最近は円安の影響でドルを稼ぎたい人が増え、アメリカンドリームを叶えた人がニュースで取り上げられるほどです。
しかし、実際に日本人が現地で採用されるのは容易なことではありません。
そんな逆境に打ち勝ち、一般企業への就職に一発成功した事例をご紹介させていただきます。
(*2022年夏〜秋にかけての出来事です。)
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現地採用で日本人が不利なのはなぜか?
日本人の採用がなぜ難しいのか、大きく3つの問題点があげられます。
- 言語力不足
- ビザ問題
- プレゼンテーション能力の差
1言語力不足 や 3プレゼンテーション能力の差はある程度努力でカバーすることができるでしょう。
しかし、2ビザ問題は自分の力だけでどうにかなるものではないのです。
そもそもアメリカで就労するのに必要なビザというのが下記の4種類のいずれかになります。
- グリーンカード
- O1ビザ
- H1bビザ
- F1ビザ+OPT(Optional Practical Training)
大学などで研究留学している場合、J1ビザからH1bビザに切り替えて、そのまま仕事を継続する例が多いと思います。
しかし、企業採用の場合は基本O1ビザを狙いにいきます。
取得条件さえ満たしていれば、O1ビザは短期間で発行でき、かつクビにされない限り滞在期間の延長もできるのです。
つまり、他の応募者にはない才能を持ち、かつO1ビザを取得できる可能性が高い人物になることがアメリカの企業への就職で必要な条件となります。
【言語力の証明にオススメな資格】
TOEFLやIELTSのほか、最近Duolingo testも多く利用されています。
【O1ビザについて詳しく知りたい方へ】
なぜアメリカ就活をしたのか
そもそも我々夫婦は研究をするために留学しました。
J1ビザを取得し、ある大学の研究室に配属され、帰国予定の先輩の仕事を引き継ぎました。
しかし、そこは想像するよりブラックな環境でした。
仕事をやっても上司に美味しいところを持っていかれるのがオチで、安い給料で文句を言わず夜間や土日も働く都合のいいやつと思われているようでした。
他の研究室の日本人や外国人と話せば話すほど自分たちの環境の劣悪さに気がつき、夫は半ばやけくそになって求人募集のapplyボタンをポチッと押したのでした。
求人検索と応募方法
求人の見つけ方はさまざまありますが、今回夫が利用したのはLinkedINです。
【LinkedInってなに?】
https://www.linkedin.com/help/linkedin/answer/a549432/linkedin-?lang=ja
就職活動中の人はLinkedINを通じて仕事を検索し、応募まですることができます。
採用側もまた有能な人材を探しており、LinkedIn経由でスカウトされたりもします。
LinkedInで見つけた求人に応募し、面接するに値すると判断されると担当者より面接日についての連絡がきます。
ちなみに返事がない場合や「あなたに与えられるポジションは現在ありません」と言われた場合はその時点で不採用です。
どんでん返しの面接結果
面接は全てオンラインで開催されました。
オンラインとはいえ、毎回シャツとジャケット、ネクタイはしていました。
オーディションのように選抜試験をくぐり抜けていくような形式で、不採用になった途端に次の面接についての連絡は来なくなります。
見込みありと判断されると1週間以内に担当者から次の面接について連絡がきます。
そしてすぐに1~2週間後の面接に向けて対策していくこととなります。
1回目は30分間の“initial interview”で、自己紹介や担当者からの質疑応答が行われました。
以下が質問された内容です。
- 自己紹介をお願いします。 (Tell me about yourself.)
- なぜ我々の会社で働きたいと思ったのですか? (Why do you want to work with us?)
- 自身の強みと弱みを教えてください。(What are your strengths and weaknesses?)
- なぜ転職したいのですか (Why do you want to change your job?)
- キャリアゴールはなんですか?(What is your career goal?)
- 現在の懸念点はなんですか?(what is your major concern at the moment?)
2回目は45分間のプレゼンテーションと15分間の質疑応答でした。
今までの研究をスライドに全てまとめ、応募した部署に所属する30~40人に対して発表しました。
準備したものの厳しい質問もあり、かなり疲れる面接でした…。
3回目は1日がかりの面接で、10人くらいの方々とそれぞれ1:1でお話しました。
1人あたり30分~1時間、応募した部署の方々やそれに関連した上層部の方など、人が変われば雰囲気も変わり、和やかな会話もあればバシバシ質問攻めにあうことも…。
そして手応えは悪くないと思っていた矢先に、担当者から不採用の連絡がきました。
理由は移民弁護士が夫のプロフィールではO1ビザ取得は難しいと判断したからでした。
しかし、このあと奇跡の大どんでん返しが起こったのです。
3回目の面接の結果、企業側はかなり夫を気に入り、ほぼ採用決定とまで言わしめていたのです。
諦めきれない企業の人々がダメ元でもう1人の移民弁護士に相談したところ、O1ビザ獲得の可能性は50%と言ってくれたそうです。
50%の確率ならばチャンスをもう一度与えようと考え、ビザサポートをしてでも欲しい人材か見極めるため、夫は異例の4回目の面接を組むこととなったのです。
4回目はvice presidentとの30分間の面接で、今後の展望など大きなテーマでの会話となりました。
その結果、無事に採用を勝ち取ることができました。
O1ビザ獲得までの道のり
採用を勝ち取ってもO1ビザが手に入らない限り転職はできません。
ここからは企業が雇ってくれた移民弁護士と夫の二人三脚となります。
そもそもO1ビザとは、何らかの分野で卓越した能力を持っている人間に与えられます。
芸能人やスポーツ選手などは基本このO1ビザで渡米しています。
そして、科学者も自身の卓越した能力を証明することでこのビザを保有できるのです。
上記のアメリカ移民局のホームページでは、次のうち少なくとも3つの項目を満たすように示されています。(*簡単に訳しています)
- 専門分野において全国的あるいは国際的な賞の受賞
- 専門分野において名のある連合(学会)への所属
- 専門雑誌やメディアでの専門分野における執筆活動
- 専門分野における独自の貢献
- 専門雑誌やメディアに掲載された論文や記事の著作権
- 高い給与や報酬の確約
- 専門分野における他者の評価
- 知名度のある機関での仕事
さらに推薦状も重要な要素となります。
推薦者は国際的あるいは全国的な実績があり、かつ一緒に仕事をした方や親しい方に限ります。
以下に夫がO1申請する上での強みと弱みをまとめました。
〈強み〉
- 医師免許と博士号を所持
- 特許を持っている
- 専門分野におけるセミナーの講師を定期的にしている
- 日本国外に医師や専門家の知り合いがいる
- 大学院生時代に査読の経験あり
〈弱み〉
- 論文数や引用数が少ない
- 大学院を卒業したばかり(2022年3月)
医師ですと専門分野の学会に入ることも多く、学会発表や論文作成の機会もあります。
また、夫は大学生の時から研究室の上司にお世話になっており、学生時代の功績として特許を獲得したのは何よりもインパクトが強かったと思います。
上の項目を証明するために過去の論文や学会発表の履歴を掘り出したり、査読した証明をするために研究室の上司に協力をあおぐ必要があり大変でした。
ただ企業に雇われた弁護士のレスポンスが早く、かなり助かりました。
セミナーを通じて、専門分野で大いに活躍されている先生方と繋がりを持てたので、親しい方以外にも推薦人をお願いできたのはありがたいことです。
弁護士が推薦状を作成し、それを夫が添削、そして推薦人の方にさらに添削いただき、最終的にサインしていただきました。
最低3通と言われましたが、7通ほど用意しました。
弁護士費用も申請費用も全て企業が払ってくれました。
さらに、premium processing feeという追加料金を支払ってくれたことで、書類提出からたったの2週間で結果がきました。
結果は合格!
無事にO1ビザを獲得し、企業に採用されることとなりました。
その後
所属していた大学の研究室を退職し、企業のサポートのもと引っ越ししました。
引っ越しの際に必要なホテル代や引っ越し代を出すだけでなく、新居探しや配偶者のキャリアサポートまでしてくれます。
給料は上がり、株も分けてくれて、健康保険も安くなりました。
仕事がいい出来ならギフトカードに変換できるポイントも付与されます。
やった仕事を正当に評価されるからこそやる気に繋がり、頑張れるのです。
引っ越しは大変でしたし、子供の保育園探しや私の就活が必要とはなりましたが、それでもこの転職は家族にとっていい選択でした。
まとめ
アメリカでの就職は困難が多いぶん、採用後は手厚いサポートが待っています。
現地採用を希望される方は、日本にいるうちにO1ビザ取得条件をクリアし、挑まれることをオススメします!
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