2016年10月の外務省統計ではスイスに居住する日本人は10,614人です。
筆者の地域でも日本人会があり、ときどき顔を会わせてバーベキューなど催したりしていますが、参加メンバーの8割くらいはスイスの男性と結ばれた日本人女性であり、家族全員日本人というのは私の家族ともう一家族くらいです。
ブログ等でもスイス人男性と結婚された女性の方からの発信は多いですが、入国の具体的な手続きについて紹介した記事はあまりみかけたことがありません。
おそらく彼女たちには旦那様の強力なサポートで手続きを進めることができたのだろうと思いますが、筆者の一家は全員日本人なので手続きは自分で行わなければなりませんでした。
当時を振り返ると、「入国できたのはただ運がよかっただけだ」と思いだすたびに背中がゾクッとします。このような経験はしないですむに越したことはありません。
そこで、ここでは現地スイスの人の手を借りられない場合、入国の実際の手順はどうなっているのかをステップごとに説明させていただきたいと思います。
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スムーズなスイス入国のステップ
就労ビザを取得し、正式な許可を得るまでは以下のような流れになっています。
- ビザ申請
↓ - アパート探し
↓ - 仮許可書発行
↓ - 入国
↓ - 携帯電話契約
↓ - アパート契約
↓ - 住所登録
↓ - 銀行口座開設
↓ - 家具購入&手配
↓ - 正式ビザ入手
早速、それぞれの工程を見ていきましょう。
1. スイスの就労ビザ申請(正式ビザ入手から3-4か月前)
ビザ申請手続きは現地で勤務する会社によって行われます。
ビザ申請をするためには予め就業する会社と雇用契約を結んでおく必要があります。
会社は
- 雇用契約のコピー
- ビザ申請者および家族の履歴書
- パスポートコピー
- 日本における犯罪経歴書(各県の警察で入手)
を所属する州(カントン)に提出します。
ビザ申請中は、スイスに入国することはできませんのでくれぐれもご注意ください。
ビザが下りるまでの時間は正直読めません。
どうやら年間の枠があるらしく、また申請人の国籍によっても下りやすさは異なるようです。私の場合は申請後1か月で入手しました。
2.アパート探し
ビザ申請期間にアパートの目星をつけておきます。
私は下記のサイトを使用しました。
スイスの物件探しサイト:newhome.ch
地域、住居の種類、料金、部屋数などを入力すると、さまざまな物件が表示されます。
ぜひ、希望にマッチするお部屋を探してみてください。
こちらの記事「スイスのアパート事情と物件の探し方をわかりやすく紹介します」も参考にしてみてください。
3.居住許可保証発行(正式ビザ発行2か月前)
申請した役所から居住許可書(Zusicherung der Aufenthaltsbewilligung)が会社宛に発行されますので、会社から許可証を日本の自宅まで郵送してもらってください。
見た目は若干緑かかった紙で、書類の中になぜか縦横にミシン目が入っていますので破らないように気をつけてください。
有効期限は発行日から3か月です。
許可証は申請者および家族一人一人に対して個別に発行されます。
この許可書を入手したらサイトを使ってアパートの管理会社とコンタクトし、内見の予約を行います。
ほとんどの物件は毎月1日からになっていると思いますので、管理会社との予約は前月の20日前後に設定するのが良いと思います。
4. スイス入国(正式ビザ入手3週間前)
いよいよスイス入国です。
緑色の居住許可書を持って入国し、イミグレーションで許可書を係員に見せてください。
5. 携帯電話契約(入国と同日)
実は忘れてはならないのは入国時に携帯電話を契約しておくことです。
といいますのは、アパートや銀行口座の契約をする場合、電話番号やメールアドレスを記入しなければならないためです。
はっきり言うと、プリペイドSIMカードで十分です。
SIMフリー携帯を準備し、チューリッヒ空港でパスポートを見せ、プリペイドSIMを購入して電話番号を取得してください。
私が使用しているのはYallo surf 1000というサービスです。毎月15フランのチャージで月間1GBの通信ができますので、LINE電話等を使用すれば日本の親戚や友人との通話もまったく不自由しません。
自宅にWi-Fiを引けば1GBは多すぎるほどで、最近はもっと安いプランに変えようと思っています。ご参考までにYalloサービスのURLを紹介します。
Yallo:https://www.yallo.ch/en/prepaid
6.アパート契約(正式ビザ入手2-3週間前)
アパート管理会社に物件を見せてもらい、気に入れば契約に入りますが、以下の2つが必要となります。
- 会社との雇用契約書コピー
- 2-3か月分の敷金
雇用契約のコピーは問題ないと思いますが、問題は②で、こちらはキャッシュを用意しなければなりません。
このお金を準備できないとアパートの契約はできません。
私はこのことを知らず、またスイスに銀行口座ももっていませんので(というか、ビザがないと口座は持てません)、スイスの友人に事情を説明して立て替えてもらいました。
このお金は管理会社が開設する口座に振り込まれ、アパートを出る際にダメージ補修のために使われます。
契約の手続きについては、管理会社が私の名前の入った契約書を作成し、それにサインする形で進んでいきますが、この契約書の作成に1週間程度かかるのが普通です。
日本だったらこれくらいのことは即日やってくれるのにと思いながら短縮の交渉をおこない、4日に短縮してもらいました。
先に書いた通り、各月20日前後にアパートの内見予約をすることをおすすめする理由は
- この契約書作成の日数を見込まなくてはならないことと
- もし既に部屋が空室であれば25日頃の正式契約時に鍵を渡してくれ、当月分の残り日数はサービスしてくれるケースがあるため
です(あまり期待してはいけないとおもいますが…)。
アパートに入るまでは当然ですがホテルに宿泊しないといけませんので、ホテル宿泊日数を最小限にするためには入国をできるだけ月末近くまで引っ張った方がいいのですが、引っ張りすぎると翌月にまたがったり、他の人が先に契約してしまうリスクも高まります。
実際、私は第一希望の物件を内覧する直前に一方的にキャンセルされました。
7. 住所登録(アパートが決まり次第すぐ)
アパートが決まったら、アパートのある地域の市役所(Rauhaus)に出向き、パスポートや例の居住許可書を提出し(これはコピーをとるためで、オリジナルは戻ってきます)、登録用紙に記入します。
この登録は週によって異なるようですが、入国後1週間程度で行う必要がありますので、入国したら即座にアパートを決める勢いが求められます。
8. 銀行口座開設(アパートが決まり次第すぐ)
銀行に居住許可書を持参すれば口座の開設ができます。
実は雇用契約時に銀行に行き、口座開設を相談しましたが、ビザがなければできないと言われました。
正式なビザが必要なのかと思っていましたが、居住許可書でいけるかどうかダメ元で試したところ、これはビザと同じ効力があると言われ、安心しました。
9. 家具購入&手配(アパートが決まり次第すぐ)
日本から荷物を送った場合、到着までに3か月程度かかりますので、ベッドやカーペット、ちゃぶ台、食器など、最低限の生活必需品を購入し、入居日に併せて宅配サービスを使うのがおすすめです。
私はIKEAで全部揃え、自宅まで配送してもらいました。
ちなみにですが、スイスのアパートでは冷蔵庫は据付が一般的で、洗濯機は共同の場合が多いです。
10. インターネット契約
アパートが決まった、もしくは入居した段階でインターネットの契約を行います。
スイスではケーブルテレビ、インターネット、固定電話の3本セットが主流のようですので私はそれで契約しました。
スイスらしいといえばらしいのですが、契約を行ってから技術者が自宅に派遣されるまで1週間から10日くらい待たされることは当たり前ですので、辛抱強くまってあげてください。
11.スイスで正式ビザ入手
Rathausへの住民登録が終わって大体10日くらいすると自宅に正式登録のための召喚状が郵便で届きます。
この書面には、「何月何日の何時に訪問すること」と時間までが規定されており、「この時間に出頭できない場合はあらかじめ当局に正当な理由を説明すること」と記載されています。
指定された場所に指定された時間に訪問すると、指紋を取られ、顔写真を撮影されたのち、早口のドイツ語で何やら言われたあとでサインをします。
これで手続きは完了です。
家族も一人一人、同じ手続きをおこないます。
その後待つこと約1週間で自宅に顔写真、自分のサイン入りのカードが郵送で送られてきます。
このビザはBパーミットと呼ばれるもので、1年毎の更新になります。
ただ、2年目以降はビザの登録センターに出向く必要はなく、更新時期が近付くと自宅まで郵便で送られてくる書面に必要事項を記入のうえ、近所のRathausまで持っていけばOKです。
ちなみに私の家族構成は妻、高校生の息子2名です。私のパーミット更新は書面を会社に持っていき、雇用契約が有効であることをサインしてもらう必要があります。
妻は私と同様、Bパーミットですので理論的には就業することはできるのですが、ドイツ語のレベルが「B1」でなければ現実的に採用されることは難しいです。
妻はパーミットの更新条件が「ドイツ語学校に通っている証明、もしくはドイツ語のレベルがA2に達していることの証明」の提出ですので、毎週私と一緒にせっせとドイツ語学校に通っている日常です。
子供については、学校に通っていれば特に追加提出するようなものはなく、書面に記入するだけで更新できます。
以上、実際の入国手順について説明しました。
スイスへの入国手順では、いろいろやることがありますが、手順をまちがえると出直すはめになりますので、ご参考にしていただけますと幸いです。
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