集計者によって多少のばらつきはあるものの、スイスは平均年収ランキングで必ず1位、2位など上位に顔を出す常連国です。
一方で非常に物価も高い国としても有名です。
たくさん収入が入っても、それがそのまま出費に流れていくようでは経済的とはいえません。同じ生活をするなら少しでも節約したいですよね。
各家庭によって差異はありますが、夫婦、子ども2人家庭の1週間の食品をスイスで買うとざっくりベースで
- 250-300スイスフラン(28,000~34,000円)
- オーストリアで買うと 120-150ユーロ(15,500~20,000円)
- ドイツで買うと 80-110ユーロ(10,500~14,500円)
くらいです。
ここでは車を持っている人を対象として、スイス国境越えの買い物で物価の違いに加え、消費税の還付までゲットする方法をお伝えします。
ヨーロッパは全体的にガソリンの値段が高く、スイスの場合、円換算すると1リットルあたり180円~200円が相場です。
ガソリン消費量、買い物に費やす時間を総合的に考えながらの判断になりますが、国境近くにお住いを予定している方はぜひ一読ください。
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スイスと他国(オーストリアとドイツ)の物価の違い
購入するものによって異なりますが、基本的にスイスで買うと高くつきます。
下記にスイス、オーストリア、ドイツの3カ国における日用品の価格をまとめます。
※通貨の違いはありますので、スイスフラン115円、ユーロ130円のレートで円換算します。
購入品目 | スイス | オーストリア | ドイツ |
---|---|---|---|
卵1パック10個 | 250円 | 220円 | 195円 |
鶏ムネ肉1キロ | 3450円 | 1560円 | 910円 |
レタス1玉 | 220円 | 180円 | 130円 |
ビール1本(500ml) | 200円 | 120円 | 90円 |
ガソリン1リットル | 185円 | 170円 | 182円 |
免税を適用したお得なお買いものの基本ルールと手順
国境に関する基本ルール
EU加盟国間では人やモノが自由に往来できるため、加盟国間の国境には課税、検閲のためのゲートはありません。
しかしスイスはEU非加盟国のため、EU加盟国-スイスの国境にはゲートが設けられており、検問が常時行われています。
ちなみに、スイス-リヒテンシュタインは協定を結んでおり、リヒテンシュタインの外交面および軍事面の対応をスイスが面倒をみる格好となっているため、この両国間にゲートはなく自由に往来できます。
こうした関係で、オーストリアからリヒテンシュタインへの入口にはスイスの国境ゲートが設けられています。
少々複雑ですが、国境ゲートはスイス側とEU加盟国側にそれぞれありますので、スイスとEU加盟国の国境を越えるときは2つのゲートを通過することになります。
スイスからEU加盟国に入る時は基本的にはスルーできますが、EU加盟国からスイスへ入国する際は銃を持った検問係員が立っており、車の中を鋭い目で確認し、時折停車させて検閲を行います。
免税サービスを受ける手順
「スイスは非EU加盟国」というルールを利用すると、一定条件を満たしたEU加盟国での購入品をスイスに持ち込むとき、消費税の免税措置が受けられます。
基本的な流れは以下のようになります。
- オーストリア、ドイツなどEU加盟国でお買い物。スイスの通貨はスイスフラン、スイスに隣接するEU諸国の通貨はユーロです。買い物はどこでもクレジットカードで可能ですので、買い物前にユーロを現金で準備する必要はありません。
- 支払いの際、1店舗での購入額がオーストリアでは75ユーロ、ドイツでは50ユーロを越えた場合、レジで支払う際にTax Freeのレシートを入手(ドイツ語圏の場合、レジのおばちゃんにTax Frei, bitteというともらえます)
- スイスに戻る際、EU側の国境ゲートに車を停車し、ゲート内でスタンプと係員のサインを入手(このときスイスの滞在許可書とパスポートの提示を求められる場合があります)。
- 再び車に乗り、非課税条件を満たしていればスイス側のゲートを通過。条件を満たしていなければスイス側ゲートに一旦停車し、通関オフィスで関税を支払ってスイスに入国
- 前回買い物をしたEU加盟国内のお店にレシートを持っていき消費税の還付をうける。還付されるお金の通貨はユーロになります。
免税の適用条件について
消費税は、一般的な品物にかかる基本税率と食料品などの特定品目に関する軽減税率が導入されています。
- ドイツ:19%および7%
- オーストリア:20%および10%
スイス入国時の非課税条件は以下のとおりです。
- 総額 一人当たり300スイスフランまで(300ユーロではありませんのでご注意ください)
- 肉製品(肉、ソーセージ等) 一人当たり1kgまで
- アルコール類(17歳以上)
0.5~18%未満のアルコール飲料:一人当たり5リットルまで
18%を超えるアルコール飲料:一人当たり1リットルまで - タバコ(17歳以上) 一人当たり250本もしくは250g
これらのうち、スイス入国時の検問で特に目を光らせているのは肉製品です。
スイスでは食肉に関する品質基準が非常に高く、肉類は高価です。
たとえば鶏ムネ肉の場合、一般的なスーパーマーケットCOOPやMIGROSでの各相場は、
スイス:1キロ当たり30フラン
オーストリア:1キロ当たり12ユーロ(約14フラン)程度
ドイツ:7ユーロ(約8.3フラン)程度
になります。
スイス入国時に係官は「肉をどれだけ買ったか」を聞いてきます。
非課税範囲を越えた場合、越えた重量に対して1kgあたり17フランが課税されます。
検問係員がよく停車させているのは、1人もしくは2人連れの車です。
スーパーでの肉類の販売単位は1kgがノーマルですので、少人数の方が規制値をオーバーする確率が高いためと思われます。
アルコール類は非課税許容量がわりと大きいため、アルコール類の持ち込みで問題になるケースはあまりないようです。
気をつけなければならないのは、一人当たりの購入額が300フランを越えた場合、超過分に対して課税になるのではなく、購入品全体に対して課税になることです。
ただし2人で買い物をした場合、非課税枠は600フラン、3人の場合は900フランに拡大しますので、お買いものの際はご家族やご友人を同行されることをお奨めします。
免税適用条件の詳細は、こちらのサイトを参照ください。
この免税対応は全てのゲートで実施しているわけではありませんので注意が必要です。
免税対応ゲートの地図はこちらです。
スイス人のサービス利用状況
日曜日は、ガソリンスタンドや併設するキオスクなどの例外を除き、全ての商店、スーパーマーケットはクローズとなります。
このため基本的には多くの家庭では土曜日に一度、1週間分の買い物をまとめて行います。
興味深いのは、こうした裏ワザがあるにもかかわらず、外国に買い物に出かけず、あえて高いスイスの店で買い物をしているスイス国民が結構いることです。
何人かに理由をインタビューしたところ、
- 「スイス人がスイスに税金を払うのは当たり前だ。皆が外国に買い物に出かけたら国が没落するので自分が貢献する」という堂々としたもの
- 「そうした仕組みがあるのは知っていたが、国外までわざわざ出かけるのは面倒だ」
- 「ゲートを通過するときに検問係員と話すのが嫌だ」
- 「買い物はうちの奥さんの仕事なので、自分は関係ない」
など、色とりどりのもっともらしい意見が飛び出しました。
ちょっと内気なスイス人気質が垣間見え、日本人と似たところを感じます。
日本ではアジアを中心とする訪日外国人旅行客が免税で爆買いする光景が定着しましたが、スイスでは毎週の食料品のお買いもので毎回お得に生活することができるので、ルールに則って賢い生活を楽しんでみてください。
ただ、ポリシーをもって高い買い物をしている人も多く、頻繁に国境越えショッピングをしていると聞くと嫌な顔をされることもありますので、生粋のスイス人とのコミュニケーションは少し気をつけたほうがいいでしょう。
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