インドネシアと一言で言っても、実は約13,000の島からなる巨大な国。人口も、中国・インド・アメリカに続き世界で第4位です。
それだけ大きな国なので、住宅事情も場所によって異なります。
そこで、今回は以下を徹底分析します。
- インドネシアに住むなら知っておきたい都市別住宅事情
- 実際に住まいを探す方法
- 入居前に必ず見るべきチェックポイント6つ
インドネシアの一般的な住居の種類とそれぞれのメリットデメリットは、こちらの記事を参考にしてください。
参考記事:在住者が明かす!インドネシアに住むなら知っておきたい住居の種類と賃貸事情
インドネシア各都市別住宅事情
インドネシアで日本人が多く暮らしている都市はいくつかありますが、それぞれの住宅事情と賃貸相場を見ていきましょう。
その1 〜 首都ジャカルタと近辺
首都ジャカルタおよび近辺のことを、インドネシア人はよくJABODETABEK (ジャボデタベッ)と呼びます。
ジャカルタとジャカルタに隣接した都市4つの名前の頭を取った呼び名です。
- Jakarta (ジャカルタ)
- Bogor (ボゴール)
- Depok (デポッ)
- Tangerang (タンゲラン)
- Bekasi (ブカシ)
この5つをまとめておおまかに”ジャカルタ”、と呼ぶこともあり、日本でいうと東京23区、つまりインドネシア経済の中心地とも言えます。
駐在で行く日本人のほとんどが、この地域に住むことになるはずです。
中央ジャカルタにはアパートメントという高層セキュリティマンションなど、タウンハウス内の高級一戸建て、日本でいう寮のようなコスなど、日本人が安心して暮らせる住居がたくさんありますが、月々の家賃相場は高め。
- アパートメント:月2000万〜4000万ルピア=約160,000〜320,000円
- 一戸建て:月900万〜1500万ルピア=約72,000〜120,000円
- コス:月200万〜400万ルピア=約16,000〜32,000円
家賃を抑えつつもジャカルタエリアに住みたければ、ジャカルタ郊外がおすすめです。
なかでもタンゲランは、スカルノハッタ国際空港に最も近いジャカルタの西側に位置するため、頻繁に帰国する方にとっては車の渋滞がひどいことで知られるジャカルタ市内に住むよりも好都合でしょう。
家賃相場は、上記に挙げたジャカルタ中心部の約2〜3割引きになります。
ただし、ジャカルタ中心部ほどインフラが整っていないため、停電や洪水などのリスクは高くなります。
のちに挙げる6つのチェックポイントをしっかり押さえて、良い住まいを慎重に見定めましょう。
その2 〜 バリ島
インドネシアと言えば、まず思い浮かぶのが人気のロングステイ先で世界的にも有名なリゾート地、バリ島ではないでしょうか。
中でも日本人が多く住んでいるのは、バリ島南部。経済や観光の中心地でもありますし、空港やモールや日本食スーパーにも近いのでアクセス良好。
住む場所として人気なのは、クタやレギャンなどの繁華街を離れた以下の地区です。
- ジンバラン
- ヌサドゥア
- サヌール
- チャングー
- スミニャック
- ウブド
バリで「アパートメント」と呼ばれている物件は、ジャカルタのアパートメントのような高層マンションではなく、キッチンとプールがついたリゾートホテルのようなゆったりとしたロングステイ施設になります。
家賃は、ホテルと同等あるいはホテルよりも高いものが多いです。
一戸建ては、ヴィラと呼ばれるプール・家具付きの別荘タイプか、プルマハンというタウンハウス内の一軒家かによって家賃は異なります。
日本人に人気の一戸建ては、デンパサール国際空港よりも南のジンバラン・ヌサドゥア地区に密集しています。
- アパートメント:月600万〜1200万ルピア=約48,000〜96,000円
- 一戸建て:月500万〜1000万ルピア=約40,000〜80,000円
- コス:月200万〜400万ルピア=約16,000〜32,000円
その3 〜 ジャワ島東部 スラバヤ
インドネシアで人口第2の大都市、スラバヤ。
ジャワ島の東北あたりに位置し、スラバヤジュアンダ国際空港へはシンガポール、マレーシア、タイなどの国際線も乗り入れています。
スラバヤには24時間セキュリティやプールのついた高層アパートメントもいくつかありますが、クオリティはジャカルタのそれと比べるとワンランク下がります。
スラバヤで家族で住むなら、おすすめはアパートメントよりも一戸建て。
投資目的でインドネシアの華僑が購入することが多く、閑静な住宅街の中の賃貸物件がたくさん出ていて、広々とした一戸建てが驚きの家賃で借りられます。
経済発展に伴い家賃も含め生活費は急上昇中ですが、それでも家賃相場はジャカルタの半分以下と言われています。
日本人に人気のエリアは、スラバヤ西側に位置するダルモ地区。
安心して暮らせるアパートメントやプルマハンと呼ばれるセキュリティ住宅地が密集しています。
- アパートメント:月800万〜1500万ルピア=約64,000〜120,000円
- 一戸建て:月200万〜500万ルピア=約16,000〜40,000円
- コス:月100万〜200万ルピア=約8,000〜16,000円
その4 〜 ジャワ島中部 ジョグジャカルタ
インドネシアの古都として知られるジョグジャカルタ。
インドネシアの歴史と文化が凝縮された街で、日本でいうと京都のような場所だと在住の日本人は口を揃えて言います。
大学も多く、日本からも多くの留学生がジョグジャカルタに住居を構えています。
ジョグジャカルタの家賃の安さはインドネシアでも有名で、首都ジャカルタの3分の1以下と言われています。
そのうえ治安も比較的良く、バティック染めなどインドネシアに古くから根付く文化遺産がたくさんあるので、留学やロングステイにおすすめの街。
コスに住みたい場合は、ジョグジャカルタにいくつかある大学の周りにはコスが密集していますので、大学近辺で探すのが良いでしょう。
- 一戸建て:月100万〜300万ルピア=約8,000〜24,000円
- コス:月70万〜150万ルピア=約5,600〜12,000円
その5 〜 ジャワ島西部 バンドゥン (またはバンドン)
ジャカルタから車で3時間のところにあるバンドゥンは、有名大学が多くある学生の街。
日本からも大勢の留学生が、バンドゥンの名門大学に在籍しています。
トレンドの発信地でもあり、標高が高く避暑地でもあるため、快適に暮らせます。
インドネシアでは数少ない日本人学校もありますので、家族でインドネシア移住をご検討中の方には理想的でしょう。
学生の街だけあってバンドゥン中心地ではコスのほうが主流ですが、少し中心を外れればプルマハンと呼ばれるタウンハウス内の一戸建て物件も多くあります。
同じジャワ島のジョグジャジャカルタに比べると家賃は少し高めですが、常夏の国インドネシアでは珍しく涼しい地域なので、家のカビや湿気に悩まされることは比較的少ないと言えます。
ただし、人気避暑地でもあるため、週末になるとジャカルタから遊びにくる人たちの車で道が大渋滞になるというデメリットもあります。
- 一戸建て:月200万〜600万ルピア=約16,000〜48,000円
- コス:月150万〜300万ルピア=約12,000〜24,000円
物件の探し方と注意点
首都ジャカルタ近辺、あるいは日本人が多く住むバリで住まいを探す場合は、日本語対応の不動産がいくつかありますのでそちらがオススメ。
ローカルの不動産は少し怪しかったり、騙されかけたという話を聞いたこともあります。
すでにインドネシア語が流暢な方か、しっかりとした通訳を雇う方でないかぎり、ある程度のリスクを伴うと言えます。
インドネシアの不動産は、通常、紹介料を貸主にのみ請求するものですが、日本語の不動産の場合は日本語対応手数料として料金が発生するところがいくつかあります。
やはりコミュニケーションの問題や入居後のアフターケアのことを考えると、初めてインドネシアへ移住する方には日系不動産のほうが良いでしょう。
日本人が集まるスーパーやモールに設置されている日本語のフリーペーパーにも不動産情報が乗せられています。
ただし、日本語の通じる不動産や信頼できる不動産があるのは、基本的に日本人が集中しているジャカルタとバリのみ。
スラバヤ、ジョグジャカルタ、バンドゥンなどに引越すとなると、不動産を利用すること自体があまり一般的ではありません。
住まいを探す場合は、以下の3つの方法で探すしかありません。
- 知り合いに聞く
- 街中を歩いて地道にリサーチ
- ネットで調べる
街中でコスを探す場合は、コス入居者募集という意味の「Terima Kost」という広告を探しましょう。
一軒家の場合は「Sewa Rumah」あるいは「Dikontrakkan」と書いてあります。
賃貸広告には必ず貸主の12桁の電話番号が書いてありますので、電話、ショートメッセージ、あるいはWhatsAppなどのSNSで連絡します。
なお、貸主に連絡する際は、地元の知り合いに連絡係件代理人を頼むのが賢明です。
外国人が直接連絡すると、通常より高い値段を言われる可能性があります。
ネットで探す場合は、以下の5つの賃貸広告掲示サイトが便利。
OLX
99.co (URBANINDOより改名)
Rumah123
Trovit Homes
MamiKos (コス専用検索エンジン)
インドネシア国内の地名を入力すると、賃貸物件が掲示板形式で表示されます。
貸主の電話番号が公開されているので、電話やSNSで直接問い合わせます。
家あるいはコスの外部写真、部屋の写真、スペック、だいたいの住所、希望家賃などが明確に出ているため、気になる物件をじっくり比較考慮できるのがメリット。
また、ほとんどの場合、家賃は交渉可能です。
年間35万円と書かれている物件を2年で50万円にしてもらうとか、本来1年契約のところを半年にしてもらうなど、こちらの希望をガンガンと言ってみるのが成功のかぎです。
日本人は家を大切にして綺麗に住んでくれるという考えがインドネシアでは一般的なので、快く交渉に応じてくれるはずです。
不動産を通さずに自力でコスや家を見つける場合は、当然、敷金礼金といったお金のやり取りは必要ありません。
ただ、入居した後にエアコンの故障、雨漏り、シンクの水漏れなどトラブルが発生した際に直接貸主と交渉しなくてはなりません。
頑張って勉強してある程度インドネシア語を話せるようになるか、英語ができるなら英語が通じる大家さんの物件を選ぶのがベスト。
なお、インドネシアでは一度渡したお金はまず戻ってきません。
そのため、家やコスを契約する際のお金のやり取りは、極力ギリギリまで先延ばしにし、入居の直前に証人の立ち会いのもと、受け渡すのが賢明です。
その際は必ずしっかりすべてのお金を数え、クゥイタンシという領収書を書いてもらうのを忘れないようにしましょう。
個人間の契約書はもちろん、現金を渡したという証拠として相手と一緒に写真を撮っておくのも、インドネシアでは一般的なやり方です。
決める前に必ず見ておこう!物件チェックポイント
さて、前述した方法で気になる物件を実際に見るところまでこぎつけたら、内見のさいに以下の6つのポイントをチェックするのをお忘れなく。
パッと見て良い感じの物件でも、ここを押さえておかないと入居後に後悔することになりかねません。
なお、ジャカルタの高級サービスアパートメントなどには当てはまらない点もありますが、一般的なインドネシアの賃貸物件で見られるトラブルを元に以下のポイントを挙げます。
ポイント1 〜 雨漏りするかどうか
物件を内見するときは、できれば雨の日に見るべきです。
なぜなら晴れの日に見て良い感じの部屋でも、実際入居してみたら大雨の日に天井からボタボタ水がたれてくることがあり得るからです。
入居時が4月〜10月ごろの乾季だった場合、最初のうちは大丈夫でも11月〜3月ごろの雨季に入ったとたん雨漏りが始まるということもしばしば。
どんなに見ための良いコスでも、高級住宅街の一戸建てでも、どこかしら雨漏りはするかもしれないという覚悟を持って住むべきです。
また、壁や天井にこのような水シミができている部屋や家は要注意です。
壁の内部にまで雨水あるいは上の階からの水が染みて、今は雨漏りしていなくともいずれはしてくる可能性があるからです。
ポイント2 〜 シャワーの水はどうか
インドネシアに住んで最初にまず驚くことのひとつが、熱いシャワーは贅沢品という事実。
コスや一軒家の場合は水シャワーしか出ないことがよくあります。
もし熱いシャワーが出る場合はそれを売りにしているはずですので、何も表示がない場合は冷たいシャワーの可能性が大いにあるということを念頭においてください。
給湯器があったとしても、1人がシャワーを浴びた後はまたお湯が出てくるまでに時間がかかったり、給湯器が壊れて機能しないこともよくあります。
簡易給湯器を自分で設置する場合は、全部で約2万円ほどかかります。
また、水圧が弱いシャワーも多くあります。
水圧を上げるためのポンプが備わっている場合もありますが、立派な物件でもシャワーだけは水圧が弱くものたりないケースが多いので、水を出して確認してみましょう。
ポイント3 〜 よく停電する地域かどうか
インドネシア暮らしでは、電力不足による停電がつきものです。
停電のことはインドネシア語で「mati lampu」(マティランプゥ)と言います。文字通りには、電気が死んだという意味。
特に地方都市ではインフラが整っていないため、大雨が降ったり強い風が吹いたりすると停電してしまいます。
30分〜1時間で復旧する場合もあれば、半日電気が来ない日もあります。
ジャカルタやバリでも時々停電が発生しますが、不思議なことに道一本隔てた隣のブロックでは電気がついているということがあるのです。
停電になったエリアの住宅は携帯の充電もできませんし、エアコンやライトはもちろん水をあげるポンプも動かなくなるので、貯水タンクがない家の場合は水も止まってしまいます。
入居後に停電に悩まされないためには、近所の人に「Sering mati lampu disini?」(この辺はよく停電するか?)と聞き込みをすることです。
貸主に聞いても「ここは大丈夫だよ」と安心させる答えが返ってくるだけですので、無関係な近所の人に停電の有無を聞くのが良いでしょう。
高級サービスアパートメントはもちろん、外人向けの高級住宅地では大型の発電機があります。
中にはコスでも発電機を備えていることがありますので、発電機の有無を貸主に確認しましょう。
発電機のことはインドネシア語でgenset (ゲンセッ)と言います。
普通のスーパーマーケットでもこのようなガソリン式小型家庭用発電機が発売されていますので、自分で家に導入することも可能です。
ポイント4 〜 セキュリティはどうか
コンシェルジュつきアパートメントに住むのならこの心配はいりませんが、コスや一戸建ての場合は、セキュリティ面の確認は怠らないようにしましょう。
日本人と違い、インドネシア人はあまりプライバシーを尊重するという文化がありません。
人の家の事情にあまり立ち入っては悪いかなとか、あまりジーッと見たら失礼かな、という配慮が少ないのです。
そのため、日本人がどの部屋に住んでいるだとか、毎朝何時に出かけていくなどといったことを近所の人が観察して把握しているのです。
特に日本人女性は、この点で注意が必要です。
コスの場合は、コスの入口あたりにいつも男性たちがたむろしていないか、隣近所にはどんな人が住んでいるか、夜になると若者の溜まり場になっていないかなどをチェックしましょう。
また一般的に、パサールというローカル市場の近くはあまり治安が良くないとされていますので、避けた方がベターです。
一戸建ての場合は、通りに面した家ではなく、できればプルマハンと呼ばれるゲート付きの住宅街の物件を探しましょう。
入口に警備員がいて、24時間体制で出入りする車やバイクを一台一台確認しています。
外部の人が用事で入る場合は、入口で免許証あるいはKTPという国民IDカードを預けなければなりません。
プルマハンによっては1時間おきにバイクで見回りをしてくれて、留守中に何か家に異変があると電話で知らせてくれるところもあります。
ポイント5 〜 すぐ近くにモスクがないか
イスラム教の国と聞くと、私たち日本人は少し恐いというイメージを抱いてしまいがちですが、実際のところは、インドネシアのイスラム教徒は温厚派。
なので、イスラム教のモスクの近くの物件でも、治安面での心配をする必要はそれほどありません。
しかし、気になるのは1日5回モスクのスピーカーから大音量で流されるアザーンというイスラム教の礼拝の合図。
朝の4時ごろから夜の7時ごろまで定期的に聞こえてくるので、モスクのそばに住んでいると早起きになります。
音に敏感な方は、少し離れたエリアのほうが良いでしょう。
また、年に数回あるイスラム教の祭日になると、イベントのステージ設置や座席スペース確保のために道が閉鎖になります。
夜遅くまで続くイベントの音が気になったり、車が通れなくなったりと生活に影響が出ることもあります。
ポイント6 〜 洪水しやすいエリアか
インドネシアの社会問題ともなっている、banjir(バンジール)と呼ばれる洪水。
ジャカルタのような大都会でも、雨季になるとインフラの整備不足による洪水が頻発します。
ゲリラ豪雨のような大雨が一日降ると、排水システムがきちんと整備されていないエリアや河川沿いは道路に水があふれます。
車やバイクが通れなくなるのはもちろん、洪水の規模によっては停電、断水も起きます。
下水やドブの水が上がってきてしまうので病気も増え、長期に及ぶ場合は家の外に出ること自体が危険になります。
川の近くや、地面が低くなっているエリアは要注意です。
確認のために、近所の人に聞いてみることも大切です。
「Ini daerah banjir?」(洪水地域か?) 「Pernah banjir disini?」(ここで洪水が起きたことはあるか?)など、少しリサーチしてみましょう。
また、コスの場合はできれば2階より上に部屋を借りるほうがベター。
おわりに
インドネシアで物件を決める前に知っておきたい住宅事情と家賃相場、物件の探し方と6つのチェックポイントを取り上げてきました。
どの都市に住むにしろ、予備知識があればかしこい家探しができるはずです。
よく調べてしっかり選んで、インドネシアであなたにぴったりの快適な住まいを見つけてください。
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