初めに、前回は海外で生活する高校三年生の進学プランは大きく分けて4つあることを記述しました。
参照:帰国生が日本の有名大学に合格するのは簡単?4つのオプションと事例【前編】
- 海外の大学に進学する
- 日本の大学が設けている秋入学の学部に「書類選考入試」で合格する
- 卒業後に帰国し、「帰国性入試」制度で受験する
- 一般入試
そして、前回は②「書類選考入試」を体験した学生から受験対策を聞きました。
今回は、③「帰国生入試」について実例を交えて、紹介したいと思います。
「帰国生入試」とは何か
海外の高校を卒業した後に帰国し「帰国生入試」という特別入試枠で受験することです。
日本全国の多くの大学がこの制度を設けているので、希望の学部・学科を受験できます。
この枠で受験できる生徒の条件は「最終学年を含め継続して外国学校に2年以上の在籍」が主流ですが、日本の高校を卒業していても、中高校時代の数年間が海外在住であれば受験可能な大学もあります。
〔2年だけ海外で暮らし、日本語を完璧に理解し高度な論文を執筆できる生徒〕
と
〔長年の海外暮らしで日本語を忘れつつあるが、国家統一試験のスコアは高い生徒〕
が争うので、おそらく合否を決定する選考の基準を定めるのは難しく、大学により異なると思われます。
大学側は選考基準を非公開としていますが、以下のパターンが存在するようです。
- 現地高校の成績や、TOEFLやSATなど統一試験を重視する大学
- 大学が各々実施している学科試験や面接で合否を決定する大学
- 上記の折衷型。統一試験や現地校での成績、学科試験、面接を総合評価して合否を決定する大学
これに関しては、帰国受験に特化した塾や予備校が有益なデータを持っています。
帰国生が1人で対策を練って受験に臨むには限度があるので、予備校に入校して仲間と切磋琢磨して受験勉強を乗り切るのも一つの手段だと思います。
帰国生入試を決めた学生がやること
帰国生入試を決めた学生の生活は、想像以上に多忙です。
6月に現地校を卒業するまでに現地の統一試験を受験し、TOEFLを希望大学に送付します。
7月から私立大学の出願が始まり、9月からは入試が始まります。
私立大学に関しては短期間で結果を出すための勉強が必要になりますが、国立大学を受験する生徒は翌年2月まで気を抜かずに勉強を続ける必要があります。
一般的に受験生にとって家族のサポートは重要で心強いものです。
しかし、多くの帰国生は家族が海外に住んだままなので、一人で受験を乗り切ることになります。自立心の高さや自己管理能力の高さも受験成功の鍵になると思います。
それでは、実際に帰国受験を経験し希望の大学に入った生徒たちは、どのような対策をして受験に臨んだのか見ていきましょう。
帰国生入試の受験対策についてのQA
今回も現役大学生にインタビューに答えてもらいました
質問内容は前回と同じです。
Q1 どの国に何年ほど暮らしたのか
Q2 現地校とインターナショナルスクール、どちらに通ったか
Q3 学校での成績、校外活動
Q4 TOEFL SATなど統一テストの最終スコア
Q5 合格した大学
Q6 主な受験対策
帰国生入試で合格した、慶應義塾大学のCさん
Q1 どの国に何年ほど暮らしたのか
アメリカに4年半、カナダのブリティッシュコロンビア州(BC州)に2年半暮らしました。
Q2 現地校とインターナショナルスクール、どちらに通ったか
現地校に通っていました。
Q3 学校での成績、校外活動
11年生の時はBが一つでその他は全部Aでした。12年生では全科目Aでした。
- バレーボール部
- グローバルクラブを設立〔文化背景が異なる生徒たちが、プレゼンテーションやディスカッションを通してお互いの文化を理解し尊重し合うことを目的としたものです。留学生同士の関係を深められるような場所を提供したいと考え、クラブを設立しました〕
- BC州の政府が設立した、学校の問題を解決する団体〔教頭先生の指揮の元、学内に於ける問題について会議を行い、問題解決に励みました。月に一度は地区会の全ての学校の代表が集まり、討論を行いました〕
- 学校のカフェテリアで生徒に食事を提供するボランティア活動
Q4 TOEFL SATなど統一テストの最終スコア
TOEFL 104点
Q5 合格した大学
慶應義塾大学
Q6 主な受験対策
TOEFL対策:最初はひたすら過去問を解くという勉強方法をしていましたが、あまり点数 に反映しませんでした。
単語の勉強を中心的に行ったら自然に点数が上がり ました。(使った単語帳はTOEFL3800)
小論文対策:
実は本を読むのが苦手だったので、最初は週に一冊ほどのゆっくりペースで 読んでいました。しかしそれでは小論文に必要な情報収集が間に合わないこ とが分かり、読書好きの友人達と情報交換をするという勉強方法を編み出し ました(笑)新聞も読んでいましたが、全体をさらっと読んで話題のトピック をインターネットで調べたり、ニュースを見たりしていました。
面接対策:
ひたすら面接練習をして、どんな質問をされても答えられるようにしました。 とくに志望動機や海外での課外活動については、完璧に答えられるようにして いました。
帰国生入試で合格した、一橋大学のDさん
Q1 どの国に何年ほど暮らしたのか
アメリカに3年住んでいました。
Q2 現地校とインターナショナルスクール、どちらに通ったか
現地校に通いました。
Q3 学校での成績、校外活動
APクラスをメインに履修していました。成績は上位50人に入っていました。
英語の面で他の生徒より劣っていたので、理数系で単位を多く取ってカバーしていました。
* AP(Advanced Placement)クラス とは、大学の初級レベルのカリキュラムと試験を提供する早期履修プログラム。 APテストに合格するとアメリカの有名大学の入学審査で有利になると言われている。
- サッカー部〔高校のサッカー部と地元のプロサッカーチームの下部組織に所属していました。3年間サッカー漬けの日々でした〕
- 陸上部〔サッカーのおかげで長距離走が早かったので陸上部のコーチにスカウトされ、半ば強制的に入部させられました〕
- 州の暗算コンテストで優勝を果たす
- ボランティア活動〔小学校の登校時の見回り/地元の中学校でサッカーのコーチ/ 海外でのごみ拾い/ 近所の清掃〕
*とくにアメリカの大学はボランティア活動を重要視するので、生徒たちは日頃から様々なボランティア活動に精を出しています。
Q4 TOEFL SATなど統一テストの最終スコア
TOEFL105点
Q5 合格した大学
一橋大学、早稲田大学、国際基督教大学(ICU)、上智大学、Rice University
Q6 主な受験対策
TOEFL対策:リーディング…..単語を重点的に勉強しました。効率的に問題を解くことがで きるようにスキミングや文章を読む順番を工夫しました。
リスニング…..効果的なノートの取り方を意識して聞くようにしました。
スピーキング…..自分でテンプレートを作成して、どの問題が来てもすぐに答 えられるようにしていました。
ライティング…..これもテンプレートを作成して論理的に文章を構成できるよ うに練習しました。
小論文:
海外での経験や自身が社会に対して抱いている問題意識の独自性が求められま す。海外にいる間は、ニュースなどで何が起きているのかをチェックすること。
日本とアメリカは報道の仕方や着眼点が違う部分があるので、比較しておくと役 に立ちます。
1年間で300冊ほど読書をしました。とくに学術書が役に立つと思います。
まとめ
大学側が求める帰国生の資質は大まかにいうと以下の3つだと思われます。
- 異文化を理解する力
- 高度な語学力
- 海外の文化に馴染める柔軟性
親の転勤に伴い日本を離れ、否が応でもその土地の学校に通い努力してきた生徒たちは逞しくて粘り強いです。
自分の居場所を一から作ってきた人は、どこに行っても強く生きていけると思います。
今この文を読んでいる海外在住の生徒や帰国生の皆さん、自信を持って頑張ってほしいです。
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