「駐在妻」とは一般的にどのような人を指すのでしょうか。
Weblio辞書「実用日本語表現辞典」によると、以下のように書かれていました。
「駐在員の妻という意味で用いられる通俗的な言い方。もっぱら外国に駐在する会社員の妻を指す場合が多い。夫に帯同される場合、土地を移り一定期間そこで生活することになり、独特の悩みがつきまとう。」
辞書にまで書かれる「独特の悩み」とは何でしょうか?
そのひとつに「言語」の問題があるのは確かです。
ここでは、英語圏(アメリカ)の駐在妻に焦点を当てて、その英語力と上達方法について米国在住者から解説していきたいと思います。
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タイプ別「駐在妻」の英語力
ひと口に駐在妻といっても、その英語力には差があり、大きく分けて4つのタイプに分けられます。
1.留学経験ありタイプ
若い頃に留学した経験があり、夫の赴任でアメリカに住めることを「ラッキー!」と喜べる余裕があります。
また、留学するほど海外志向なので、日本の生活よりもむしろアメリカの生活の方が肌に合うと、のびのびしている人も多くいます。
英語力は、言わずもがな、ネイティブと互角に渡り合えるレベル。
ジョークなども言い合える羨ましいタイプです。
2. 英語学習者
昔から英語の勉強は続けてきたので、ある程度英語には自信があるタイプ。
実際、現地の生活でも日常生活には困らず、ネイティブの話の70〜80%は理解できます。
しかし、その理解とは裏腹に、残り20〜30%の「理解できない部分」の壁にぶつかることが多いのも事実です。
アメリカ人からも、英語が完全に分かっていると勘違いされやすいため、容赦なく話されて能力以上の事態になることもしばしば。
問題が複雑化すると対応しきれない自分の英語力に、最も悩みやすいタイプです。
3.英語は苦手だが、努力中
英語は中学英語以来まともに勉強したことはないが、海外赴任のために学習を再開したタイプです。
英語が分からないなりにも、基本的な知識はあるので、それを総動員してなんとか事態を切り抜けることができます。
アメリカ人にも「英語が第一言語ではないな」とわかりやすいので、問題が難しくなりそうな場合は、別の人を呼んでくるように言われたりします。
少しでも英語力を伸ばそうと努力しているタイプです。
こんな方には、ぜひ以下の記事を参考にしてみてください。英語力が劇的に伸びる人もいるでしょう♪
参考記事:海外在住者50人が教えてくれた英語マスターの3つの超実践テクニック
4.英語アレルギー
英語を聞くと、頭の中が真っ白になって何も考えられなくなる「英語アレルギー」の人です。
昔から英語だけは避けていた生活が一転、英語の世界に放り込まれて、ますます「私は英語ができない」の呪縛にとらわれてしまいます。
自分のようになってほしくないという願いから、子供は現地校に行かせて強引に英語を覚えさせるタイプが多く見られます。
駐在妻の英語力に「滞在期間」は関係がなく、むしろ上記の「タイプ」によって英語の対策法や上達のスピードも違います。
駐在妻の現実。急に英語が必要になる!
海外赴任の場所にもよりますが、日本企業が集中するエリアには自然と日本人家族が集まります。
日本人が多い地域では、日本人コミュニティがあるため日常生活で難しい英語を必要とする場面は、むしろ少ないというのが現実です。
しかし恐ろしいのは、そのような生活を送っているとしても、英語を強いられる状況が不意にやってくるということです。
ひとつは、自分や家族の病気
日系の病院がある地域は、まずそこにかかればいいとはいえ、休日、緊急、重症、出産などの場合はやはり地元の大きな病院に行くことになります。
最初に立ちはだかるのは、「電話予約」です。
病状、保険の内容、主治医の情報など、様々なことを電話で答えてから、ようやく診察予約ができますので、かなりの英語力、特にリスニング力が必要となります。
そして、ようやく病院に着いたと思ったら、次の壁は「問診票の記入」です。
日本では何気なく書いている、この「問診票」の英語が医療用語の羅列で、調べて記入するだけでも相当の時間がかかります。
もうひとつ、お子様がいらっしゃる家庭では、
学校からの呼び出し
面談などのほか、学校での急な病気や問題行動が起きた時には、学校から呼び出しがかかります。
その呼び出しの内容を聞き取れるか、確認したいことを聞くことができるか、その対応を説明できるか、など、突然、英語の場面が訪れます。
病院でも学校でも、その他の緊急事態の際には、
・相手の言っていること聞き取れるか(リスニング)
・確認事項を聞いて、自分の希望を伝えられるか(スピーキング)、
・書類の内容を理解する(リーディング)
・必要事項を記入する(ライティング)
という総合的な英語力が突然求められるのが駐在妻なのです。
駐在妻という立場
このように、各タイプの駐在妻がそれぞれの英語レベルで現実に立ち向かっているわけですが、誰もがその英語力を少しでもあげたいと願うはずです。
そもそも、駐在妻という立場で共通していることに、以下の3点があります。
・自分が希望してその地で生活しているのではない。
海外赴任の家族全般にいえることですが、自分の意思で来ているのではない、という気持ちは英語学習にプラスにはならないということです。
・日本では難なくこなせることが、現地ではできない。
日本であれば一人で出来ることができない、というストレスが常にあります。
面談では夫と予定を合わせて4者面談にしたり、診察では通訳を手配して臨んだり、と自分の都合だけでは行えないことが多くあります。
・英語学習は能動的にやらないと進展がない。
夫は会社で、子供は学校で、嫌でも英語に触れる機会があります。
いわば「受動的な英語学習」といってもいいでしょう。
しかし、特に日本人が多いエリアの駐在妻は、英語学習は必ずしも必要ではないのです。
先に述べたような、不意の現実に対応すべく英語力を上げたいのであれば、自分から「能動的に」勉強を始めるしかありません。
駐在妻の英語対策
能動的に学習しようとする駐在妻は、主に下記のような学習場所に参加します。
- 語学学校
- 図書館主催の外国人向け英語クラス(ESL)
- 大学主催の英語クラス
- 個人レッスン(家庭教師)
- 子供の学校主催の英語クラス
- 教会主催の英語クラス
- 趣味のサークル
アメリカは特に移民が多い国なので、全体的に英語クラスの運営には熱心だという印象があります。
政府や市の補助を受けて開設されたクラスは受講料が無料のところも多く、英語を勉強するには環境もかなり整っています。(地域による)
このようなクラスに参加する際に、タイプ別の対策として以下のような考え方で臨むといいでしょう。
タイプ1と2
これまで学習してきた内容を、現地で実践できるいい機会です。
新しいことを学ぶよりも、知っている英語を使うことに重点を置いて、ディスカッションなどスピーキングがメインのクラスを受講しましょう。
タイプ3
「自分の英語を聞かれるのが恥ずかしい」と個人レッスンを選ぶ人が多いと思います。
基本的な英語の知識はあるので、個人レッスンではその基本を使って会話することを目標にしましょう。
このタイプに必要なのは、「恥ずかしがらずに話す」という勇気です。
それは、個人よりもグループレッスンの方が効果はあるはずです。
英語の上達には、大勢の前で話すことに慣れる、という側面も大事な要素ですので、無料のクラスを上手に利用しましょう。
タイプ4
急に英語を話そうとしても沈黙してしまい、クラスの時間そのものが苦痛になってしまう恐れがあります。
まずは、「自分のペースで英語に触れる」ことが大切なので、机上の勉強をおすすめします。
受験勉強ではないので、本を最初のページから順にめくらなくてもいいのです。
単語帳でもフレーズ集でも、好きなところを少しずつ見て、必ず口に出して読むこと。それが、次のクラス受講のステップになると思います。
駐在妻の英語力と上達対策まとめ
よく駐在妻は英語の勉強をしても無駄だという声を聞きますが、それは海外にいるために目標が高すぎるせいだと私は考えています。
ネイティブのように話すのは難しくても、その人のレベルに合った努力を続けることで、英語力そのものは上がります。
勉強したことをすぐに実践の場で使えるし、こういう時にはこうしたらいい、という状況判断力もついてくるからです。
同じ努力でも、現地での上達率は2倍になると信じて、駐在妻の皆さんも諦めずに英語学習を続けてみましょう!
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