インドの年金(PF)制度の仕組み。働く場合は確実に押さえておこう

インドの年金(PF)制度の仕組み。働く場合は確実に押さえておこう

現在、インドには約9000人の日本人が在住しています。(2020年3月時点)

インドに就労ビザで滞在している日本人には、必ず社会保障制度に加入する義務があります。

会社任せにしていると、知らないうちに2か国で重複して年金を払っていたり、本来受け取る権利がある積立金を受け取れなくなってしまうこともあります。

ここでは、インドで働くためには絶対に知っておいた方が良い、インドの社会保障制度についてご紹介します。

インドで就労する場合加入の必要なPF(Provident Fund)の仕組み

インドにはProvident Fund(通称PF)と呼ばれる、日本の年金に近い制度があります。

2008年より、インド国内で就労する日本人も加入する義務があるとされました。

PFはインドの年金制度として認知されがちですが、個人積立金に近い特徴があります。

日本での国民年金にあたるものは無く、所得のある人が積立基金に収入の一部を預ける厚生年金のようなものしかありません。

詳しく見てみましょう。

インドの年金制度、PFとは?

通常ひとまとめにPFと呼ばれているインドの年金制度ですが、

  • 従業員積立基金(EPF)
  • 従業員年金基金(EPS)

に分かれています。

ほとんどの会社で、給料明細には合算した金額をPF代として記入しています。

そのため個人では意識することが少ないと思います。

・従業 員積立基金制度(EPS)

1952年に設立した年金基金。給与の 8.33%、あるいは、1,250 ルピーどちらか低い方を収めなくてはいけませんが、外国人労働者である日本人は一律で給与の 8.33%と決まっています。

15,000 ルピー以上の給与のある外国人は、年金基金(EPS)には加入せずに、積立基金(EPF)にのみ加入します。

・年従業員積立 基金制度(EPF)

1952年に設立した積立基金。給与の12%からEPSの金額を差し引いた金額を収めなければいけません。

外国人である日本人の場合は、こちらの基金で管理されています。

PFでは報酬額の12%の金額を毎月基金に収めることが義務付けられています。被雇用者の収入から12%、雇用者から12%収める必要があるため、合計24%が毎月PFとして支払わなくてはいけません。

PFには利息がつきます

被雇用者と雇用者から支払われたPFには利息が発生し、随時支払い金額に加算されます。

PFの利息は毎年変動があるので一律ではありませんが、2020年時点で8.65%が加算されています。

PFの利息は毎月個人アカウントにアップデートされ、年従業員積立 基金(EPF)のホームページでも確認できます。

参考:年従業員積立 基金(EPF)

近年のインドは毎年GDPが6~10%程度成長しており、物価の上昇も著しいため、8%台の利息ではギリギリな気もしますが、各銀行の利息よりは高いので個人積立としては悪くないではないでしょうか。

参照元:How to Calculate EPF Interest Rate

PFの加入義務

PFには、下記の条件を満たす企業に対して加入義務があります。

  • 20名以上の正規社員を雇用している
  • 月収15,000ルピー(2020年現在、約22500円)以上の収入のある労働者が対象

日本人が正規社員として働く法人は、必ずこの条件に当てはまっています。

つまり、インドで働く場合には、絶対にPFを収めなければいけないと考えましょう。

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PFの払い戻しについて

PFの払い戻しの本来の条件は、年齢が58歳に達した場合と、仕事に復帰の出来ないほどの障害を抱えた場合のみ。

そのため、日本人がPFの払い戻しを求める場合、自身の年齢が58歳に達するまでインドの銀行の口座を維持する必要があり、以前は泣き寝入りケースがとても多かったです。

そのため、2016年に日本とインドで社会保障に関する協定が成立しました。

それによって、インドでの就労を終えて帰国する日本人は、PFの払い戻しを要求する権利ができました。

払い戻しは、直接基金に請求をした場合のみ適用になります。

日本人を雇用している企業の中でも、雇用主が自動的に払い戻しの手続きをしてくれる場合と、言わないとサポートしてくれない企業があるようです。

一度帰国すると、書類などの手続きが大変になるので、必ず退職前に雇用主に確認しましょう。

※注意
インド人と結婚してパートナービザを保有している場合、満期(58歳)まで払い戻し申請ができません。

参照:EPF Withdrawal When You are Leaving India and Going Abroad

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2019年より、オンライン申請が開始

2016年より可能になった払い戻しですが、当初は離職してから60日以上経ってからしか申請不可などのルールがありました。(すぐにインド企業に再就職する可能性などもあるため)

また、マニュアルでの申請が必要であり、PF基金の担当者に賄賂を支払わないと承認されないケースが多く、沢山の問題がありました。すでに日本に帰国してしまっていた対象者は、泣き寝入りをするしかないケースが多かったのが事実です。

そのため、2019年7月から、PFの払い戻し申請の方法が大きく変わり、オンラインで可能となりました。

払い戻し申請は年従業員積立基金(EPF)のサイトより可能です。

また、以前は離職60日後からしか申請できなかったものが、離職1か月前からの申請が可能になりました。オンライン申請から払い戻しまでは通常2~3週間の期間が必要とされるため、早ければインドを帰国前に払い戻される可能性があります。

インドを一度出国してしまうと日本の銀行への送金が大変困難になるため、今回の制度改正は本当に良い知らせです。

払い戻し申請は、雇用主側からの書類も必要ため、被雇用者が個人で申請することはとても困難です。必ず退職前に雇用主側と相談して手続きのサポートをしてもらいましょう。

この制度は新しく、まだ浸透していないため、税理士でも知らない場合が多々あります。雇用主が新制度について分からない場合には、日本人のPFに詳しい税理士のアドバイスが必要です。

インドで自分の権利を得るためには労力が必要な場合も多いのですが、必ず大きな経験となります。確実に申請できるように事前に調べておきましょう。

日本の社会保障との協定でPF免除も可能

2016年に結ばれた日本・インド間の社会保障に関する協定により、インドで就労する日本人は両国で2重に社会保障を支払わなくてもよくなりました。日本で継続して年金を収めている場合には制度を利用しましょう。

こちらは日本の企業から5年以下の期間インドに派遣される場合が対象です。そのため、駐在員のみが利用できます。現地採用でインド国内の就職をした場合には適応外なので、PFに加入しなくてはいけません。

派遣されてから5年を超えてしまう場合、3年間の延長が可能となります。それ以上の場合は個々に年金機構に相談する必要があります。

日本年金機構:協定相手国別の注意事項(インド)

自分自身のPFアカウントを確認してみましょう

自分自身が加入しているPFのアカウントの状態、残高に関してはホームページ上で簡単に確認することができます。

年従業員積立 基金(EPF)のホームページ

年従業員積立 基金(EPF)のホームページ

会社の経理の人計算してくれて、自動的に給料から天引きされているため、自分のPF支払いがどれくらいかを知らない人も多いはず…

自分自身の大切な積立金なので、しっかり確認しておくことをおススメします。

まずは、年従業員積立 基金のホームページにログインしてください。

パスワード設定の条件はとても厳しく、アルファベットの大文字小文字両方・特殊記号・数字4桁以上が必要です。

ログインに必要なUANとは、PFの個人アカウント番号です。

雇用先からもらっている給料明細には必ずUAN番号が記載されているため、そちらで確認しましょう。

アカウントの残高を確認

PFのPassbook

PFのPassbook

残高確認は以下のプロセスを行います。

  • ホームページにログインしたら、トップにあるメニューバーの中から“View”を選択
  • その中に“Passbook”があるので、そちらをクリック
  • もう一度UAN番号、パスワードを記入してログイン
  • View Passbookか、Download Passbookどちらか好きな方を選択

View Passbookは閲覧できる秒数が決まっているため、ゆっくり見たい場合にはPdf.でダウンロードすることをおススメします。

自分が今の仕事を離職した時に、いくらぐらい受け取ることができるのかの目安となります。必ずチェックする習慣を身につけましょう。

身分証明書をアップロード

離職時にPFの払い戻しを請求する場合には、個人の身分証明書類をアカウントに登録する必要があります。

ホームページにログインすると、AADHAARカード(個人識別ナンバー)、PANカード(納税者証明書)、銀行口座情報をアップデートできるようになっています。必ず事前に登録しておきましょう。

海外では個人の資産の管理がとても大切

インドに限ったことではありませんが、海外では会社任せにしておくと、大きく損をすることが多々あります。

特に、インドのPF制度はローカルの被雇用者と日本人労働者で全く違う仕組みになっているため、雇用主の企業によっては全く制度を理解していないことが多々あります。

数年間働くだけでも大きな金額になるため、インドで働く場合には必ず自分自身でチェックするようにしましょう。

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