます。
フランスに住むのは面白い
ここまで暗い話ばかりしてきましたが、フランスにはたくさんの素晴らしい側面もあります。
チーズ、ワイン、フランスパン、豊富な食材が安く、素晴らしいクオリティで手に入ります。僕はほぼ毎食自炊ですが、この食材のおかげで全く飽きることはありません。
特に週末のマルシェ(生鮮市場)の食材は素晴らしいです。
パン屋さんのパンもめちゃくちゃ美味しいです。公園でパンを食べながらピクニックするのがフランス式です。レストランはちゃんと選ぶ必要がありますが、良い店は素晴らしいです。
チーズフォンデュの写真載せておきます。
そして、このパリでは多くの美術館があり、それら全てに世界中の傑作が集結しています。この街で育った人は、当たり前のように世界最高の芸術に囲まれて生きてきたんだなと思うと、本当に羨ましいです。
そして、そんなフランス人たちに、日本食や日本文化は大人気です。アニメが海外で人気なのはもちろんですが、それだけでなく多くの日本の伝統芸能や食事なども高く評価されています。
料理人、アーティスト、ファッションデザイナー、パティシエ、美容師など多くの日本人が活躍の場を求めてこの街に来る理由がわかります。
価値観、宗教、人種すべてが日本と全く違う国ですが、なぜか共通の美的感覚を持っている部分があります。
そんなところに魅了されて、僕もここに住み続けているのかもしれません。
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