北欧は福祉が充実しているということは耳にしたことがあるでしょうか。
北欧諸国の1つであるノルウェーは確かに福祉が充実しています。
国連の人間開発指数(Human Development Index)に度々、世界一に選ばれているノルウェーの年金事情と年金がいくらもらえるのか等をお伝えいたします。
ノルウェーは年金受給者にとって最高の国?
フランスの金融会社Natixisは毎年、世界にとって最高の国?43カ国の年金受給状況の調査を行っています。
これは、Global Retirement Index(GRI)と呼ばれる、世界の多くの年金受給者の将来に関する包括的な調査です。
この調査によると、ノルウェー、スイス、アイスランドが世界トップ3カ国となっています。(※2018年の調査結果より)
この調査結果は金銭面だけではなく、幸福度や環境(空気の綺麗さ等)も考慮した結果です。
詳細をご覧になりたい方は、下記のリンクよりどうぞ。
https://www.im.natixis.com/us/resources/2018-global-retirement-index-report
この調査結果を見てみると、ノルウェーと近隣諸国であるアイスランド、デンマーク、スウェーデンがGRIインデックスで優れているとなっています。
北欧諸国の年金受給者は、一般的に質の高い生活を送っているということがわかりますね。
もしも、この調査の判断基準が金銭面(国の財政)だけだとしたら、シンガポール、チリ、韓国、エストニアなどの国は同じぐらいに優れているという結果になったでしょう。
ノルウェーの年金財源と受給諸条件
財源
世界中で高齢化が進んでいます。
国連の人口推計によると世界の80歳以上の数は、今日から2100年までにほぼ7倍になるでしょう。
すなわち、約9億人が80歳以上になるということです。
この高齢化現象は程度の差はあるものの、日本もノルウェーでも同じ問題を抱えています。
高齢者が増える=年金の受給者が増えるということですが、ノルウェーの年金は日本と同じように現役世代の税金を財源としています。
ただし、ノルウェーは財源を将来に備えて貯えることに力を入れているのです。
これは「オイルファンド」と呼ばれていて、原油によって得た莫大な資産を国民の将来のために貯蓄、運用しているものです。(あまり、知られてはいませんがノルウェーは世界的原油輸出国のひとつなのです)
年金受給資格
ノルウェーの年金受給資格は16歳から66歳の期間に3年以上ノルウェーの社会保険制度に加入していることです。
ノルウェーに住んでいる期間=社会保険制度加入期間ということで考えてみてください。
この3年以上の居住というのは住民登録をしている期間のことですので旅行などの観光ビザでの滞在期間は含まれません。
年金を受け取れる年齢と金額
通常は67歳からの受け取りとなり、それ以前に受給を開始した場合は年金受給額は少なくなります。
62歳~75歳の間で選択可能となっていますが、年齢が上がるほどに年金受給額も増える仕組みになっています。
これは日本と同じような仕組みですね。
補足として、一部の職業(例えばノルウェー王立バレエ団のバレエダンサーなど)に関しては若年での年金受け取りが可能となる場合があります。(特殊なケースですのでここでは説明を省かせていただきます)
老齢年金の種類
ノルウェーの老齢年金は所得積み立て年金、企業年金、公的個人年金です。
①所得積み立て年金(Inntektspensjon)
私的個人年金の4種類があります。
ノルウェーの社会保険制度に使われる概念としてGというものがあります。
Gとはノルウェー語のGrunnbeløpの頭文字を取ったもので、日本語にすると基礎額のことです。
基礎額(Grunnbeløpet)の2019年5月1日現在の金額は年間99,858クローネ(約130万円)です。
毎月8322クローネ(約11万円)という計算になります。
この金額はノルウェーで最低限の生活をするために必要な金額ということになり、金額は物価や賃金水準に応じて毎年調整されています。この基礎額Gは、NAVのウェブサイト上にも公表されています。
G(基礎額)の推移はこちらからご覧になれます。(1967年~現在までの推移)
https://www.nav.no/no/nav-og-samfunn/kontakt-nav/utbetalinger/grunnbelopet-i-folketrygden
所得積み立て年金は所得の18.1%に、毎年の物価・賃金上昇率から0.75%差し引いた数値をかけあわせた数値が年金準備金として加算されていきます。
(上限があり、7.1Gまでの所得を上限として年金準備金が加算されるようになっています)
補足として、疾病手当や失業手当を受給中、あるいは育児や介護で働けない場合も国民保険加入期間として認められ、年金準備金への加算があります。
就労者は、給与所得の約8%を社会保険料として差し引かれます。
それが年金準備金になるのです。
自分が実際に受け取ることが出来る年金額の計算方法は複雑ですので、ノルウェー労働福祉局(NAV)のウェブサイトを利用するとよいでしょう。
NVAでは、あなたの年金(Din Pensjon)という項目があり、必要事項を記入することで年金受取額や受取日を調べることができるのです。
②企業年金(Tjenestepensjon)
給与所得に対して2%を積み立てる事が事業主の義務となっています。
同等の金額を雇用主が年金積立金として負担する必要があるということですね。
③公的個人年金(Individuell pensjonssparing)
2017年にスタートした新制度です。
こちらは、公的年金、企業年金以外に個人的に積み立てるものです。
課税所得から控除されますので、税金対策として利用することも可能ですが、積立金は67歳の年金受給スタートまでは自由に引き出せないという制約があります。
④私的個人年金(Privat egenpensjonssparing)
各保険会社などが提供している私的な個人年金積み立てのことです。
これは公的個人年金制度が2017年にスタートする以前から存在していました。
例えば、フリーランサーなど企業年金が期待できない人などが自主的に積み立てをしています。
ノルウェーには最低保証年金制度というものがある
ノルウェー語でGarantipensjonというものがあります。
これは最低保証年金の事です。
2019年5月1日時点での最低保証年金額は年間190,368クローネ(約248万円)です。
毎月およそ21万円程度。
なお、注意して欲しいこととして、3年以上居住していればノルウェーの年金を受給する資格を得ますが、満額ではないという点です。
満額を受給する為には40年以上居住している必要があります。
例えば、64歳で日本からノルウェーに移住し、3年住んだ場合に67歳になった時の年金(最低保証年金)は果たしていくらもらえるのでしょうか。
計算してみると、年間で14,277クローネ(約18万5千円)しかもらえないということがわかります。
毎月およそ15,000円程度です。
これだけでは生活はできません。
日本の年金と合わせて受給するのであっても、物価の高いノルウェーで生活をしていくには難しい金額であることがわかりますね。
年金生活者の自立度
ノルウェーの年金生活者は他国と比べて自立しています。
子どもや孫に頼ることなく、社会福祉制度の利用と自身の蓄えで生活している人がほとんどです。
先に述べたフランスの金融会社Natixisの調査によると、公的年金制度の国では平均して、50歳未満の10人中6人が将来設計に安心を感じています。
多くの人々は、年金受給者として将来の資金を調達するために、所有する財産(家など)を売らなければならない必要性を感じているという結果が出ています。
また、10人中4人は子供たちに助けを求める必要があると考えています。すなわち、退職後に経済的な支援を子どもや孫に求める必要性を感じているということです。
親と同居という考え方はノルウェーにはありません。
ノルウェーでは子どもが老齢の親の面倒を見るというのは非常に珍しいケースです。
海外在住者の年金
ノルウェーで年金受給資格がある人は、海外(例えば日本)に住んでいてもノルウェーの年金を受給できるのでしょうか。
実際には条件付で年金の受給が可能となります。
その条件とは20年以上国民保険への加入期間があることです。
この場合は、最低保障年金と所得積み立て年金を受給することができます。
退職後に暖かい国(スペイン、ギリシャ、トルコなど)に別荘や別宅を購入して長期間滞在するノルウェー人は多くいます。海外でも年金が受け取れるのは安心ですね。
ノルウェー人は男女問わず、若い頃はがっつり働き(たくさん納税し)、年金生活者となってからも自立して、生き生きと暮らしています。
ノルウェー人は非常に高い税金を納めていますが、社会福祉や年金制度がしっかりと確立しているので幸福度は高いのです。
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