欧州は税金が高いという印象が大きいですよね。
ハンガリーへの移住を考えている人にとっては切実な問題です。
「ハンガリーにはどんな税金があるのか?」
「その税率はどれくらいか?」
日本と比較して解説します。
ハンガリーの主な税金の種類とその税率
ハンガリーも日本も税金のシステムはほぼ同じですが中には税率は若干異なり、特殊なものもあります。
まずは日本の方にもなじみのある税金
- 付加価値税(VAT)
- 物品税
- 所得税
- 社会保険料
- 控除について
の紹介から始めていきます。
ちなみに本文中にハンガリー独自の通貨フォリントが出てきます。2018年初頭時点で1フォリント=1.245円程度です。
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付加価値税(VAT)
いわゆる消費税の類でサービス、製品のすべてにかかってきます。
標準税率は27%で軽減税率として以下の18%と5%があります。
以前は一律27%だったのですが、2017年くらいから税率の見直しが進行中で、多くのものやサービスについて税率が引き下げられました。
・軽減税率と対象品目・サービス
引き下げられた利率と項目を以下に紹介します。
18%:
穀物や小麦などを使用した製品、商業宿泊施設などは若干税率が下げられ、18%になりました。
5%:
2017年1月から牛乳、卵、鶏肉類や豚肉などの食品、さらに医療品、本、セントラルヒーティングなど特定の品物・サービスについては税率が大幅に引き下げられ、5%になりました。
また2018年になって、飲食店での食事も、2017年まで18%だったのが、5%に削減されました。
また、インターネット接続サービスのVATも、2017年から18%へ引下げられました(以前は27%)。
基本的には、一般の生活に関係する物やサービスの値段を下げて、贅沢品はそのまま、嗜好品にはさらに税金を課す、と言ったスタンスのようです。
また、レジャーや外食の税率を下げて、経済を活性化させる狙いもあるようです。
ただ巷のうわさでは、税率が下がった分だけ製品やサービスの値段を上げる業者が出てくるのではないかと言われていて、状況を見守っている状態です。
物品税
酒類、鉱油、たばこが対象です。
いずれも消費者ではなくて製造業者に課せられ、消費者はこれ以外に付加価値税25%を払う必要があります。
ガソリン、軽油などは原油価格に基づいて税率が決定していてガソリンも軽油も税率は一緒です。
2017年末時点では、1バレルあたりの原油価格は
- 50アメリカドル以下の場合は1リットルあたり120フォリント
- 50ドル以上の場合は1リットルあたり120フォリント
です。
たばこ税は紙巻きたばこが25%で、葉巻、刻みたばこ、電子たばこなどは別途税率が設定されています。
紙巻きたばこより若干安いようです。酒税はお酒の種類と醸造規模によって細かく分けられています。
ビールは地ビールなど小さな醸造所で作られた場合は1リットルあたり0.8フォリント、大きな醸造所の場合は1リットルあたり1.6フォリントです。
ワイン生産国のハンガリーらしく、普通のワインは酒税がかかりません。
しかし、スパークリングワインには1リットルあたり16フォリントの酒税が課せられます。
これら物品税の税率は四半期ごとに見直されますので、価格が頻繁に変わります。
酒税は日本より大分安いようで、こちらでのビールの値段は日本の半分くらいです。
たばこ税は日本の半分くらいですが、付加価値税が高いので、消費者価格は日本とあまり変わりません。
ハンガリーの所得税
所得税率は一律15%ですが、
- 扶養家族控除
- 法定最低賃金
- 福利厚生支給
などに関連して、控除されます。
その仕組みは複雑かつ毎年変更されるので、自国でも税金に関する基本的な知識が乏しい外国人が理解するのは非常に難しいです。
2017年より不動産売却の所得税が見直され、取得から5年以上が経過していれば課税されなくなりました。
社会保険料
大きく分けて
- 国家年金
- 医療保険
- 雇用保険
の3つがあり、それぞれ税率は10.0%、7.0%、1.5%です。
会社に所属していれば日本と同様給料から天引きされます。
控除について
税金や年金の控除のしくみや率は複雑で、さらに頻繁に変わるので、我々に理解するのは難しいです。
特徴的なのは、ハンガリーでは子供がいる家庭への所得税控除が子供の数によって異なり、より多い子供を持つ家庭はより高い控除が受けられます。
具体的には
- 子供一人の場合は1カ月10,000フォリント
- 二人の場合は17,500フォリント
- 三人以上の場合は33,000フォリント
が納税から控除されます。
この控除のほかに子供手当として1カ月12,200フォリントが別途銀行口座に振り込まれます。
子供二人まではお得感がないのですが、子供三人になると子供一人の3倍よりちょっと多く控除されるので、ハンガリー人は三人子供がいる家庭が多いです。
しかし、それ以上は控除額がかわらないので、四人以上の子供を持つ家庭は少ないです。
この制度をもってしても、現在ハンガリーでは出生率の低下が問題になっています。(日本ほどではありませんが。)
ここまでのまとめ
以上が、ハンガリーの基本的な税金です。
税率は違いますが、日本とほぼ共通しているので理解しやすいでしょう。
日本よりもハンガリーのほうがわかりやすいのは日本のように年金や保険の種類が複数ではなく、一つしかないというところです。
しかし、その税率は所得税も含めて高く、例えば、現地の会社で働くと、何もなければ月給の30%近くが持っていかれるということです。
以下では、引き続き、特殊な税金、社会保障、扶養手当などについて紹介します。
建物税と土地税
建物を所有していることに対して課せられる税金です。
年間1平方メートル当たり1,846.6フォリント、または建物の市場価格の50%に対する3.6%です。
所有する土地にかかる税金です。
課税額上限は年間1平方メートルあたり335.7フォリント、または土地の市場価格の50%に対し3%でした。
つまり、100坪の土地に20坪の2階建て(敷地面積40坪)が建っている家を持っている場合単純に計算すると年間で35万フォリントの税金がかかることになります。
日本円で大体15万円くらい。日本のいわゆるベッドタウンと言われるところよりも高く感じます。
しかし、土地建物の市場価格も加味されるのでこれほど高くはならないようです。
ハンガリーの特殊な税金①:ATM、銀行窓口からの現金引き出しにかかる税金
なんと、銀行のATMからお金を引き出すと0.6%課税されます。
ただし、1カ月当たり2回まで、合計15万フォリントまでは非課税です。
ついでに税金ではありませんが、銀行口座の維持費も月額数百フォリントですがかかります。
つまり収入がないと何もしなくても預けているお金が目減りするのです。
もちろん利子も付きますので、預けているお金が高額なら利子が手数料を上回るでしょう。
この月2回の非課税の権利を得るためにわざわざ銀行のカウンターに行って書類を提出しなければならないという面倒くさい作業がありました。
この届出をしておかないとすべてのATM利用に課税されてしまいます。
銀行のカードに付いてくるデビットで支払うと手数料がかからず、この支払に課税はされないので、月に2回だけ15万フォリント以内の現金を引き落とし、あとはカード決済で行うのが良いでしょう。
ただ、ハンガリー人の年配の方々の中には、カードを信用せず、現金での支払いを好む傾向があるようです。
ハンガリーの特殊な税金②:国民健康製品税(俗称「ポテトチップス税」)
これは俗称が日本でも話題になりましたが、ポテチだけにかかるわけではありません。
塩分、糖分、カフェイン等含有量が高くて大量摂取すると健康に害を及ぼし得る食品、飲料品に対して課せられます。
ポテトチップスにかかるくらいなので、普通のお菓子にはだいたいこの税金がかかっています。
これは消費者に課税するわけではなく、製造業者、輸入業者に課税されるので、これがどの程度価格に跳ね返ってきてるのか判断できません。
業者によっては企業努力で値段を上げずにやっているところもあるでしょうし、便乗値上げする業者もいるでしょう。
ちなみに対象製品は年々増えていて、2015年からはアルコール類も課税対象になりました。
ハンガリーの税金まとめと日本との比較
ハンガリーの税率はおおむね日本よりも高い傾向にあります。
それでも物価が日本に比べて安いので、日本から来た観光客や日本の企業から給料をもらっている駐在員の方から見ると全てが安く感じるでしょうが、平均給料は日本の半分程度なので、ハンガリーの企業で働いていると、物価は東京都さほど変わらない印象を受けるでしょう。
ハンガリーの物価関連記事
ハンガリーの物価情報。1ヶ月の生活費と諸コストを全公開(3人家族の例)もご覧ください。
さらに、日本にはない特殊な税金(銀行のATM引き落としやポテトチップス税)もあるので、消費者にとっては財布に厳しい国と言えるかもしれません。
しかし、昨年から減税が始まり、色々なものの税率が引き下げられ、現在も進行中です。
また、税金が高い分、福祉が充実していて、医療費や学費は無料ですので、単純に日本と比較することはできないでしょう。
この情報がハンガリーへの移住を考えている方々の参考になりましたら幸いです。
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