インドに来たことない人がインド料理と聞くと当然カレー!と思いますよね。
日本人の多くに「インド人は本当にカレーばかり食べているの?」と聞かれますが、答えはYes!であって、Noでもあります。
例えば和食で、肉じゃが(煮込み料理)、野菜炒め、みそ汁、漬物が出てくるように、インドの食事でも、
- 煮込み料理(カレー味)
- 炒めた料理(カレー味)
- 豆のスープ(カレー味)
- 漬物(もちろんカレー味)
といった献立で食事が出てきます。
外国人の私たちにとっては、どれもスパイスの効いたカレーのように感じますが、それぞれに調理法もスパイスも違う多種多様な料理があります。
また、宗教やカーストによっても食べて良いものが決まっていたり、地域によっても郷土料理があります。
インド人と食事をする時にルールを知らないと、とても失礼になってしまいます。
「どれもカレー」とひとくくりにせず、多様性のある食事について紹介したいと思います。
多様性に富んだインドの食事
インドカレーと聞くと、日本のインドカレー屋さんで出てくるようなドロドロとしたカレーに、大きくてふかふかのナンを思い浮かべる人がほとんどです。
しかし、実はインドに来ると、日本で食べるようなふかふかのナンにはほとんど出会えません。
日本のカレー屋さんの元になっているのは、主に北インドのレストランのカレーです。
やはり、ドロドロとした濃厚で油っこいカレーに、ナンは家庭では食べられない高級品として食べられています。
しかし、タンドーリと呼ばれる窯で焼かれた本場のナンは、ふかふかの日本のナンと違い、もっと素朴でパリッとした触感です。
家庭では、ナンではなくチャパティと呼ばれる全粒粉の薄焼きパンが一般的。
また、南インドやムンバイでは米が主食です。
その他、
- チャパティを油で揚げたプリ
- 油で焼いたパラータ
- 薄焼きのクレープのようなドーサ
お米も何種類もあり、とても種類が豊富です。
このように、日本のインドカレー屋さんでは食べられない様々なバリエーションがあります。
また、家庭料理は全く違って、日本の肉じゃがのように、じゃがいも等の野菜をシャビシャビに煮た料理など、サラッと食べれる優しい料理が一般的。
同じ北インドでも、
- 日本のインドカレーに割と近いデリーの料理
- 甘みの強いグジャラート料理
- かなりオイリーで辛いラジャスタン料理
など、郷土ごとで大きな違いがあります。
一方南インドは、ココナッツミルクやココナッツオイルをたっぷり使った南国料理。
タイカレーに近いイメージかもしれません。バナナの葉っぱに乗せて手で食べます。
米粉や豆粉を使ったイドリ、ドーサ、ウタパムなど、あまり香辛料が強くなくてさっぱりとした料理は、北インドでも大人気です。
相手の文化を尊重した食事選びが大切
日本人にとっては、学校の教科書くらいでしか聞きませんが、宗教大国のインドでは、宗教によって食べられない食材がたくさんあります。
同じ宗教でも、個人によってルールが違うことも多く、人と食事をする時には、事前に確認しないと大変失礼になってしまうことも。
ベジタリアンと言っても…
ベジタリアンに馴染みのない日本人にとっては非常に難しいのですが、ベジタリアンと言っても種類がたくさんあります。
動物性を全く食べないビーガンは、欧米ではポピュラーです。
しかし、乳製品の多いインドではほとんど見かけません。
インドのベジタリアンの多くは、動物を殺さないための文化なので、バターやヨーグルトなどの乳製品は非常によく食べます。
また、肉は食べないけれども、卵は大丈夫な人もいます。
中には、公にはベジタリアンと言っていても、海外では食べているインド人も多いです。
食事に誘うときには、必ず相手の食文化を確認してからお店選びをすると良いですね。
ヒンドゥー教の食事のルール
牛肉は絶対にダメ!
インドで最も信徒の多いヒンドゥー教は、古代から牛を神聖な動物として大切に扱ってきました。
農作業や運搬を助けてもらい、ミルクを与えてくれ、糞は肥料や家の材料にします。そんな牛を殺して食べるなんて、もってのほか。
海外にいるインド人では、こっそり食べている人も多いですが、こちらから誘うことは絶対に避けましょう。
お酒はこっそりと
インドでは、宗教上の理由からお酒を軽蔑する傾向があります。(人によります)
私たちから、飲めるかどうか聞くことは失礼になりませんが、無理に誘うことは避けましょう。
飲む人でも、あまり周りに知られたくない人もいるので、個人的に誘う方が無難です。
南インドはベジタリアンが多い
南インドは宗教に厳格な人が多く、南インド料理屋の多くは完全にベジタリアンです。
もちろん、魚料理など食べる人もいますが、分からなければ自分からは誘わない方が無難でしょう。
イスラム教
ヒンドゥー教の次に人口の多いイスラム教徒。
イスラム教エリアに行くと、たくさんのケバブ屋があり、アフガン料理も豊富です。
禁止は豚とアルコール
小学校の教科書のおさらいのようですが、イスラム教は不浄とされる豚肉とアルコールは絶対的に禁止されています。
主な肉製品は鶏肉とマトン(羊)となります。
ヒンドゥー教が禁止している牛肉は大丈夫ですが、牛肉はインド国内では反発が強いため、水牛をバッファロー肉として販売していることが多いです。
多様なイスラム料理
もちろんインドカレーも一般的ですが、アフガン料理など、中東から来た料理を提供するレストランが多いのもイスラムエリアの魅力。
また、ストリートにかなり多くのケバブ屋さんがいて、食欲を誘います。
ケバブやシャワルマは庶民的な食べ物なので、とても安く美味しいお店を見つけることが出来ます。
ビールにとても合うのに、レストランでは提供がないためもったいない。テイクアウトするのも良いでしょう。
その他の宗教
ジャイナ教
もっとも食事のルールに厳格なのはジャイナ教徒です。
基本的にインド国内のみの宗教なので、日本ではあまり知られていませんが、道徳心が強く、とても厚い信頼をおかれる人たちです。
貴金属やダイヤモンドの関係の職業に多く、大きく経済に影響を与えています。
- 絶対的な不殺生
ジャイナ教は、とにかく不殺生を大切にします。
例えば、間違って虫を殺してしまうといけないので、できるだけ長時間火を使っての調理をしない、などの規則があるくらいです。
野菜でも、芋や根菜(玉ねぎなど)は、植物自体を殺してしまうので食べません。トマトも赤い色が血を連想させるので避けます。
必然的に、葉物、茎、豆を中心に料理します。
ジャイナ教のレストランもありますが、家庭ごとにルールの厳格さが違うので、ほとんどのジャイナ教徒は家庭料理を好みます。
北東インドの食事
アッサムやナガランドなど、北東には日本人ととても似た顔の民族が多く住んでいます。
彼らの文化は、私たちの想像するインドとは大違いです。
キリスト教や仏教、独自の宗教を信仰する人たちがいますが、食事に関しては非常に日本人と近く、禁止する食べ物がありません。
豚肉料理なども普通に食べられ、香辛料も少なめ。唐辛子が多いので辛いですが、インドのスパイスに疲れた時にはとても美味しく感じます。
インド人と食事を楽しむために知っておくべきルール
インドで一番のおもてなしは家庭料理
家庭ごとに食事のルールがバラバラなインド。
ほとんどのインド人は、外の食べ物を食べることに非常に消極的です。
高級なレストランだとしても、他のカーストの人の作った料理という理由だけで警戒する人もいまだにいます。
レストランの食事は慎重になり過ぎて、全く楽しめない保守的な人も多く、家庭にお客さんを招いてのおもてなしが最良と考える人も多いです。
仕事上などで知り合ったインド人が食事に招いてくれたら一番のおもてなし。喜んで招待を受けてみましょう。
手土産が難しいインド
このように、知らないものに対しての警戒心がとても強いインド人。
手土産が本当に難しいです。
インドの伝統的なスイーツや果物が主流ですが、外国人として招かれたのだから、一工夫したいですよね。
例えば、西洋風ベーカリーのケーキを買って行くと、卵が入っていて食べられない場合があります。
事前に確認してケーキを持って行っても、本人は食べられても奥さんは駄目、両親が駄目と、結局あまり喜ばれないことも多々あります。
インドのベーカリーでは、必ずベジタリアン用か卵入りか表示があるので気を付けましょう。
- 日本からのお土産は本当に難しい
日本からの手土産は本当に困ります。
気を付けないと、なぜかスイーツに豚エキスが入っていたり、スナック系はコンソメや牛エキスが当然のように入っています。
また、気を付けて買って行っても、あまり食べてもらえないことも多々あります。
- 必ず喜ばれるお土産はこれ、困ったときの2選!
①チョコレート
せっかく買って行くなら、喜んでもらえるものが良いですよね。
ダントツで喜んでもらえるのはチョコレートです。
インドでは、輸入チョコレートがかなり高額なので、とても喜ばれます。
迷ったらチョコレート。しかし、厚い時期には溶けない工夫が必要です。
②柿の種
なぜかインドで人気の柿の種。いっさい動物性のものが入っていないので、安心して買えます。
最近はインド国内でわさびも徐々に有名になってきているので、わさび味も人気です。
最後に、覚えておきたい心使い
いろいろ書いてしまいましたが、実際のインドでは、食事はとても楽しいコミュニケーションの時間。
インド人にとって、美味しい食事は人生の重要な一部で、その分食べられないものに対しての警戒心も強いですが、他人と美味しい食事を共有できた時の喜びはとても強いです。
インド人はとてもおもてなしの心が強いので、まずは頂いたものを美味しく頂戴するのが親密なコミュニケーションの始まり。
相手が美味しいと思って勧めてくれたものを美味しいと伝えると、本当に喜んでもらえ、そこから深い信頼関係が始まるのがインド。
とても多様性に富んだインドなので、「全部カレー」と決めつけずに、多様性に富んだ食事を楽しんでくださいね。
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