ドナウの真珠と呼ばれる美しい都ブダペストを有し、ヨーロッパ内のみならず、日本をはじめとするアジア諸国からの観光客に人気のハンガリー。
2015年には大量の難民が流入して、日本でも話題になりました。
また、近年ヨーロッパ諸国内で頻発しているテロの報道を耳にして、ハンガリーの治安を心配される方も多いでしょう。
そこで今回はハンガリー現地在住者からブダペストの治安情報を中心にお伝えします。
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ハンガリー全体の治安事情
基本的にハンガリーは他のヨーロッパ諸国に比べて治安は良いほうです。
もちろん日本人からみると日本と比較して危険な国のような印象をうけるでしょうか、東京にも危険な地帯はありますし、殺人、誘拐などの報道は日本のほうが多いくらいです。
ブダペスト以外の主要都市トップ5は人口順に
- デブレツェン
- ミシュコルツ
- セゲド
- ペーチ
です。
いずれも工業都市ですが、ミシュコルツ以外の都市には大学もあり、日本人学生も多く学んでいます。
そのためか、これらの都市は人も街もブダペストに比べると落ち着いていて静かで路上生活者も少ない印象を受けます。
人口4番目の都市セゲドは2015年の難民流入問題の時は大量の難民が流入しました。
この都市はルーマニアとセルビア国境近くにあるため、セルビア側から流入していた難民たちがセゲドを通過してブダペストを目指していました。
一部は街に留まったようですが、大部分はブダペストに向かったため、大きな混乱はありませんでした。
この難民問題は2015年の8月にはじまりました。シリアなどの中東諸国の内戦を逃れた人々に加え、トルコ経由で別の難民(便乗難民とでも言いますか)も合流して多い時には一日で1万人以上がハンガリーの国境に押し寄せました。
最も混乱したのは国境地帯とブダペストで、そのほかの都市への影響は非常に少なかったと聞いています。
ブダペストの最近の治安事情
ブダペストの治安はそれほど悪くないと思います。
もちろん、行ってはいけない地区や小さな犯罪は報告されていますが、東京とさほど変わらないという印象です。
言葉が異なるので、自国より緊張し、それが不安をかきたてるというのが実情ではないでしょうか?
前述した2015年の難民流入騒ぎの時はブダペストの街に難民があふれていました。
日本でも報道されたので状況をご覧になった方も多いと思いますが、ウィーンへの電車が発着するブダペスト東駅(Keleti)周辺に数百人もの難民がキャンプを作ってしまっており、近づくのをためらうほどでした。
それ以外の場所にも難民と思しき人たちが路上に座り込んでいるような状況がみられました。
ただ、難民たちの目的地はあくまでもウィーン経由でドイツまで行くことだったため、順次電車で移動し、2ヶ月も経つころには街はいつもの景色に戻りました。
昨年はフランス、ドイツで頻発したテロの影響でブダペスト市内にも緊張が走りましたが、結局は重大な事件は起こらずに済みました。
ただ、ブダペストの街中、特に地下鉄の入り口前の広場には路上生活者がたくさんいます。中には冬でも路上に転がっている輩もいます。
何をするわけではないのですが、あまり気持ちの良いものではありません。
ブダペストの治安事情。3つの犯罪には注意を
ブダペストの街で一番多いというか、一般人が被害に遭うのはやはり軽犯罪です。
具体的は、スリ、置き引き、ひったくりなどです。
1. スリ
まずスリですが、乗客の多いバス、トラム、地下鉄の車内では十分注意してください。
鞄のファスナーをしっかり閉めて、他人が触ったらすぐにわかるような抱え方をすること。
ナップザックであれば、身体の前に置くのが基本です。これはハンガリー人でも実施しています。
2. 置き引き
次に置き引きですが、ベンチの上や自分の目の届きにくい椅子の上などの荷物を置いて食事やおしゃべり、子供の世話に気を取られていると持っていかれます。
携帯などはもっとも狙われます。
もっと巧妙なケースでは、混雑した電車のコンパートメントに座っている乗客に一人が席が空いているかどうかなど声をかけ、それに気を取られている隙に別の人間が棚の上のバッグを持ってゆくというものもあります。
3. ひったくり
地下鉄の車内でバッグをひったくられたハンガリー人の友人もいます。
また、車上荒らしもありますので、車を離れる際は必ずドアロックを確認してください。
車内に子供を残してちょっと用事を済ませている隙に車内に置いてあったものを持っていかれたという話も聞きました。子供に危害がなかったのは幸いでしたが。
ブダペスト市内にある大学に通っている日本人の中には鍵をかけていたにも関わらず泥棒に入られたという方もいるようです。
ブダペストのアパートのドアは基本オートロック式で外からだとドアノブが回らないような仕組みなので、日本よりは安全ですが、それでも何らかの方法で入る方法があるようです。
ガイドブックで良く紹介されているニセ警官はそれほど多くはないようですが、実際にある話です。
しかし、言うことを聞かずにその場を離れても何もされないケースが多いので、毅然と振る舞いましょう。
簡単に財布やカードを預けてはいけません。
また、物乞いには良く会います。誰彼となく近づいてきて、「お金をくれ」みたいなことを言いますが、無視して通り過ぎれば何もしません。
地下鉄の自販機で切符を買おうとしていると無理やり手伝ってチップをせがむという輩もいます。
慣れないうちは窓口で購入したほうが良いかもしれません。
ブダペストで治安の悪い地域
インターネット上では色々な人が、ブダペストで危険な地域は8区と9区と書いています。
確かにこの地域には昔からロマと呼ばれる人たちが住んでいて、なんとなくうらぶれた雰囲気を醸し出していますが、最近では状況が若干変わってきており、特に、8区にある地下鉄M3のCorvin駅周辺は最近ずいぶんと開発が進み、外国人住居者も増え、日本人も多くみられるようになりました。
また、8区、9区ともに4番と6番のトラムが走るJózsef krt.の内側(北側)はそれほど危険ではありません。
注意しなければいけないのは
- József krt.の南側
- そして、Mester utcaとÜllői út の間、Üllői út とBaross utcaの間を走る暗い路地
です。
そして、中心地から離れるほど危険度が増す印象があります。
これらの路地には特に日が暮れたら立ち入らないほうが良いでしょう。昼間でも極力避けるのが無難です。
絶対に立ち入るなとは言いませんが、立ち入る場合は十分注意してください。
安全対策
ブダペストで被害に遭わないための安全対策としては。
1.危険そうな地域には立ち入らない。
すでに書いた通り普通に生活していれば、そうそう危険な地域というのはありませんが、それでも、足を踏み入れた瞬間に「ちょっとやばいな」と感じる路地などはあります。
- 具体的には建物がぼろぼろで服装のしっかりしていない人たっとがふらふらしている。
- 昼間なのに子供がふらふらしている。
と言ったところです。
そのようなところには立ち入らないか、やむを泣く立ち入ってしまった場合はなるべく早く立ち去るようにしてください。
2.夜は極力出歩かない。
私がブダペストに移り住んだ当初、同僚に「夜は出歩くな」と言われました。
それは私が9区に住んでいたからかもしれません。
今では夜でも用事があれば外に出ますが、やはり不必要にくらい路地には立ち入らないようにしています。
3.大切なものは外ポケットに入れない
「携帯や財布をお尻のポケット、ジャケットの外ポケットに入れておいて無くした」という話をよく聞きます。
落としたのかもしれませんが、スリにあった可能性が高いです。
日本人ではチャックも付いていないポケットに携帯を入れている人が多いですが、ブダペストではやらないほうが良いでしょう。
4.落し物は帰ってこない
落し物は基本帰ってきません。
たとえ子供のぬいぐるみであっても。落としたであろう数分後に気が付いて戻ってももうなくなっています。
でも、落とした瞬間を普通の人が見ていれば、かならず、拾って、追いかけて来て、渡してくれます。
基本一般の人々は親切です。
ハンガリーでの万が一の対応と緊急連絡先
万が一、何かあった時はすぐに地元警察や大使館に連絡することです。
知り合いの日本人や頼れるハンガリー人がいる場合はその人に頼りましょう。
また、街にはゴツイ拳銃を携帯した警官が巡回していて頻繁に見かけます。見ればすぐわかり、女性警官も多くいるので、警官に声をかけて助けてもらうのが一番でしょう。しかし、英語が話せない警官は結構います。
以下にハンガリーでの緊急電話と日本大使館の連絡先を記しておきます。
緊急用共通電話(緊急通報のためのEU共通番号):112
これは、以下の警察、救急車、消防共通の番号です。
とりあえずここにかければ、オペレーターが状況を判断して担当部署に連絡を取って対応します。
日本語はもちろん話せません。英語も話せない人もいます。
事態がはっきりしていれば、以下の個別番号でも良いですが、とりあえず「112」にかける人が多いようです。
警察:107
救急車:104
消防:105
在ハンガリー日本国大使館:+36-1-398-3100
※緊急の場合には、以下の以下の緊急電話に連絡してくださいと言われています。
ブダペスト市内から:328-5329
ブダペスト市外及びハンガリーの携帯電話から:06-1-328-5329
日本の携帯電話から:+36-1-328-5329
大使館はもちろん日本語が通じます。
ただ、大使館はブダ側の12区という中心地からかなり離れた高台にありますので、車、タクシー、バス(バス停からかなり歩く)を使って行かなければならないので、簡単に駆け込むことはできません。
ハンガリー・ブダペストの治安事情まとめ
色々とハンガリー、特にブダペストの治安についてご紹介しましたが、先にも申しました通り、ブダペストは、長く生活し、状況がわかれば、決してとても危険な街ではありません。
日本人の間で危険な地域と言われているところにも健全なハンガリー人や外国人、日本人ですら住んでいます。
いたずらに恐れて声高にそれらの地域を「危険、危険」と決めつけるのはそこに暮らしている人たちを侮辱し、傷つけることにもなります。
まずは、しっかり情報を集めて、適切に対処することが大切です。
そうすれば、立ち入ってはいけないところとそうでないところの区別もつくようになるでしょう。
「住めば都」と言いますように、長く住んでいると愛着のある良い国ですし、愛すべき良い街です。
これが、ハンガリーへの渡航を考えている方々の一助になりましたら幸いです。
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