世界の中でも高税率!ブラジルの税金制度をやさしく紹介します

日本の約24倍の国土面積を持ち、大自然と多くの天然資源を有する南米最大の国ブラジル。

連邦政府、各州、各市それぞれが多様多様な税金制度を設けていて、あらゆる商品流通の過程で様々な課税法式が存在します。

ブラジルの税金制度は、税務当局者ですら全てのシステムを知り得ることは皆無に等しい程に複雑です。

これから移住、駐在、企業展開をする人は必ず知っておきたい、世界で一番高いとも言われるブラジルの税金制度を分かりやすく、解説致します。

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ブラジルの各税金の紹介

CONFINS<社会保障融資負担>

Contribuição Social para o Financiamento da Seguridade Socialの略称で、社会負担金。

海外からのブラジルへの商品やサービス輸入に対して課税される、医療関連や社会福祉を始めとする社会保障のための税金です。

インボイスの各月の総額が算定基準となりますが、事業者の税制度の申告の種類と状況により、0%~7.6%と税率に差があります。

CSLL<法人利益対象の社会負担金>

Contribuição Social sobre o Lucro Líquido das Pessoas Jurídicasの略称で、社会負担金。

国内全ての法人が対象となり、税引前の純利益に対し、9%~15%が課税される社会保険のための税金。

PIS<社会統合計画分担金>とPASEP<公務員厚生年金>

Contribuição para os Programas de Integração Social e de Formulação do Patrimônio do Servidor Públicoの略称。

失業保険や金銭的援助の為の税金で、非営利団体<NPO>などを含むあらゆる法人が対象となります。

税率は総利益の0.65%~1.65%です。

PISは民間企業対象で、PASEPは公務員や軍人対象です。

CIDE<海外送金に関係する税金>

社会負担金で、Contribuição e Intervenção no Domínio Econômicoの略称。

技術移転、ロイヤリティ契約、技術提供に係る補填などブラジル企業側が海外企業との間に結んだ契約が対象となり、これらの契約に沿って海外送金が行われる場合に課税されます。

10%の税率で、更に源泉税も発生します。

また石油関連の税金(CIDE-Fuel)や国際電話関係の税金にも使用されることもあります。

IOF<金融取引税>

Imposto sobre operações financeirasの略称。

外国為替取引、保険会社や金融機関、各種信用取引等が対象の金融活動に対しての税金で、連邦税。

シンプルな資本金、生命保険や傷害保険、輸入取引関連の送金であれば0.38%、医療保険で2.38%、その他の保険に対して7.38%の税率

定期預金、および投資信託の運用に対しては、運用期間が30日以内の場合は、税率が96%から3%まで段階的に減少します。

別途所得税申告が必要な30日を超える運用期間の場合は非課税ですが、180日以内にクローズした取引についてはその運用利益に対して22.5%の課税されます。

IE<輸出税>

国内製品の輸出税で、Imposto sobre a Exportaçãoの略称の連邦税。

自由競争時の国際市場での販売推定価格に基づき課税される。

対象品目の基本的な税率は30%ですが、該当製品が国内供給不足に陥った場合、輸出を抑制する目的で上限を150%とし、流動的に増減税することが可能。

II<輸入税>

外国製品に対しての輸入税で、Imposto sobre a Importaçãoの略称で連邦税。

輸入事業者に対しての税金ですが、稀に輸出側が課税される場合もあります。

税率は商品により異なり、0%~20%が輸入事業者の支払価格や輸出事業者の荷札価格等に応じて課税されます。

なお、南米南部共同市場 (Mercado Comum do Sul)内の商品移動では課税されませんが、第三国への場合は課税されます。

IPI<製品税>

Imposto sobre Produtos Industrializadosの略称でNCMコードによって、全ての工業製品に対して課税される連邦税。

最大で300%の関税がかかる製品もあります。

IPTU<都市不動産所有税>

Imposto sobre a Propriedade Predial e Territorial Urbanaの略称で、都市部に属する不動産に対しての税金で、所有不動産の時価に基づき算出される市税。

1例として、サンパウロでは居住用建物で1%、非居住用建物で1.5%を算出基準としますが、地域や所有不動産の金額に応じて増減されます。

ITR<農地所有税>

Imposto Territorial Ruralの略称で、所有する郊外の土地に対する0.03%から20%の連邦税。

ITIVBIDR<生存者間不動産譲渡税>
Imposto sobre Transmissão Inter Vivos de Bens Imóveis e de Direitos a eles Relativosの略称の市税。

生存者間の不動産とその権利の譲渡が対象となる税。不動産の買い手が課税対象者。

税率は自治体により異なるが、一般的には2%~3%。ただし、住宅金融システムにより融資を受けている場合は、基準額までの取引については0.5%。

IRPF<個人所得税>

全てのブラジル在住者対象で、年間の個人収入総額に対しての所得税でImposto de Renda de Pessoas Físicasの略称の連邦税。
27.5%が上限ですが、最低賃金の2倍相当の収入以下については所得税免除となります。

IRPJ<法人所得税>

民間、公共問わず全てのブラジル国内の法人が対象の15%から25%の法人所得税で、Imposto de Renda de Pessoa Jurídicaの略称の連邦税。

ICMS<商品流通サービス税>

Imposto sobre Operações Relativas à Circulação de Mercadorias e Serviços de Transporte Interestadual e Intermunicipal e de Comunicaçõesの略称の州税。

一般製品のみならず、輸送サービスや通信にも対する付加価値税の一種。の取引状況(州内や州間)、また各州によって税金率が異なります。

  • リオデジャネイロ州が一番高く、19%
  • サンパウロ州、ミナスジェライス州、パラナ州 18%
  • その他の州、17%

原則的に州間取引では、課税率12%ですが、一部の州では7%のところもあります。

輸入品の場合は全て4%です。なお、海外への輸出取引の場合は非課税。

ISS<サービス税>

サービス役務提供の税金で、Imposto sobre Serviçosの略称。

事業者の月収とサービス価格に応じて課税される市税。サービス提供者側によって支払いが行われます。

サービス内容や居住自治体により異なり、2%から最大で5%。

IPVA<自動車税>

バイク、自動車やトラックなどの自動車保有者に対する、Imposto sobre a Propriedade de Veículos Automotoresの略称の州税。

課税率は車種や州により異なり、1.5%~4%です。

INSS<社会保障に対する税金>

国立社会保障庁、Instituto nacional do seguro socialの略称で、年金と社会福祉に対しての税金。正規労働者は毎月、給与の総額の11%が自動的に引かれるます。

FGTS< 勤続年限保証基金>

Fundo de Garantia por Tempo de Serviçoの略称で、雇用企業が給与の総額の8%を退職金として毎月引き、従業員のFGTS専用口座に積み立てる勤続年限保証基金。

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税金大国ブラジル

以上が代表的なブラジルの税金です。

身近な問題である消費税について詳しく見てみると、日本のは5%ですが、ブラジルのは定率でなく、各州や商品によって異なります。

ICMSと呼ばれる17~18%の州税、PIS/COFINSと呼ばれる9.25%の連邦税、そしてIPIと呼ばれる0~20%の連邦税の3つの税金が加算されます。

一例ですが、1万円のジャケットの場合30%は税金となります。

また、輸入税も高く、スーパーでワインを見ると、国産ワインと輸入ワインでは大きな価格差があります。

また、労働者関係の税率負担が非常に高く、従業員一人に対して、その人の給与額とほぼ同等額が課税されます。企業にとってはとても大きな負担となっています。

各国の企業における、利益に対しての税と対労働者に対しての税が中心となる(最終税負担率)では、様々な税金制度によってなんとブラジルは68.3%の負担率という調査結果です。

比較的に社会保障制度完備されてる日本でも49.7%です。まさにブラジルは、世界で1,2位を争う税金大国です。

今年から施行されたサービス業(主にレストランやホテルなど)に関わる新法では、サービス料を給料の一部として受け取る従業員は、そのサービス料に対して約33%が課税されるようになり、サービス業従事の労働者にとって非常に大きな負担となりました。

ブラジルの税制度では収入が多ければ多いほど、税金も多く取られるシステムです。

ブラジルの税金はとても高いのですが、本来は年金、傷病手当てや死亡保障、育児手当などの社会保障と医療や教育などの社会福祉に充てられるはずの税金が、政治家の汚職による経済危機を補う方に回されていて、それでも足りないので新たな税金を徴収したり、値上げしたりしている状況で、企業や国民にとても大きな負担となっています。

その反面、失業手当、最大6ヶ月間の失業保険など労働者への手厚い保護もあります。

とてもややこしいブラジルの税制度なので、税務局でも担当者によって話が異なることも多いので、これらの情報を参考にして快適なブラジル生活を送って頂ければ思います。

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