ハンガリーは国土が日本の約4分の1、人口約1000万人の東欧の国ですが、最近、留学先の一つとして日本人から注目されています。
特に強調されているのは医学部への留学ですが、ハンガリーはその他の分野でも、独特のシステムを用いて教育に力を入れています。
義務教育の授業料無料はもちろんのこと、
- 子供の発育を考えて小学校への入学を遅らせることができる
- 小学校から落第制度がある
- 学校ごとに特定の教科に特化した教育内容を持つ
など日本にはないようなシステムや特徴があります。
そんなハンガリーの教育システムの特徴を現地在住者からご紹介します。
ハンガリーの義務教育のシステムと特徴
ハンガリーの義務教育は基本的には6歳から18歳まで、授業料は無料です。
ハンガリーの学校も他の多くの欧米諸国同様、9月入学です。
私立や教会立の学校も多少ありますが、公立がほとんどです。
義務教育の内訳は以下の3パターンに分かれます。
- Primary(初等教育)8年、Secondary(中等教育)4年
- Primary(初等教育)6年、Secondary(中等教育)6年
- Primary(初等教育)4年、Secondary(中等教育)8年
どのパターンになるかはどの学校に入るかで決まってきます。このパターンは学校によって異なります。
子どもたちはかなり早い段階で自分の将来の進路選択を迫られますが、途中で学校を変えることも可能です。
公立学校であっても、Primaryのうちからある特定の教科(体育、科学、語学など)に特化した教育方針を持っている学校も多数あり、画一的な教育を行う日本の公立小学校とはずいぶんと異なります。
加えて、日本で言うところのPrimaryに入学する前の1年間は幼稚園に入ることが義務付けられています。
ハンガリーの就学前教育(Ovoda)
いわゆる、幼稚園、保育園でISCED (International Standard Classification of Education、国際標準教育分類)レベルは0~1になります。
すでにご紹介したとおり、Primaryに入る前1年間、Ovodaで学習することが義務付けられていますが、子供が3歳になった年の夏頃に地方自治体から入学可能な(席を確保してある)幼稚園を紹介する手紙が届きます。
3歳からの授業料ももちろん無料です。
入学するならばその準備のため、その学校に行かないのであれば断りのために一度はその園に出向く必要があります。
学習は大部分がハンガリー語でなされますが、一部、ハンガリー語プラス外国語(英語、ドイツ語など)で対応する園もあります。
また、ハンガリーの教育カリキュラムに準拠したインターナショナルの幼稚園(pre-schoolやKindergarten)もあり、特に首都ブダペストには多くあります。
以下に主要なインターナショナル幼稚園を紹介します。
- A-Z International Centre for Children
- The British International School Budapest
- The English garden
- Britannica International School, Budapest
- American International School of Budapest
こちらは授業料無料ではなく、かなり高額な授業料を払う必要がありますが、全ての授業は英語でなされます。
ちなみに日本人幼稚園は現時点ではハンガリーにはありませんが、日本語が話せる先生がいるインターナショナル幼稚園はあります。
KidsKioskには2014年当時、日本人の先生がいらっしゃったことは確実ですが、現時点でまだいらっしゃるかどうか確認できていません。
Under The Rainbowには、2019年2月現在でも日本人の先生がいらっしゃいます。
ハンガリーの初等教育(Altalanos iskola)
いわゆる日本の小学校と中学校で、ISCEDレベルは1+2です。
子供が6歳になった年の9月に入学します。
Ovodaでの状況や月齢の問題(いわゆる早生まれ)を理由に入学を1年遅らせることも許されています。
1年遅れて入ったからといって特に落ちこぼれといったような偏見はなく、逆に体力的にも精神的にも余裕を持って初等教育を始められるという利点があります。
基本的には6歳から10歳の4年間が第一期、10歳から14歳の4年間が第二期ですが、第一期で切り上げて中等教育に進む子供もいます。
ハンガリーの初等教育はかなり厳しく、宿題も多く出され、子どもたちは家に帰ってからも勉強しています。
ある統計によると、初等教育1年生の平均家庭内勉強時間は1時間とのことです。
また、ハンガリーでは小学校から落第制度があります。
3年生までは親に拒否権がありますが、4年生以降は学校が不適切判断した場合は有無を言わさず落第させられます。
そのため、親も子供の教育には非常に熱心で、家族一丸となって子供に勉強を教えて落第を回避するようです。
ハンガリー在住の日本国籍をもつ小中学生のために、ブダペストには在ハンガリー日本大使館が運営する日本人学校があります。
こちらは日本のカリキュラムに従った教育を行っていますが、日本と異なり、授業料を支払う必要があります。
ハンガリーの中等教育
中等教育は日本の高校、専門学校にあたり、以下の2つに大きく分かれます。
ここまでがハンガリーの義務教育になります。
Gimnazium(中等初期、後期教育)
いわゆる日本の高校でISCEDレベルは2+3で、大学への進学を目指す子供は大部分がこのコースに進みます。
対象年齢は10歳、12歳、14歳から18歳、19歳までと、初等教育でどのカリキュラムを取ったかによって入学年齢にバラエティがあります。
修了年齢はPrimaryへの入学を遅らせなければ18歳、1年遅らせれば19歳になります。
Szakkozepiskola(職業中等教育)
いわゆる日本の専門学校です。
大学進学のための学問よりも就職のための技術を身につけることを目的としています。
身につける技術の種類と難易度によって
- Szakkozepiskola(職業学校)
- Szakiskola(職業訓練校)のAコース(ISCEDスコア2)~Dコース(ISCEDスコア4)
までの4種類があります。
開始年齢、修了年齢もコースによって異なりますが普通は20歳には修了します。
ハンガリーの高等教育
大学以上の教育システムは9月が年度はじめとなる以外は、日本とあまり変わりません。
しかし、ハンガリーの大学はほとんどが国立で、私立大学は数えるほどしかありません。この点は日本と大きく異なります。
近年、日本のみならず他の国からも留学先として注目を集めていると言われていますが、その一つの理由は授業料の安さです。
学校によって異なりますが、平均して、医学部、歯学部など授業料が高額と言われている学部で年間200ユーロ程度(日本円で250万程度)です。
その他の学部になると4,500ユーロ(55万円程度)です。
確かに物価が高い日本やユーロ諸国の授業料に比べると安価ですが、平均賃金が月30万フォリント(11万円)程度というハンガリーの状況を考えると、ハンガリーで働く人々にとっては安いとは言えない値段です。
大学入学のために、ハンガリーの学生は今までの就学のスコアをGPA(grade point average)として提出する必要があります。
また、状況によっては入学試験を受けることを要求される場合もあります。
海外からの留学生については、GPAの提出に加えて、英語能力を証明するIELTSやTOEFLのスコアを求められます。
また、日本のような非EU国からの留学生については、かなりの確率で2学期に相当するpreparatory course(準備コース)への入学を要求されます。
ハンガリーの高等教育で得た学位や資格(医師資格など)は他のヨーロッパ諸国でも有効なため、ハンガリーで学んで他のヨーロッパ諸国に職を求める学生も少なくありません。
ハンガリーの教育システムまとめ
ハンガリーの教育システムでは、幼稚園の1年が義務化されており、高校卒業まで国の定めたカリキュラムで義務教育化されています。
義務教育の授業料は基本無料ですべての国民に平等な教育を提供することを目標としています。
初等教育には特に力を入れていて、この段からですでに落第制度があり、初等教育1年生の子供でも家で平均1時間は勉強しています。
子供の成長を考慮して初等教育への入学を1年遅らせることができるユニークな制度を取っています。
それに対する偏見もなく、子供は早生まれの不利をこれによって解消することができます。
公立(国立)の学校がほとんどであるにもかかわらず、各学校が特徴を持った独自の教育カリキュラムを組むことが許されていて、学校ごとのバラエティが豊富です。
以上、ハンガリーの教育制度について紹介しました。
特定の分野に特化した優秀な人材を育成するためかなり早い段階から教育に力を入れていることがおわかり頂けたと思います。
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