シンガポールに在留している邦人数は36,963人(2015年時点)と、東南アジアではタイに次ぎ2番目となっています。
日本企業からの駐在員がそのほとんどを占めますが、駐在員の家族や、永住権保持者、また労働ビザを所持しているケースなどもあるでしょう。
物価は高いものの、日本のもの・サービスが何でも手に入り、治安が良く街も綺麗で、非常に快適な生活を送ることができるシンガポール、今回はそのシンガポールに長期滞在する為のビザ取得に関して、その種類と申請方法等をご紹介したいと思います。
尚、申請についての条件や方法などは、変更される事もあります。申請前に、必ず政府ホームページにて詳細を確認される事をお勧めします。
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本記事で紹介するシンガポールのビザ一覧
- 観光ビザ
- 長期滞在ビザ(Long Term Visit Pass)
- 労働ビザ
エンプロイメントパス
アントレプレナーパス
パーソナライズエンプロイメントパス
エスパス
ディペンデントパス(労働ビザ保持者の家族用ビザ) - ワークホリデーパス
- 学生ビザ(ステューデントパス)
- 永住権
1.観光ビザ
日本国籍を保持している方は、通常30日以内(空路の場合)の観光目的の滞在であればビザは不要です。
- 空路で入国された方:30日間以内の滞在
- 陸路で入国された方:14日間以内の滞在
有効期限が6ヶ月以上残っているパスポート、及びシンガポールから出国する際の航空券が必要となります。
30日以上の滞在が必要となった方は、現地の移民局で、滞在延長手続きをすることで、最大89日までの滞在が可能。
2. 長期滞在ビザ(Long Term Visit Pass/Long Term Visit Pass+)
30日以上滞在を希望する場合、最長89日までの延滞を申請する事ができますが、それ以上の滞在を希望する場合には、長期滞在ビザを申請する必要があります。
・特徴
長期滞在ビザは、シンガポールに正当なビザを保持し居住している家族を訪問する場合、または就職活動をする場合、または学生ビザを所持している子供に母親が同行するなどの目的で、申請を許可されるビザです。
母子留学などを目指す方が、申請できるビザのうちの一つになりますね。申請するには、下記の条件を満たしている事が必要となります。
応募条件:
- シンガポール国民又は永住権保持者を配偶者に持つ者
- シンガポール国民又は永住権保持者の21歳以下の子供
- 21歳以上のシンガポール国民又は永住権保持者の親
- 就職活動目的で滞在予定の高等教育(大学・大学院)に在学中の学生
- ステューデントパス保持者の母親/祖母
- シンガポールで出産を希望している者(*シンガポールでは、アメリカのように出生地主義を導入していませんので、どちらかの親がシンガポール国民でないと、例えシンガポールで出生しても子供にシンガポール国籍は与えられません。)
必要書類:所定の申請フォーム・パスポートのコピー・大学など最高学歴の卒業証書等(申請者の種類によって異なります)
・滞在可能日数
Long Term Visit Passと呼ばれる長期滞在ビザで最長2年、Long Term Visit Pass+と呼ばれるビザで、最長3年の滞在が許可されます。延長可能。
・申請方法
申請は、e-VPと呼ばれるオンラインサービスで行う必要があります。
申請者のタイプによっては、ローカルのスポンサーによって申請する必要があります(ステューデントパス保持者等)。
3. 労働ビザ
シンガポールには、色々な種類の労働ビザがあります。
政府は、外国から優秀な人材だけを選別する傾向が強く、年々取得の条件が厳しくなってきています。
それでも、種類によっては、取得しやすいものもあります。下記にて詳細をご紹介します。
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エンプロイメントパス (Employment Pass)
・特徴
最低賃金:S$3,600
応募条件:専門職、またはエグゼクティブレベルのポジションで、シンガポールでの就職が決まっている人。高いレベルの大学を卒業している、またはそれに相当する能力のある人。
必要書類:
- 所定の申請フォーム
- パスポート
- 雇用主の最新事業報告書
- 応募者の学歴証明書(場合によっては、明記した以外の書類も必要になります。)
その他:申請前に、ビザが下りる可能性があるかどうか、オンラインでチェックする事ができます。
Government of Singapore:Employment / S Pass Self-Assessment Tool (SAT)
・滞在可能日数
職種やポジションにもよりますが、最初の申請で最長2年までの労働が許可されます。延長可能。
・申請方法
雇用主、またはそれに代わる代理エージェントがオンライン「Employment Pass (EP) Online」にて申請する必要があります。
なお、申請ごとにS$70、発行代がパス一枚毎にS$150かかります。
アントレプレナーパス (Entre Pass)
・特徴
最低賃金:特になし
応募条件:シンガポールで、資本金S$50,000で会社を設立してから6ヶ月以内、または設立する予定のある外国人。その会社で、最低でも30%の株を保有している事。また、シンガポールの銀行に最低S$50,000の預貯金がある事。その他、シンガポール政府の指定するベンチャーキャピタリストからの投資を受けているかどうか等の条件もあるようです。また、対象とならないビジネスもあるようですので、詳細については応募条件「Eligibility for EntrePass」を参照下さい。
必要書類:所定の申請フォーム・パスポート・以前の雇用主からの推薦状・英語での事業計画書(場合によっては、明記した以外の書類も必要になります。)
・滞在可能日数
1年間。延長可能。
・申請方法
申請者が、シンガポール国内の郵便局にて書類を提出する必要があります。尚、申請ごとにS$70、発行代がパス一枚毎にS$150かかります。
パーソナライズエンプロイメントパス (Personnalised Employment Pass)
・特徴
最低賃金:海外における勤務先での申請直前の固定月給が、最低でもS$18,000。
申請時シンガポールで既にエンプロイメントパスを保持している場合は、最低でも固定月給がS$12,000。
応募条件:先述の最低賃金条件をクリアしており、応募時点でスポンサーシップスキームによるエンプロイメントパスを保持していない事。フリーランスで働く予定ではない人。すでにACRA(企業会計規制庁)に登録している他の会社のシェホルダーになっていない事、ジャーナリストやエディターなどの仕事に従事していない事。
必要書類:所定の申請フォーム・パスポート・卒業証明書・新規/以前の雇用契約書・職務経歴書・過去3ヶ月間の給与明細及び銀行残高証明書・最新の納税証明書
その他: 通常のエンプロイメントパスだと、勤務していた会社を辞めてしまうとビザは自動的に取り消しされ、また新たに入社する会社でビザを申請する必要がありますが、このパーソナライズエンプロイメントパスの場合、申請時に勤務していた会社を辞めた後、6ヶ月間はビザ取り消しまでに猶予があります。また、新しい会社に勤めたとしても、最低賃金等の条件をクリアしていれば、新たにビザを申請する必要がありません。尚、途中で仕事を変えた場合でも、年間最低でもS$144,000の収入を確保する必要があります。
・滞在可能日数
最高3年まで。ただし、延長はできません。このパーソナライズエンプロイメントパスが切れた後も滞在を希望する場合は、他の種類の労働ビザまたは永住権を取得する必要があります。
・申請方法
申請者が、シンガポール国内の郵便局にて書類を提出する必要があります。尚、申請ごとにS$70、発行代がパス一枚毎にS$150かかります。
エスパス(S Pass)
・特徴
最低賃金:S$2,200
応募条件:大学卒。それ以外の場合は、最低でも1年間の全日制の学校で学んだ専門学校を卒業したもの。また、希望している職種に関連する勤務経験が、数年ある者。
必要書類:所定の申請フォーム・パスポート・雇用主の最新事業報告書・応募者の学歴証明書(場合によっては、明記した以外の書類も必要になります。)
その他: 申請前に、ビザが下りる可能性があるかどうか、オンライン「Employment / S Pass Self-Assessment Tool (SAT)」でチェックする事ができます。
・滞在可能日数
最初の申請で最高2年。延長可能。
・応募方法
雇用主、またはそれに代わる代理エージェントがオンライン「Employment Pass (EP) Online」にて申請する必要があります。
ディペンデントパス
・特徴
先述したすべての労働ビザの保持者の配偶者、及び21歳以下の子供に応募資格があります。それぞれの応募条件詳細については、下記を参照下さい。
応募条件:エンプロイメントパスとエスパス保持者の場合は、月固定給が最低S$5,000ある事。
アントレプレナーパス保持者の場合、1度目のビザの延長が許可された後で、家族の為のディペンデントパスの申請が初めて許可されます。また、配偶者と子供の為に申請するには、会社での売上高がS$150,000/4名以上のローカルスタッフを雇っているという条件をクリアしていなければいけません。また、両親の為に申請するには、同様にS$300,000以上/8名以上のローカルスタッフを雇っているという条件があります。
パーソナライズエンプロイメントパスの場合、パス保持者の配偶者及び21歳以下の子供のみ、申請する事ができます。
必要書類:所定の申請フォーム・パスポート・結婚証明書・出生証明書
※アントレプレナーパス保持者の場合、上記の他に、シンガポールの銀行からの申請者毎S$3,000の保証書/または申請者が運営する会社を通してディペンデントパスを申請する事が必要となってきます。
その他:申請が許可された場合、エンプロイメントパス/アントレパス及びパーソナライズエンプロイメントパス保持者の家族はその6ヶ月以内/エスパス保持者の家族はその2ヶ月以内に来星する必要があります。また、ディペンデントパス保持者は、LOC (Letter of Consent)という許可が下りれば、シンガポールでの労働が可能となります。このLOCは、申請者の雇用主または代理のエンプロイメントエージェントがオンラインにて申請する必要があります。参考までに、滞在可能日数はエンプロイメントパス保持者の滞在可能日数と同様で、延長は可能です。最低賃金・勤務時間など他の条件は、特にありません。
・滞在可能日数
最高2年まで。または、労働ビザ保持者のビザ有効期限と同様。
・応募方法
エンプロイメントパス及びエスパス保持者は、雇用主がオンラインにて申請する必要があります。
アンドレパス及びパーソナライズパス保持者は、シンガポール国内の郵便局にて書類を提出する必要があります。
なお、申請ごとにS$60、発行代がパス一枚毎にS$150かかります。
4. ワークホリデーパス
18歳から25歳までの若者で、オーストラリア・フランス・日本など特定の国の大学に在学中または卒業した者を対象としたビザです。
オーストラリア・カナダなどで馴染みのあるワーキングホリデービザとは種類が異なり、シンガポールでは、2007年から制度が導入されました。
応募条件などの内容も少々異なり、例えばトップランキングの大学に在学中または卒業した者と指定があります。
下記に詳細をご紹介します。
・特徴
応募条件:18歳から25歳までの、オーストラリア・フランス・ドイツ・香港・日本・ニュージーランド・スイス・イギリス及びアメリカの大学に在学中または卒業した者。応募資格のある大学の参考に、世界の大学トップランキング200位以内に入っている大学となっています。申請前に少なくとも、3ヶ月間その大学に在籍する、または卒業しているという条件があります。
必要書類:所定の申請フォーム・大学からの申請者の詳細が入っているレター・パスポートのコピー・在学中の場合は大学発行の学生証・卒業生の場合は学歴を証明するもの
その他:発行するのは、一度に最大で2000名までという制限があります。仕事の内容に制限はありませんが、法律・薬剤・歯科等登録が必要な職種については、不可となります。
・滞在可能日数
最高6ヶ月まで。延長は不可。
・応募方法
申請者本人が申請する必要があります。
必要書類を、mom_whp_wpd@mom.gov.sg(労働局)までメールにて提出します。
申請後、3ヶ月以内に入国する必要がありますので、注意しましょう。
申請時に発生する支払いはありませんが、パス発行代としてS$150がかかります。
5. 学生ビザ(ステューデントパス)
・特徴
応募条件:シンガポールの全日制の学校への入学が認められた生徒は、学生ビザを申請する事ができます。ただし、ローカルスクールへ入学希望の場合は、21歳以上のシンガポール国民または永住権保持者のスポンサーが必要となります。インターナショナルスクールへ入学希望の場合には、政府の定めたEdutrust-Certifiedのスクールへ通う場合のみ、申請可能となります。学校のリストは、Registration Status of Private Education Institutions (PEIs) in Singaporeで確認する事ができます。
必要書類:所定の申請フォーム・パスポートのコピー・入学許可書・健康診断書(15歳以上の場合)
その他:16歳以上で語学学校等での留学を希望している場合には、 S$1,500のデポジットを支払う必要があります。これは、ステューデントパスをキャンセルした際に、返却されます。
・滞在可能日数
コースにより異なる。通常は、入学した学校のコース終了時(4年制大学であれば、4年間)までの滞在が許可される。延長可能。
・応募方法
ローカルスクール又はインターナショナルスクールへの入学を希望する場合、オンライン「Student’s Pass Online Application & Registration+ SOLAR+」にて申請する必要があります。ローカルスクールの場合、先述のようにシンガポール国民又は永住権保持者のスポンサーより申請する必要があります。申請時にS$30、パス発行代としてS$60かかります。
6. 永住権
シンガポールの永住権は、永住権保持者に無期限での滞在、及び労働を許可するものです。
永住権取得時に、リエントリーパーミットと呼ばれる再入国許可が与えられます。この再入国許可証は、通常5年毎に延長する必要があります。
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・特徴
応募条件:シンガポール国民またはシンガポール永住権保持者の配偶者または21歳以下の子供である、又はシンガポール国民の両親(年配者)・労働ビザを所持している者、または投資家である事などの条件があります。
必要書類:
- シンガポール国民またはシンガポール永住権保持者の配偶者または21歳以下の子供
- シンガポール国民の両親(年配者)
→所定の申請フォーム・パスポート・出生証明書(戸籍謄本)・卒業証明書 - 労働ビザの保持者の場合は、上記に加えて下記も必要となります。
労働ビザカード・申請をしてくれている雇い主からの、レター(勤務開始日、給与の詳細等)・申請から遡って過去半年の給与明細・申請から遡って過去3年分の納税通知書 - の投資家の場合は、出入国管理局ではなく、Singapore Economic Development Board(シンガポール経済開発省)を通して、Global Investor Programmeという制度を通して、永住権の申請をします。こちらについては、最低でもシンガポール2.5万ドルを何らかの形で投資するという事と、十分な資産のある、成功した優良企業家である事が、申請の条件となります。
その他:1)と2)の、スポンサーがシンガポール国民である場合、そのスポンサー自身の学歴や収入、納税額やその期間などの条件が、申請許可の可否に非常に重要と言われています。
これは、偽装結婚の可能性がある申請者に、永住権を与える事を防ぐという意味合いもあるのでしょう。
・滞在可能日数
永住権自体は、シンガポールの滞在を無期限に可能にするものですが、先述の通り永住権取得時に発行されるリエントリーパーミットと呼ばれる再入国許可書を、通常5年ごとに延長しなくてはいけません。
永住権取得後に、長期シンガポール外に滞在したり、延長時に海外にいたりすると、この延長が許可されない場合もありますので、注意が必要です。
・応募方法
Permanent Resident Service Centreで、申請者本人が必要書類を提出する必要があります。尚、予約制となっていますので、e-Appointmentにて予約をまず取る必要があります。
申請時に発生する費用はありませんが、許可が下りた際に発行されるエントリーパーミット代として、S$100発生します。
まとめ
政府が外国人の受け入れを規制している事もあり、年々ビザの発行条件も厳しくなっていると聞きます。
それでも、条件を全てクリアしていない場合でもビザが通った方の話等を聞くと、やはりケースバイケースなのかなという印象も受けます。
また、シンガポール政府の方針は、割と頻繁に変更になりますので、シンガポールでの就職を希望している方は、条件を全てクリアしていないからといって諦めず、こまめに情報をチェックしながらチャレンジしてみては如何でしょうか。
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