日本同様に、少子高齢化社会のスペイン。
そのため、たびたびこの国でも話題となるのは年金問題です。
この記事ではスペインの年金制度を、ご紹介いたします。
スペインの年金制度は2種類
スペインには、2種類の年金制度があります。
ひとつは私的年金(Pensión privada)と呼ばれるもので、銀行や保険会社などが独自に販売している商品です。そのため、商品購入者が支払う金額や、その年金を受け取る時期などは商品によって異なります。
スペインで代表的な年金商品を扱っている銀行は以下になります。
もう一方は、公的年金(Pensión Publica)と呼ばれるもので、スペイン政府が管轄しているものです。
この管轄をしている部門が、社会保険庁(La Secretaría de Estado de la Seguridad Social)とよばれる機関です。
社会保険庁は、スペインで働く人が毎月支払っている社会保障費を管轄している機関、つまり、スペインの公的年金は社会保険費から支払われているのです。
2020年2月時点での、スペイン政府が支払っている年金の総額は、98億7232万ユーロです。(参考ページ)
現在、スペインでは約900万人の人が、何らかの年金を受け取っています。
そしてスペインには次のような3種類の年金があります。
- 退職年金(Por jubilación)
- 障がい者年金 (Por incapacidad parmenente)
- 死亡年金 (Por fallecimiento)
まず、「退職年金」はその名前通り、退職した人に支払われる年金です。
現在スペインでは、約800万人の人がこの「退職年金」を受け取っています。
そして「障がい者年金」も基本的に何らかの障害を抱え、働くことが困難になった人のためのもの。
最後の「死亡年金」は、配偶者等の家族が亡くなった人のためのものです。
スペインで上記3つの年金の内訳をみると、年金の70%以上が退職年金として支払われ、障がい者年金として10%、そして死亡年金として17%が支払われています。(参考ページ)
このように年金の大半が「退職年金」であるため、この記事でも「年金」と言えば自動的に「退職年金」を意味することとします。
スペイン公的年金についての情報
上記のように、スペインの年金は社会保険からまかなわれます。
そのため、社会保険を支払うことが、年金を受け取る最低条件となります。そのうえで、次のいくつかの疑問に答えてみました。
スペインで年金を受け取るには、何年間社会保険を支払えばよいか
退職時の条件にもよりますが、最低で30年以上は社会保険を払う必要があります。
2027年には退職年齢が約67歳になると試算されており、その年齢になるまでに、40年近くは社会保険を支払う必要があります。(参考ページ)
また、スペインには早期退職者用の年金制度もあります。
早期退職で退職年金を受け取るためには、最低でも30年間は社会保障費を支払う必要があります。そして、年齢制限も61歳以上からという条件があります。(参考ページ)
スペインで毎月受け取る退職年金は、大体いくら位なのでしょうか。
2020年2月の時点では1156ユーロが、ひと月の年金の平均値となっています。
この数字は、年金生活者の約50%は1100ユーロ以下の年金しか受け取っていない、ということになります。
日本同様、公的年金だけで暮らしていくのは、スペインでもかなり難しいと言わざるを得ないのが、実情です。
では、将来退職年金を受け取るために、今いくらぐらいの社会保障費を支払えば良いのでしょうか。
年齢と働き方などによって異なります。
その都度、スペイン各地にある社会保険事務所(INSTITUTO NACIONAL DE LA SEGURIDAD SOCIAL)に問い合わせたほうが確実です。
なお参考までに、スペインで自営業として社会保険局に届け出を提出した場合、1年目の社会保険料は毎月70ユーロ、2年目は約150ユーロ、3年目は約200ユーロとなります。
日本・スペイン社会保険協定
スペインに暮らすことになった人の中には、すでに何年間か日本の年金制度に加入し支払いをした後に、スペインへ来る人も少なくはないでしょう。そのような人のために、「日本・スペイン社会保障協定」について、ここで簡単な説明をしたいと思います。
例えば、ある日本人(仮にAさんとします)が、日本で10年間年金を支払った後にスペインへ行き、そしてスペインで15年間社会保障費を支払い続けたと仮定しましょう。
日本で年金を受け取るためには、最低でも25年間は年金を払わなくてはなりません。(参考ページ)
またスペインでは前述のように、最低でも30年は年金を払わないと、スペインの年金を受け取ることはできません。
そのため、2010年以前には、Aさんのような人は、スペインでも日本でも、年金の受給資格はありませんでした。
しかし、「日本・スペイン社会保険協定」により、Aさんがスペインで支払っていた15年間の社会保障支払い期間は日本の10年間に加算され、トータル25年となって、日本の年金をAさんが受け取ることができるようになります。
逆に、スペインの退職年金を受給する場合には、日本で支払った10年間をスペイン側に加算することもできます。そのため、Aさんはスペインの年金を受給するには、スペインで20年間社会保険費を払えばよい、ということになります。
ちなみに、スペインと日本の二か国で社会保障費を支払っていた場合、その期間は両国の条件に換算されないので、どうぞご注意ください。
スペインの公的年金制度は、日本同様わかりにくい部分が存在します。
そのため、詳しいことはお近くの社会保険事務所に行って、直接ご確認されることを、強くお勧めします。
スペインの公的年金制度について詳しく知りたいときには、スペイン各地にある社会保険事務所(INSTITUTO NACIONAL DE LA SEGURIDAD SOCIAL 通称INSS)まで、お問い合わせください。
URL:http://www.seg-social.es/wps/portal/wss/internet/OficinaSeguridadSocial
また、日本・スペイン社会保障協定について詳しく知りたいときには、日本全国にある日本年金機構の手続き・相談窓口までお問い合わせください。
URL:https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/index.html
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