スイスはバスや電車などの公共交通機関がよく整備されています。
しかし、少し郊外に住むのであれば公共交通機関の便数は限られますので、自家用車の利用は大変便利です。
とはいえ、日本からスイス移住した人にとって、
- 自家用車を購入するにはどのような手続きが必要なのか
- どのように免許を手に入れるのか
- 手に入れた車を運転するときどのようなことに気をつけなければならないのか
など分からないことが多いことでしょう。
ここでは、スイスにおける自家用車の運用に関して、以下の3点についてご説明します。
- スイスでの免許証の入手方法
- 自動車の購入方法、保険料、車両税など
- 運転するときの注意点
スイスでの運転。免許証に関する注意点
はじめに、日本出国前に各都道府県の運転免許センター等で国際免許証を発行してもらいます。
国際免許証は紙ベースの外観で、有効期限は発行日から1年間。
したがって、スイス出国前ギリギリに入手したほうがお得です。
実はこの国際免許証、スイス国内での運転はカバーされていません。
理論上は日本で取得する顔写真付きカードタイプの免許証をそのまま使うことができるとされています。
しかし、ご存じのように日本で発行される免許証は全て日本語表記になっているため、スイスの人は顔写真以外何が書いてあるか理解できません。
国際的なイベント等が開催されると国境などの警備が厳しくなることがあり、その際は運転免許証の提示を求められる確率が高くなります。
警備担当のオフィサーが日本人の場合は、国際免許証がなくても運転が許可されていることを知っていることは期待できませんので、トラブル防止の上でも是非国際免許を取得してください。
なお、イタリア、ドイツ、オーストリア等EU加盟国に出国して運転する場合は、国際免許証の携帯は必須となります。
前述のように国際免許の有効期限は発行日から1年間で、その間は特に免許の書き換えをすることなく国際免許証で運転できます。
滞在が1年を越えるような場合は、スイスが発行する運転免許証が必要になります。
基本ルールとしてはスイスで運転免許を入手する場合はスイスで試験に合格しないといけませんが、大変ラッキーなことに日本の運転免許を所有している場合は、申請するだけで試験を受けることなくスイスの免許を受領することができます。(※2019年時点4月)
運転免許証の申請・入手方法
申請は居住するカントンの交通局で行いますが、お住いの地域の市役所に持参すれば対応してくれる場合もあります。
申請に当たっては以下の書類が必要になります。
必要書類:
- 申込フォーム
- 日本の運転免許証の原本
- 日本の運転免許証の英訳(居住するカントンによっては在スイス日本大使館で翻訳してもらった公的文書でなくてはならない。翻訳手数料19スイスフラン)
- 顔写真(パスポートサイズ35x45mm)
- 滞在許可証のコピー
- 眼科検診の証明書(眼鏡屋で入手可能)
- 手数料
免許のカテゴリーは日本では普通自動車、大型、小型、二輪車など14種類が用意されていますが、スイスでは若干細かく、免許の種類は全部で18種類になります。
参考:https://fuehrerausweise.ch/weg-zum-ausweis/
一般的な普通自動車の免許はスイスではカテゴリーBに相当します。
日本の免許では普通自動車の免許で8tまでの運転が許可されていますが、スイスのカテゴリーB免許で運転できる自動車は7.5tまでなので、免許申請をするとカテゴリーC(大型)も必要かどうかを質問されます。
ここでYesと回答すると別途試験が要求されるようです。
当然ながら試験は全て現地語になりますので、ここは辞退しておいたほうがいいでしょう。
申請から1-2週間待っていれば顔写真入りの免許証が自宅まで届きます。
日本とは異なり、免許証は更新することなく75歳まで有効です。
スイスで知り合いができると運転免許証を見せてもらうと面白いです。
いい年をしたおじさんの免許証の写真が18歳の若者だったりして結構盛り上がれます!
免許申請時に日本の免許証の原本を提出しなければならないので不安になりますが、スイスの免許証と一緒に郵送されてきますのでご心配なく。
スイスでの自動車の購入方法
自動車はメーカーのディーラーもしくはガレージで購入することができます。
購入時にスイスの免許証を持っていなくても、日本の免許証を持っていれば可能です。
ただし、前記と同じ理由で国際免許証も一緒に持って行ったほうがいいでしょう。
日本ではオートマ車がマニュアル車をすっかり駆逐してしまった感がありますが、スイスで走っている車の9割くらいはマニュアル車です。
右側通行のため日本と座席が反対の上、マニュアル車となると結構運転のハードルは上がりますが、車両価格が高くなること、特に中古車市場では選択肢が狭まることを我慢すればオートマ車もあります。
ディーラーで車を買うとき、日本と一つ違うのは「ナンバープレートって持ってる?」と聞かれることです。
スイスでは車を複数台所有している場合、1枚のナンバープレートを他の車に付け替えて走らせることができるため、今回購入の車が1台目かどうかを確認するための質問です。
複数台所有している車のうち、保険額が最高の1台分だけ保険料を支払えばどの車も運転できる仕組みです。
最初に車を買うときは当然持っていませんので、持っていないと答えるとディーラーがナンバープレートを交通局からとってきて車両と一緒に引き渡してくれます。
スイスは基本的に物価が高いので、スイス人の中にはドイツなどで車を買ってスイス国内で登録する人もいますが、車の購入後も半年ごとの夏・冬タイヤ交換やオイル交換などのメンテナンスなどで定期的にサービスを利用することになります。
自宅近くのガレージでの車両を購入お勧めします。
日本ではオートバックスやイエローハットなど、車のアフターサービスを専門とした会社の利用で安くサービスを受けることはできますが、スイスにはそういった形態のサービスは浸透しておらず、車両を販売したディーラーやガレージでサービスを受け続けることが一般的です。
保険料、車両税の事情
自動車保険はディーラーで加入できます。
日本と同じく車両保険をつけるかつけないかなどで金額は変わってきます。
基本的スタンスとして、スイスの人は慎重で、高額な保険プランを選ぶ傾向があります。
年間で1500フラン(約165,000円)くらいが標準的なプランになります。
車両税は毎年年初に請求書が送られてきますが、約500フラン(約55,000円)です。
こちらはあまり日本と変わりません。
スイスで運転・8つの注意点を紹介
車を購入したらさっそく運転を楽しんでください。
ここでは8点についてご説明しますので、是非ご参考にしてください。
1.信号はきちんと守ろう
信号を守るのは世界共通認識ですが、日本と若干違うのは次のような点です。
黄色になったら停車が基本:
日本では運転中に目の前の信号が黄色になっても、急停車せず走り抜ける車が多いですが、こちらでは黄色になった場合、既に交差点に突入してしまっているような場合以外は停車します。
大きめの交差点では信号無視用の監視カメラが設置されていることがあり、撮影されるとあとで罰金を請求されます。
青信号は何も考えずに走れます:
日本では補助信号付の信号が一般的で、赤信号でも補助信号が右折、左折、前進等の矢印を表示していたら矢印に従って運転できます。
スイスではこのような補助信号はありません。
スイスは右側通行なので、左折するときに対向車線を横切る格好になります。
左折用の車両に対しては左折用の信号が設置してあります。
またスイスでは歩行者の横断時間と車両の通行時間は分けられています。
例えば日本で車を左折させる場合、基本的には車両の青信号と歩行者用の信号が同時に青になりますので、歩行者を通してから車両は左折する形になりますが、スイスでは歩行者と車両の時間帯は分かれていますので、車両用の信号が青であれば特に気にすることなく走れるのが特徴です。
2.住宅街でのスピード違反はご法度!
住宅街の最高速度は50km/hが一般的です。住宅密集地では20km/hや30km/hのところもあります。
日本の場合、制限速度の10km/hオーバーくらいは見逃してもらえることが一般的ですが、スイスではそうはいきません。
街の中に設置してあるスピードメーターは5km/hまでを許容範囲とし、56km/h以上の車を容赦なく撮影します。
罰金は超過速度によって異なりますが、56km/hで走った場合45フラン程度の罰金です。
スピードメーターが撮影するときは、赤いフラッシュが光ります。スピードメータは移動式で、頻繁に位置を変えますので、住宅街では安全運転を心がけましょう。
住宅街を抜けると80km/hになります。ドライバーは待っていましたとばかりスピードを上げ始めます。
80km/hエリアではあまりスピードメータを設置することはないのですが、ごくまれに置かれていることもあります。
なおスイスでは車間距離が近いです。
後にピッタリつけられるとあまり気持ちのいいものではありませんが、それを気にしてスピードを上げ、速度違反で捕まっても損するだけですので、見なかったことにしてマイペース運転をお勧めします。
我慢できない車は自分の車を追い越していきます。
3.踏切では一旦停車せずそのまま通過!
日本では踏切の手前での一旦停止が義務ですが、スイスでは警報が点滅していなければ速度を落とすことなくそのまま通過してください。
日本式に停車すると追突される危険があります。
踏切の警報が点滅していたらもちろん停車します。電車が通り過ぎたらバーが上がり切ってから発車するのが原則です。
4.ランドアバウトでは回っている車が優先
日本でも一部地域で運用が開始したものの、まだ一般的ではないランドアバウト。信号がない回転式の交差点のことです。
スイスでは右側通行なので、ランドアバウトは反時計回りになります。
ここでの注意点は「ランドアバウトに進入している車が優先」ということです。
朝、夕方のラッシュ時には、ランドアバウトを起点とした渋滞が発生することがあります。
次に自分がランドアバウトに進入するとき、後ろに長い列ができていたとしても無理に突っ込もうとしてはいけません。
この意識は全てのドライバーが共通認識としてもっていますので、後ろの車からクラクションを鳴らされることはありません。
無理に入ろうとすると、ランドアバウト内の車から恐ろしい表情で睨まれ、凄まじい勢いでクラクションが鳴らされることになります。
5.狭い十字路では右側から来る車が優先
大通りと細い道の十字路では大通りの車が優先ですが、同じ程度の広さの狭い十字路の場合、右側からくる車両が優先です。
日本ではこのような場合、一時停止の標識を設置させることが多いですが、スイスではあまり見かけません。
スピードメータで監視していることも影響してか、基本的に住宅街でスピードを出すことはありませんので、ドライバーの判断に任せる部分が大きいのだと考えられます。
6.横断歩道では歩行者が最優先
信号のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしていたら、50km/hで走っていた車も横断歩道で停車して歩行者を優先させます。
日本でもルール上はそうなっていますが、同じような場面では車が先に通り、車の流れが途切れてから歩行者が渡ることが多いのではないでしょうか。
とくに小さな子供が横断歩道に立っていた場合はなおさらです。
小学校では子供はランチを家に帰ってとりますので、昼休みは多くの子供たちが道を歩いています。
道をゆずると皆にっこりして挨拶してくれますので、何だかほっこりと得した気持ちになれます。
歩行者を渡らせるために停車させても、クラクションを鳴らされることはまずありませんので、このあたりは精神的な豊かさを感じます。
7.高速道路は絶対にスイスがお得!
スイスの高速道路の通行料は3.5トンまでの乗用車の場合、年間40フラン(5000円弱)です。
高速道路の入り口、出口はフリーになっており、ゲートはありません。
高速道路の使用については1月から12月の1年間(厳密には有効期限は2019年版の場合、2018年12月1日~2020年1月31日の14か月)有効な交通道路通過許可証(Vignette:ビエニッテ)を購入し、車のフロントガラスに貼っておきます。
ごくまれに高速道路の出口にVignetteの有無を検問していることがあり、違反すると100ー200フランの間で罰金が科せられます。
Vignetteは毎年色が変わります。2018年はオレンジ、2019年は水色になります。
40フランで1年間高速道路乗り放題というのは日本と比べて大変お得なので、スイスで自家用車を運転する際はぜひ購入ください。
出典:https://www.allianz-autowelt.de/unterwegs/vignette-schweiz/
8.飲酒運転は違法。でもビール一杯は運転許容範囲内
日本では絶対にご法度の飲酒運転。0.00%のノンアルコールビールなどの新市場も生み出されています。
もちろんスイスでも飲酒運転は違法です。街中いたる所に飲酒運転を防止するポスターが貼ってあります。
しかしながらスイスでは呼気中アルコール濃度0.25mg/lまでは許容範囲となっています。
体の大きさにも影響されますが、グラスビール一杯程度であれば飲んでも大丈夫ということになります。
しかしながら、一旦飲んでしまうとつい量を過ごしてしまう可能性もありますし、日本のような代行サービスというのはスイスではありませんので、やはり飲まないのが最善です。
スイスでは人にお酒を強要する文化はありませんので、「今日は飲まない」とはっきり伝えても問題になることはありません。
スイスの自動車運転。注意点を抑えて、安全に心がけよう
日本の免許は更新期限がありますが、スイスで取得した免許証はずっと使えます。
仮に運転するつもりはなくても取っておいて損はありません。
スイスでのルールに馴染み、安全運転を心がけてください。
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