世界一幸福な国や、世界一子育てしやすい国と謳われているノルウェー。
果たして、それは本当なのか?
ノルウェーで3人の子どもを妊娠・出産し、育児真っ只中の筆者が
- 教育制度と費用
- 妊娠・出産に伴う支援制度
- 子育て支援制度
- 日本人と異なる驚く子育て事情
などを交え、 ノルウェーの子育て事情をお伝えします。
ノルウェーの教育制度と費用
ノルウェーの教育制度は日本と似ていますが、費用の面では大きく異なります。
0歳~6歳まではバーネハーゲ(保育園&幼稚園)に通わせることができます。
毎月3,135クローネ(約40,755円)を上限に政府から支援金が出ますので、保護者の負担額はかなり減ります。
2歳以下の子どもをバーネハーゲに通わせていない場合は月7,500クローネ(約97,500円)を上限に在宅育児手当が出ます。
教育システム
日本よりも1年早い6歳で小学校に入学し、7年間の小学校生活がスタートします。その後、中学校が3年間、高校が3年間、高等教育という仕組みになっています。
国公立であれば高等教育までの学費は一切無料ですが、私立は学費がとても高いです。
学費や教育システムの詳細については、下記の記事を参考になさってください。
» ノルウェーの教育システムと実際。早期英語教育と教育費無料が大きな特徴
学校がスタートするのは8月中旬。6月末~8月中旬までは長い夏休みとなります。夏休みは宿題が全くありません。
課外活動は日本のような部活動のような仕組みではなく、希望者がそれぞれ習い事などに参加します。
地域の保護者や協力者は非常に熱心にボランティアで子どもたちの活動を支えています。(文化的活動であれ、スポーツであれ、週末は熱心に保護者が送り迎えや引率をする様子が見られますし、試合などの大会運営も保護者が協力しながら担います)学校の先生に対する負荷が軽いのはとても良いですね。
妊娠・出産に伴う支援制度
ノルウェーでは妊娠しても、ギリギリまで仕事を続ける女性が多いのが特徴です。(通常は出産の3週間前から産休に入ります)
妊娠中の検診はホームドクターか助産師かを選択することができます。
①妊娠中の検診費用は無料
無料のエコーは1回のみですが、プライベートクリニックで自費で追加エコーをすることは可能です。
②出産費用は無料
通常分娩、無痛分娩、水中出産等の特別な分娩方法、帝王切開など、分娩方法に関わらずに費用は国が負担します。入院費用も国が負担します。
③高齢出産やハイリスク妊婦への追加検査無料
38歳以上の妊婦やハイリスク妊婦は無料のエコーの回数が増えます。筆者は3人目の妊娠時にハイリスク妊婦に位置づけられていたため、合計10回以上のエコー検査を無料で受けました。
④不妊治療へのサポート
精神的にも金銭的にも負担のかかる不妊治療ですが、ノルウェーでは公的なサポートがあります。ここでは詳細は述べませんが、関心のある方はこちらを参考になさってください。
Helsenorge.noの不妊治療関連ページ(英語)へのリンク:
Involuntary childlessness and assisted reproduction
⑤新出生前検査の為に海外へ
新出生前検査(NIPT)という言葉を聞いたことがありますか。
ノルウェーではエコー検査、血液検査で何か問題があった場合に、希望者は羊水検査を行うことができます。ですが、羊水検査には流産のリスクがあることや妊婦さんへの身体的な負担がありました。
新出生前検査は血液検査だけで行えるので流産の危険性もありませんし、妊婦さんへの負担も少ない検査です。
ですが、NIPTでは高確率で染色体異常を発見することができ、子どもの性別も100パーセントわかります。
この検査はとても人気がありますが、ノルウェー国内では自費であっても行ってはいけないという法律があります。障害の有無や性によって堕胎する親がいるのを避けようという政治的・道徳的判断です。
そこで、希望者はスウェーデンやデンマークまで出かけていってNIPTを受けます。
スウェーデン・ヨーテボリ市の某私立クリニックでは、この検査を受けている妊婦さんの半数がノルウェー人だそうです。この検査をノルウェー国内で受けられるようにするべきか否かについては常に議論のテーマとなっています。
⑥便利なサイト:Helsenorge.no
ノルウェーで医療行為を受ける際に知っておくと便利なサイトをご紹介します。
Helsenorge.noというサイトです。こちらのサイトではホームドクターの選択や変更、病院に通う場合の交通費の請求、接種ワクチンの管理などが行えます。
ノルウェーの子育て支援制度
共働きの家庭が一般的なノルウェー。
赤ちゃんが生まれた場合、ほとんどのノルウェー人が育児休暇を取得します。
父親休暇と母親休暇がありますが、法律で父親も必ず育児休暇を取得しなければならないと決められています。
①出産手当て(8万クローネ一括)
育児休暇を取得する代わりに出産手当てを受け取るという方法を選択することもできます。
失業中であったり、専業主婦等で妻や夫が仕事をしていなかった場合などに一括で支払われるお金です。
子どもが生まれると何かとお金がかかる場面が増えますので、非常にありがたい制度です。
出産手当ての金額は過去10年の間に2倍以上になりました。日本の出産一時金と比べ、8万クローネ(約104万円)は高額に感じますが、物価の高いノルウェーでは必要な金額なのです。
②子ども手当て
子どもが満18歳になるまでに毎月支払われるものです。
毎月子ども一人当たり1,054クローネ(約13,700円)が支払われます。※2020年3月時点の金額です。
③医療費無料
満18歳になるまでの子どもの医療費、歯科診療費は無料です。
歯科診療費が高い(完全自己負担なので高額になる)ノルウェー。子どものうちの歯科診療費が無料なのは非常にありがたいです。
医療制度で日本と大きく違う点はホームドクターの存在です。(通常は保護者と同じホームドクター)
日本では最初から専門医の元へかかることが出来ますが、ノルウェーではホームドクターからの紹介状が必要になります。
④子どもが病気等の疾病休暇
子どもが病気や怪我で仕事を休まなければならない場合、通常の有給休暇とは別に有給で年間10日間を上限に休暇を取ることができます。
子どもの数が増えると休暇の日数も増えます。
日本人からすると驚く子育て事情
外遊び絶対主義
ノルウェー人のほとんどは天候に関わらず、子どもを外で遊ばせることを好みます。
バーネハーゲでも小学校でも学童保育でも「外で遊ぶ」という時間が必ず存在しています。また、バーネハーゲによっては1日中外で過ごす日が設けられていたり、外で過ごすクラスがあったり、屋外で1年を過ごすバーネハーゲまであり、これが非常に人気が高いのです。
大雨や大雪の日でも外で思いっきり遊んでいる子どもの姿に、日本人の私は驚愕しました。
外でお昼寝
ノルウェーの子どもはあかちゃんの頃からお昼寝は外でするという習慣があります。
真冬でも屋外のベビーカーの中で寝かせるのです。
さすがにマイナス15℃以下になると屋外には置きませんが、そうでない場合は外で寝かせるのです。
オスロ市内のカフェでは母親や父親が屋内でコーヒーを楽しむ間も、カフェ屋外にベビーカーが停めてある様子が見られます。
ベビーカーの中にはスヤスヤと眠るあかちゃんたち。これは日本人にとって驚きの光景ですね。
ノルウェーの子育て事情まとめ
福祉の面では手厚いサポートを受けられ、男女平等に子育てをするノルウェー。
真冬でも外遊びをさせたり、外で寝かせたりという習慣には驚かされますが、その他の面では子育てをしやすい環境だと感じています。
特に働きながら子育てをするには最高の環境だと言えるでしょう。
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