億万長者を惹きつける国・シンガポール税金の仕組みを解説

シンガポールは、東京都23区と同等のサイズでありながら、世界で2番目に億万長者が在住している国として有名です。(2017年調べ/人口比率)

年々世界中からの億万長者の移住が、増加傾向にあります。

都市が整備されている、治安がいい等の理由もありますが、

  • シンガポールには相続税がない
  • 所得税が他国に比べて比較的低い

など、税金を安く収められる事も、億万長者を惹き付ける大きな理由の一つの様です。

そこで、今回は、億万長者の方々だけでなく、私たち一般庶民の生活にも関わるシンガポールの税金について、徹底解説したいと思います。

主に、以下の7つの項目について紹介します。

  1. 消費税(7%)
  2. 所得税
  3. 印紙税
  4. 自動車税
  5. 課税されない収入源とは
  6. どのような税金控除があるか
  7. その他

※1S$=81円(2018年4月時点)

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消費税

シンガポールでは、通常買い物をしたり、レストランでの食事、マッサージなどのサービスを受けたりすると、7%の消費税が発生します

ただし、レストランやマッサージなど、サービスを提供するお店の課税売上高がS100万ドルに達していない場合は、お店によってはこの消費税を課税しないところもあります。

レストランやホテルなどでは、通常この他に10%のサービスチャージが発生します。セルフサービスのお店(ホッカーセンターなど)では、このサービスチャージは発生しません。

レストランやお店によっては、GST included=消費税込みと値段が表記されている場合もありますので、この様な場合は表示されている値段の他に7%を支払う必要はありません。

また、海外からオンラインで購入し、シンガポールへ発送した商品などにも、S$400以上の商品であれば消費税が課税されます。

なお、シンガポール政府は今年、この消費税を2021年から2025年の間に9%に上げる計画があることを発表しました。

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所得税

  • シンガポール国民
  • シンガポールの永住権保持者
  • シンガポールにて183日以上働いた(労働できるビザを所持している)外国人

は、所得税を支払う必要があります

税率は所得によって異なりますが、年間所得がS$20,000以下の場合は支払う必要がありません

※税率は変更になる事もありますので、ご注意下さい。

外国人の場合は、その年の所得税を前年の収入から予想して、前納します

例えば、2018年度の所得税の支払いは、2017年度の収入から推測して2018年度中に見込みの額を支払います。実際に2018年度の収入と差が生じた場合には、翌年の支払いのタイミングで調整します。

外国人の場合は、会社から給与が支給される際に天引きされる税金はありません

シンガポール国民及び永住権保持者は、CPFと呼ばれる積立金が、毎月給与から天引きされます。

これは家を買うときや投資に利用出来る積立金・日本の健康保険に代わる積立金・ある一定の年齢を過ぎてから引き出すことの出来る日本の年金に似た種類のものがあり、自分の給与から給与の20%天引きされ、その上に雇い主から給与の17%の額がCPFに積み立てされます(計37%・55歳以下の従業員の場合)。

CPF(中央積立基金)についてはこちらの記事「8桁も総所得が変わる!シンガポール永住権保持最大のメリット・CPFを解説」を参照ください。

また、これは正社員・非正規社員など雇用体系に関わらず実施されている制度です。

こちら

下記、参考までに2017年度の所得税に対する税率です。

所得 税率
S$30,000以上10,000以下 3.50%
S$40,000以上+40,000まで 7%
S$80,000以上+40,000まで 11.5%
S$120,000以上+40,000まで 15%
S$160,000以上+40,000まで 18%
S$200,000以上+40,000まで 19%
S$240,000以上+40,000まで 19.5%
S$280,000以上+40,000まで 20%
S$320,000またはそれ以上 22%

 

所得税の計算方法のシミュレーションが、こちら「Inland Revenue Authority of Singapore」から出来ますので、ご参考にされて下さい。

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印紙税

シンガポールでは、不動産やストック/シェアを購入する際、印紙税を支払う義務が発生します。

不動産については、購入時だけではなく、賃貸契約の際にも支払う必要があります。

これは、賃料または契約時のマーケットを参考にした賃料をもとに計算されます。

自動車税

COE(Certifi cate Of Entitlement)車所有権

シンガポールでは、国内での車台数を管理する為、車を購入する際にCOE・車所有権(10年間のみ有効)の購入が義務付けられています。

所有権は、毎月第一/第三月曜日に行われるオークション形式の入札で値段が決まります。

参考までに、最新の入札では1600ccまでの乗用車のCOEの値段は、S$38,000でした。

ARF(Additional Registration Fee)

この所有権の他に、日本の自動車税に代わるAdditional Registration Fee (ARF)を支払います。

ARFは、車の値段によって異なりますが、下記の表をご参照下さい。

車の値段 ARF
$20,000以下 100%
$20,000以上+$30,000まで($20,001 to $50,000) 140%
$50,000以上 180%

 

 

上の表をもとに計算すると、例えば車の値段が$75,000だった場合、

  • 最初の$20,000に対しては100%の$20,000
  • 次の$20,000から$50,000までの$30,000に対して140%
  • 残りの$25,000($50,000から$75,000まで)に対しての180%

それぞれ税金がかかりますので、合計で$107,000のARFを支払うこととなります。

また、ARFについては、購入後10年以内に下取りに出す場合、税金の一部払い戻しがあります。

詳しくは、陸上交通省のホームページにて、ご確認下さい。

TAX STRUCTURE FOR CARS

道路税

また、この他に道路税を毎年支払う必要があります。

こちらも、車の排気量によって支払う額が異なりますが、例えば1000cc以上1600cc以下の場合、

【$500+0.75×(自分の車の排気量-1000)】×0.782

と計算します。この額が、1年分の道路税となります。

課税されない収入源とは

シンガポールでは外国から多くの投資家が、こぞってコンドミニアムなどを投資目的で購入し、賃貸に出しています。

家賃収入で得た収益に対しては税金が発生しますが、シンガポールには相続税がありませんので、相続を目的に物件を購入する人も少なくありません

こういった事も、億万長者が集まる大きな要因の一つでしょう。

尚、参考までに、シンガポールで不動産を購入した場合、購入した本人が居住している場合にはその年の物件価値の0〜16%、賃貸に出す場合には10〜20%の固定資産税が発生します。

下記に、税金が発生しない他の収入源の例を幾つかご紹介しましょう。

  • 株式/保険の配当(*例外あり)
  • 年金保険から受け取る収益(*但し勤務先が、福利厚生として契約し、退職時に支払われる種類の保険については例外)
  • 贈与または相続で得た収益
  • 遺産の処分または相続権の放棄により得た収益

どの様な税金控除があるか

シンガポールでは、下記のような場合、税金の優遇が適用されます。

最高で、$80,000までの控除申請が可能です。

  • 配偶者控除
  • 子供扶養控除(16歳以下または学生・未婚で収入がS$4000以下)
  • 個人のスキルのアップグレードの為に参加したコース・テスト代等(*条件あり)に対する控除 ($5,500まで)
  • 2010年3月1日から2020年3月31日までの間に設立した新会社に投資している場合(*条件あり)
  • 寄付金控除(特定の団体に寄付を行った場合)

尚、シンガポール政府が女性の社会進出を推進する為に取っている政策のうちの一つに、結婚していて(または離婚している)子供のいる女性のみが申請できる税金控除があります。

  • 働く母親が親(義理親)や祖父母に子供の世話を委託している際の控除(子供がシンガポール人の場合/12歳以下に限る/$3,000まで)
  • 外国人メイド税控除
  • 子供扶養控除(第一子は給与の15%/第二子は給与の20%/第三子以降給与の25%)

その他 〜二国で収入がある場合〜

日本国内と海外の両方で収入がある場合、日本とシンガポールで所得税を重複して支払うことのないよう、国同士でAvoidance of double taxation agreement (DTAs)という条約が締結されています。

シンガポールで課税対象となる所得分については、日本で納税をする必要がありません。

これは、日本において納税者=居住者と見なされるかどうかなどの条件によっても異なりますので、詳細は居住している役所/勤務先などに確認される事をお勧めします。

シンガポールの税金まとめ

シンガポールは、つい最近の調査でも世界で物価が一番高い都市選ばれました。

国土が狭い為、家賃や家の値段も日本に比べて非常に高額です。

また、不動産屋や車にかかる税金も、高いと言えるでしょう。

シンガポールでは、日本のように公的年金はなく、医療費も補助はあるものの、基本的に自己負担です。

子供の教育費用についても、小学校入学前の教育機関(幼稚園/保育園に代わるチャイルドケア)は、年々値上がりしています。公的補助もありますが、シンガポール人/永住権保持者に限り、収入などの条件もあります。

先述したCPFも、日本の年金のように死ぬまで支給されるのではなく、自分で貯蓄した分が底をついてしまえば、それまでです。

それでも、多くの外国人が移住を決める要因の一つに、所得税など他の税金が他国に比べて低い事や、先に挙げた様々な税金控除があるのではないでしょうか。

知っていて損はない税金の仕組み、シンガポールに移住される前に自分がどのような控除を受けることが出来るのか詳しくお調べされる事を、お勧めします。

*税金についての政策は変わる事もありますので、詳細についてはInland Revenue Authority of Singapore (IRAS)のにてご確認下さい。

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