非英語圏の中で高い英語力を誇るノルウェー。
ノルウェーの教育システムは日本とどう違うのか、実際に日本とノルウェーの公立小中学校に勤務した経験のある筆者がお伝えします。
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ノルウェーの教育制度:7、3、3制
ノルウェーの教育システムは日本とよく似ています。かつては日本と同じように6,3,3制度でしたが、1997年に小学校入学の年齢が7歳から6歳へと繰り下げられ、7,3,3制度となりました。
義務教育期間は10年間で小学校が7年間、中学校が3年間です。
義務教育後は高校や専門学校、高等教育へと進むか、職業訓練を受けて就職する道があります。
学期は2学期制を採用しており、8月からクリスマス前までの秋学期と正月明けから6月までの春学期に分かれています。
就学前教育
保育園、幼稚園への入園は義務ではありません。
共働きの多いノルウェーでは1歳~5歳までの児童の90%以上が保育園、幼稚園に通っています。(2016年のノルウェー児童家族省のデータより)
ノルウェーでの援助
1歳~2歳までの児童を保育園に預けない場合はノルウェー児童家族省から現金が支給されます。
保育園に全時間通っていない場合にも通っている割合に基づいて、一部現金支給があります。
・条件と金額
こうした援助金を受けることができる条件としては親子ともノルウェーに居住している必要があります。
援助額は子ども一人当たり毎月7500クローネ(約97500円)までを上限に支給されています。
特徴
保育園、幼稚園には弁当を持参するのが一般的ですが、市町村によっては給食が出るところも。
雨でも雪でも外遊びをさせることが多いのがノルウェーの保育園、幼稚園の特徴のひとつでしょう。ノルウェー人の自然愛(アウトドア愛)は幼い頃の経験から育ってきているのかもしれませんね。
初等教育(日本の小学生にあたる)
その年(1月~12月)に満6歳となる児童が、同年の8月中旬から始まる新学期に入学します。誕生日が8月下旬以降の児童は入学時点でまだ5歳ということになります。
毎年8月の新学期には小学生と呼ぶにはまだまだ幼い児童たちが不安と期待の入り混じった表情で入学式へ。
小学一年生といえば日本ではランドセルですが、ノルウェーでは大きめのリュックサックを背負っています。

小学校入学式より
・英語教育
ノルウェー語の読み書きもままならない1年生ですが、英語教育も1年生からスタートします。
内容は会話中心(実践中心)で文法や単語などは細かく学びません。耳から慣らすスタイルです。
・休みや課題について
秋学期:8月から始まり、秋休み1週間を挟み、クリスマス休みまで
春学期:1月(正月明け)から始まり、冬休み1週間、イースター休み1週間を挟み、6月中旬まで
夏休み:6月中旬から8月中旬までの約2ヶ月。宿題は一切ありません。(公立の場合)
普段の授業
1クラスの児童数は25名程度と少人数。担任の先生以外にアシスタント(支援員)の先生います。
朝8時頃から授業が始まり、午後1時過ぎには授業が終わります。(小学校高学年まで同じ)
普段は日本と比べると少量ですが宿題はあります。また、スポーツや文化的な課外活動に力を入れている家庭もあります。
日本と大きく異なる点は成績通知表が存在しないという点。
三者面談などで教師からの助言は行われますが、各教科ごとに成績をつけることをしません。
SFO(学童保育)
小学校中学年まではSFO(学童保育)に通っている生徒がほとんど。
共働き家庭が多いノルウェーでは、小学校が午後1時過ぎには終わってしまう関係で学童保育の存在はとても大切です。
SFOは早朝から学校が始まるまで、放課後から夕方までやっており、長期休み期間中も7月とクリスマス休暇期間を除いて通うことができます。
小学校は給食がないのでお弁当を持参するのが一般的ですが、学童保育では軽食が提供されます。
前期中等教育について(日本の中学生にあたる)
13歳から15歳(8年生から10年生まで)の3年間は中学校に通います。
中学校に入って初めて成績通知がスタートしますが、内容は日本のものよりも簡易的です。また、中学2年生からは第2外国語を選択するようになり、スペイン語、フランス語、ドイツ語などから選択します。
中学生になっても学校が終わる時間は遅くても14時頃です。
日本のような部活動はなく、個人的に地域のスポーツチームに入ったり、文化的活動をしたりする生徒もいますが、それ以外の生徒は友達と過ごしたり、一人の時間を持ったりと思い思いに過ごしているようです。
後期中等教育について(日本の高校生にあたる)
16歳から18歳を対象とする3年間は高等学校に通います。
義務教育を終了した者の90%が高校へと進みます。
高校には
- 普通科
- 職業科
があり、前者は語学系と理数系に分かれ、高校を卒業すると大学へと進むことができます。
後者は職業別(電気、配管、大工、演劇など)に細かく分かれており、職業科を卒業すれば一人前の職業人として認められます。
高校入試は行われませんが、募集人数に制限があるので中学の成績によって評価され、入学生が決められます。
高等専門学校と呼ばれる一部の高等学校は4年間、学びます。
卒業を祝うRUSS(ルッス)というものがあります。
#WordoftheDay: Russ (nothing to do with Russia, no) 😜https://t.co/LC4r2iIEsZ via @BINordic #Norway #traditions #May pic.twitter.com/wLGZVGyftK
— Elusive Moose (@elusive_moose) 2018年5月8日
高校3年生がお揃いの服(大学進学者は赤いつなぎ、職業科は青や黒のつなぎ)を来て5月の憲法記念日前に大騒ぎをすることで毎年話題になっています。
高等教育について(大学)
- 大学(Universitetet)
- 準大学(ホイスコーレ)
- 職業大学
が存在しています。
大学は学士は3年間、修士2年、博士4年と学びを続けることができます。
日本のような大学受験というものはありませんが、高校の成績で入学の有無が決まるため、人気のある大学や学部で学びたい場合は留年する人もいます。
ノルウェーの大学は入学する以上に単位を取って卒業することが難しく、途中でドロップアウトする人も多くいます。無料で高水準の教育を受けるチャンスがあることは素晴らしいことですが、無料故に中退者が多いのは問題ですね。
また、高校卒業後にすぐに進学や就職をせずにバックパックで世界を回るなど、思いっきり遊ぶ期間を設ける人も珍しくはありません。1年間思いっきり遊び、次の年からは必死に勉強するといった具合です。
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オスロ大学入学式典より
ノルウェーの教育費用:小〜大学まで無料
小学校から大学までの学費は公立の場合は無料です。
外国籍であっても、ノルウェーに3ヶ月以上滞在する場合には無料で教育を受けることができます。
義務教育期間中、教科書は無償で学校が貸し出す仕組みで、使用後は返却する必要があるので教科書に落書きなどもっての外です。
子どもたちは教科書にカバーをつけて大事に使用しています。
学費無料は公立だけですので、私立の場合は費用がかかるので注意しておきましょう。
参考までに、私立シュタイナースクールの小学校の学費はおよそ年間36000クローネ(46万8千円)程度であることをお伝えしておきますね。
インターナショナルスクールはさらに学費が高く、
- 入学金として15000クローネ(19万5千円)
- 学費が年間212500クローネ(276万2500円)
かかります。
その他、様々な活動費なども発生するため、インターナショナルスクールに子供を通わせる場合は小学校から中学校卒業までに3千万ほどの費用がかかると思ったほうが良いでしょう。
また、学童保育や保育園、幼稚園は有料です。
こちらの学費は両親の収入によって金額が異なる仕組みをとっていますが、毎月およそ3000クローネ程度(4万円)かかるでしょう。
ノルウェーの教育事情まとめ
日本と似ているようで違うノルウェーの教育制度。
一番の違いは早期英語教育の有無と教育費無料という点ですね。
学びたい人に対しては国や市町村がとことん援助し、学ぶチャンスを与えます。家庭が裕福か否かで進学を諦めるといったことがないのは本当に素晴らしいと思います。
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