日本からの直行便は東京とチューリッヒ間しかない、遠い国スイス。
といっても、「アルプスの少女ハイジ」などで私たち日本人にとってスイスはどことなく身近な国であるような気がします。
そんな国スイスに、留学で、転勤で、はたまた結婚で、移住されることが決まった皆さんに、スイス移住前に知っておきたい、準備しておきたい情報をご紹介します。
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1.州によって違う制度と言語
先ず何よりも先に知っておかなければならないことは、スイスという国はアメリカのように州によって制度が違うだけでなく、隣接している国の言語、文化によってかなり生活習慣が変わるということです。
ですので、どの地域、州に移住するのか、その場所に隣接している国はどこなのか、を真っ先に確認してください。
例として、以下、スイス2大都市であるチューリッヒとジュネーヴの違いについて簡単にご紹介します。
スイスドイツ語圏チューリッヒ
首都ベルンを差し置いて、日本から唯一の直行便が飛ぶ金融都市チューリッヒ。
ここはドイツに隣接しており、街並みもどこか質素ながら厳かです。
世界の金融都市に並ぶここチューリッヒには、東京のような高層ビルに世界の金融機関がひしめき、早朝からスーツに身を包んだビジネスマン、ウーマンが颯爽と石畳を歩いている姿が見受けられます。
当然外国人の数も多く、日本語学校も存在しています。一見すると国際都市で英語さえできれば全く問題ないような気がしますが、生活を始めるとそこはスイスドイツ語圏。
公園で会うお母さんたちには英語どころか、日本で学ぶスタンダードなドイツ語ですら怪訝な顔をされ、余り会話がスムーズに行きません。
スイスドイツ語は今や希少価値の高い「マイナー」な言語として存在し、スイスドイツ語話者は話せることに非常に誇りを持っています。
ですので、スイス全体で良く感じられる「よそもの」の雰囲気が、ここチューリッヒの生活を始めると強く感じられます。
スイスに来ると時折スイスドイツ語を学べる語学学校もありますが、日本では中々講師を見つけられないと思うので、せめて英語とある程度のドイツ語を学び、それでも現地の皆さんにはあまり歓迎されないことは意識として持っておくことをおすすめします。
また、金融機関がひしめく街なので富裕層も多いのですが、ドイツに近いせいか、文化的にあまりそれをおおっぴらにひけらかさない、静かな文化であることも知っておいた方がいいことの一つです。
インターナショナルスクールなども豊富にあるので、現地に密接しない生活で構わないという方であればそれほど心配することもないでしょうが、スーパーで買い物する時ですら、英語も「え?」、ドイツ語も「え?」という顔をされることがあるということだけ心にとめておいてください。
フランス語圏ジュネーヴ
国際連合欧州事務局と呼ばれる、ニューヨークの本部に次いで大きな規模を誇る機関が君臨し、周りにWHOやILOといった国際機関もオフィスを構える国際都市ジュネーヴでは、お隣フランスの文化の影響を非常に濃く受けています。
日本で学ぶスタンダードなフランス語で充分通じますが、「9」の言い方など一部でスイス固有の言い回し、発音の仕方、単語が存在します。
但しそれはスイスドイツ語に比べたら全く気にする必要のない程小さな量です。
ですので、ジュネーヴ州や近郊に移住される方は日本でしっかりスタンダードなフランス語を身につけておきたいところです。
もちろん国際都市で人種も様々、インターナショナルスクールも山ほどあり、日本語補習校もあるので、英語と日本語だけでも生活可能ですが、やはり現地に溶け込むにあたっては出来ればフランス語を少しでも話せるのが理想的です。
ラテンなフランス文化に影響を受けているせいか、ジュネーヴで会う人は皆さん開放的で、より外国人を受け入れる体制が整っている印象を受けます。
華やかさや豪華さも至るところに感じられ、食べ物もフランス料理はもちろん、スイスワインの産地も近く、レマン湖でとれる魚料理も中々に美味で、スーパーもジュネーヴ市内のみならずお隣フランスに行けば美味しいチーズやワインも安く手に入るため、生活がより潤う雰囲気があります。
また、車番に「CD」と書かれた外交官専用の車を10台に1台のような頻繁な割合で見るのもジュネーヴ独特なことですね。
2.日本と全く違う医療保険制度
スイスに3か月以上滞在する場合、国で定められた保険に加入することが義務になっています。
国際公務員など一部の移住者には免除されていますが、その他の滞在者には標準医療保険への加入は義務、また、追加保険として任意での加入が認められています。
年齢、健康状態にかかわらず標準医療保険の加入は義務なので、日本と違って保険会社に加入を拒まれることはありません。
保険料は毎月支払いで、保険料は保険者の健康状態や居住地によって様々です。
日本から一時的に移住する場合は、費用が高くかかる出産と歯の治療については特に日本から海外保険に入って来るか、スイスの追加保険に入るか、または保険に頼らず実費で支払うか、事前によく検討する必要があります。
3.住居手続き
スイスに移住される方の多くが海外赴任のケースが多いので、住居については確保されている場合が多く心配されていない方も多いと思いますが、念のため住居手続きについて事前に確認しておきたい点があります。
一般的にスイスで住居を借りる場合、スイス在住の保証人が必要になりますが、海外赴任などで仕事と収入が確実に安定していることが保証できれば、保証人がいなくても借りられる物件があります。
現地の不動産屋に行くのがはばかられる場合、大都市チューリッヒやジュネーヴなどでは現地に住む日本人の方で、不動産仲介や手続き代行サービスを行っている方もいらっしゃるので、せかいじゅう、またはネット検索でそういった方を見つけてお願いすると非常にスムーズです。
場合によっては家具も借りれるオプションもありますので、滞在期間が短期で確定している場合に非常に便利です。
あとは実際現地について、治安やアパートであればエレベーター、管理人の有無、暖房の種類やインターネット契約の有無など細かい生活に必要な点について確認してください。
また、スイスは日本同様、いやもしかすると日本以上に近所の騒音に厳しいお国柄です。
アパートによっては日曜日に洗濯機を回すことが禁止されていることもありますので、そういったルールも事前に確認しておきたいところです。
また、とかく家賃も高いうえ、水道代などが一括で含まれた雑費を1年に1回払わなければならないのですが、これも驚くお値段になることが多いので、契約前に確認しておいて下さい。
そして、退去時の清掃代も一定額支払いが必要になります。
といったように、住居に関しては外国人の私たちにとって知らなかったり困難なことが多々ありますので、会社が全面的にサポートしてくれない場合は多少の出費を伴っても現地の日本人のアドヴァイザーに仲介をお願いすることをおすすめします。
4.滞在許可証(ビザ)と各種書類翻訳
スイスに3か月以上滞在する場合は滞在許可証、つまりビザの申請が必要になります。
これはインターネット上で各々の必要なビザの種類、費用、必要書類について詳細が書かれていますので、遅くとも3か月前には全ての書類を整えて申請手続きを終えるように準備してください。
滞在目的によって、「無犯罪証明書」の提出が求められる場合もありますので、事前に確認する必要があります。
また、留学などでスイスに来てからも日本の書類が必要になる場合は、事前に日本にいる間に各種書類の翻訳を行っておくことをおすすめします。
例えばジュネーヴに来てから、ジュネーヴの日本領事館で法廷翻訳を依頼することも可能ですが、現地に来てからは想像以上に生活に慣れるまでに時間がかかったり戸惑ったりするものです。日本にいる間にできることはしておきたいですね。
関連記事「スイスのビザ8種類の特徴と申請方法を徹底解説」も参考にしてください。
5.スイスフランを現金で
チューリッヒやジュネーヴといった大都市であればもちろん市内にいくつも両替所があり、日本円を取り扱ってくれる所も多々あります。
ただ、空港についてから荷物を運ぶキャリーに2フランを入れないと使えない、タクシーは現金のみ取り扱い、といった事もよくあります。
物価高のスイスでの生活の出だしに予想外の出費が重なる可能性もありますので、出来れば日本である程度スイスフランを現金で準備してきたいですね。
100フランなんて、本当に驚くほどあっという間になくなってしまう国ですから、要注意です。
さいごに
以上がスイス移住の前に知っておきたい5つの話になります。
雄大な山に囲まれた美しい国スイスではありますが、とにかく物価高ですから、移住前にきちんと日本で準備できることは準備して、備えておきたいですね。
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