ヨーロッパの中心ハンガリーは2005年にEU加盟国となったものの、未だ通貨はハンガリーフォリント(HUFもしくはFtと標記)のままであり、他EU国内に比べ物価は安く、それでいて他国からの輸入品も充実しており、比較的生活しやすい国となっています。
ハンガリー永住権の他に、EU加盟国の国民と結婚している場合には、「長期滞在許可カード」を申請することもできます。
永住権は5年ごとに更新となり、長期滞在カードは10年ごとの更新となりますが、与えられる権利などが異なってきます。
今回は、ドナウの真珠と呼ばれる美しい国ハンガリーで永住権を取得する方法を紹介いたします。
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ハンガリー永住権は3つの種類に大別できる
大きく3つの場合において永住権を申請することができます。
1.ハンガリー国民の家族用滞在許可証 (Magyar állampolgár családtagja tartózkodási kártya)
ハンガリー国籍を持った方と結婚しているか、その方のパートナー(結婚をしていなくても「生涯一緒に暮らすパートナーである」という証明を取得することができます)である
2.国立永住許可証 (Nemzeti letelepedési engedély )
3年もしくは5年以上、ハンガリー国滞在許可証にて合法的に、途切れることなくハンガリー国内に滞在している
3.国家利益を目的とした国立永住許可証(Nemzetgazdasági érdekből kiadott nemzeti letelepedési engedély)
一定金額以上の資産とハンガリー国債を本人もしくは会社が保有している(会社の場合は本人が会社の所有者である)
永住権の申請方法
永住許可の申請は特別な場合を除いて移民局(Bevándorlási és Menekültügyi Hivatal)にて行われます。
ホームページより申請の予約も可能です。
予約をしなかった場合は、長時間待たされる可能性があります。
ブダペスト移民局のホームページ:http://www.bmbah.hu/index.php?lang=en
ハンガリーでも日常のパスポート携帯が義務付けられていますが、申請の際にうっかりパスポートを持参しなかった、という事がないよう注意しましょう。
最初の申請時に、すべての書類提出をすることが理想ですが、どうしても書類が揃わない場合には、
- パスポート、顔写真(3×4センチ)
- 郵便局で購入可能な手数料分の収入印紙(illetékbélyeg)
- 申請書
を持参しないと受け付けてもらえません。
書類の不備がある場合には、週末を含めた2週間の補充日が与えられます。
その期間以内に書類を提出し終わらないと申請が完了しませんので、十分な準備をしましょう。
また、日本人おいては(主にEU圏外の国民)申請時に顔写真と指紋を取ることが義務付けられてます。(6歳以下の幼児には不必要です。)
必要書類とその準備
ハンガリーの永住許可証発行申請にあたって提出する証明書の中で、日本や外国にて発行された書類には、公印確認もしくはアポスティーユ認証が必要になる場合があります。
書類を準備するにあたっては日本や発行された外国にあるハンガリー大使館や総領事館、もしくは日本外務省での公認確認証明、在ハンガリー日本大使館や総領事館の証明が必要となる場合がありますので、その書類に何が必要なのかを事前に確認されることをお勧めします。
また、婚姻をハンガリー国外で行った場合には、ハンガリーにて最初に婚姻届けの提出をされ、ハンガリー国内で戸籍登録をし、その後に永住権の申請を行う事が一番簡単で手数料がかからない方法となっています。
銀行残高証明について
日本の銀行から英語で残高証明書を発行してもらう場合と、ハンガリー国内の銀行から発行してもらう場合があります。
日本の銀行からの場合、移民局では日本の銀行から引き落としが可能となる銀行カードのコピーを提出して、資金をそこから得る事を証明する文書を書くことになります。
銀行証明書は発行から30日以内にハンガリー移民局に提出する必要があります。
出国前に準備をして、入国してから早めに申請に行かれることをお勧めします。
様々な文書において宣言の形で作成を求められる文書がありますが、必要に応じて移民局にて担当者が何を書かなくてはいけないかを教えてくれ、その場で作成することが可能な場合がほとんどです。
また、特別な形式を持つ書類は申請書と住居登録書以外はありません。
健康保険証について
ハンガリーでは基本的に、国民健康保険で医療費がまかなわれます。
毎月法律で定められた一定金額(最低賃金によって変動)を支払うことで、国民健康保険に加入することが可能です。
また、一般の保険会社(General、Alliance等)に加入することも可能です。
この保険では自分で選んだ個人の医療機関にも行くことができるため、英語での対応や、日本語通訳者を常備している医療機関に行き、その場で一度支払いを行い、後に保険会社から返金を受け取るという形も可能となります。
住居の保有を証明する書類について
住居がある事を証明するには、契約書等の書類の他に、その建物が属する区にある土地管理局(Földhivatal www.foldhivatal.hu/)にて不動産所有証明書のコピーを発行してもらい、移民局に提出する必要があります。
賃貸住居に住む場合でも、建物の持ち主名が書かれた証明書の公式なコピーが必要です。
移民局に提出する際には、このコピーが申請時からさかのぼって30日以内に発行されている必要がありますので注意が必要です。
ハンガリー語への翻訳
提出する資料には基本的に公式なハンガリー語翻訳が必要となります。
ハンガリーに到着してから国立翻訳局にて翻訳する事が一番確実な方法となります。
翻訳時間によって金額が変わりますが、一番安い場合では2週間以上を要する場合がありますので、提出期限等を考慮してプランを立てましょう。事前にメールで見積もりを取ることができますが、実際の翻訳依頼にはオフィスに直接行く事が必要です。
国立翻訳局(Országos Fordító és Fordításhitelesítő Iroda):http://www.offi.hu/en
永住権の申請時期と証明書の発行
日本人には基本的に180日間で90日以内のビザなし滞在が認められていますが、許可の種類によっては入国から60日以内に申請を行う必要がありますので、十分な事前の準備がお勧めです。
発行される証明書は住居に郵送してもらうか直接申請を行った移民局に取りに行くことで受け取ることが可能です。
発行が認められなかった場合には、それを不服として申し立てする事も可能です。(別途手数料の支払いが必要です。)
それでは、それぞれの永住許可申請について、取得条件と申請方法について大まかにご紹介いたします。
1. ハンガリー国民の家族用滞在許可証(Magyar állampolgár családtagja tartózkodási kártya)
申請は、住居のある地域に属する移民局にて、入国から93日以内に申請をする必要があります。
申請の際には有効なパスポートの提示と家族関係を証明する書類、また180日間で90日以上の滞在が認められている旨の書類の添付が必要です。
許可証は申請から70日以内に発行されます。発行される許可証の有効期間は5年間で、延長申請が可能です。
申請条件
ハンガリー国籍を保有する方と結婚している、もしくはハンガリーかEU加盟国であるその他の国にて発行されたパートナー証明をお持ちの方が申請できます。また、帯同する子供や親にも申請が可能です。(以下は本人の申請について説明しています。)
申請に必要な書類
1.申請手続き手数料 10,000フォリント分の収入印紙(郵便局で購入が可能です)
2.申請書は以下のページからダウンロードすることができます。(英語)
– Residence Card for Family Member of Hungarian Citizen
– Application to replace residence document
– Application to substitute residence document
3.その他の提出書類
- 戸籍謄本
- 婚姻証明書もしくは、ハンガリー、他のEU加盟国で登録されたパートナー関係を証明する文書
- 十分な資金の保有を証明するもの
雇用証明書、給与証明書、納税証明書等の労働することによって給与を受け取っていることの証明書 - 本人もしくは家族名義の銀行口座残高証明書 (上記参照)
- 顔写真 (3×4センチ)
4.医療費用の負担を証明する書類
滞在の全期間中に有効な健康保険の契約書コピー、もしくは相手の方の家族として登録されたハンガリー国民健康保険の証書コピー、または自分で負担する旨を記した文書
5.住居についての申告
滞在許可証の発行の際に、最初のハンガリーでの住居申告が行われます。下記の書類の提出によって住居を保有していることが証明されます。
- 住居賃貸契約書
- 好意で住居提供を受ける旨の証明書
- 住居の所有を証明する書類で、30日以内に発行された所有者証明書のコピー(上記参照)
- 特別な場合には、その旨を証明できる文書
2. 国立永住許可証(Nemzeti letelepedési engedély )
申請条件
3年もしくは5年以上、合法的に(ハンガリー国滞在許可証もしくは仮の永住許可証(もしくは滞在許可証)を保有している、または180日以内での90日以上の滞在の場合にはビザを持っている)かつ途切れることなくハンガリー国内に滞在している場合に申請できます。(申請から遡って3年のうち、外国での滞在の総日数が270日以内であった場合でも、ハンガリーでの不滞在が4ヶ月以下であれば継続した滞在と認められます)
許可証は申請から70日以内に発行されます。発行される許可証の有効期間は5年間で、延長申請が可能です。
その他に下記の条件があります。
1.ハンガリーにおいて住居と生活資金の保証がある
2.医療の全範囲において保証がされていること、もしくは医療費を負担することができる
3.許可のできない特別な理由がない
また、すでに有効な滞在許可証や永住許可証を持っていて、更に下記の条件のいずれかに当てはまる場合にも上記1‐3を含んだ条件で申請が可能です。
a) EU圏外の国民と結婚しており、申請するまでの間継続して少なくとも1年間、未成年の親として生活している
b) EU圏外の国民と結婚していて、結婚生活が申請時に2年以上経過している
c) EU圏外の国籍を持つ幼児
以下は本人の申請について、3年以上滞在していた場合について説明します。
申告に必要な書類
1.申請手続き手数料 10,000フォリント分の収入印紙(郵便局で購入が可能です)
2.申請書 以下のページからダウンロードすることができます。
– National Permanent Residence Permit
– Application to replace residence document
– Application to substitute residence document
3.その他の提出書類
- 戸籍謄本
- 離婚している場合はそれを法律的に証明する書類
- ハンガリー入国前の滞在場所においての政府機関が発行した、無犯罪証明(6か月以内に発行されたもの)
- 顔写真1枚(3×4センチ)
4.ハンガリーでの生活資金についての証明書類
生活資金の保有は、合法的に取得された給与でもって証明することができます。
ハンガリーの金融機関において、預金を証明する銀行残高証明書と
- 生活資金を保証するハンガリーでの資産、無形資産権、資産値の有無を証明する公的文書もしくは完全に信用に値する個人的な文書
- ハンガリーの法律に準拠している定期的な仕事等から得た納税対象となる所得の証明書
- その他のハンガリーでの定期的で、所得を目的とした活動についての公的文書、もしくはその他の方法で証明された納税対象所得
- 海外からの定期的な所得については、その受け取りについてのハンガリー国内の銀行からの証明書
- ハンガリーに居る家族によって公証人によって公式化された、申請者の扶養と養育を証明する文書、または援助する者の援助能力を証明する文書
また、移民局は生活資金について、申請者と一緒に何人が生活しているのか、そのうち何人が所得もしくは資産を持っているのか、また、扶養しているのが何人かもチェックします。
手続きにおいては、申請者によって添付された書類に基づいて申請者(もしくは申請者と同居していて所得のある者)の月の平均所得(移民局は下記の期間に関する所得のひと月の平均)をチェックすることに同意する事となります。
・ 定期的な所得の場合は、下記について証明する為に上記の為に、定められた期間について国立税務局(Nemzeti Adó-és Vámhivatal)が発行した所得証明書か、雇用者によって発行された給与証明の添付が必要です。
- 合法的な滞在期間が1年を超えている場合、申請者が願書を提出した前の年に所得、納税の対象となった取得、および申告の前3ヶ月に取得した所得
- その他の場合には、申告の3ヶ月間に取得した所得
- 定期的な取得でない場合には、申告の前12ヶ月間で得た合計所得
5.住居申告
滞在許可証の発行の際に、最初のハンガリーでの住居申告が行われます。
申請の際には文書によって住居の準備や使用を証明する必要があります。
住居申請用紙(用紙E)には申請者と住居の所有者、もしくはホテル滞在の場合はホテルからのサインが必要です。
また、下記の書類の提出によって住居の有無を証明する事ができます。
- 住居賃貸契約書
- 好意で住居提供を受ける旨の証明書
- 住居の所有を証明する書類で、30日以内に発行された所有者証明書のコピー(上記参照)
- 特別な場合には、その旨を証明できる文書
- 既に持っている滞在ビザや滞在許可証 、永住許可証
滞在許可証の発行もしくは延長申請の手続きの為に過去にすでに提出された場合で、当時申告した住居に変更がない場合は、住居の条件を証明する書類を再提出する必要はありません。
6.医療費用の負担を証明する書類
滞在期間中に有効な健康保険の契約書コピー、もしくは相手の方の家族として登録された国民健康保険の証書、または医療費を保有する資産によってカバーすることができる事を証明する書類が必要となります。
3. 国家利益を目的とした国立永住許可証(Nemzetgazdasági érdekből kiadott nemzeti letelepedési engedély)
申請条件
申請者がハンガリーに入国もしくは滞在する事で国家利益が増加すると考えられる場合に与えられます。
国家利益が増加するかどうかについては下記の視点で判断が行われます。
- 申告者もしくは申告者を含んだ数人の所有による経営組織で、法律で制定され、組織によって発行された最低5年満期で300,000ユーロ以上の有価証券がある
- 法律で制定された経営組織によって発行された、申請者が滞在許可証の発行から45日以内に申請者の支払いによって最低300,000ユーロの国債を入手する旨を組織が証明する
申請は、日本の領事館で行うことも可能です。
ハンガリーにて行う場合には、ブダペストの移民局にて行う事ができます。下記には本人の申請について説明してあります。
発行される許可証の期限は5年で、延長が可能です。申請についての審査は30日以内に決定が下ります。
申告に必要な書類
1.申請手続き手数料 10,000フォリント分の収入印紙(郵便局で購入が可能です)
日本の領事館で行う場合は60ユーロとなります。
2.提出書類
- 戸籍謄本
- 法律で定められている有価証券所有権について、申請者もしくは申請者と他所有者の持つ経営組織の取得を証明する文書と、申請者が滞在許可証の発行から45日以内に申請者の支払いによって最低300,000ユーロの国債を入手する旨を組織が証明する文書
- 離婚している場合はそれを法律的に証明する書類(滞在許可申請の際に提出しなかった場合)
- ハンガリー入国前の滞在場所においての政府機関が発行した、無犯罪証明(6か月以内に発行されたもの)
- 顔写真1枚(3×4センチ)
- ハンガリー入国前の滞在場所においての政府機関が発行した、無犯罪証明(6か月以内に発行されたもの)
- 弁護士への委任状
3.国立永住許可証の手続きにおける法的代理人の雇用
国家利益の増加を考慮した国立永住許可証の申請手続きにおいては、法律で本人が直接申請に赴かなくてはならない時を除き、法的代理人が義務付けられています。
このため、申請の際には弁護士への委任状添付が必要です。
弁護士への委任状は弁護士の法律に基づき、文書で提出されなくてはなりません。文書には双方のサインが必要です。
委任される行為としては、委任された事柄や証明書、金銭や資産の受け取りが全て合法に行われる資格を与えるものとなります。
委任状は原本か原本の公式コピーを申請時に提出する必要があります。委任状文書は公証化もしくは完全に信用できる文書としなくてはなりません。
弁護士本人がサインした書類である場合は証人のサインは必要ありません。
ハンガリー国外で発行された委任状の場合にも公証化もしくは完全に信用できる文書としなくてはらず、更に認証審査を受ける必要があります。
まとめ
ハンガリーでの永住を希望する場合には、会社を所有しているか、ハンガリー国籍を持った方と婚姻やパートナーを結んでいない場合には、まず滞在許可による数年の滞在が必要となります。
まずは様子見として滞在して、永住を考えるのに適しているのではないでしょうか。
また、日本人に関しては歓迎をしてくれる風潮があり、移民局での担当者も親切な方が多いですので、前向きに取り組んでいきましょう!
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